<次走へのメモ>
7月17日 第10回マーキュリーカップ・G?
1着 クーリンガー
抜群のスタートを切ったが、レッドストーンがハナを譲らない構えを見せたので、3番手インにつける。昨年は逃げたが、マークされる流れとなって5着。それもあって無理をしなかったと解釈できるのではないか。道中は坦々とした流れとなり、追走も楽だったが、3コーナーでレッドストーンが一杯となって代わってスターキングマンが先頭。それを見て有力各馬がスパートをかけ、クーリンガーは一瞬もたつく場面もあったが、和田騎手が手をしごいて遅れを取り戻す。しかし直線を向いてからは手応えが抜群でラスト200m、スターキングマンが一杯になったのを見て最内から進路を変更。内スターキングマン、外グラッブユアハートの間を割って抜け出し、あとはセーフティリードを取ったままゴールに入った。
「スタートが良かったので先行策を取った。直線を向いてもまだ手応えがあったので、これなら前の馬(スターキングマン)を捕らえきれると思った。盛岡は勝ちたいコース、このレースも勝ちたかったレースなので勝つことができてうれしい」と和田竜二騎手。
クーリンガーは3歳時、ダービーグランプリで盛岡初参戦。その時はゴールドアリュールの3着に敗れ、4歳以降は3年連続でこのマーキュリーカップに参戦。03年ディーエスサンダーの5着、04年スナークレイアースの首差2着、そして昨年05年はピットファイターの5着に敗れていたが、今回、盛岡訪問5度目で初勝利を飾るとともに、自身6度目のG?タイトル獲得となった。
装鞍所で馬体重を量ったところ前走・灘ステークスからマイナス6キロの530キロ。元々が芦毛で見栄えのする馬ではなく(失礼)、輪郭がぼんやりとした印象があったが、今回は白さが増したこともあったのか馬体がすっきり見えた。それも好走要因だったかもしれない。
2着 グラッブユアハート
前回(スパーキングレディーカップ)はほとんど最後方追走で競馬にならなかったが、今回は3、4番手の積極策。スターキングマンとほぼ同じタイミングでスパートをかけ、レマーズガールが外からじわじわ伸びてきたが、最後は脚色がいっしょになった。結果的に前につけた分、レマーズガールに先着する格好となった。これでレマーズガールとの直接対決を8勝9敗とした。今後もこの2頭は同様のローテーションを歩むことになりそうで、調子、展開、馬場などにより先着をしたり、後塵を拝する形が続くことになりそうだ。
3着 レマーズガール
7月5日、スパーキングレディーC(川崎)から中11日の連闘となったが、プラス5キロで臨めた。道中の位置取りも前レースとほぼ同じで、直線大外からじわじわ伸びてきたが、最後はグラッブユアハートとの差は詰まらなかった。
4着 ベルモントシーザー
1周目スタンド前は5、6番手のインで折り合いを欠きながら追走。これはみちのく大賞典でも見せていたが、それでも気力は衰えることなく地方所属馬で最先着の4着に入る。南関東ではA2で頭打ちだったが、岩手転入後は2勝2着1回3着1回(着外1回)。そして今回、初グレード挑戦で4着なら大健闘と言っていいだろう。
5着 スターキングマン
2番手を追走し、3コーナー過ぎに早々と先頭。4コーナーを回ったときは勝てる勢いに見えたが、ラスト200mで失速。「レース間隔が開いたことと59キロのトップハンデも影響したのかも。でも次走は良くなるはず」と武豊騎手。
17日はいよいよG3・マーキュリーカップ。毎年このレースの時期になると「暑いなあ、夏が来るなあ」と思います。まあ、8月のクラスターカップが終わる頃には秋の気配も漂ってくるのですから、短い北国の夏を目一杯満喫しておきましょう。
さて、今年のこのレース、私は早くレースを見たくて仕方がないんです。というのも、乗っている騎手の顔ぶれが非常に個性的かつ魅力的なんですよね。
例えばビッグゴールドに騎乗する徳留康豊騎手は名古屋−高知−金沢と移籍しながら30年間、それぞれの地でトップジョッキーを張ってきた大ベテラン。コアレスハンターの御神本訓史騎手は『日本で一番小さい競馬場』と呼ばれた益田競馬場でのデビューして、益田廃止に伴って大井に移籍しました。シノブホマレに騎乗する岩手の板垣吉則騎手も上山競馬から岩手に移籍した騎手ですよね。川原正一騎手や安藤勝己騎手・岩田康誠騎手はもういうまでもないでしょう。
