15日メインは今年から重賞へ格上げされた金杯トライアル「第11回寒菊賞」(2歳 水沢1600m)、12頭立て。1、2着馬には1月6日、伝統の重賞・金杯への優先出走権が与えられる。
当初、全日本2歳優駿挑戦も構想に描いていたロックハンドパワー陣営だったが、南部駒賞5着によって白紙。地元競馬に専念することを決めた。その南部駒賞はミータローに続く2番人気に支持されたが、いつもの鋭い反応がまったくなし。若駒賞で完全に水を開けたテンショウリバイヴにも先着を許した。
敗因は何だったか。層の厚い北海道2歳とのレベル差は大きい。強豪相手に揉まれてきた実績はダテではなかった。キャリア不足は否めなかった。水の浮く不良馬場も合わなかったかもしれない。
しかし、もう一つ考えられる。勝負どころの3コーナーでオグリタイムが早々と先頭。それを見てロックハンドパワー、ミータローがスパートをかけたが、片や大外を回り、後者は内に進路を採った。ミータロー2着、ロックハンドパワー5着の結果は進路に違いも少なからずあった。当時、水沢コースの3、4コーナーは内側が有利だった。
今回は地元同士の戦いなら負けられないところ。馬場はその時より悪化しているが、それを克服できないようだと将来に暗雲が立ち込める。ロックハンドスターには真価を問われる一戦となった。
逆転候補はテンショウリバイヴ、ハカタドンタク。両馬は前走、2歳・JRA認定競走で戦い、直線で2頭のマッチレースに持ち込まれ、わずかハナ差でハカタドンタクに軍配が上がった。
それでもテンショウリバイヴを上位に採ったのは、自分で先行馬を捕らえにかかったから。レースを作ったのは間違いなくテンショウリバイヴで負けて強しの内容。しかも南部駒賞ではロックハンドパワーに先着して4着に気を吐いた。
550キロを超す大型馬で前走が560キロ。毎回、体を絞るのに陣営は苦労しているが、潜在能力はロックハンドパワーにもヒケを取らないといっても過言ではない。馬体重が前走程度か、それ以下だったら強気に狙う手も十分ある。
ハカタドンタクは若駒賞5着とロックハンドパワーに完敗したが、これはブリンカー着用による逆効果の面があったかもしれない。続いて北海道2歳優駿へ挑戦したが、相手が大幅に強化され追走のまま8着。
しかし、これは陣営も折り込み済み。帰郷初戦でハナ差を接戦を制し、遠征効果ははっきり現れていた。コーナーでもたつくと心もとないが、スムーズなレース運びができればチャンスはある。
マンセイグレネードは新設重賞・若鮎賞(芝1600m)を逃げ切ってデビュー2戦目で重賞制覇。若駒賞は3着だったが、初めて控える競馬を試みての中身なら上々。知床賞は8着に沈んだが、これはレース間隔がなく仕方なしの結果。
その後は寒菊賞1本に絞って調整を進め、乗り込みは万全。気がかりは初の水沢で物見をしないかだが、前記3頭がいずれも差しタイプ。有力馬がけん制し合えば自慢のスピードで押し切るシーンまで。展開は間違いなく有利だ。アクイラは脚質転換に成功したのが最大の収穫。パンチ力は兄アスペクトに見劣るが、レース運びのうまさで上位をもくろむ。
◎(2)ロックハンドパワー
○(5)テンショウリバイヴ
▲(12)ハカタドンタク
△(4)マンセイグレネード
△(9)アクイラ
<お奨めの1頭>
8R メダグリアスズカ
ここ2戦とも2着惜敗。悔しいレースが続いたが、今回は大幅にメンバーが弱化。近走のうっ憤を一気に晴らす
8日の土曜日は突然の大雪のせいで荒れた一日になりました。まず6R、出走予定10頭のうち3頭が「装鞍所遅刻」で競走除外。この3頭は盛岡から輸送されてきた馬たちなのですが、運悪くインターチェンジに辿り着いたちょうどその時に高速道路が雪で閉鎖になり、そこから一般道を3時間近くかけて水沢まで来たもののついに間に合わず・・・とのこと。
高速道路が閉鎖になったことが分かっていればはじめから一般道を通ったり(高速が閉鎖された時用のルートが、大きな道・裏道あわせ何パターンかあるんだそうです)早めに出発したりするのですが、今回の場合目の前で閉鎖されてしまった事が誤算になりました。
そして9R。みぞれ交じりの吹雪の中、10頭がスタートを切ったのですが、ゴールしたのはその内の5頭。他の5頭は3コーナーで1頭が転倒したあおりを受けて連鎖的に落馬し、騎手を乗せない空馬の状態でばらばらと帰ってきました。
菅原俊吏騎手騎乗のヤマニンジンジャー号が最初に転倒して、すぐそばにいた2頭ほどが巻き込まれる形で落馬。さらにはやや後ろにいた2頭も、その落馬で沸き上がった水しぶきに視界を奪われる形で突っ込んでしまい、結局5頭が落馬・競走中止となる事故に。
