馬も人も環境が変わって大成功を収めるケースがある。ラブミープラチナもその典型といっていいだろう。北海道1勝、南関東0勝。入着はそれなりにあったが、さほど強調できるモノではなかった。
岩手初戦の3歳B1戦(盛岡ダート1600m)でも10頭立て7着。前途多難を思わせたが、2戦目の芝1600m(3歳100万下)で反応が一変した。10頭立て10番人気の低評価を覆し、鮮やかな直線抜け出しを決めて快勝。秘めた素質が開花した瞬間となった。
ジョッキー時代、"芝の板垣"の異名を取った板垣吉則調教師は即刻決断。以降は芝1本でローテーションを組んだのが大正解。なかなか勝つことはできなかったが、3歳重特、そして果敢に古馬挑戦でも毎回見せ場を作り、そして前走、新設の重賞・OROターフスプリントでついに重賞ウィナーの仲間入りを果たした。
これほど成功した例も珍しいが、ラブミープラチナは盛岡芝で水を得た魚のように大活躍。ドクターコパさん、板垣調教師、まったくもって見事です。
さて12日メインは今シーズンラストの芝特別「秋嶺賞」(盛岡芝1700m)。平場戦はこれからも続くが、今季の芝特別(もちろん重賞も)フィナーレ。ラブミープラチナがそれを飾るにふさわしい。しかもB1条件に戻って勝つ条件はほぼそろったといっても過言ではない。
ただ、芝フィナーレにふさわしく盛岡芝に自信ありのメンバーがずらり。ドリームスナイパーはひと頃、足踏みした時期もあったが、前走の芝1700m戦で久々に直線一気を決めて完勝。これで同条件3勝目をあげ、走破タイムも優秀。キャリアを前面に逆転をもくろむ。不安は馬場が渋った際で良馬場がベスト。
シャイニーハリアーは目下3連勝中と絶好調。ダート2勝、前走はJRA相手の芝1700mで大金星マークと昇竜の勢い。奥手が本格化を迎えた。不安はここ3戦こそ好スタートを決めたが、出遅れの可能性もある。本来、1枠は絶好枠だが、逆に包まれる危険性をはらんでいる。
レディスウィフトは中央未勝利ながら2着3回。B1なら間に合うと2戦とも1番人気に支持されたが、伸びを欠いて5、3着。正直、物足りなさを感じた。しかし今回は芝が舞台。中央芝1600mで2着2回の実績があれば反撃は十分可能だろう。このまましぼんでしまうのか、それとも適性を披露するのか。真価が問われる。
アースグラビティは盛岡ダート2着最高だが、芝は1勝2着2回。切れる末脚が冴え渡っている。前走は早めマクリに徹し、ラストでドリームスナイパーに交わされたが、レースを作ったのは間違いなくアースグラビティだった。追い込み馬ゆえ不発のケースもあるが、ツボにはまれば一気台頭のシーン。
他にもソノマンマ、リュウノヒーローも怖い存在だが、ソノマンマは大外で割り引き、リュウノヒーローは桂樹杯2着でも3ヶ月ぶりが割り引き。手が回らなくなった。
ただ1頭の遠征馬パトリモーニオは父ネオユニヴァース、母がクイーン賞4着、フラワーカップ3着レディーシップと芝を走る素地はありそうだが、過去4着が最高だし、骨折明け。条件的にきついと判断した。
◎(10)ラブミープラチナ
○(2)ドリームスナイパー
▲(1)シャイニーハリアー
△(8)レディスウィフト
△(6)アースグラビティ
3連単は10、2、1の3頭軸から8、6が押さえ
馬複は 2-10、1-10、8-10、6-10
<お奨めの1頭>
11R レディージャスミン
ひと頃、差し競馬を覚えさせる考えもあったようだが、前走のように早めまくりがベストの戦法。それができれば芝2連勝はほぼ確実
6日の日曜日に行われた北上川大賞典は菅原勲騎手騎乗のマイネルビスタが優勝。今季から新規開業の関本浩司調教師に初重賞をプレゼントしました。
菅原勲騎手は今回の勝利でなんと11度目の北上川大賞典制覇。最近はちょっと優勝から遠ざかっていましたが、過去には5連覇(90年~94年)、レースレコード達成(02年)などレース史上に残る活躍をしている相性の良いレース。
というか、同一重賞を11勝もしているのが凄いですよね。そう思って改めて他の重賞も調べてみたのですが、さすがは4100勝を突破した大騎手、あるわあるわ。
