先週25日、盛岡ダート1200mを舞台に行われた3歳・地方競馬全国交流「第9回ハヤテスプリント」はソロユニットが貫禄勝ちを収めた。
レースは逃げたセカイノホシ、2番手リュウノメアリーの3番手を追走。直線で中団待機策を取ったアウトレイジングが思い切ってインを突いて先頭。一瞬あわやのシーンを作ったが、その外からソロユニットが交わし、大外強襲ミラコロカナーレの追撃をクビ差しのいで優勝。重賞3勝目を手にした。
阿部龍騎手「位置取りよりも走る気を引き出すことを意識していたのですが、フワフワしたまま勝負どころまで行ってしまった。直線に向いてもハミを取って前を追いかけているというより、僕が促してジリジリ伸びているという感じ。初めての左回りも気にしていたのだと思います。最後は持っている能力でカバーして勝ってくれました」
確かに2ヵ月半のレース間隔がありながらマイナス2キロ。長距離輸送も影響したと思うが、ちょっと寂しいかなという印象だった。それでも地力でねじ伏せるのがエーデルワイス賞圧勝の底力。今度は迫力を取り戻したソロユニットの姿を見たいと思う。
一方、2着に敗れたミラコロカナーレだが、レース上がりが39秒4に対し、自身の上がり3ハロンは36秒9。3コーナーでは最後方にいたが、目の覚めるような末脚を披露した。鞍上は西啓太騎手。父は騎手時代、岩手の剛腕で鳴らした西康志騎手。次こそ岩手で重賞制覇するシーンを期待したい。
2日メインは「大暑特別」(A級一組 盛岡ダート1600m)。重賞のはざまになったが、なかなかおもしろいメンバー構成となった。
パンプキンズは今シーズン、4月から始動。2戦5着から重賞・あすなろ賞(水沢1900m)へ臨み、渋太く粘ってチャイヤプーンのアタマ差2着。連覇は果たせなかったが、健在を誇示した。
続く一條記念みちのく大賞典はさすがに相手が強く8着に終わったが、盛岡に替わって前回快勝。得意の逃げ切りを決めた。
今回は骨っぽいメンバーとなったが、同型不在で単騎逃げを打てるのは確実。あとはタイセイブラストがどこから動くかだが、3~4コーナーでもたついても先頭キープなら直線で二の脚を駆使。2連勝へまい進する。
タイセイブラストは春開幕に2連勝をマークして赤松杯3着、シアンモア記念4着。一線級相手にも好勝負を演じ、重賞・栗駒賞を完勝。盛岡1400mホルダーの意地を見せつけ、待望の初タイトルを手にした。
前走・岩鷲賞は3着。佐藤雅彦調教師が語っていたとおり、1200mの忙しい競馬になると押っつけで追走しなければならず、直線追い込んだものの3着止まり。その結果、クラスターカップへはエントリーせず、今回の自己条件で走る。
通算16勝のうち1600m9勝。準重賞・すずらん賞で3着の実績もあり、首位を奪回するチャンス。勝敗のカギは仕掛けどころに尽きる。
ジェイケイブラックはシーズン初戦から3、2着にまとめ上々の滑り出し。ここ3戦は5、6、5着と足踏み続くが、コース広い盛岡で全能力を発揮。前走は案外だったが、見限るのは早計。
グランメガスマイルはあすなろ賞4着、一條記念みちのく大賞典4着。一線級相手にも持ち味の堅実さを発揮している。その反面、自分で競馬を作れないため勝ち切れないのが現状。前崩れの展開が条件。
ロードキングは芝1600m1勝、ダート1700m1勝のみだったが、二けた着順が3度のみ。相手なりに駆ける堅実さがセールスポイント。岩手初戦の芝は6着だったが、見せ場十分。ダートで反撃に転じる。
◎⑦パンプキンズ
〇⑤タイセイブラスト
▲②ジェイケイブラック
△①グランメガスマイル
△③ロードキング
<お奨めの1頭>
8R ストロベリーキング
名古屋B級から岩手C2編入は恵まれた格付け。2戦とも大差で圧勝し、格の違いを見せつけた。1400m延長も問題なく、追いかける一手
1日メインは盛岡芝2400mを舞台に行われる地方競馬全国交流「第43回せきれい賞」。全国交流へ昇格したのは2003年から。同時に舞台も芝1600mから芝2400mへ変更された。
まずは芝2400mのコース紹介をしてみたい。盛岡芝は1周1400m。向こう正面からスタートし、コースを1周半。前半はほぼ超スローの流れとなり、残り1000m~800mからが勝負。いわゆる上がりの競馬に持ち込まれる。
歴代優勝馬に共通するのは
1.超スローになっても掛からず折り合いがつくこと。
2.ペースが上がる残り800mで仕掛けたとき、すばやく反応できること。
