23日メインは岩鷲賞と並び、最も古い歴史を重ねてきた「第48回不来方賞」(M2 盛岡ダート2000m)。
不来方は「こずかた」と読み、広義の意味で現在の盛岡市の別名。歌人・石川啄木が「不来方の お城の草に 寝ころびて 空に吸はれし 十五の心」と詠んだことでも知られている。
かつての不来方城(盛岡城)は盛岡の中心地にあり、城跡は市民県民の憩いの場。啄木の歌碑もあるので興味がある方は訪れてほしい。春には桜が咲き、初夏は紫陽花(あじさい)、秋には紅葉...。バラ園も隣接し、四季を楽しめる。
余談だが、城跡から東へ歩くと中津川が流れている。今の季節はちょうど鮭が産卵のために遡上する頃。中の橋から市民が眺めているのはその姿。街中で訴状を見られるのも珍しい。実は盛岡市は中津川、北上川、そして雫石川など川の多い街でも有名だ。
不来方賞は伝統の3歳重賞。2歳が南部駒賞、古馬はみちのく大賞典。これが古くからの根幹レース。
今のレース体系では岩手ダービー・ダイヤモンドカップ、11月の交流・ダービーグランプリの間にある二冠目の位置づけだが、不来方賞こそ岩手のダービー。小生みたいなオールドファンはいまだにこだわりがある。
48回目の不来方賞はエンパイアペガサスが大本命となった。2歳最優秀馬であり、前哨戦・イーハトーブマイルでエンパイアペガサスの2着メジャーリーガーが自重したからだ。
エンパイアペガサスはデビューが昨年10月と遅れ、2戦2着に終わったが、3戦目から連戦連勝。年をまたいで目下7連勝中と破竹の進撃を続けている。
ダイヤモンドC後、3ヵ月半の休養に入り、復帰戦のイーハトーブマイルを7馬身差で圧勝。No.1を不動のものにした。不来方賞の先には全国交流・ダービーグランプリが控え、今回が重要な試金石となる。
相手は新興勢力ウインバーニング。ディープスカイ産駒で中央3着2回、大井の交流戦2着から転入。初戦を豪快な直線抜け出しで完勝した。
1800m前後を使われ、初戦も1800m戦。いい脚を長く使えるタイプで2000mは大歓迎。距離適性、鞍上・吉原寛人騎手が何とも不気味だ。
サプライズハッピーは自他ともに認める3歳牝馬No.1。岩手版オークス・ひまわり賞を順当に制した。またダイヤモンドカップも3着など牡馬と互角以上の勝負を演じている。
最大ネックは2000m。すでに2度経験し、実際にひまわり賞を勝っているが、山本聡哉騎手がうまく脚を貯めて距離を克服したもの。本質的にはマイラーの切れ勝負型。どう2000mを乗り切るかがカギ。
ノーノーイエースは北海道1勝、南関東2勝から転入。すべて電光掲示板を確保する堅実派だが、半面で詰めの甘さが課題。それでもダイヤモンドカップ4着からも軽視はできない。
トップシーンはここでは荷が重い印象だが、いわゆるジリ脚タイプで2000m向き。3着押さえで印を附した。
◎④エンパイアペガサス
〇⑥ウインバーニング
▲⑩サプライズハッピー
△③ノーノーイエース
△⑧トップシーン
<お奨めの1頭>
3R チェリーピッカー
転入2戦とも地力の違いを見せつけて圧勝。走破タイムも素晴らしい。カフェオリンポス産駒が岩手の地で素質を開花させる
今年で6回目を迎える「OROターフスプリント」(M2 地方競馬全国交流)。芝1000mの特殊条件が評判を呼び、今や盛岡競馬場の名物レースへと出世したといっても過言ではない。
前身は2009年のきんもくせい賞。当時は芝2400mから芝1000mへ条件を変えて実施。オープン特別だったが、2011年から重賞へ格上げされ、名称もOROターフスプリントへ変更。
さらに第4回(2014年)から全国の地方競馬に門戸を開放し、現在に至っている。このような背景は魅力あふれる個性派が誕生したこと。第2回、第3回を連覇したライトマッスルは極めつけだった。
そして昨年の覇者エゴイストはまさに1000mのスペシャリスト。中央1勝がダート1000m。昨年9月、中央500万下から北海道1戦を経て転入。
