
11月の声を聞いてめっきり寒くなった。OROパークの木々も遅ればせながら色づいてきたが、一気に冬に突入しそうな雰囲気さえある。考えれば今シーズンの盛岡開催も次週で終了。ラストスパートの季節になった。
当然だが、盛岡自慢の芝レースも今回の4日(日)、B1以下の地方交流「秋嶺賞」(盛岡芝1700m)と次週11日(日)の五葉山賞(C1以下・地方競馬交流 芝1000m)の2つのみ。名残惜しみつつ芝レースを満喫したい。
盛岡の芝は荒れることで定評があるが、秋嶺賞は人気がアンペラトリスに集中する。JRA東京・2歳新馬戦(芝1600m)でアプリコットフィズの2着。その後、脚部不安が発生して長期休養を余儀なくされ、大井、門別、園田を経て転入。初戦を快勝し、園田からの連勝を3に伸ばしたが、以降は白星に恵まれず5戦足踏み。上位を確保したが、あとひと伸びが足りなかった。
しかし、芝1700mを舞台に目下2連勝。前々走は先日のOROターフスプリントを優勝したライトマッスルをアッサリ抜き差って4馬身差で圧勝。また前走はJRAとの条件交流で強豪相手に完勝。ついに秘めた素質が開花した。
今回も芝に自信ありのメンバーがそろったが、今の勢いを持ってすれば十分突破できるに違いない。
逆転筆頭はリュウノヒーロー。今季3勝2着2回。B1から挑戦した重賞・せきれい賞でも3着に粘って気を吐いた。また前走・ハーベストカップでアンペラトリス(4着)に0秒3先着して2着確保。持ちタイムでも同馬を上回っている。
不安はレース間隔が開いたことだが、決して調子が悪かったわけではない。OROターフスプリントは抽選モレの憂き目にあったもので、乗り込みは万全だという。ただ、使い込んで実力を発揮するタイプ。実戦から離れているのは割り引きが必要だろう。
ドリームスナイパーは盛岡芝<4.4.4.5>。特に1700m戦は<3.2.2.3>と抜群の適性を誇っている。今季もJRA交流・カシオペア賞2着、B2・葉月賞1着と健在を誇示している。
ここ2戦の芝1700mで5、6着と伸びを欠いたが、見限るのは早計。ペースさえ速くなれば直線で一気に台頭する。
マイネルヴィーゼは中央未勝利ながら、芝1800mで3着1回。大井を経て転入し、入着が精一杯だが、3着1回を芝1700mでマーク。うまく流れに乗れれば連対突入も十分可能だろう。
セントウイナーは4走前、芝1000m・ハーベストカップに参戦して0秒7差6着。コーナーでモタれて直線一杯となったが、今回の1700mなら流れも落ち着くかも。そうなれば自慢のスピードを生かして逃げ残りのシーンまである。
あとは中央芝1600m1勝メルトアウェイもソロソロ盛岡の芝に慣れてくるはず。3着には押さえたい1頭だ。
◎(10)アンペラトリス
○(12)リュウノヒーロー
▲(7)ドリームスナイパー
△(6)マイネルヴィーゼ
△(11)セントウイナー
△(1)メルトアウェイ
<お奨めの1頭>
11R レッドキングダム
転入初戦は2着に敗れたが、4角で先頭に立って見せ場十分。コース2度目で今度こそ首位を奪取する
3日メインは「第3回知床賞」。今年から重賞へ格上げされ、盛岡ダート1400mを舞台に北海道2歳馬、岩手2歳馬が激突する。過去2回の知床賞は、いずれも岩手勢に軍配。門別開催の岩手山特別は北海道所属馬が優勝し、地の利もかなり大きいのだと思う。
ただ、今年の北海道2歳馬は層もレベルも相当高いと見て間違いない。10月25日のJpnⅢ・エーデルワイス賞はハニーパイ、ピッチシフターと1、2着を独占。またJRA札幌・すずらん賞はシーギリヤガールが快勝し、鎌倉記念(川崎)でもクラグオーが2着、ミータロー3着に善戦と全国での活躍は枚挙に暇がない。
今回、出走するビービーパッピンも北海道出身馬だが、岩手初戦2着、前走は5馬身差で圧勝。これだけでもレベルは推して知るべしだろう。
主軸はプリンセスサーニャ。デビュー2戦目の1000m戦を2番手から抜け出して快勝。その後はジェネラルグラント、クラグオーなど強豪に阻まれたが、3ヵ月ぶりの前走は久々をモノともせずに勝って2勝目。弾みつけて臨んできたのが心強い。
管理するのは8月、芝1600m重賞・テシオ杯ジュニアグランプリ優勝セラミックガールの田中淳司調教師。勝算の手応えを十分掴んで臨んできた。長距離輸送さえクリアーできれば勝ち負けは当然。
岩手の期待はマンセイグレネード。2戦目の芝重賞・若鮎賞を見事逃げ切って優勝。4戦目には初ダート戦を9馬身差で逃げ切り圧勝した。前走・若駒賞では初めて3番手の控える競馬だったが、3着を確保。成績以上に収穫の大きい一戦だった。