3.2コーナーで5番手以内。早め先頭に立っても押し切れる。
4。直線一気型ではなく、いい脚を長く使えること。
さて今年のせきれい賞。過去に連覇を果たしたのはサイレントグリーン(3度優勝)、コスモヴァシュラン、サンエイゴールドの3頭。普通ならば昨年、6馬身差で圧勝したアップクォークを最有力視していいのだが、トライアル・かきつばた賞で10着に大敗。しかも1着馬から3秒9も離されたブービーだった。
いかに5ヵ月ぶりの実戦だったにせよ、やはり負けすぎ。ひと叩きされた変わり身は見込めるが、いきなり勝ち負けは至難の業。現状は△(連下)が妥当だろう。
迷いに迷った末、ロードクエストを主軸視した。なんだ格を考えれば当然と思うかもしれないが、重賞3勝・スワンステークス、京成杯オータムハンデ、新潟2歳ステークスはメンバー最速の上がりで直線一気を決めたもの。
超スローの流れとなる盛岡芝2400mで直線一気はまず決まらない。しかも3勝は芝1400m、芝1600m戦。距離対応が一番の不安材料だが、2コーナーで5番手以内につけることができれば何とかなるはず。加えて昨年8月以降は芝2000mがメイン。切れ味が薄れつつあり、逆にズブさが出てきた印象もある。戦ってきたメンバーも違いすぎる。
もう一つ心強いのは今年の盛岡芝はハイタイム決着の連続。パワータイプではないロードクエストでも対応できる馬場と見ていい。
ランガディアは背水の陣で臨む。昨年、中央芝5勝から転入後、圧巻の重賞3連勝を飾り、マーキュリーカップでも3着に善戦した。その後、金沢交流・イヌワシ賞へ遠征したが、大きく離された3着。猛暑が相当こたえたようで、帰郷初戦の芝交流・OROカップでも6着に凡走。
続く絆カップは2着に反撃したが、以降は入着が精一杯。仕切り直しの今季も昨年と同じ路線を歩みながら6、5、5着。昨年の破壊力が影を潜めている。
ただ昨年のOROカップは本調子を欠いていたのは事実。今回は順調に乗り込まれ、意欲的に追い切りを消化して状態は上々。あとは気が乗るか乗らないか。それが最大のカギとなる。
ヤマカツライデンは中央ダートで初勝利をあげ、4歳3月から芝路線へ移行するとグングン頭角。4勝をマークして重賞路線へ殴り込み。函館記念3着の実績もある。
昨年秋、金沢へ移籍。なんとC2級へ編入。能力の違いを見せつけて圧巻の8連勝を飾った。続く一戦で2着に敗れて連勝ストップ。前走は3コーナーで失速してヒヤッとさせながら直線で再び戦意を取り戻して1着。気難しい面をのぞかせた。好、凡走の分かれ目は気分よく逃げることができるか。それができればアッサリまで。
ネイビーブルーは東京芝2000mで未勝利を脱出。その後はダートで3勝をマークし、今年5月に南関東へトレード。休み明けを叩かれて3戦目。上昇ムードで臨んでくる。
マスターコードは芝2000m1勝、芝2400m1勝、芝2600m1勝といかにもステイヤーらしい勝ち星。転入戦で盛岡芝を使って4着。コース2度目で一発があるかも。
◎⑥ロードクエスト
〇⑪ランガディア
▲⑫ヤマカツライデン
△①アップクォーク
△④ネイビーブルー
△⑦マスターコード
<お奨めの1頭>
5R セントサレディー
転入戦は2番手キープから4角先頭。最後はフォルミダーブルに交わされたが、タイム上々。ここは負けられない
7月25日に行われた3歳馬の地方競馬全国交流重賞『ハヤテスプリント』はホッカイドウ競馬のソロユニットが優勝。昨年のエーデルワイス賞を制した2歳牝馬チャンピオンが復活の勝利を挙げました。
ハナに立つか、あるいは2番手あたりに付けるのかと想像されていたソロユニットは序盤は3番手あたりを追走。それも決して楽な行きっぷりには見えず、勝負所では後続からの馬群に飲み込まれるのかと思わされるシーンもありました。
しかしそこから巻き返したソロユニットは直線先に抜け出したアウトレイジングを捉え、猛然と追い込んできたミラコロカナーレも僅かに凌いでゴール。昨年10月のエーデルワイス賞以来となる重賞制覇となりました。
7月27日、7月最後になる盛岡競馬のメインレースは11R、芝1600mの特別戦『ジュライカップ』です。心配されていた台風の影響ですが、今のところは月曜から火曜にかけての夜半に軽く雨が降っただけで馬場への影響は限定的になりそう。今回も引き続き良い状態の芝コースでの戦いになるでしょう。