2008年にも同じ水沢競馬で9頭中5頭が落馬競走中止するという大量落馬事故がありましたが、今回はそれ以来の大規模な落馬に。結果的には落馬した5人の騎手のうち菅原辰徳騎手が足の指の骨折でこれが一番重い怪我で、他の騎手は打撲程度で済んだのは不幸中の幸いでした。パトロールビデオを見る限りもっと大きな事故になってもおかしくなかったですからねえ・・・。
この時期は日替わり・時間替わりに馬場状態が変化するし、シーズン末期で状態を落としている馬も多く、騎乗する騎手は非常に気を使いながらレースに挑むそうです。残る1ヶ月ほどのシーズン、こんな事故が起きないことを祈ります。
9日メインは岩手競馬の最長距離、2500mが舞台「第35回北上川大賞典」。水沢で行われるのは一昨年以来、通算7度目。同レコードは1979(昭和54)年、スリーパレード(鞍上は村上昌幸元騎手)の2分44秒1。第2回北上川大賞典で樹立した。
実は昭和の時代のレコードで残っているのは、このスリーパレードの2500mのみ。もちろんレース回数が少ないことも大きいが、他の記録はことごとく塗り替えられている。
そのスリーパレードは中央11勝。当時の大種牡馬ネヴァービートの産駒で芝でもソコソコの結果を出したが、活躍の舞台はダート。それを証明するように岩手転入後、みちのく大賞典2連覇、桐花賞2連覇、北上川大賞典2連覇、東北サラブレッド大賞典優勝と当時の重賞を総なめにした。
仮に今の時代のようにダートグレードがあったら、間違いなくGⅠを獲得できた逸材。当時、ダート競馬は過小評価されていただけに非常に惜しまれる。そんなスリーパレードは岩手の地で持てる能力を全開した。その頃を知るファンは異口同音にスリーパレードの強さを讃える。是非、生で観たかった。
本題に戻る。人気は今季実績からトーホクキングが集めるだろう。昨年秋から本格化して、みちのく大賞典優勝、マーキュリーカップで見せ場を作って5着。みちのく大賞典後は白星に恵まれなかったが、絆カップ2着、栗駒賞2着。健在ぶりを誇示している。
ただ、一連の激戦の疲れが残っているのは否定できない事実。好調時なら絆カップ、栗駒賞も突き抜けていたに違いない。しかも今回は2500mの長丁場。これが最大ネックとなるかもしれない。
トーホクキングのレースパターンは3コーナーから一気にマクリに出る戦法。この時の伸びがすばらしいのだが、2500mのスタート地点はゴール手前100m。馬場を2周以上も回ることになり、1周目の3コーナーでどのような反応をするか。
仮にそこでトーホクキングが行く気になってしまうと、2500mの距離は正直きつい。折り合いつくことを祈るのみだが、その不安点を考えると実力は断然だが、本命にはしづらい。
主軸にコアレスランナーを指名する。今季3勝2着2回。毎年のことだが、夏場に体調を崩したが、現在は元気一杯。前走も4角先頭の強いレースで圧勝した。
特筆すべきは12月、1月の活躍。今年で岩手4年目に突入したが、同時期の成績が8戦6勝2着1回3着1回。昨年の桐花賞でもカミノヌヴォーの2着確保で気を吐いた。
また水沢2000m<2.1.0.1>と抜群の成績。2500mは今度が初めてだが、2000mでこの結果を出せれば2500mもまったく問題にしないはず。コアレスランナーの何よりも強みは折り合いがつくこと。長距離ランナーの資質を十分持っている。
マイネルアトレは前走、絶妙の逃げに持ち込んだが、伸びを欠いて3着。この内容に不満が残るが、スロー必至の2500m向き。自分の競馬ができれば春当時の活躍からも巻き返しあって不思議はない。
クリスティラビットは前走、逃げたマイネルアトレの2番手を追走し、アッサリ抜け出して快勝。逃げ一辺倒のタイプがひと皮むけたレースを披露した。これができれば2500mも我慢でき、伏兵として浮上する。あとは近走精彩を欠いているが、折り合い面で問題がないマイネヴィントも押さえ必要。
◎(7)コアレスランナー
○(2)トーホクキング
▲(6)マイネルアトレ
△(1)クリスティラビット
△(5)マイネヴィント
<お奨めの1頭>
9R キャニオンランズ
ここ2戦連続で2着だったが、相手にも恵まれなかった。メンバーが大幅に楽になった今回はキッチリ勝つ
先週2日、田村光則調教師が脳溢血のため急逝した。調教師成績363勝。主な活躍馬は昨年の重賞・岩鷲賞を制したマイネルプロートス、2000年のせきれい賞(当時・芝1600m重賞)シリアスゲームなど。謹んでご冥福をお祈りいたします。
8日メインはC1級「錦秋湖(きんしゅうこ)賞」(水沢1800m)、9頭立て。距離がカギを握る一戦だが、それでもコスモフィナンシェの中心は動かない。中央2戦0勝から転入し、クラスにも恵まれたが、圧巻の4連勝。いずれもスピードの違いを見せつけてワンサイドの逃げ切りを決めている。
