ダートグレード勝ち馬が近況不振のロールオブザダイスのみで、地方勢にとってはチャンスがありそうなメンバー構成で、地元筆頭のクラキンコが勝負になるかどうか。クラキンコの前々走星雲賞は今回と同じ2000メートルだが、かなりゆったりした流れで、逃げ粘るリアライズトロイカをゴール前でようやくとらえての勝利。勝ちタイムは2分10秒1。さすがに中央のオープンクラスではそうした流れになることは考えにくく、勝ち負けまではどうだろう。
中心はエーシンモアオバー。前走はスタートでつまづいての落馬で、休み明けの大沼Sはマイペースで逃げ切り、3馬身差の完勝だった。今回も単騎で逃げられそうな相手関係で、ダートグレード実績があるのが近走不振のロールオブザダイスのみというメンバーなら後続を寄せ付けず一気の逃げ切りというシーンが浮かぶ。
シビルウォーは、オープンでの勝利がちょうど1年前の関越Sのみだが、今回は相手になるのがオープン特別級というメンバーなら十分に勝負になる。
メイショウタメトモは、川崎記念JpnI、マーキュリーカップJpnIIIでともに2着という成績が目立つ。とはいえ、川崎記念はフリオーソ以外これといった実績馬がいないメンバーで、マーキュリーカップもゴルトブリッツには直線で突き放され、ミラクルレジェンドの凡走があっての2着という内容。相手なりに走るタイプだけに、ここも2着3着候補。
クラキンコは門別2000メートルは3戦して最高タイムが道営記念5着の2分7秒3。今回は勝ちタイムが良馬場で2分4秒前後か、遅くても5秒台あたりと想像され、そのペースに対応できるかどうかというと、ちょっと厳しいように思う。
ピイラニハイウェイ、ロールオブザダイスは、近走ともにいいところがないが、ゆったり流れる展開なら馬券圏内に残る可能性も。
◎エーシンモアオバー
○シビルウォー
▲メイショウタメトモ
△クラキンコ
△ピイラニハイウェイ
△ロールオブザダイス
遠征勢と地元勢が6頭ずつという対戦。重賞勝ち馬が何頭かいて、この時期にすでに古馬に編入され中級以上のクラスで勝っている馬も何頭もいて、さらには中央から転入して連勝や3着以内を外していないという底を見せていない馬もいたりして、高いレベルで混戦のレース。はっきり言って、12頭中10頭くらいに印がつけたくなった。それでも絞って7頭。さすがに馬券を買う段階ではさらに絞らなければならないだろうが、それだけ可能性のある馬が多いということ。
中心は地元のナムラダイキチ。中央2勝で早くもこの時期に地方に転出ということでもちょっと驚くが、前々走ですでに古馬A1特別を勝ったということにはさらに驚く。さすがに前走、ジャングルスマイルには歯が立たなかったが、それでも2着を確保し、3着馬には2馬身差をつけている。金沢のこの時期の3歳馬としては出色の実力馬ではないだろうか。
兵庫のホクセツサンデーは、菊水賞を勝って兵庫チャンピオンシップJpnIIでも中央馬相手に2着と好走。兵庫ダービーでは、休養から復帰したオオエライジンに差をつけられての敗戦となったが、兵庫のこの世代の2強であることには違いない。オオエライジンは8月16日の大井・黒潮盃に遠征予定で、結果的にそれと使い分けられての遠征。グランダム・ジャパン3歳シーズンではマンボビーンが優勝し、さらにこの8月5日にはナナクサが東海クイーンカップを制するなど、今年の兵庫の3歳世代は牡馬牝馬ともにトップクラスのレベルがひじょうに高い。勝つのはナムラダイキチかホクセツサンデーのどちらかだろう。
つまり以下は連下候補となるが、その筆頭はエムザックハーツ。北日本新聞杯を大差でぶっちぎって勝ち、遠征競馬の東海ダービーは惨敗したものの、前々走で古馬B2特別を快勝。例年であれば、このあたりのレベルで本命視されるところ。
東海ダービーを7番人気で制したのがアムロ。その東海ダービーは、正攻法から直線抜け出してミサキティンバーの追撃をハナ差でしのぐという見事な競馬だったが、負けるときはあっさりというところもある。前走、ジャパンダートダービーJpnI(11着)に続く遠征競馬でどうか。
4月の新緑賞を制したマルヨコンバットは、その後の3歳重賞戦線ではいまひとつのレースが続いたが、前々走で古馬B5組の一般戦を勝利。調子を戻していれば上位争いも。
ヒャクマンゴクは、北日本新聞杯では離れた4着に敗れたものの、3歳A1特別を勝って臨んだ前走古馬B2組の一般戦を勝利。ソウゲンは名古屋で3連勝中。この2頭はここに来ての上昇ぶりが目立つ。
◎ナムラダイキチ
◯ホクセツサンデー
▲エムザックハーツ
△アムロ
△マルヨコンバット
△ヒャクマンゴク
△ソウゲン
ばんえい競馬でも、いよいよ待望の3連単が発売される(個人的には、平地でも3連複とワイドはほとんど買わない)。最初のうちは馬複や馬単と比べてヘンテコな配当が出ると思うが、そうしたところも含めて楽しみたい。そんな中で行われる最初の重賞がはまなす賞。4歳馬5頭、3歳馬3頭の8頭立てだが、上下70キロものハンデ差があって難解。地方競馬の少頭数のレースでは3連単でもびっくりするほどの低配当になることもめずらしくないが、ばんえい競馬ではそうしたことは少ないだろうと思う。
