11月17日の水沢競馬場で行われた2歳馬の地方競馬全国交流重賞『南部駒賞』。当初は地元3頭・ホッカイドウ勢6頭の構図だったところから遠征馬が1頭出走取消となって8頭立てで行われ、遠征馬のバリウィールが優勝しました。
スタート直後こそスティールブライトに前に出られそうになったバリウィールでしたがすぐに巻き返してハナに。その後はペースをコントロール、「最後は一杯一杯でした」と鞍上・石川倭騎手は振り返ったものの、後続の追撃を振り切るには十分な、最後までしっかりとした脚取りでゴール。自身初遠征、初の重賞挑戦で初制覇を果たしました。
1番人気カセノタイガーは最後まで食い下がったものの2着まで。9馬身離れた3着にステラビアンカと遠征勢が馬券対象圏内を独占。地元マツリダマスラオが4着に食い込んで遠征勢の掲示板独占を阻止しました。
岩手競馬は今週から水沢競馬場に舞台を移しました。その初日の17日は、日中は汗ばむほどに高い気温でパドックで馬を曳く厩務員さんの中には半袖で出てきている人もいましたが、翌18日は一転して氷雨が降って底冷えする、みぞれも降るような寒い一日になりました。冬近しというよりは本来は今頃は冬なんだなということを改めて思わされましたね。体調管理には皆様もお気を付けて・・・。
11月19日のメインレースは12Rです。B2級ダート1600m戦『夢・希望 未来へ前進』。本命は(11)キタノコンドルを採りました。
古馬編入後は2着・6着・5着と勝ち星までは手が届いていない近況ですがいずれも大きな差ではなく、むしろ常に上位争いに加わってきていると安定感を評価してもいい内容でした。前走なども勝った馬は元A級の格上馬、そこからは少し離されましたが2着以下の争いではより僅差でしたし、であれば今回のメンバーは相手関係が少し楽になっているという見立てもできるはず。上位争い、勝ち負けもできると判断しました。
対抗は(1)ピースワンパルフェ。最近の勝ち星は盛岡に偏った形ですが水沢・マイルでも何度も好走しています。最内枠からすんなり逃げを打つことができたなら粘りこむチャンスも十分有り、では。
(10)ファイナルマズルが三番手。勝ち星はC1級、B級では敗戦という結果をそのまま見ればクラスの壁ということにもなるのでしょうが、この馬も◎同様に前走などは強敵にぶつかった結果と見るべき。右回りも決して合わない戦績ではないですし、ここで大きく変わってきても不思議はないはずです。
(8)ニーケススマイルは相手強化で少し立ち止まった感じになりましたが前走でB2級にもメドを立てました。右回り経験も豊富。(3)テーオーアマゾンは後方から来る脚質だけに今の水沢の馬場傾向とマッチするかどうか?が懸念材料になるわけですが、流れが向きさえすれば盛岡・水沢は問わないですし、当日の傾向を見ながら狙いの厚みを変えるのがベターでしょう。(横川典視)
●12Rの買い目
馬単(11)=(1)、(11)=(10)、(11)=(8)、(1)=(10)、(11)→(3)
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追悼・トーホウエンペラー③
2001年、マイルチャンピオンシップ南部杯2着後、トーホウエンペラーは新潟(県競馬)・朱鷺大賞典(当時GIII)へ遠征。左回りでは激しく内にササる癖があったが、鞍上・菅原勲騎手はなんとか持ちこたえ快勝。初のグレードタイトルを手にした。
続いて浦和記念(当時GII)へ駒を進めたが、再び内にササりっ放しだったためレイズスズランの2着に敗退。東京大賞典(当時GI)は3番人気に甘んじたが、リージェントブラフの追撃を半馬身差で退けて快勝。ついにGIタイトルを手にした。
菊池武騎手「東京大賞典の優勝が一番うれしかった。ついにやったなという感じでした。トレードマークの覆面も自分がオーナーの勝負服をイメージして作ってもらいました。志半ばで騎手を断念しましたが、トーホウエンペラーに出会って本当に幸せだなと思います」