彼らのような“最初にデビューした土地を離れて新しい場所でがんばっている”騎手がこれだけ集まって、それもこの岩手の地で争う・戦う、というのが妙に嬉しいですね。
もちろん、あの武豊騎手もいますし、岩手からもTOP2、菅原勲騎手と小林俊彦騎手が迎え撃ちます。今年のマーキュリーカップ、馬の戦いももちろんですが、それ以上に人間の戦い・騎手の戦いが興味深いのではないでしょうか。
個人的には、今回は、武豊騎手よりは徳留騎手だなあ。“見てみたい度”でいうと。
さて、予想に行きましょう。マーキュリーカップの私の本命は牝馬のグラッブユアハートです。
私がこの馬を初めて見たのは、3年前の金沢・サラブレッドチャレンジCでした。安藤勝己騎手を背に逃げまくるタマモリッチを追い、レマーズガールと、そしてグラッブユアハートが猛然と追い上げたレース。結果は優勝タマモリッチ、2着レマーズガール、3着グラッブユアハートとなりましたが、この時の彼女の脚はいかにも盛岡向きに思え、それ以来ずっと盛岡に来てくれる日を待っていました。それがいよいよ来てくれたわけですから、これを本命にしないわけにはいきません。
グラッブユアハートは牝馬ダートグレードを中心にG35勝を挙げており、その距離の内訳は1600m2勝・1800m2勝・2100m1勝。しかしこれは牝馬ダートグレードにマイル戦が多いからというだけで、この馬の本来の適性は中距離戦、それも瞬発力の活きる軽いコースにあるのではないかと思います。そして、平坦コースだと前が止まらず捉まえきれないきらいがあるので坂があったりすればなお良し。そう、盛岡こそこの馬の持ち味が最大限に発揮されるコースなのではないでしょうか。気になるのは牡馬との力関係ですが、これは昨年の白山大賞典優勝の実績で十分クリアできるでしょう。
対抗は、ちょっとひねってビッグゴールドでいかがでしょう。JRA6勝、うちG3を1勝。そして昨年の天皇賞(春)では14番人気ながら2着に飛び込んで大波乱を演出。実績的には問題ないですし、ダート適性も金沢移籍2戦で証明しました。左回りもむしろ得意そうな点が魅力です。
レマーズガールも今回の条件で面白い一頭。昨年までほどの勢いには欠けるとはいえ、なにせ重賞7勝の女傑。スムーズに流れに乗れる展開になればしっかり末脚を発揮してくるでしょう。
本来なら本命に推したいスターキングマンですが、3月以来、それもドバイ遠征からの久々という点がどうしても気がかり。状態面は特に問題ない模様ですけれど、元々休み明けは走らないタイプでもあり・・・。今回は鞍上に期待というところで押さえまで。スナークレイアースも、マーキュリーカップとは抜群の相性を誇りますが、今年は例年に比べやや苦しいローテーションで、こちらも押さえまでの評価が妥当でしょう。
もう一頭、忘れちゃならない岩手のエアウィード。この馬、結局走るか走らないかは本人の気持ち次第で、スイッチが入ればシアンモア記念のように強いレースを見せるし、入らないと前走のように凡走してしまうんですね。スイッチが入ってしまえば、昨年のこのレースのように粘り強い走りを見せてくれそうな気がします。
買い目は7枠12番グラッブユアハートから2、3、6、9、14へ。馬複だとトリガミになりそうなので馬単か3連単。当日の馬体重等を見る余裕があるのでしたら、この中からもう少し絞っていきたいところ。
岩手競馬ではこのレースを皮切りに、8月・クラスターカップG3、9月ダービーグランプリG1、10月南部杯G1と4ヶ月連続でダートグレード競走が行われます。その最初のレース、しっかり当てて弾みをつけたいですね。
16日メインはオープン牝馬による「第6回エレガンスカップ」(盛岡ダート1600m)。このエレガンスカップ、フェアリーカップ(9月9日 水沢1600m)は10月8日、盛岡ダート1800mを舞台に行われる牝馬全国地方競馬交流「第32回ビューチフル・ドリーマーカップ」へとつながる牝馬ヴィクトリーロード。
