この距離ならシーキングブレーヴの力が抜けている感じだ。フレッシュチャレンジ勝ちこそ1000メートルだったが、その後1200メートルでは目立った成績を残せず、しかし距離を1700メートルに伸ばしたらオープンで2連勝。1800メートルのブリーダーズゴールドジュニアカップでも、ウィードパワーにはなかなか差をつめられなかったものの、2着を確保した。そして中央に挑戦したクローバー賞では5着。早めに好位にとりつき、最後はやや離されたとはいえ、勝ち馬からコンマ4秒。芝でも軽快なスピードも見せた。さまざまな馬場で経験を積んで実力をつけてきた。
セレブレは、デビューから3戦目まではあまりいいところがなかったが、4戦目の未勝利から、アタックチャレンジ、オープンと3連勝。いきなり変身を遂げた。特に距離が1700メートルに延びた前走は、少頭数ながら4コーナーあたりで3頭ほどが固まった中から鞍上のムチにこたえて抜け出すというレースぶりは見どころがあった。血統的にも中距離以上でこそ力を発揮するはずだ。
エミーズパラダイスは、セレブレが勝ったその前走ではスタートで躓いたのかタイミングが合わなかったのか大きく出遅れ。それでも1700メートルの距離が幸い。徐々に先団との差を詰め1馬身半差の2着だったが、上り3ハロンはセレブレと同じ39秒9だった。出遅れなければ勝っていたかもしれない。
同じ前走でエミーズパラダイスから半馬身差で3着だったのがクリック。直線までセレブレと競り合ったが、最後はやや脚が上がった感じでの3着。こちらは逆に距離がネックになるかもしれない。
ラブミークリームは、2戦目のルーキーチャレンジはダッシュがつかず最後方からとなり、4コーナーでも前3頭からは離れた4番手だったが、直線は並ぶ間もなく交わして突き抜けた。そのスピード能力には見どころがあり、初の1700メートルがプラスと出るかマイナスと出るか。プラスに出ればここでも突き抜ける可能性も。
シラヤマヒメは2走前のオープンで、勝ったシーキングブレーヴから1秒1離されての3着。差を詰めることができれば馬券圏内も。
◎シーキングブレーヴ
◯セレブレ
▲エミーズパラダイス
△クリック
△ラブミークリーム
△シラヤマヒメ
青藍賞が行われる12日には、『JRA VS 岩手』の騎手対抗戦で個人優勝した福永祐一騎手が、副賞として得た豚1頭とお米を豚丼にして、来場するファンに提供することになっている。福永祐一騎手は、高知競馬場で福永洋一記念を企画したり、夜さ恋ナイターのイベントに協力するなど、地方競馬への献身的な行動には、ほんとうに頭が下がる思いだ。
例年であればマイルチャンピオンシップ南部杯JpnIの地元前哨戦となる青藍賞だが、今年は南部杯が東京競馬場で行われるため、そこにつながるレースとなるのかどうか。中央への挑戦という意味でも、ロックハンドスターには復活を期待したいところ。震災の影響で岩手の開幕が遅れたため、休み明けとして臨んだ初戦、コスモバルク記念への遠征で5着に敗れたのはしかたないとしても、今季地元初戦となったみちのく大賞典での5着はほとんど見せ場がないレース内容だっただけに残念だった。今回は、そこから3ヶ月の間隔を開けて臨む一戦。地元馬同士なら負けられないところ。
相手筆頭は、このレース連覇のかかるマイネベリンダ。昨年のこのレースを勝ったあとは休養に入り、復帰戦となったのが今年6月の早池峰賞。残念ながらそこは距離不足もあって10着に敗れたが、その後A級一組を3着して臨んだ前走のA級一組戦は、スタートからハナを奪うと直線で楽々と後続を突き放し、2着に10馬身差をつける圧勝となった。調子を戻して臨む一戦だけに怖い存在だ。
ゴールドマインの今シーズンは、コスモバルク記念遠征(7着)のあと、勝ち星は前々走のすずらん賞のみだが、ダートグレードを別とすれば3戦していずれも3着以内と安定した成績。地元馬同士ならここでも上位争いだろう。
マイネルビスタは、名古屋から転入初戦のA級一組特別を1番人気にこたえてブラストクロノスと同着での勝利。名古屋のA級1組~2組で上位争いの実力なら、ここでも警戒したい存在だ。
マイネルプロートスは、中央2勝から転入してオープン&重賞で4戦2勝。勝つときと負けるときが極端な成績だが、転入初戦のあすなろ賞では、ロックハンドスターを負かしたことのあるサクラマジェスティや、その後みちのく大賞典を圧勝するコアレスレーサーを一蹴しているだけに、ここでも一発があるかもしれない。
◎ロックハンドスター
◯マイネベリンダ
▲ゴールドマイン
△マイネルビスタ
△マイネルプロートス
ジャングルスマイルが断然だ。百万石賞では2着のキタイセユニバースに2秒9の大差をつける圧勝で連覇。今シーズンは、初戦のスプリングカップで2着に敗れたのみで、その後は危なげなく6連勝。金沢所属馬はいまだにダートグレードのタイトルがないが、今年、白山大賞典JpnIIIでこの馬にかかる期待は大きい。