続いてマイルチャンピオンシップ南部杯も期待に応えて完勝。2着にも地元バンケーティングが入り、スタンドから大歓声。大地が二度揺れた。
「実は妻といっしょにトーホウエンペラーに会いたいとJTBへ行こうと考えていました。仕事の都合がつかず先送りしましたが、間に合わなくて残念です。大好きなバナナを1本、食べさせてやりたかった。それが心残りです」。現在、菊池武くんは茨城の牧場にいる。毎日、雑務にも追われて忙しい日々を送っている。
盛岡競馬場アトリウムに設置された記帳は100名を超えた。遠くは宝塚市から訪れてくれたという。(終)
18日メインはB2級特別「ノベンバーカップ」(水沢1400m)。今週から舞台が盛岡から水沢へ替わった上、各馬が一長一短のメンバー構成。非常に難解な一戦となった。
アルティマボスは現在、8戦連続で馬券対象。すべて3着以上にまとめ、抜群の安定感を誇っている。前々走タイム差なし2着、前走0秒1差3着と惜しいところで勝利を逃がしているが、今回は絶好の1番枠。主導権を握り、今季2勝目を飾る。
ピヤージュは南関東から再転入後、凡走を繰り返していたが、ようやく状態アップ。前々走3着から前回快勝。待望の白星を手にした。距離1400mも合い、逆転2連勝まで十分。
ソルデベラーノは前回2着。休み明け3戦目で好走し、今度から3勝2着2回の水沢が舞台。得意コースに替わって首位奪取のシーンまで。
ケイティキセキは中央芝2着1回、ダート2着2回。転入後は入着止まりだが、徐々に内容が良化。そろそろ激走が観られる可能性が大きい。
ハシュマルは自分の競馬ができないとモロいが、前々走のようにうまく流れに乗れると粘りを発揮。今回は好枠にも恵まれ、巻き返し必至。
シャンブレーは堅実な差し脚が武器。前走のようにハイペースが理想だが、時には自力で動けるケースもあり、マークが欠かせない。
◎①アルティマボス
〇③ピヤージュ
▲⑤ソルデベラーノ
△⑦ケイティキセキ
△②ハシュマル
△④シャンブレー
<お奨めの1頭>
5R トモサカエ
デビュー戦2着から2戦目を完勝。ひと叩きされて反応がシャープになった。これで軌道に乗ったのは間違いなし。2連勝に王手をかけた。
17日メインは2歳馬による地方競馬全国交流「第51回南部駒賞」(水沢1600m)。過去10年は北海道5勝、岩手5勝とまったく五分の成績だが、あくまでも岩手は世代レベル。昨年のフジユージーンが象徴だが、現時点で岩手は正直に言うと小粒。よって北海道勢優位は動かない感じだ。
ミラクルヴォイスの母ミラクルフラワーは、一條記念みちのく大賞典を含めて岩手で10勝、門別で3勝をマークした強豪牝馬。岩手のファンにもお馴染み。デビュー戦で逃げ切りを決めたが、2戦目から出遅れグセを出して5、3着。しかし4戦目を快勝し、ネクストスター門別へ出走。豪快なまくりを決めて重賞初制覇を果たした。長距離輸送、初コースが不安だが、克服できれば重賞2連勝の可能性が高い。
カセノタイガーはデビュー戦4着後、2戦目から2勝2着4回。前走・JBC2歳優駿を含め、メンバー最速の上がりを披露してきた。ネックは前半で置かれる脚質で小回り水沢対応がカギ。しかし過去に戦ってきたメンバーは門別一線級、JRA馬が相手。地力で水沢も克服する。
ナンパセンは門別1200m・新馬戦を6馬身差で圧勝。2戦目は1700m延長もこたえて6着。続いて1200mへ戻って首位を奪回し、サッポロクラシックカップ8着。オープンに戻って快勝、重賞・サンライズカップ7着。好走、凡走を繰り返しているが、自分の競馬ができれば巻き返し必至。
バリウィールはデビュー2戦目を快勝し、6戦3勝2着2回。馬券対象から外れたのは4走前4着のみと抜群の安定感。持ち味は軽快な先行力と強じんな粘り。有力馬に差しタイプが多く、先行有利の流れ。目下2連勝中と波に乗り、願ってもない絶好枠。あっさり逃げ切りまで。
スティールブライトはデビュー戦2着、2戦目を快勝して重賞路線へ名乗りをあげたが、リリーカップ4着が最高。ネクストスター門別で10着に沈んだが、続く門別1000m・0秒3差5着から盛岡・プリンセスカップへ参戦。積極的なレース運びから直線半ばで先頭。クビ差2着に惜敗した。牡馬相手にも好勝負必至。