岩手での最長は1400mだが、中央時代にダート1700m、1800mを走り、距離も経験済み。しかも水沢1800mは内枠が圧倒的に有利だが、願ってもない2枠を引き当てた。今回のメンバーを見渡して競りかけれる馬は不在。いつもどおりポンと好スタートを決めて自身の連勝を5に伸ばす。
相手はキタノハヤブサ、キタサンアイドルの2頭。キタノハヤブサは一戦置きの好、凡走だが、前走は中団キープから豪快に抜け出して2勝目をマーク。気性難がネックだが、中央時代は1800m前後を主戦場にダート1700m4、5着それぞれ1回。距離延長は望むところだろう。
キタサンアイドルは今季0勝だが、ここ2戦連続で3着確保。次第に調子を上げているのは間違いない。水沢1800mは今年1月のB2戦を快勝し、条件ベスト。加えて冬場の水沢で好成績が集中している点も心強い。
モエレハナオーも今季未勝利で2着3回。若駒の勢いに押され気味だが、ゆったりと流れる1800m向き。瞬発力勝負になると苦しいが、この距離なら自分の競馬ができるはず。格上の実力を発揮するか。
ヨハネジュニアはひと頃、精彩を欠いていたが、前走1着。コース替わりで反応が一変した。メンバーは強化されたが、好調度を前面に上位争いを狙う。あとはここにきて地力アップ明白ダンストーンビギンは距離延長を味方にできるか。
◎(2)コスモフィナンシェ
○(1)キタノハヤブサ
▲(8)キタサンアイドル
△(7)モエレハナオー
△(6)ヨハネジュニア
△(9)ダンストーンビギン
<お奨めの1頭>
9R ディナーラッシュ
ひと頃の勢いが薄れた印象もあるが、自分の競馬ができなかったのも敗因。今回は絶好の1枠を引き当て、自慢のスピードで押し切る
12月に入って岩手競馬のシーズンも終盤戦という印象が強くなってきましたが、年末という事で気になるのが12月31日に行われる暮れのグランプリ・桐花賞。今年ももうまもなくの12月8日より出走馬ファン投票がスタートします。
先日のダービーGPを勝ったロッソコルサも桐花賞に出走したいという意志を見せておりましたが、このレースだけはまずファン投票で上位の票を集めないことには出走予定馬の中にも入れません。例年この時期が来ると、ファン投票の動向にドキドキそわそわする関係者の姿があちこちで見られて、それはそれで非常にほほえましくもあり・・・。
もちろん、どの馬を送り込むかはファンの皆さん次第。重賞級の有名馬のみならずC級の馬でも投票可能です。A級の下位、B級あたりの条件級の馬にとってはファン投票の票数が報道推薦馬決定の後押しになる事もありますし、ファンの皆様には今季これまでの岩手競馬のレースを広く振り返りながらお気に入りの馬を投票していただければ、と思います。
ちなみに今年のファン投票賞品は液晶テレビ、ノートPC、サイクロン式掃除機、ブルーレイレコーダーなどが用意されております。投票は競馬場・テレトラック等に備え付けの投票用紙の他「岩手競馬公式HP」からネットでの応募も可能です。たくさんの投票をお待ちしております。
月曜のメインレースはB1級一組の「金ヶ崎温泉郷レース」です。日曜に同じB1級の特別戦が組まれていたためにこちらは近走の成績がもうひとつだったり転入直後だったりという馬が中心で力量比較に悩む戦いになりました。
とはいえ、そんなメンツであればこそ、(9)マイネベルヴィのここまでの堅実さに注目するべきでしょう。転入後ここまでの5戦で1勝2着2回3着2回。決して白星先行ではないしどちらかといえば「勝ち味に遅い」感じ(JRA時代を含めてもキャリア18戦でふたケタ着順は一度だけだったりします)ではありますが、コース・距離を問わずにその実績・・・という結果はそれなりに高く評価すべきもの。それに、例えばここまでの4戦で戦ったのはトーホクスピリット、シャイニーベスト、エプソムジャンボといった日曜のひいらぎ賞でも上位人気に推された様な馬たちで、3戦前には実際トーホクスピリットを破ってもいます。であればここなら力が上、と見ていい存在。
対抗は旧地でマイル~中距離の経験豊富な(3)ケイエムカイザー、(2)バラディーは力量は認めつつもムラッ気な馬という事で三番手に。以下(沢ならもう少しやれていい(6)、前走は度外視で二戦前の内容から見直したい(8)まで押さえてみましょう。
●10Rの買い目
馬単(9)=(3)、(9)=(2)、(9)→(6)、(9)→(8)
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