テンショウリバイヴはデビュー戦1着。2戦目は初の盛岡に戸惑ったのか9着に敗退したが、若駒賞では出遅れを喫しながらも直線で盛り返してマンセイグレネードに次ぐ4着。しかも0秒1差まで詰め寄り、地力あるところを見せた。
550キロを超す大型馬でまだ太めでこの結果を出すのだから将来も楽しみ。連闘で臨んだ今回は、体が絞れてくるだろうし大勢逆転まで考えられる。
コスモアックスはデビュー戦2着、2戦目1着。その後は凡走を繰り返しているが、どうやら気性難が災いしている模様。集中力が出てササるクセさえ解消すればアッサリのシーンまであるだろう。
タフガイはデビューの水沢850mを今季一番時計で快勝。その後は伸びを欠いているが、ビギナーズカップ5着ながら0秒1差。前走も4着だったが、盛岡コース2度目なら反撃に転じて不思議はない。
あとはメンバー最多勝のサクラタイシは使い詰めと同型ワタリルーブルとの折り合いが気がかりだが、完成度の高さは見逃せずマークが欠かせない。
◎(8)プリンセスサーニャ
○(5)マンセイグレネード
▲(6)テンショウリバイヴ
△(4)コスモアックス
△(9)タフガイ
△(3)サクラタイシ
<お奨めの1頭>
1R バーバリーコースト
転入直前の中山ダート1200mで1分14秒2。結果9着だったが、このタイムを持っていれば初戦を難なく突破できる
この土・日は二日連続重賞という事で、土曜日は芝1000mの「OROターフスプリント」をライトマッスルが、日曜は3歳ダート2000mの「不来方賞」をロッソコルサが優勝。それぞれ重賞初制覇となりました。
ライトマッスルもロッソコルサも奇しくも3歳馬、それぞれ別な路線でタイトルを手にしたわけですが、今季スタート時点、あるいは昨季の今頃は「アスペクト一頭のみが抜けている」と見られていた事を思えば、今年の3歳世代は想像以上に役者が揃っているのだなと感じます。
ちなみにロッソコルサを管理する千葉幸喜調教師は昨年のカミノヌヴォーに続いて2年連続の不来方賞制覇ともなりました。そのカミノヌヴォーは不来方賞の後、ダービーGP、桐花賞と制して3歳ながら昨年の年度代表馬に選出。もっと言えば一昨年のロックハンドスターも不来方賞・ダービーGP・桐花賞と制して年度代表馬になりました。ロッソコルサにもそれに続く存在へ・・・の期待がかかります。
いや、ロッソコルサは恐らくはダービーGP後はマイル前後の路線へと進むと思われるのですが、ダービーGPを勝つことができたならハイレベルの交流戦を制したという点で年度代表馬争いの中で大きなアドバンテージになるでしょうし、この後の古馬重賞の結果次第では3歳二冠の実績だけで年度代表馬に・・・という可能性も十分にあるでしょう。
この後の3ヶ月弱の戦いは、そんな争いにも目を向けながら見ていくと非常に面白いと思いますよ。皆さんもこの先の戦いにぜひご注目を。
28日メインは岩手競馬で最も古い歴史を重ねてきた「第44回不来方賞」(盛岡ダート2000m)。不来方とは盛岡城の別称で"こずかた"と読む。
岩手出身の歌人・石川啄木が『不来方のお城の草に寝ころびて 空に吸はれし 十五の心』と短歌で詠んだことでも有名。
岩手競馬の最大レースは古馬がみちのく大賞典、2歳は南部駒賞、そして3歳は不来方賞。過去も今も、これからも岩手ホースマンの価値観は変わらない。
昨年、今年と岩手の3歳戦線をリードしてきたのはもちろんアスペクトだった。川崎・全日本2歳優駿でも最内の不利を克服して5着。特に輸送のない盛岡ダートでは無敗を誇り、8連勝で岩手ダービー・ダイヤモンドカップを完勝。ロッソコルサの追撃を封じて完勝したばかりではなく、走破タイム2分7秒3は従来のレースレコードを3秒9も更新。この時の底力に誰もが震えた。
続いて古馬に挑戦し、みちのく大賞典10着、マーキュリーカップ13着と惨敗を喫したが、相手を考えれば仕方なしだった。ただ、新潟のレパードステークス遠征で歯車が狂った印象。馬体重が9キロ減り、イレ込みも激しく15着に凡走。
その後、リフレッシュのために放牧に出たが、2ヶ月の休養を経た復帰戦・A級で見せ場すらなく3秒8差で凡走。いかに先手を取れなかったにせよ、これは負けすぎだった。
今回、2000mの長丁場で逃げの手必至。マイペースに持ち込んで気分良く走れれば巻き返しの余地は十分あり、ひと叩きされた変わり身も見込めるが、やはり強気になれない。
ロッソコルサはJRA新潟・2歳新馬(芝1400m)を快勝した逸材。今年4月に岩手へ転入し、スプリングカップ、七時雨賞と3歳特別を2連勝。一気にスターダムに駆け上ったが、ダイヤモンドCでアスペクトに完敗。