ステラビアンカは門別1100m・新馬戦を快勝。2戦目は1700m延長も影響して4着に終わったが、距離2度目の前走で首位を奪回した。キャリアわずか3戦で伸びしろ十分に加え、中央、地方を問わず活躍馬を多数輩出するダノンレジェンド産駒。重賞初挑戦で制覇のシーンまで。
印はすべて北海道所属馬に付したが、岩手期待はマツリダマスラオ。調教の動きがなかなか実戦に結びつかなかったが、若駒賞で馬群を割って快勝。待望の重賞タイトルを手にした。レースに集中できれば上位進出が可能。
◎⑧ミラクルヴォイス
〇⑦カセノタイガー
▲⑤ナンパセン
△②バリウィール
△③スティールブライト
△④ステラビアンカ
<お奨めの1頭>
7R マグナムハート
前走8着は出遅れが致命傷となった。水沢850m1勝2着1回と問題なく、首位を奪回する
11月10日に行われた今シーズンの盛岡競馬での最後の重賞『絆カップ』は2番人気のウラヤが優勝。岩手転入後5戦目での嬉しい重賞初制覇となりました。
若干行き脚がつかない感じのスタートになったウラヤでしたが巻き返す脚はしっかりあって向こう正面半ばくらいまでには内の5番手あたり、先行集団の直後に取り付きます。 しかし外側に他馬が固まり始めてこのままでは行き場がないかと思われた4コーナー、内ラチ沿いが開いたところにさっと飛び込んだウラヤは即座に伸び脚を発揮してリードを広げます。直線は差し馬勢がそれぞれ脚を伸ばしてきましたがそれも1馬身差に迫るまで。この距離ではセーフティリードとも思える差を保ったままゴールを駆け抜けたウラヤはこれが岩手転入5戦目、自身のキャリアで初の重賞タイトルを獲得しました。
2着は外から追い込んだレディブラウン、3着はウラヤの後を追って内を突いてきたホッコーライデンが食い込み馬番3連単は23万7千円余りの高配当。1番人気ゴールデンヒーラーは10着に終わる波乱の結末ともなりました。
2024シーズンの盛岡競馬はこの11月12日をもって終幕となります。今季の盛岡競馬も様々な出来事がありましたが、ひとまずOROでのレースは来春までのお別れですね。
何度も書いていますけども自分は盛岡に住んでいるのでどちらかと言えば盛岡競馬の方がいろいろ楽で、早くも来年の盛岡競馬が待ち遠しくなっているのですけども、この後の水沢競馬にも各世代の重賞競走が続きますし大晦日には桐花賞も控えています。今シーズンの岩手競馬、次週からは水沢競馬を最後までお楽しみください。
さて予想に行きましょう。11月12日のメインレースは12R『2024盛岡ファイナル特別』、A級三組ダート1600mの12頭立てです。レース名通りにこれが今季の盛岡競馬のラストレース、自分もしっかり当てて盛岡開催を終えたいところですが果たして。
このレースの本命は(8)グラシアスです。
転入初戦の前走は2着だった同馬でしたが、外々を周らされる形になって、それでも先頭に立ったところを勝ち馬に差されてしまった・・・という2着でしたからこれは現級通用・岩手通用のメドは十分に立った内容だったと評価していいでしょう。
そして今回はその前走の勝ち馬が抜けて、前走比較では本馬が最先着になるメンバー構成にもなりました。となれば今度は勝機、この馬の順番と考えるのが妥当なはず。
(7)ジャッジが対抗。今年の前半戦ころまでは逃げ先行を主戦法にしていた本馬でしたが夏頃からは好位・差しの形を採り始め、それが徐々に板についてきています。近走も勝ち切れないまでも立ち回りは堅実。もう一歩前進があっても不思議ではない段階と見ます。
三番手に(2)ウイニングライブ。昇級になりますが近走の時計比較で遜色がないですし、前走などもケープライトを相手に最後まで食い下がっての3着だったことを思えば力に不足はないでしょう。ここでも流れひとつで白星まで。
