先日7月4日、青森県・八戸市で行われた「サラブレッド1歳八戸市場」に行ってきました。いわゆる競走馬のセリなんですけど、この仕事を始めてからはほぼ毎年行っていまして、毎年の夏に楽しみにしている行事の一つです。
例えば、昨年の岩手の年度代表馬・マツリダパレスもこの八戸市場の出身馬。何年か続けてみているとセリで見かけた馬を競馬場で再び見つける事も多くなり、それもまた楽しみの一つになっています。
例えばですね、これは八戸市場に限らずどこのセリでもそうなんですけど、セリで高値で落札されたからといって競走成績がいいとは限らないし、逆にセリでは主取りになったけれどもその後成長して好成績を残したり、と、『セリの結果=競走成績』とは必ずしもならないところが面白いんですよね。
北海道あたりのセリで何千万円で落札されたような馬が未勝利で岩手にやって来て、セリでは主取りだった馬とC3級あたりで戦う。で、なんと後者が勝ってしまう。なんて事もあるわけで、それもまた競馬かな、なんて思ってます。
つくづく思うのは『馬を見るって難しい』。本当に分からないものですよ、これは。
さて、月曜メインのジュライカップ。これまた意外と難解な気がします。予想のヒントとしてはこれまでの芝実績、それから5月27日の、今回と同じB1級の芝戦・石桜杯の成績なのでしょうが、岩手の芝は初めてでもJRA時代に芝経験豊富という馬も少なくなく、かなり広く見ていかないと痛い目に遭いそうです。
レースは恐らく混戦、であれば今回は穴っぽいところから入ってみましょう。今回の本命は7枠9番のロイヤルプレミアムです。
この馬の芝経験はJRAデビュー戦の1200m(14着)と、昨秋のM&Kジョッキーズカップの1着、そして石桜杯の5着。数としては少ないですが、少なくとも岩手の2戦では芝も十分にこなせるという走りに加え、直線鋭く伸びる末脚も発揮していました。特に石桜杯では、直線だけで追い上げての0.4秒差5着ですから価値は高い。今回は7枠、欲を言えばもう少し内枠がよかったけれどまずまずの枠順ですし、先行馬が多いだけにこの馬向きのペースも期待できます。あとは盛岡芝1600mで無類の安定度を誇る小林俊彦騎手におまかせです。
対抗も穴っぽくゲイリーザスカイを。今回唯一格下B2級からの挑戦になる馬ですが、JRA時代の成績をみれば、格上挑戦でも芝を走らせてみたいと思うのは当然という感じ。逃げても控えてもレースができる点、枠順も好枠を引いた印象です。
アドマイヤウイングは石桜杯で4着、この時の明らかに芝向きという走りが非常に印象的でした。やや勝ち味に遅い点が気になって3番手評価としましたが、力差はそんなに無いはず。大外枠に入ったロストプロパティーも明らかな芝タイプ。レース間隔が開いた点・大外枠に入った点で嫌いたくなりますが、どうせ順調に走り出せばこの辺のクラスの芝では人気を背負うことになる馬。馬券的には今回が狙い目でしょう。
穴で狙ってみたいのがタイキスペクトル。岩手の芝は初めてですが、JRA時代に好走経験あり。鞍上も意外と岩手の芝が得意です。
買い目は混戦前提に9番ロイヤルプレミアムを含めた4、5、8、11のBOXで。3連単だと点数が厳しいですけど、ここは高配当前提で狙ってみましょう。
先週3日(月)、JRA所属の福永祐一騎手が、水沢競馬場の一日場長を務めた。当日は岩手ダービー・ダイヤモンドカップでフサイチ軍団総帥・関口房朗氏とのトークショーでも馴染みの地元タレント・ふじポン、小林俊彦騎手会会長とのトークショー。福永騎手との記念握手会と撮影会、そしてメインレース「三陸リアス特別」のプレゼンターも務めた。当日は平日だったにもかかわらず、人気ジョッキー・福永騎手見たさに多くの若いファンが水沢競馬場へ訪れた。