通算8勝しているのがみちのく大賞典・シアンモア記念・東北サラブレッド大賞典。9勝しているのが南部駒賞・桐花賞。そして、不来方賞はなんと通算12勝もしています。全国各地の重賞を170勝以上しているのですから、そういうレースがいくつもあるのも当然という事なのでしょうね。
今年の岩手オープン戦線はサバイバル模様を呈している。昨年、岩手三冠を制した上、桐花賞も優勝し、世代交代を完了させたロックハンドスターだったが、コスモバルク記念以降も復調の兆しがうかがえず、さらに悲劇が待っていた。東京競馬場開催の南部杯でスタート直後に上腕骨を骨折。帰らぬ馬となった。
そのロックハンドスター相手に6月、岩手伝統のみちのく大賞典を圧勝したのがコアレスレーサーだった。秘めた素質は重賞レベルと評価を受けながら、なかなかビッグタイトルに手が届かなかったが、ついに悲願の重賞制覇を果たし、地元の期待を一身に背負ってマーキュリーカップへ臨む予定だった。
ところがマーキュリーCを目前に控え、脚部不安が発生。陣営は苦渋の選択をし、北上川大賞典に照準を変更。完全休養に入り、秋から復帰に向けて調整を進めてきたが、回復に手間取り、出走を断念。来期に復活を賭ける運びとなった。
この2頭不在の重特路線で、岩手競馬の看板を背負ってきたのがゴールドマインだった。ロックハンドスタートいっしょにコスモバルク記念から今季始動。ところが輸送がこたえて30キロも体重が減り、結果も7着。
これで暗雲が立ちこめた印象もあったが、見事に払拭。帰郷初戦の早池峰賞を3着にまとめ、続くみちのく大賞典でコアレスレーサーの2着を死守。以降、マーキュリーカップ6着、すずらん賞優勝、クラスターカップ6着、青藍賞優勝と一貫して王道を歩み続け、結果も出してきた。
そして東京競馬場での開催となった南部杯へも岩手代表で参戦。あまりにも強力なメンバーがそろって12着に終わったが、帰郷後、その反動もなく至って順調。万全の態勢で北上川大賞典を迎える。
過去、同レースに09年、10年と連続出走して2、3着。マイラーのイメージが強いが折り合いに苦労するタイプではないので距離も大丈夫。父がダンスインザダークなら納得だろう。
単不動。焦点は2着争いに絞られ、マヨノエンゼルを抜擢してみたい。一昨年の年度代表馬だが、昨年はずっとスランプ状態に陥り、自問自答の日々を送っていた。ようやく復調の兆しをうかがわせたのが暮になってから。白嶺賞、桐花賞2着、トウケイニセイ記念3着で本来のシャープさを取り戻した。
今年こそ開幕からエンジン全開を期待されたが、東日本大震災の影響で調整に狂いが生じて6ヵ月半休養。すずらん賞でようやく戦列に復帰したが、まったく精彩がなく凡走。これで終わりかと思ったが、前走0秒2差3着で復活のメドが立った。
北上川大賞典は09年に出走して3着。ゴールドマインの後じんを拝したが、長丁場も問題ないのは証明済みだ。仮にここで好走すれば終盤でも目が離せない存在となり、是非とも復活劇を見たいところだ。
マイネルビスタは中央1勝、名古屋を経て転入。岩手初戦、そして前回と2勝マーク。いずれも1800m戦でレース運びのうまさが目についた。過去、最長距離はその1800mまでだが、そこは百戦錬磨の菅原勲騎手がカバー。スローの流れでも掛かることがないのが強みとなる。
サクラマジェスティは逃げ、もしくは2番手が打てそう。展開はいかにも向きそうだ。ただ昨年、ロックハンドスターを破り、桐花賞でも2着確保したが、今年は2着1回が最高。精彩を欠いているのは否定できない。父がサクラローレル、母父コマンダーインチーフなら2500m歓迎だろうが、現状は連下止まりに落ち着く。
ツルマルヤマトにも同じことが言える。こちらがハナに立ち主導権を握る可能性も高そう。またスパッと切れる脚ではなく、いわゆるジリ脚タイプで距離延長は素直に考えれば望むところ。しかし弱い相手にも取りこぼし多いのが気になり、押さえが妥当だろう。
◎(6)ゴールドマイン
○(7)マヨノエンゼル
▲(5)マイネルビスタ
△(3)サクラマジェスティ
△(4)ツルマルヤマト
3連単は6を1着固定に7、5相手が本線。あとは3、4を押さえ
馬複は 6-7、5-6、3-6、4-6
<お奨めの1頭>