(3)マルーントリックは古馬戦に入って苦戦の印象ですが、前走は3着ジャッジからなら2馬身ほどの差ではありました。一気に勝ち負けとまではまだ言えないまでも馬券圏内争いくらいなら加わってきていい頃合い。もう一頭は(11)マイネルアストリアを。前走のように結果的に目標にされるとしても行き切れれば面白い存在に。(横川典視)
●12Rの買い目
馬単(8)=(7)、(8)=(2)、(7)=(2)、(8)→(3)、(8)→(11)
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追悼・トーホウエンペラー②
トーホウエンペラーは当初、中央デビューの予定だったが、慢性的な脚部不安を抱えてたため未出走で岩手入り。常に脚元と相談しながら、3歳・12月31日、ようやくデビューにこぎつけた。
さすが後のGI2勝馬。無敗9連勝を飾った。東京カップけやき賞4着に敗れたが、オープンまで出世したJRA・ウインマーベラスでは仕方なし。その後は軌道修正し、翌年の12月31日、桐花賞を優勝。わずか丸1年で最下級から岩手トップを極めた。
菊池武くんが振り返った。「現在も馬にかかわっていますが、あれ以上の馬に出会ったことがありません。とにかくパワフルでした。球節に爆弾を抱えていましたし、骨が固まるのも遅かったけど、体力がけた違いでした。IQも高かったと思います。桐花賞の勝利は村上忍くんといっしょに考えた頭脳プレー。バンチャンプがいましたから、意識的に下げたのも勝因でした。桐花賞の勝利は大きかったと思います。これで全国でも通用する手ごたえをつかみました」
翌シーズンも快進撃を続け、赤松杯、シアンモア記念を連勝し、帝王賞へ挑戦。初グレードがいきなりGIだったが、5着に健闘。続いてマーキュリーカップ3着、エルムステークス2着、青藍賞1着、マイルチャンピオンシップ南部杯2着。グレード制覇も手の届くところまで近づいた。
*このコーナーは次週に続きます。
11日メインはA級一組「晩秋特別」(盛岡ダート1600m)。年度代表馬を目指すヒロシクンが登場。トウケイニセイ記念の前哨戦にこの一戦を選んだ。
ヒロシクンは中央1勝クラスから転入後、B1級で3連勝をマークして岩手の伝統重賞・一條記念みちのく大賞典へ強気の挑戦。メンバーが一気に強化されたが、鮮やかな逃げ切りを決めた。最大勝因は淡白な性格を高松亮騎手が理解していたから。自分の型に持ち込まないと走る気をなくす癖を分かっていたので、強気に攻め続けて金星をあげた。
マーキュリーカップ13着後、福島へ移動して休養。青藍賞で復帰して2着に0秒8差で完勝。秘めた才能を全面開花させた。南部杯15着後、適クラがなかったが、トウケイニセイ記念へ向けてひと叩きが欲しかった。佐藤雅彦調教師「確認したところ56キロで出走できると聞いたので、この一戦を使います」。トウケイニセイ記念へ向けて弾みをつける。
グローリーグローリは昨年、中央オープンから転入後、赤松杯、あすなろ賞と重賞2勝。今季当初は脚元不安から順調さを欠いたが、徐々に調子を上げて1勝2着3回。夏に弱いタイプで2ヵ月半休養し、復帰2戦目の前走2着。これで本来の動きを取り戻した。
ボウトロイは調子の波が少なくコンスタントに結果を出すタイプ。準重賞・桂樹杯優勝を含めて今季4勝2着2回3着5回。前走3着だったが、気配落ちなく上位争いの一角を形成する。
マツリダワールドは先行力と粘りを身上に毎回好走。今回は願ってもない1番枠を引き当て逃げ必至。あとはヒロシクンが可愛がってくれるかどうか。楽に逃げることができれば残り目は十分。
サクラトップキッドは東北優駿でフジユージーンの2着から重賞・やまびこ賞を快勝。待望の初重賞を手にした。古馬初対決の青藍賞でも3着を確保したが、すずらん賞7着。展開に注文つくが、決め手上位。
セイバイラックは通算1勝のみだが、一連の安定度一目。前走A級一組2着も評価に値する。
◎⑦ヒロシクン
〇⑥グローリーグローリ
▲②ボウトロイ
△①マツリダワールド
△④サクラトップキッド
△⑤セイバイラック
<お奨めの1頭>
5R アージェント
転入初戦を持ったままで圧勝。能力の違いを見せつけた。1400m延長も問題なく、追いかける一手