イベントの合間を縫って水沢青年会議所のメンバーとの意見交換会も催され、その中で福永騎手は「地方競馬が衰退すれば日本全体の競馬も怪しくなる。いろいろ大変だと聞いているが、是非、存続させてほしい」と励ましのメッセージを送った。
また福永騎手個人の話にもなり、当日朝に行われたアメリカンオークスについての感想は「コースが小回りなので位置取りがポイントとなる。シーザリオの時はそれを意識して早めに仕掛けたが、日本のオークスを勝った馬ですから信頼して乗れた。アサヒライジングは今年の桜花賞4着、オークス3着馬ですから2着なら健闘したと思います。前日のダンスインザムード優勝といい、日本馬のレベルはかなり高いと見て間違いありません」
そして思い出の馬は…の質問には「キングヘイロー。あの馬にはいろいろ教わりましたが、日本ダービーで2番人気に支持された時、すごいプレッシャーを感じて競馬にならなかった。あれ以来、平常心でレースに臨むように心がけるようになった。今度は騎手として水沢競馬場で乗ってみたい」と最後を締めた。是非、実現してほしい。
さて9日のメインは3歳馬によるダート2000m戦「第7回ミルキーウェイカップ」。ここから岩手伝統の重賞・不来方賞(8月6日 盛岡)、G?・ダービーグランプリ(9月18日 盛岡)へと続くビクトリーロードだが、出走7頭とやや寂しいメンバーとなった。理由は開催替わりと3歳重賞・特別が毎開催のように実施され、今回はちょうどローテーションの狭間。加えて前日には同じ3歳馬による芝特別「ガーベラ賞」もあり、結果このミルキーウェイカップは少頭数となってしまった。
(テンショウボス 撮影・佐藤到)
そうなるとテンショウボスで主軸断然だろう。ここ2戦ダイヤモンドカップ、サマーカップと連続3着に敗れたが、勝ったオウシュウクラウンが強すぎたことだけではなく、小回り水沢にてこずった面も否定できなかった。
500キロを優に越すティンバーカントリー産駒の大型馬で、決して器用なタイプではない。それに輸送のない地元競馬で馬体重がダイヤモンドカップ、525キロ。サマーカップ、526キロ。おそらくベストの体重は515キロ前後で、実際、やまびこ賞(盛岡)を快勝した時は514キロでの出走だった。
今回はよほどのことがない限り負ける要素は見当たらず、きっちり勝って以降への弾みをつけたいところだ。
中心不動。しかしヒモ捜しが難解だ。ひとまず堅実さを評価してミナミシアトルを相手候補筆頭に選んだが、如何せん今回が初の表舞台。格不足が若干気になる。続くジャパンアケボノは盛岡の方が合うと踏んだが、前走サマーカップでは大敗を喫している。
体調さえ戻れば最も怖い存在がミヤノスカイハイである。昨年、デビュー3戦目で特別・りんどう賞を優勝。また重賞・若駒賞でも3着に入った実力馬だが、12月、寒菊賞7着後に6ヶ月の休養。今年6月、フレンドリートロフィー・アンバー賞で鮮烈復帰を果たしたが、マイナス18キロと大幅に体重を減らして出走。案の定、結果も9着に終わった。続く前走・サマーカップでは4キロ増まで回復したが、5・5秒差の8着に敗れている。
この2戦の内容が不満だが、走り頃の休み明け3戦目だし、メンバーも楽。2着を確保して全く不思議はない。あとは盛岡でエピソードを少々。
3連単は6を1着固定に2、3着は2、1、5、4から絞って
馬複は2−6、1−6、5−6、4−6
<お奨めの1頭>
6レース タイアルディー
跳びの大きい馬で小回り水沢は合わない。2戦2勝も盛岡でパワー全開といこう