移籍初戦・盛岡ダート1400mは5着に終わったが、芝1000mで天性のスピードを発揮。ハーベストカップ、OROターフスプリントを連勝し、一躍主役の座に躍り出た。
その後は鳴りを潜めていたが、今年もダート1000m戦をシーズン初勝利を飾り、トライアル・ハーベストカップを逃げ切って完勝。
つまり勝ち星5勝すべて芝ダート1000mという徹底ぶり。これほど距離限定のタイプも珍しいと思う。
狙うのはOROターフスプリント2連覇。ラッキーなことに逃げたい馬が絶好枠(4番枠)を引き当て、逃げ切り態勢は整ったと見ていいだろう。
ただ典型的な逃げ馬ゆえ、モロさも同居。良馬場なら前半3ハロン34秒0を出せるスピードについていけないと思いつつ、一抹の不安があるのも否定できない。
逆転筆頭は北海道ケイアイユニコーン。中央3勝ながら2着11回3着12回。この安定感を最大の武器とし、北海道移籍後も4戦2勝。芝1000mも新潟で3着を確保した。
大外11番枠を引き当てたのが若干気になるが、北海道のレースぶりを見る限り、包まれる心配のない今回は歓迎のはず。直線抜け出しを決めるか。
ウインミラージュはハーベストカップ0秒2差2着。距離を考えると完敗と言える内容だが、初のオープン相手に酌量の余地。それ以前は芝1000m3戦3勝。秘めた才能が花開いた。
1枠1番は勝負を賭けるのに絶好。前が開かないリスクも十分考えられるが、終いがしっかりしたタイプ。仮に行き場ができれば大魚獲りの可能性も十分ある。
ダイワマッジョーレは桂樹杯5着、OROカップ6着、ハーベストカップ4着。過去の足跡からは正直、物足りなさがあるが、ハーベストCは直線で前が壁になって出場所を一瞬なくしたのも痛かった。
それでもラスト50mの伸びに中央重賞ウイナーの片りんをのぞかせていたのが見逃せない。スムーズなレース運びができれば底力でアッサリまで。
ブレークビーツは盛岡芝が合い、縦横無尽で活躍。芝2400m・かきつばた賞、芝1600m・桂樹杯と重賞2勝をマーク。OROカップでも2着に気を吐いた。
ハーベストCは距離不足に泣きながら3着。脚を余したが、適性の高さを誇示した。距離2度目で上昇あるかも。
◎④エゴイスト
〇⑪ケイアイユニコーン
▲①ウインミラージュ
△⑥ダイワマッジョーレ
△⑦ブレークビーツ
<お奨めの1頭>
8R シンキングカミユ
勝つたびに凄みを増して転入後、無傷の5連勝。走破タイムもすばらしくC2を軽々と突破。C1昇級もまったく問題にしない
10月17日の盛岡競馬場、メインレースは第11R。2歳ダート1600mの重賞『若駒賞』です。
ここまではどちらかと言えば芝戦線がメインだった2歳重賞もこの若駒賞から南部駒賞、金杯へとダートマイルを舞台とした戦いが始まります。
昨年のこのレースを制したメジャーリーガー、一昨年のロールボヌール、あるいはその前年のライズライン・・・といちいち挙げていくまでもなく、このレースは、この路線は、2歳に留まらずその先の飛躍のきっかけとなる登竜門。今年の10頭のメンバーの中からはたして過去の活躍馬達に肩を並べる馬が誕生してくるのか?に注目です。
本命は、将来への期待も込めて(7)ベンテンコゾウです。デビュー後は2戦2勝、その内容はワンサイドでありまだまだ余裕を感じるもの。走りのイメージからは今季の2歳の中でもトップの素質を持っていると思わせます。今回は確かに相手強化という事になりますが、ここもまた突破するようであれば今後の期待もさらに大きくなる・・・のではないでしょうか。
相手は実績をかって(8)サンエイリシャール。重賞初挑戦で一気に突破したあたりに素質の高さを感じさせます。レース内容も良く当然主力の一角を形成するはず。
3番手は(1)ミスターシーバスでどうでしょうか。前走ではサンエイリシャールに敗れていますが、どちらかと言えば距離がもう少しあった方が良さそうな馬。マイルを味方に付ける事ができれば上位争いに。
