過去12回で笠松勢が5勝。07年は馬インフルエンザの影響で地元金沢所属馬のみで争われたことを考えると、笠松勢は11回のうち半数近くを勝利と強さを示している。今年もその笠松勢が強そうだ。
マーメイドジャンプはデビューから2連勝。前走の2歳1組戦は、向正面から3番手以下を引き離し、メモリーホワイトとの一騎打ち。マーメイドジャンプのほうは終始楽な手ごたえで、直線でメモリーホワイトを置き去りにすると7馬身差をつけた。その勝ちタイムが1分30秒0。タイムが出やすい不良馬場だったことを割り引く必要はあるが、たとえば笠松で10月に行われている重賞・ジュニアクラウンの勝ちタイムが近年は1分29秒台後半から30秒台であるところを見ると、マーメイドジャンプの勝ちタイムも重賞級であることがわかる。目一杯には追われてなかっただけに、展開次第ではさらにタイムを詰めることは可能だろう。
相手も笠松でアウヤンテプイ。認定新馬戦は4着に負けたものの、その後2連勝。特に前走は名古屋への遠征で、1番人気オーリーライアンとの一騎打ちを制し、3着に大差をつけた。まだまだ伸びシロがありそうな、可能性を感じさせるレースぶりだった。ちなみにアウヤンテプイという馬名はどういう意味かと思ったら、南アメリカのギアナ高地にあるテーブルトップマウンテンのうち最大の山で、意味は「悪魔の山」だそうだ(Wikipediaより)。
そのアウヤンテプイに1馬身差で2着に敗れたオーリーライアンも力差はない。展開次第では逆転も可能だろう。
地元金沢勢では、2戦してともに2着のシンカンイチコ。初戦で負かされた相手のドーリーガール、2戦目のドリームパワーは、目下のところともに2戦2勝という素質馬(ドーリーガールはすでに地方登録抹消)。その2頭と、ともに差のないレースをしていただけに、今回出走してきた地元勢では最有力と見てよさそう。
デビュー2戦目を好タイムで制した名古屋のグレンダウザー、デビュー3戦目を快勝した地元金沢のアルドラあたりにも可能性はありそう。
◎マーメイドジャンプ
◯アウヤンテプイ
▲オーリーライアン
△シンカンイチコ
△グレンダウザー
△アルドラ
ハンデに最大50キロ差があり、それを考え始めると、結果はどうにでもひっくり返りそうな感じのメンバー構成。
牝馬で700キロは楽ではないだろうが、今シーズン重賞初出走となるダイリンビューティを中心に狙ってみたい。3走前にA1-1・2組を勝ったという実力に加え、前走紅バラ賞は軽ハンデの馬たちを相手に差のない3着と好走。その紅バラ賞には、はまなす賞を制したツジノコウフクヒメも出ていたが7着。今回は、その紅バラ賞と同じくツジノコウフクヒメと20キロなら、引き続き好走が期待できそう。藤野騎手がホクショウバトルのほうを選んだのが気になるところだが、初騎乗となる安部憲二騎手の一発を期待したい。
相手筆頭にはファーストスター。柏林賞2着に、はまなす賞でも3着と、重賞はもう少しのところで勝てないものの確実に上位には来る。B1クラスで勝ち負けで、今回牡馬で700キロという重量も魅力に映る。
トレジャーハンターは柏林賞で1番人気に支持され4着、レットダイヤははまなす賞で1番人気となって4着。この2頭は実力は確かなだけに、あらためて巻き返しを期待したいところ。
ツジノコウフクヒメは、はまなす賞では負担重量に恵まれたこともあって勝利をものにした。そこに出走していた組との比較では、今回10キロ余分に負担することになってどうか。
ホクショウバトルは今シーズン7月からの始動。重賞は今シーズン初挑戦となるが、A2で3連勝の実力なら、ここでも勝ち負けになる可能性はある。
◎ダイリンビューティ
◯ファーストスター
▲トレジャーハンター
△レットダイヤ
△ツジノコウフクヒメ
△ホクショウバトル
全国交流の2歳重賞だが、遠征馬は北海道から1頭のみ。その1頭、イブニングラッシュが手ごわそうだ。ここまで4戦2勝、2着2回。フレッシュチャレンジで負かされた相手、ステルミナートは、中央芝に挑戦してラベンダー賞2着にコスモス賞4着。ともに勝ち馬からはコンマ2秒差と、展開ひとつでチャンスはあったという実力馬。3戦目にわずかアタマ差で負かされたリカチャンスは、その後に重賞のリリーカップで3着。つまりはこのイブニングラッシュも、ホッカイドウ競馬の重賞で上位を争えるくらいの実力は持っていると考えるべきだろう。距離経験が1200メートルしかないこと、さらには芝を経験していないというハンデはあるが、ホッカイドウ競馬の2歳馬のレベルを考えれば、地元勢に連戦連勝という馬がいないメンバーが相手なら、やはり実力は1枚も2枚も上と考えるべきだろう。血統的にも距離延長と芝でマイナスになる要素はない。また、過去3年連続でホッカイドウ競馬勢がこのレースを制しているということでも、そのレベルの違いはわかろうというもの。