本命は(5)シャイニームーンを狙います。芝ダート問わず先行力を発揮できるタイプ、JRA時代には芝2000mで逃げて未勝利脱出寸前まで行っていたのですから、岩手の芝では二走前の7着が唯一ですが芝の適性は十分なものがあると見て良いでしょう。
その二走前は先行したものの勝負所から遅れ始めた形で洋芝の適性にはやや疑問符が付くことになりましたが、開幕週の少し丈が長めの芝が影響した面もあるでしょう。今の芝はキレよりはスピード重視。狙い目有りと判断します。
相手は同様の理由で(12)ホウショウエポック。◎と同じ芝1700m戦では2番手先行から直線抜け出して、単独リードを拡げたところを勝ち馬の強襲に遭った形の敗戦。いわゆる"負けて強し"の内容でした。再度の外枠ですが、その時と同じ競馬ができれば勝ち負け当然・・・という評価になるのは自然でしょう。
三番手(10)フラッグタワーも本来の先行力発揮に期待したい一頭。昨年9月の転入初戦、芝1700mで2番手先行から勝っており、芝に苦手感はないはず。今季ここまではなかなかリズムが整いませんでしたが、そろそろの気配。
(6)ダズンフラワーは春先の勢いは薄れたかという近走ですが、とはいえB2からB1に上がってもそれなりに健闘していましたし芝での堅実さは意識しておいて良いもの。(3)シラカワカツコも芝の前走が久々の掲示板圏内。やはり芝ならばと感じさせました。これだけ先行タイプが多いここなら展開がこの馬に味方するシーンがあっておかしくはないでしょう。
●11Rの買い目
馬単(5)=(12)、(5)=(10)、(5)=(6)、(5)=(3)
岩手競馬の全レース予想を公開中!「岩手競馬・勝ちそーチャンネル」へ
20日、盛岡ダート2000mを舞台に行われたJpnIII「第25回マーキュリーカップ」はマスターフェンサーが完勝。58キロのトップハンデを問題にせず、堂々の2連覇を達成した。
松山弘平騎手「ここ2戦、負けが続いていたので何とか勝ちたいと思って臨みましたが、馬がそれにこたえてくれました。スタートも出てくれましたし、メンバーを考えても前へ行く馬がいない。積極的なレースをしようと考え、いい位置を取ることができました。道中も揉まれずレース運びもスムーズ。今日は内が深い馬場でしたが、いいところを走れました。斤量は重かったが、苦にしないで勝ってくれましたから、盛岡が合っていると思います。久々に強いマスターフェンサーを見せることができました」
続いて角田晃一調教師「一度叩いてマーキュリーカップへ臨んだ方がいいだろうと、平安ステークスを使いました。今年は外傷などを負って筋肉も落ちましたが、少しずつ調子も上がってきた。今日は2番手の理想的な位置が取れましたし、58キロで勝てたことも大きい。連覇してホッとしています。これからさらに調子を上げていくでしょうから、チャンスがあればGIにも挑戦してみたい」
角田調教師はこのように付け加えた。「この馬は1800mでも短い。2000m以上が合う」。とすればターゲットとなるJpnIは今年、金沢で行われるJBCクラシック(2100m)か東京大賞典。復活なったマスターフェンサーの今後に注目していきたい。
26日メインは岩手県調騎会騎手部会協賛「夢・希望 未来へ前進」(B1級一組 盛岡ダート1600m)。
アナトは園田デビューで1勝2着3回。その後、笠松一戦2着から岩手入り。B1編入でクラスきついかと思ったが、3戦目を快勝。自身の成長力で突破した。そして2戦置いて前回完勝。好位をキープし、直線でイン抜け出しを決め、2着に2馬身半差。非常に強いレース内容だった。メンバーは骨っぽくなったが、前走を素直に評価。2連勝を飾り、A級入りへの土台を作る。
マジョリティーは今季A級からB2へ降格。相手が緩和され、あっさり3連勝をマークした。A級復帰後は3着最高だったが、3走前からB1へ降格。前走2着にまとめ、健在を誇示した。今回も自分の競馬に徹するのみ。ペース次第で逃げ切りまで十分。
ツーエムアリエスは昨年12月、南関東B2から転入。冬休みをはさんで3連勝を飾った。続く一戦で2着後、2度着外に沈んだが、距離1800m、2000mが長かったのが敗因。マイルに戻って前々走1着、前走3着。前回と同じく大外が痛かったが、折り合いをつけて上位をもくろむ。
ワンラインは春に2勝をマークして重賞・シアンモア記念へ挑戦7着。その後は精彩を欠いたが、B1降格戦の前走4着。反撃の兆しがうかがえた。