相手には、スプリングカップでジャングルスマイルに土をつけたナムラアンカー。昨年は水沢に遠征したダービーグランプリでロックハンドスターの2着と好走。シーズン終盤には古馬A2特別まで制した。そして今季初戦のスプリングカップでは、ジャングルスマイルを寄せつけず逃げ切り勝ち。今年の金沢の古馬戦線はこの2頭による覇権争いかに思われたが、ナムラアンカーのその後は今ひとつぱっとしない成績。前走のA1特別でスプリングカップ以来の勝利を挙げただけに、どこまで調子を戻しているか。百万石賞では9着と大敗しているように、血統的に2000メートルを超える金沢の古馬四大重賞では厳しそうなだけに、ジャングルスマイルに再び勝負を挑めるのは1900メートルの今回の舞台のような気がする。
昨年の覇者エーシンエヴァンは、さすがにジャングルスマイルでは相手が悪い。今年も地元笠松だけでなく、福山に遠征しての重賞でも上位には食い込んでいるだけに、ジャングルスマイルを別とすれば、やはり有力だ。
高知のアプローチアゲンは、4月の二十四万石賞で重賞初勝利。ダートグレード以外の地方全国交流への重賞は今回が初めてなだけに、高知勢の底力を見せたいところ。
大井で重賞勝ちのあるクレイアートビュンは、期待されての金沢移籍だったが、初戦のA2特別を勝ったのみでその後は期待はずれの成績。前走、ナムラアンカーの2着で復調気配もあるが、ジャングルスマイルのみならず、笠松、高知からも重賞クラスのメンバーが遠征してきているメンバーに入ってどこまでやれるか。
◎ジャングルスマイル
◯ナムラアンカー
▲エーシンエヴァン
△アプローチアゲン
△クレイアートビュン
ラブミーチャンの半弟として注目されるダブルスターは、6月29日のフレッシュチャレンを圧勝。スタートして先頭に立つと徐々に後続を離し、2着に2秒1の大差をつけた。直線では何発かムチが入っていたが、完全に抜け出したあとだったので、おそらくその後のことを考えて気合を入れたのだろう。ラブミーチャンは父がサウスヴィグラスで、その父のとおり短距離でスピード能力を発揮しているが、ダブルスターは父が新種牡馬のシニスターミニスター。アメリカで3歳時にダート9ハロンのGI勝ちがあり、その父オールドトリエステも8~9ハロンのGII、GIIIを勝った実績がある。母系はもともと底力のある血統だけに、ラブミーチャンのことを知らずに、このダブルスターの血統だけを見ればスピード馬という印象はまったくない。今回は1200メートル戦だが、もう少し距離が延びてさらによくなると思うのだがどうだろう。
グッドタイガーは8月11日のスーパーフレッシュチャレンジで、こちらも大差勝ち。1700メートルのゆったりした流れながら、出負けして向正面に入ったあたりでは離れた後方を追走。しかし3コーナーで一気に先頭に立つと、直線突き放すばかり。今回は、1200メートルの、しかも重賞の速い流れに対応できるかどうかがカギとなりそう。
グランデスボスケは8月10日のフレッシュチャレンジ勝ち。ダッシュがつかないような感じで中団を追走していたが、直線を向いて先頭に立つと楽々と後続を突き放した。勝ちタイムも平凡で、2着馬との着差も4馬身だが、そのレースぶりからは素質を感じさせる。
以上、1戦1勝の馬3頭がいずれも他馬を圧倒したレースぶりで、この3頭のうちのどれかが勝つだろうが、どれが強いのかは実際に一緒に走ってみないとわからないというのが正直なところ。
ゴールドメダルは、フレッシュチャレンジ勝ちのあと、1700メートルのオープン戦で8頭立ての最後方から直線前に迫り、勝ったシーキングブレーヴに3/4馬身差の2着。シーキングブレーヴは、ブリーダーズゴールドジュニアカップ2着に、JRA芝のクローバー賞でもそれほど差のない5着と、この世代でトップを争う1頭。それをモノサシにすれば、ゴールドメダルの力もあなどれない。
◎ダブルスター
◯グッドタイガー
▲グランデスボスケ
△ゴールドメダル
過去5年連続で佐賀勢が勝っているこのレース。今年佐賀からはオトコノハナミチ1頭のみの遠征だが、佐賀の3歳-1組特選を連勝中だけに、やはりこの馬が中心となるだろう。2歳10月のデビュー6戦目に初勝利を挙げて以来しばらく勝ち星から遠ざかっていたが、6月に久々の勝利を上げると、そこから3連勝。前走青島特選では、終始2番手の馬にしつこく絡まれる厳しい展開で、それをゴール前で半馬身振り切っての勝利。力をつけている。
トライアルの荒尾商工会議所杯では2着に敗れたタキノプリンセスだが、その後古馬C-1組戦を勝利。重賞勝ち馬がいない荒尾のメンバー同士なら実績は最上位。7月、8月に3戦ずつと使い詰めだけに、あとは調子次第。
荒尾商工会議所杯で直線内から抜けだして勝ったのがユキエンゼル。前々走の古馬C-7組戦でもハナ差の2着。ここにきて好調だ。
シャイニングウェイは3歳-1組戦で2勝を挙げ、ここ3戦の古馬C-11組~9組戦でも1、2、1着と、ここに来ての安定感はなかなかのもの。さすがに古馬との対戦だけあって、1400メートルのタイムでもメンバー中上位。
一発あればコウユーネガイ。中央2戦未勝利から転入して2、2、1着。いずれも古馬C級の下位クラスでのものだが、前走は逃げきって7馬身差の圧勝。中央でデビューしただけあって血統は一流のもので、素質開花という可能性も考えられる。
◎オトコノハナミチ
◯タキノプリンセス
▲ユキエンゼル
△シャイニングウェイ
△コウユーネガイ