8日メインは3歳馬による芝1700m戦「第7回ガーベラ賞」、12頭立て。このレースの1、2着馬には7月23日、同じ条件で行われる重賞・オパールカップへの優先出走権が与えられる。
主軸にダンディキングを指名する。ここ2戦6、4着と精彩を欠いているが、ダイヤモンドCはスタートで後手を踏み、中団からの競馬で持ち前のスピードを発揮できなかったため。また前走・サマーCでは逃げたには逃げたが、ジャパンアケボノに絡まれて前半、超ハイペース。加えて初の1900mもこたえ、直線失速も仕方なしの結果ともいえた。
今回は守備範囲の1700mだし、芝は久々だが、デビュー戦1000m59秒4の好タイムで快勝と適性も問題なし。これまでに比べメンバーも非常に楽になっており、仕切り直しの一戦といきたいところだ。
(サマーカップ出走時のダンディキング 写真・佐藤到)
相手候補が微妙だが、グリーントマトがおもしろい。北海道0勝、船橋1勝で今年4月に転入。現在、活躍中のステイゴールド産駒だが、380〜390キロ台の小柄な牝馬。そのせいか岩手ダートでは振るわなかったが、3走前、中央3歳未勝利の交流レース・フレンドリートロフィーでアッと言わせる大劇走をやってのけた。
人気は上位3頭までJRA勢が独占。グリーントマトは転入2戦の凡走から14頭立て12番人気にしか過ぎなかったが、後方待機から上がり3ハロン36秒6の末脚を駆使し、居並ぶ馬をごぼう抜き。単勝18,790円、3連単282,330円の超万馬券を演出した。
また前走はJRA福島500万下に挑戦し、結果9着だったが、1・5秒差にまとめた。土曜日まで雨の影響で、芝は水分を含みそうで自慢の末脚が殺される可能性はあるが、芝適性はメンバー中一番といっても過言ではない。
ツルマルオーカンが波に乗っている。これまで12戦を消化して着外はわずか1度。その反面、最後の詰めが甘く白星を飾れなかったが前回、待望の初勝利をマークして弾みがついた。芝は過去3回使って3、4、2着。その2着は前々走、グリーントマトとのものでこちらも切れる末脚を武器としている。
前回、3歳B1戦1着でオープン入りを果たしたジュリア。翌日のダート2000m「ミルキーウェイカップ」の選択肢もあったが、芝適性がありそうだと判断し、このガーベラ賞へ登録した。芝はデビュー戦2着の1回のみで実戦では未知数だが、その時はスタートで大きく出遅れたもので基準外。自身もパワーよりスピードを身上とするタイプで、脚抜きのいい芝があうかも。今後の試金石としたい。
カズノマックイーンはすでに芝で実績を積んでいる。初勝利を飾ったのが7戦目の芝1000m戦。また前々走・はまなす賞(芝1600m)でもオウシュウクラウン、ブラックショコラから離されたにせよ、3着を確保した。盛岡芝通算<1022>のキャリア豊富なことも強調材料となる。
決して軽視できないのがバルクだ。いまだ未勝利が信じられないのだが、2歳時に芝重賞・テシオ杯ジュニアグランプリでマツリダアーティスの2着に入ったこともある。またアドマイヤボス産駒デフェンスボスもはまなす賞4着に入線しており、適性は決してヒケを取らない。
3連単は4を1着固定に2着相手は12、11、3着10、8、2、3と手広く
馬複は4−12、4−11、4−10、4−8、2−4
<お奨めの1頭>
11レース エイシンガッサン
水沢0勝に対し、盛岡は<5333>と絶対の自信。典型的なサウスポーだ
テシオブログ木曜日は、知ってる人は知っている、知らない人にもどうでもいいかもしれない、佐藤到の担当曜日です。
先週はMr.Pink内田利雄騎手のヘルメットの、“身”の部分に描かれたイラストをご紹介しましたが、では“ガワ”である枠色の部分はどうなっているのでしょう?