まずは4歳馬の比較だが、柏林賞の上位5頭が出走してきて、その柏林賞と比較すると1着のレットダイヤ、2着のファーストスターが10キロずつ加増され、3~5着馬は据え置き。ここは、その柏林賞で1番人気ながら4着に敗れたトレジャーハンターに再度期待してみたい。今シーズンA1-1組特別を勝っているという実力も上位だ。
2世代限定の重賞では、どうしても上の世代が優位だが、3・4歳限定で行われた過去3年のこのレース(08、09年までは特別として実施)の結果を見ると、連対馬6頭のうち3歳馬と4歳馬が3頭ずつとほぼ互角の成績。3連勝中の3歳馬ニュータカラコマはまだまだ上が望めそうで、もう1頭の中心。
柏林賞でトレジャーハンターに先着の3着と好走したツジノコウフクヒメも、今回はその柏林賞と同じ660キロだけにチャンスは十分。
ヤマトホマレは最大70キロ差の最軽量650キロが魅力。過去3年、最軽量の馬が連対しているというデータもある。
柏林賞を勝ったレットダイヤは、柏林賞より10キロ重くなったが、同じように障害を早めにクリアすればチャンスはある。
◎トレジャーハンター
◯ニュータカラコマ
▲ツジノコウフクヒメ
△ヤマトホマレ
△レットダイヤ
今回のメンバー中、ちょうど半数の6頭が出走していた笠松・クイーンカップは、出入りの激しい競馬で、展開にはまった馬、ロスの多かった馬、脚を余した馬などがいて、波乱の結果となった。残念だったのは、1番人気に支持されながら3着に敗れた兵庫のナナクサだ。スタートでダッシュがつかず、いつものように先行できず。さらには3コーナー過ぎまでラチ沿いを追走しながら、4コーナーから直線では横いっぱいに広がった馬群の大外に持ち出すという厳しい展開。ゴール前猛然と追い込んだものの、1馬身+ハナ差届かずの3着だった。自分の展開に持込めば、前回のようなことにはならないだろう。
ベラトリックスは、笠松・クイーンカップでは4番人気ながら混戦から抜け出して勝利。北海道の2歳シーズン終了後に名古屋に転入し、その勝利が東海地区ではようやく2勝目。とはいえレースぶりには見どころがあった。前走の再現があってもおかしくはない。
ミラノボヴィッチは、2歳時にプリンセス特別を制し、今年2月には牡馬相手のゴールドジュニアを逃げきった。しかしその後の3戦はいまひとつのレース内容。この馬も笠松・クイーンカップは出負けから向正面で早めに先頭に立つという消耗の大きい競馬だった。マイペースに持ち込めれば再び好勝負も。
新興勢力では、中央未勝利から名古屋に転入して3連勝のコスモハーヴェスト、同じく中央未勝利から金沢に転入して7戦6勝のダイワシンシアの快進撃が目に付く。
コスモハーヴェストは、前走800メートル戦で6馬身差の圧勝だが、その前の2戦はともに1400メートル戦で、それほどの差をつけての勝利ではなかった。今回さらに距離が延びる1600メートル戦で前走のようなレースができるかどうかはやや疑問が残る。
ダイワシンシアは、ここ3戦は僅差の勝利。笠松・クイーンカップで厳しい競馬をしてきたメンバーが相手では、ややハードルが高いように思う。
◎ナナクサ
◯ベラトリックス
▲ミラノボヴィッチ
△コスモハーヴェスト
△ダイワシンシア
読売レディス杯を制したエーシンクールディが予定どおり、グランダム・ジャパン古馬シーズンの第4戦となるここに駒を進めてきた。笠松への転入初戦となったサマーカップを圧勝したのに続き、読売レディス杯でもスタートからスピードの違いでハナに立つと、3~4コーナーでは岡部誠騎手が早くもうしろを振り向いて後続の脚色を確認。直線では流すような感じで余裕の圧勝となった。今回、読売レディス杯より相手強化というほどのメンバーでもなく、ここも楽勝で通過する可能性が高い。
エーシンクールディの実力が抜けているだけに相手は難しい。読売レディス杯では、2着のキーポケットに6馬身の差がついた。こうのように1頭の力が抜けている場合は、別路線組を相手として考えたほうがいい。そこで狙ってみたいのは、福山のグレイスフルムーヴ。中央3勝から転入して、初戦のA3特別は大差(2秒2)、2戦目のA1A2特別では重賞3勝のビービーバイラに5馬身差をつけて余裕の勝利だった。そのビービーバイラにしても、今年の福山牝馬特別で5着に敗れているように交流戦となると厳しいが、それをモノサシにすれば、福山牝馬特別で上位を争ったゴールドピアースやエンタノメガミよりも上にいける力があると考えることもできる。
ただ実績的にはキーポケットが相手としては順当かもしれない。前走、読売レディス杯は中団を追走しながら、直線ではしぶとく伸びてシルバーウインドをとらえ2着を確保した。地元に戻ってエーシンクールディとの差をどこまで詰められるか。
ダートグレードで入着実績のあるトウホクビジンにも巻き返すチャンスは十分。
別路線組では、これが重賞初挑戦となるコスモピクシーも気になる存在。中央未勝利から転入し、園田では14戦8勝、2着4回。A2まで出世してきているだけに、牝馬同士のここなら、いきなりという場面があるかもしれない。
◎エーシンクールディ
◯グレイスフルムーヴ
▲キーポケット
△トウホクビジン
△コスモピクシー