あとはまず(4)ニードアフレンド。着順の上下の幅が大きく見えるのは脚質ゆえなのでしょう。マイルの先行競馬を経験して挑めるのは有利。(10)ルックフォワードは転入後日が浅い段階ですが前走でメドは立った感。距離も経験済みだし穴に一考。
●11Rの買い目
馬単(7)=(8)、(7)=(1)、(7)→(4)、(7)→(10)
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★オッズパークLOTO 5重勝/10月17日(対象7R~11R)
7R/評価A: 7番、 6番 評価B: 1番 穴:4番
8R/評価A:10番、 3番 評価B: 1番 穴:5番
9R/評価A: 3番 評価B: 8番 穴:4番
10R/評価A: 4番、 5番 評価B: 3番 穴:8番
11R/評価A: 7番、 8番 評価B: 1番 穴:10番
前日に続いて南部杯の話。小生の展開予想はアスカノロマンが逃げを想定していた。前々走・平安ステークスを逃げ切り圧勝。枠順も有力馬が外枠に入り、主導権を握ると思っていた。
しかしラジオ中継で解説しているうちに、もしかするとホッコータルマエが逃げるのでは...と考えを変えた。3年前の南部杯で後藤浩輝騎手とのコンビでエスポワールシチーが見事な逃げ切りを決めたが、3コーナーが勝敗の分かれ目だった。
エスポワールシチーはコーナーワークがあまりうまいタイプではないので3、4コーナー中間で遠心力がかかるのを承知の上で3コーナーで一気にスパートをかけた。一方、エスポワールシチーに出しぬけ的にスパートをかけられ、ホッコータルマエは一瞬もたついた。そこでセーフティリードを取ったエスポワールシチーがまんまと逃げ切り。直線で盛り返したが、1馬身半差までにとどまった。
その反省を基に続くJBCクラシック(金沢)で、ホッコータルマエが逃げの手に出てそのまま押し切ったことを思い出した。
案の定、ホッコータルマエ鞍上・幸騎手は手をしごいて先手を主張したが、大外からロイヤルクレストがハナを奪い、2番手インに控えた。
ここでラップを紹介してみたい。12秒2-10秒6-11秒4-11秒9-11秒9-11秒9-11秒6-12秒0。例年ならば4ハロン目から流れが落ち着くのだが、まったく緩みなし。ロイヤルクレストが3、4コーナーで一杯となったのも当然だった。
替わってホッコータルマエが先頭に立ったが、今度は内からレーザーバレットが一か八かの勝負に出て3コーナースパート。
これらの要因が重なり、コパノリッキーの大レコードを誘引した。レースは生き物と言うが、まさに的を得た表現。盛岡ダート1600m1分33秒5はしばらく破られないと思う。今年の南部杯がどんなレーティングをつけられるのか興味深い。
16日メインはB2・もみじ賞(盛岡芝1000m)。抜けた馬が不在に加え、芝1000m適性比較も難しく難解な一戦となった。
迷った末の決断はエイプリルラヴが本命。中央芝1200m戦で2着1回から転入。初戦の盛岡芝1600mを快勝した。
その後は白星から遠ざかり、今季も3着2回が最高だが、5月末から9月頭まで戦列を離脱。暑い夏を休養したのもプラスに作用し、一戦ごとに内容が良くなっている点が強調材料。
加えて転入2戦目の昨年もみじ賞(4着)でマークした59秒5はメンバー一番の持ち時計。2勝目を飾るチャンスと見る。
ヤマニンアドーレは芝ダート兼用のタイプだが、盛岡芝1000m2勝。今年の1勝は同じ芝1000m・新緑賞(C1)でマークした。流れはさほど速くならないメンバー構成なら持ち味を存分に発揮できる。
ブライテストムーンの扱いが難しい。転入初戦のオクトーバーターフチャレンジで鮮やかな直線一気を決めて快勝。3コーナーまでほぼ最後方だったが、そこから一気に突き抜けた。上がり3ハロン34秒8は並みの馬では出せないタイム。
前走は2番手の積極策に出て失速12着だったが、初戦で披露した末脚が脅威の的。
カグニザントは中央3勝、笠松B級から転入。格付けに恵まれて早々と5勝。近走の不振が気になるが、中央3勝はすべて芝。格が不気味。