マーシゴッドレッグは水沢2連勝から盛岡に替わって10、8着。急ブレーキがかかった。左回りが合わない可能性が高いが、前走タイムは見劣りなし。
マーブルフラッシュは今シーズン着外続きと精彩を欠いているが、盛岡が得意コース。しかも6勝すべて1600m戦であげ、条件ベスト。
◎①アナト
〇⑧マジョリティー
▲⑨ツーエムアリエス
△③ワンライン
△⑥マーシゴッドレッグ
△④マーブルフラッシュ
<お奨めの1頭>
5R ミキノカラクリバコ
転入初戦を圧巻のまくりで圧勝。今度は1400mが舞台だが、距離経験を考えれば望むところ
25日メインは3歳・地方競馬全国交流「第9回ハヤテスプリント」(盛岡ダート1200m)。
創設は2013年で当初5回は地元同士の3歳重賞で行われ、盛岡ダート1000mで実施。第6回(2018年)から地方競馬全国交流へ昇格。舞台もダート1200mへ替わった。
地方競馬の全国的な傾向だと思うが、短距離路線が非常に充実してきたのを実感する。一つの例では古馬だが、習志野きらっとスプリント。この船橋1000m戦の創設に連動し、全国でスーパースプリント戦を実施。岩手でも早池峰スーパースプリントが2016年に始まり、流れが大きく変わった。
3歳路線でもダート短距離がウイナーカップ(1400m)からスタートし、ハヤテスプリントが3歳短距離の頂上決戦となったが、一つ提案がある。ハヤテスプリントをJpnIII・クラスターカップの対象レースにしてはどうだろう。
クラスターCの負担重量は基本54キロ(牝馬は2キロ減)。あとはダートグレードの勝ち星によって負担重量が増えていくが、逆に3歳馬は負担重量が51キロ。牝馬の場合だと2キロ減だから49キロで出走できる。
今回で言えば仮にソロユニット、セカイノホシなどの牝馬が勝ってクラスターCへ挑戦すれば49キロが負担重量(ソロユニットはJpnIIIを勝っているが、2歳時なので対象外)。
実は第1回クラスターカップは3歳牝馬トキオクラフティーが優勝。25回の歴史で3歳馬優勝はこの一度のみだが、当時の規定で負担重量は53キロ。現在の牡馬51キロ、牝馬49キロのアドバンテージは大きい。今年のハヤテスプリントは過去最強のメンバーがそろった。勝ちタイムにも注目してほしい。
ソロユニットは重複するが、JpnIII・エーデルワイス賞を4馬身差で圧勝。JRA勢も相手に圧倒的な強さを見せつけた。続く東京2歳優駿牝馬は8着に終わったが、今季スタート戦の門別1200mを快勝。北海道一冠目・北斗盃でも1600mを我慢して3着に粘った。
それに対し、1200mは4戦4勝とパーフェクト成績。左回りは未経験なのが唯一の不安点だが、ワンターンの盛岡なら影響なし。希望を込め、ハヤテスプリントを強いレースで勝ち、クラスターカップへの道筋を切り開いてほしい。
相手筆頭はアイスボウルとした。1400m戦を一度使って2着以外はすべて大井1200m戦という徹底ぶり。デビュー5戦目に初勝利をあげると2連勝を飾った。優駿スプリントはいきなりメンバーが強化され8着に終わったが、これは今後へのステップ。今回にその経験が間違いなく生きる。
ミラコロカナーレは優駿スプリントでアイスボウルとは0秒1差10着。前半は追走に手こずったが、直線の伸びはマズマズ。羽田盃へも挑戦した実績もあり、アイスボウルに強い印を打てば、必然的に高い評価が必要となる。
セカイノホシは北海道3勝から川崎・ローレル賞へ挑戦。果敢に逃げてケラススヴィアの2着に粘った。その後の3戦は自分の競馬ができず二けた着順に沈んだが、今年春の牝馬交流・留守杯日高賞へ参戦。マイペースの逃げに持ち込み、スマイルミュのタイム差なし2着に粘った。レース間隔は若干開いたが、スピード上位は明らか。次位筆頭の見方も十分できる。
アウトレイジングは中央芝1200m2着、ダート1200m3着。今年5月に岩手入りし、初戦を圧勝。2戦目2着、3戦目・ウイナーカップ2着に敗れたが、ウイナーCはジェフリーの直線一気に遭ったもので仕方なしの結果。盛岡ダートを使った強みがある。
ラペルシェールは大井3勝2着2回。遠征前の大井1400mで古馬B3級馬を一蹴し、弾みがついた。
◎⑤ソロユニット
〇②アイスボウル
▲⑪ミラコロカナーレ
△⑨セカイノホシ
△④アウトレイジング
△⑧ラペルシェール
<お奨めの1頭>
1R フレアリングスター
南関東C1から岩手C2最下級編入は恵まれすぎ。2018年3月以降、白星から遠ざかっているが、久々の美酒を味わう