2R ベルウッドショット
転入初戦は出遅れが痛かったが、直線で鋭く伸びて2着。走法にセンスがきらり。最内1枠が若干気になるが、持てる能力で突き抜ける
今年ほど芝レースが多かった年はない。東日本大震災の影響で水沢開催が休止したことにより、盛岡競馬場1場での開催がその理由。幸い各方面に支援により12月10日から水沢競馬が再開するが、芝レースは評判がいい。最近では新設重賞・第1回OROターフスプリント(芝1000m)は手に汗を握る大激戦。3歳牝馬ラブミープラチナが一躍脚光を浴びた。
昨年までは水沢開催中に芝の復旧ができたが、今年はさすがに芝をずっと使っているため、痛みは結構激しい。それでもしっかり管理され、レースには支障ないようだ。
5日メイン「五葉山賞」も盛岡芝1700mが舞台。芝を求めてフルゲート12頭。しかもC2からも3頭が挑戦し、おもしろさを倍加。人気はメリーポピンズに集中するだろうが、各馬にチャンス十分の一戦となった。
メリーポピンズは父がネオユニヴァースの良血馬。中央0勝に終わったが、中山芝1800m(3歳未勝利)で0秒3差3着のほか、芝を専門にソコソコの結果を出していた。転入初戦の心配はダート。過去に名古屋の交流戦で一度使われて2秒8差7着に惨敗。はたしてダートをこなせるか半信半疑だったが、2番手から直線地から強く抜け出して2馬身半差で完勝。陣営も喜びを隠せなかった。
そのレースを叩いて五葉山賞は当初の予定どおり。盛岡芝は1周1400mでコーナーがきついが、それにさえ戸惑わなければ連勝濃厚。内枠を引き当てたことも勝利を後押しする。
逆転はチェリッシュライン、バクソクトレインの2頭。チェリッシュラインは中央4戦0勝ながら転入直前の札幌未勝利戦(芝1800m)で2着。4角で早め先頭に立ち、そのまま押し切るかと思ったが、タイム差なしで惜敗。
この実績があれば逆転の可能性は高いが、ひとつ気になるのが体重減。岩手初戦2着だったが、マイナス10キロ。「繊細な牝馬で食いが細い」(村上昌幸調教師)とのこと。さらに体重が減っているようだと割り引きが必要だが、5キロ内までなら能力を出せると踏んだ。
バクソクトレインはパワーのいる馬場よりも脚抜きのいい芝、ダートなら速いタイム決着向き。盛岡芝は過去4回使って2着2回。逃げ、差しで連対を果たし、どんな展開にも対応できることを証明済みだし、JRA相手の交流戦4着、3歳芝特別・サファイア賞(芝2400m)でも僅差4着。コース経験の差を生かして大勢逆転を狙っている。
プリンクンは派手さはないが、思った以上に力をつけている。前々走は1本被りのクールダンス相手に快勝し、前走もロードクリスタルに最後まで食らいついて2着を死守。盛岡芝でも3着の実績が光る。
センリライズはここにきて立ち直り気配をうかがわせている。今年は凡走を繰り返しているが、2歳時に芝1000mで直線一気を決めて周囲の度肝を抜いたこともあり、復活なるか注目に値する。
他にも目下3連勝中と上昇一途ホッカイナシュア、2歳新馬(中山芝1600m)で3着ルシエルクレールは初戦凡走だったが、芝で一変の可能性もある。
◎(4)メリーポピンズ
○(10)チェリッシュライン
▲(1)バクソクトレイン
△(8)プリンクン
△(7)センリライズ
△(12)ホッカイナシュア
3連単は4、10の1、2着折り返しから1、8。あとは8、7、12を3着押さえ
馬複は 4-10、1-4、4-8、4-7
<お奨めの1頭>
5R トーホクアロー
ウイングアロー産駒だが、前走の芝で同厩エトセトラをキッチリ交わして快勝。成長振りが目覚しい。ダートに戻ってさらに信頼度を増す
今回は競馬ネタだけども競馬場を離れたお話を。
27日の木曜日、岩手県北部の軽米町にある晴山小・中学校を内田利雄騎手が訪問しました。
内田騎手は小学校時代の一時期を軽米町で過ごした事があり、今でも年に一二度は軽米にやってきてかつての級友たちと旧交を温めるとか。09年には内田騎手が在学した同町の観音林小で"臨時授業"を行った事もあります。その観音林小が統合されて生まれたのが晴山小。当然観音林小時代の知己も移ってきているわけで、そんな縁もあって今回の訪問が実現したとの事。