ロザムンデは芝1000m・新緑賞でヤマニンアドーレのタイム差なし2着。好枠を引き当てたのは見逃せず、好調キープからも軽視できない。
サンマルビューティは短距離で好走し、前走マイル延長でも3着を確保。盛岡芝は2戦着外だが、1000mなら巻き返しあるかも。
◎⑧エイプリルラヴ
〇⑦ヤマニンアドーレ
▲③ブライテストムーン
△④カグニザント
△②ロザムンデ
△⑤サンマルビューティ
<お奨めの1頭>
10R ケイジースワロー
芝・レインボーカップは3着に敗れたが、前後して5勝マーク。前走・白神賞も強さが際立っていた。ここも信頼度は高い
10日、盛岡ダート1600mを舞台に行われたJpnI
「第29回マイルチャンピオンシップ南部杯」は1番人気に支持されたコパノリッキーが完勝。かしわ記念、帝王賞に続いてJpnI3連勝を飾った。
しかも走破タイムが1分33秒5。オーロマイスターの1分34秒8を1秒3も更新。クロフネの持つダート1600m日本レコードに0秒2まで迫る驚異的なタイムでOROパークを駆け抜けた。
土曜日から断続的な雨が続き、最終レースが濃霧のために取り止め。日曜日も雨が降り続き、ずっと不良馬場。本番当日10日は奇跡的に快晴となり稍重まで回復したが、前半レースから速いタイムで決着。
今年のメンバーを考えるとレコード更新は間違いないと思っていたが、それにしても1分33秒5には驚いた。
村山明調教師「まだ夏負けの影響がありましたから、もっと筋力アップができると思います。3番手ぐらいで砂をかぶらない位置を取ってほしいと指示しましたが、田辺騎手がうまく乗ってくれました。
次走予定はJBCクラシック3連覇。あとはオーナーの希望でもありますから、今年中にG(Jpn)Iレース11勝を目指したいと思います」
この状態で大レコードを樹立したコパノリッキーは、今後どこまで飛翔し続けるのか。2着に敗れたベストウォーリアも1分33秒8をマークしたのだから、陣営は悔しいだろうが、納得の結果だったに違いない。
『強い馬が強いレースで勝つのがGI』と騎手時代の菅原勲調教師の言葉が脳裏をかすめた。まさに「コパノリッキーが強いレースで南部杯を勝ってくれた」。ただただ強さに脱帽しました。
15日メインは「震災復興 子ども達に夢と笑顔を」(B1 盛岡ダート1200m)、12頭立て。
1200mのスペシャリスト・フジノピューマが首位を奪取する。北海道から移籍初戦・白神賞3着。ケイジースワロー、チャイヨーにはかなわなかったが、4角で一旦先頭。最後は力負けだったが、見せ場を十分作った。
今度は最も得意とする1200m戦。北海道、船橋通算で<6.6.5.6>の高実績。流れに左右されないのが強みだし、好位につけられるのも武器。順当に岩手2戦目で白星をゲットする。
相手はゼンザイ、レイズアスマイル。ゼンザイは白神賞6着に沈んだが、1400mが長かった印象。岩手2勝を盛岡ダート1200m、水沢1300mであげ、1000mの忙しい競馬も本質的に合わない。距離限定タイプと見ていい。
レイズアスマイルは近走入着止まりだが、こちらも盛岡1200m2戦2勝。短距離で自慢の末脚を存分に発揮する。付け加えれば大井時代も1200mで1勝。先行馬がそろい、展開はズバリ。
ミタイナは3戦連続で重賞特別に挑戦。ヴィーナスS、ハーベストCはオープン馬相手では着外も仕方なし。岩手1勝をダート1000mでマークし、1200mも守備範囲。
ブラックバイキングは一戦ごとに内容アップ。1200mは過去3勝。距離短縮は望むところ。あとは前が激しくやり合った際にホープフルデイズの決め手が生きる局面があるかも。
◎③フジノピューマ
〇⑥ゼンザイ
▲⑦レイズアスマイル
△⑩ミタイナ
△④ブラックバイキング
△⑫ホープフルデイズ
<お奨めの1頭>
6R コトブキエース
転入2戦とも2着だったが、勝った相手が強すぎた。メンバー手頃になり、今度こその期待