以降はオパールカップ2着、桂樹杯3着、青藍賞2着と足踏みを続けているが、青藍賞後は不来方賞に絞って調整。万全の態勢で初重賞制覇に自信満々で登場する。
ただ、死角がない訳ではない。どうやら隣に馬がいると待つクセがあり、これが最大ネック。メンバー構成、順調度などから負けられない一戦だが、譲ってしまわないか否か。絶対と言い切れないのはその点に尽き、村上忍騎手の腕に期待するしかない。
ユウキタカラオーは中央未勝利ながらダート1800mをメインに使われて4着1回5着3回。持ち賞金の関係でB2へ編入したが、あっさり3連勝をマーク。昇級戦の前走・白神賞でも2着を死守し、依然底を見せていない。ユウキタカラオーの持ち味はいい脚を長く使えること。2000mが舞台ならきっちり連対を確保してくれそうだ。
強いメンバーと戦ってきたのはラブミーアゴー。北海道1勝、南関東1勝からの転入だが、グランダムジャパン3歳シーズンを使われて水沢・留守杯日高賞4着、園田・のじぎく賞3着。関東オークス(10着)で2100mの距離を経験したのも心強い。
トーホクアローは近走、頭打ちだが、ダイヤモンドCで3着。ジリ脚タイプで距離は歓迎。金杯優勝・ファイトホーマーは期待したほどの成長ないが、前走2着で上昇ムードは明らかだ。
◎(12)ロッソコルサ
○(11)ユウキタカラオー
▲(7)ラブミーアゴー
△(5)アスペクト
△(9)トーホクアロー
△(6)ファイトホーマー
<お奨めの1頭>
7R エステーファイター
中央3戦とも凡走して岩手へ再転入。C2編入は格付けにも恵まれたが、それにしても強さがケタ違いだった。ここもいただき
先週22日(月)に行われた"未来優駿2012"第一弾「第32回若駒賞」はロックハンドパワーが完勝。2着にはヴェルシュナイダーが入り、開業1年目の菅原勲厩舎がワン・ツーフィニッシュを決めた。
レース後、菅原勲調教師は勝った喜びより安堵の方が大きかった。「ロックハンドパワーは決して順調ではなかったので心配な面があったが、思った以上に強いレースをしてくれた。ヴェルシュナイダーはスタートではさまれたのが痛かったが、それでも2着確保した。2頭とも頑張ってくれました」
ロックハンドパワーの次走は南部駒賞。その結果次第で12月、川崎競馬場で行われる「全日本2歳優駿」へ挑戦してみたいという。今後も動向に注目してほしい。
27日(土)メインは盛岡芝1000mが舞台「第2回OROターフスプリント」。短距離のスペシャリストがズラリとそろい、フルゲート12頭でスピードキングの座を争う。興味深いのは第1回に出走した馬が今回は1頭もいないこと。わずか1年の間に勢力図がガラリと変わってしまった。
主軸はダイワマックワン。中央5勝オープンから名古屋を経て転入。当初は勝ち切れないレースが続いたが、ここ4戦で2勝をマーク。前後に芝・桂樹杯4着、OROカップ8着に敗れ、一見すると芝で精彩を欠いている印象を与えるが、自らハイペースを形成して末が甘くなったと解釈。
それともう一つはダート2勝はいずれも逃げ切り勝ち。現状は逃げがベストのようで、今回は願ってもない内枠2番。中央5勝すべて芝1200mで上げ、勝つ条件がそろったと判断していいだろう。
逆転筆頭はヒカルジョディー。前走・OROカップが初の盛岡芝。中央4勝がすべて芝だったが、1周1400mの小回りで「外に張っていた」と小林騎手。しかし今回はワンターンで済む1000m戦。距離適性、あとはコーナー2つなら自慢の切れをさく裂させる。
スーパーワシントンも中央短距離のスペシャリストで鳴らした。岩手転入後、8戦1勝と年齢から来る迫力が薄れた感もあるが、クラスターカップで岩手最先着6着に入線したように、こちらも1000mは歓迎のはず。
ライトマッスルは3歳特別・ウイナーカップ、そして前々走は芝1000mのB1特別・ハーベストカップを快勝。精神面での成長が目を引く。まだB1条件馬で相手は一気に強化されたが、56キロのハンデを生かして大勢逆転をもくろむ。
あとは桂樹杯を快勝、OROカップでも切れる脚で3着に突っ込んだコパノマユチャン、短距離が合うシーグランディも軽視できない。
◎(2)ダイワマックワン
○(6)ヒカルジョディー
▲(3)スーパーワシントン
△(12)ライトマッスル
△(8)コパノマユチャン
△(1)シーグランディ
<お奨めの1頭>
7R ヤマニンパニエ
転入2戦2着に終わったが、相手も強すぎた。しかし前走はそのうっ憤を晴らして0秒7差で圧勝。これで弾みがついた