地元勢の筆頭は、今回と同じ芝1600メートルの若鮎賞を制したワタリドラゴン。その若鮎賞で2着にしりぞけたエスプレッソは、それまで3戦3勝で、岩手のこの世代のトップを争っている馬。ワタリドラゴンには地元勢筆頭としての期待がかかる。
キモンパーティーは、その若鮎賞ではやや離されての3着だが、芝1000メートルのデビュー戦は好タイムで惜しくも2着。2戦してまだ勝ち星がないとはいえ、岩手勢同士なら上位を争える力はありそう。
以下もやはり若鮎賞組で、5着のマーライオンパーク、4着のハルトリーゲルら、ともに芝での勝ち星がある馬が有利だろう。
◎イブニングラッシュ
◯ワタリドラゴン
▲キモンパーティー
△マーライオンパーク
△ハルトリーゲル
イヌワシ賞を圧勝し、10月4日の白山大賞典JpnIIIを目指すジャングルスマイルが、中1週、中1週というローテーションとなるここを使ってきた。メンバー的に消耗は少ないと考えてのことだろうか。3走前に同じ1400メートル戦でレコード勝ちがあるだけに、ここもすんなり通過といきたいところ。
そのジャングルスマイルにとって嫌な相手になりそうなのが笠松のエイシンタイガー。中央では芝のみで走り、短距離のオープン勝ちという実績馬。前走、盛岡に遠征したクラスターカップJpnIIIでは、ラブミーチャンに競りかけていくスピードを見せた。さすがに直線で沈んだが、あの勢いでハナを切られれば、普段はああしたスピード競馬を経験することがないジャングルスマイルにとっては戸惑う場面があるかもしれない。
地元勢での2番手はナムラダイキチ。中央で2勝を挙げながら、3歳のこの時期に転入。ジャングルスマイルとの対戦ではさすがに離されたが、それでも2着を確保。すでに古馬A1特別での勝ち星があり、今回不在のナムラアンカーと、金沢のナンバー2を争う存在となりそう。
名古屋から遠征のニシノコンサフォスも、中央ではダートの短距離でオープン勝ちの実績。移籍初戦となった名古屋800メートルのオープンを勝ち、名古屋でら馬スプリントではラブミーチャンの2着。ダートグレード級が相手になるとやや厳しい感じだが、地方同士のダート短距離なら重賞で上位をにぎわす存在となりそうだ。
金沢では、南関東での実績ほどの結果を残せていないクレイアートビュンだが、馬券圏内には食い込みたいところ。
◎ジャングルスマイル
◯エイシンタイガー
▲ナムラダイキチ
△ニシノコンサフォス
△クレイアートビュン
好調馬が多く上位拮抗の興味深い一戦。中でも、前走古馬B2特別で5馬身差圧勝のフレアリングマリーにさらなる上積みが期待できそう。生え抜きの福山ダービー馬ムツミマックスには、6月13日のパール賞で7馬身差をつけて圧勝。続く福山チャンピオンシップも楽勝し、ムツミマックスのほうは自滅した格好。古馬相手に取りこぼしはあるものの、まだまだ底は見せていない。
マルサンランナーは中央1勝馬。転入初戦の古馬B2特別では逃げて惜しくもクビ差2着だったが、3着のフレアリングマリーに2馬身差をつけて先着。ここでいきなり重賞制覇という可能性も十分考えられる。
ムツミマックスは、前々走B1B2特別で勝利と、メンバー中では最上位格付けでの勝ち星。ただフレアリングマリーをはじめとする転入馬との対戦成績を見ると、簡単には勝たせてもらえそうもない。
兵庫から移籍のクインオブターフは、のじぎく賞でグランダム・ジャパン3歳シーズン優勝のマンボビーンに1馬身半差の2着という実力。兵庫では23戦して2度しか掲示板を外していないという堅実派でもある。転入初戦のB1B2特別では3着だったが、ムツミマックスに半馬身先着と、この馬も地元生え抜きの馬たちにとっては手強い相手となりそう。
クールココは、中央未勝利から転入して9戦7勝で、目下4連勝中。前走、初めての古馬との対戦でも難なく勝利と、この馬もまだ底を見せていない。
◎フレアリングマリー
◯マルサンライナー
▲ムツミマックス
△クインオブターフ
△クールココ