実は私、競馬を始めたときは各色のヘルメットが用意されていると思っていたのですが、“身”部分は共通で各騎手の自前です。これは頭部保護のためにウレタン(?)が充填された非常に軽量な品物で、持ち上げてみると思った以上に軽く、ちょっと驚くほどです。ジョッキーたちは他人のと間違えないようこれに名前を入れていて、フルネームをきちんと書き込んでいる人もいれば略称・愛称を入れている方もいます。なんとなく面白かったのは、前面中央に縦書きで「TO」と書かれたメット。これは陶文峰騎手の所有物でした。
そして赤や青やピンクという各枠の色は、ヘルメットに被せるカバーで表しています。このカバーは競馬場側が用意するもので、当然8つの色があり、さらに各色大・小のサイズが揃っています。材質は薄いナイロン製で、私などはこれがヘルメットから外されクシャッとなっている姿を見ると、小学校時代の「プールキャップ」を思い出してしまうんですよ。
騎手達はレース前に各自のヘルメットに枠色のカバーを被せ、付属のヒモを固く縛ってしっかりと固定します。写真で結び目がわかるでしょうか? そしてレース後は検量所ですぐに外され、競馬場従業員のオバチャンが回収して洗濯へとまわされるようになっています。
ヘルメットに限らず、レースを終えた人馬は逃げ馬でない限り全身泥々(ダート競馬では砂々?)で、レースの後にはヘルメットやステッキ、ブーツなど、自前の用具を騎手達がお手入れしている姿が見られます。大事な商売道具だけあって、どの騎手もなかなか丁寧。私はときどき「カメラの扱いが荒い」と言われますが、商売道具はもっと大切にしないといけませんね。
(文・写真/佐藤到)
<次走へのメモ>
7月2日 第18回栗駒賞
1着 オリエントボス
ベルモントソレイユが逃げ、ハタノアドニスの間にはさまれる形となったが、1コーナーで枠差を利して2番手をキープ。前半3ハロン36秒0はもちろんハイペースだったが、ずっとこのようなラップを刻み、3コーナー過ぎにベルモントソレイユを交わして先頭。外から伸びてきたタイギャラントとの叩き合いとなり、わずかハナ差ながら追撃を封殺。特別を飛び越え、うれしい初重賞タイトルを獲得した。
「無理に先に行くつもりはなかったが、好スタートを切ったので2番手になりました。3コーナー手前でムチを入れたら、ガンと反応したのでそのまま気を抜かせず行かせました。前回、それで抑えたら走る気が薄れたので早め先頭に立たせました。調教師の指示もそうでしたので、思い切って行かせたのが勝因。自分自身、久々の重賞なので非常にうれしいですね」(関本浩司騎手)。
このコメントどおり積極的なレース運びが功を奏し、7年前、バンチャンプが樹立した水沢1400m1分26秒0のレコードをコンマ7秒更新する劇走。単勝7450円の高配当を演出した。次走は優先出走権を獲得し、8月14日のG?・クラスターカップ(盛岡ダート1200m)を目指すと佐藤雅彦調教師。
2着 タイギャラント
スタートで後手を踏み、1周目スタンド前は後方2番手からの競馬。向正面で5番手まで進出し、4コーナーではオリエントボスを捕らえそうになったが、馬体を併せてからがオリエントボスは渋太く惜しいハナ差負けを喫した。「スタートがすべて。あそこまで差を詰めただけに悔しい」(井上俊彦騎手)
3着 ベルモントソレイユ
「スタートが良かったので逃げてみようと判断した。ただ今回、ブリンカーを外したせいか後ろの馬を待っているような感じだった。3ヶ月ぶりでも状態は悪くなかったが、マークがきつかった」(御神本騎手)
4着 タイキシェンロン
道中は4番手を進み予定どおりのポジションだったが、勝負どころから離される。中間、追い切りの翌日、攻め馬を休んだように本調子でなかったようだ。それでも4着なら健闘したと言っていいだろう。
5着 エクススペシャル
2コーナーまで最後方を進み、向正面からロングスパート。転入戦を叩いて上昇ムードで臨んで5着入線を果たす。
6着 ベルモントシーザー
前走・姫神賞では内に入って掛かり気味になっていたが、今回は追走するのが一杯。レコード決着ではこの馬の良さは出せなかった。
8着 バニヤンドリーム
短距離適性、遠征前のB級特別を快勝した点を買われて3番人気に支持される。ただ前走比プラス17キロ。パドックで見た印象も腹回りに余裕があったように思えた。
10着 ハタノアドニス
好スタートから枠差で3番手からの競馬となったが、向正面で早々と一杯。「追い切りの気配も上々だったが、2コーナー過ぎでもう手応えが怪しくなった。年齢的なものかも」(石崎俊騎手)