今回、オープン戦にふさわしくA1級からB3級までのメンバーがそろったが、A1級馬が56キロ、B1以下が54キロのハンデならタカエイチフジ、グローリサンディの2頭優位は動かし難い。
主軸にタカエイチフジを指名する。岩手デビューで2戦目に初勝利をマーク後、園田へ移籍。そこでも5戦4勝の好成績を残して南関東入りして5勝、B2まで上り詰めた。しかし昨年10月以降は白星に恵まれず、今年6月に岩手へ里帰りした。
その初戦となった6月5日、A1エクセレント競走。牡馬相手に加え、転入前の成績が平凡だったこともあって6番人気と評価は低かったが、それを跳ね返して2着。後方待機策から直線勝負に出てマツリダブロッコとマッチレースを演じた。
続く2戦目6月19日、エクセレント競走では一転して逃げの手。直線でローランボスコに交わされたが、2着を死守した。ローランボスコと言えば水沢の鬼で知られ、今年のまんさく賞、昨年のすずらん賞と特別で2勝をマークした強豪。この一戦で評価が一気に上がった。そして7月1日のエクセレント競走は2番手追走から4角先頭。最後はブラーボウッズに捕らえられてしまったが、これまた2着として3戦連続2着。
これら一連のレース内容は牡馬一線級が相手で中身が非常に濃く、牝馬限定の今回はいかにも勝って下さいのメンバーとなった。
逆転首位まで可能なのがグローリサンディだ。3歳時に旭川で重賞2勝、水沢、笠松でそれぞれ重賞1勝。また昨年も牡馬を相手に桂樹杯(芝)、白嶺賞を快勝し、牝馬特別・フェアリーカップと特別3勝をマーク。みちのくグランプリ2005最優秀牝馬にも選出された。
今シーズンは5月22日、盛岡1800m戦の2着1回以外は凡走を繰り返しているが、これは逃げ馬の宿命。メンバーも手頃となった今回、競りかける馬も不在でマイペースの逃げ切りも十分に考えられる。
このオープン在籍2頭に割って入ろうとしているのがミススズラン。中央2戦未勝利から岩手入りし、着外に沈んだのはわずか4度という堅実派で鳴らしている。昨年もこのエレガンスカップにB3から強気の挑戦を試みてトーホウガイアの0・8秒差4着に健闘した。今シーズンは調子を落とした時期もあったが、ここ2戦は4、2着にまとめて再度上昇ムード。上位2頭と2キロのハンデ差を生かして上位争いを演じてくれるだろう。
他ではB2を勝ち上がったばかりだが、盛岡2戦1勝2着1回フラワークイーン、前回快勝で弾みがついたカプリコルノを押さえたい。
3連単は9を1着固定に4、2を2着折り返し、3着に6、8
馬複は4−9、2−9、6−9、8−9
<お奨めの1頭>
11レース ニホンピロゼン
前回、ハセノコンドルの2着に敗れて自身の連勝が4でストップしたが、その時のメンバーは将来のオープン候補生ともっぱらの評価だった。ここは仕切り直しといきたい
7月12日、大井競馬場で行われたG?・第8回ジャパンダートダービーの取材に行ってきた。このレースには『ダービーWeek』の最終戦となった「岩手ダービー ダイヤモンドカップ」(6月11日、水沢1600m)優勝で得た優先出走権を行使して、オウシュウクラウン(盛岡・桜田浩三厩舎)も岩手から参戦した。
ローテーションのきつさ、長距離輸送、相手が大幅強化などの不安要素が多かったオウシュウクラウンだったが、それらのハンデを克服。地方最先着となる3着に健闘した。
レースはサンキューウィンが逃げ、2番手にバンブーエール、その直後に2番人気フレンドシップ。それら5頭が先陣グループを形成し、そこから馬群が切れてオウシュウクラウンがうまくインに入れる。
そのオウシュウクラウンは前をじっくり見ながら3コーナーから徐々にスパート。一瞬だけ失速した馬が壁になるシーンもあったが、小林騎手がうまく外に持ち出す。直線を向いて先に内田博幸騎手騎乗のフレンドシップが抜け出し、オウシュウクラウンがじわじわと接近を試みたが、1馬身半差、3/4馬身差3着と7番人気の低評価を見事に覆した。
「14番枠だったのでどうかなと思ったけど、馬群がバラけたのでうまく内にもぐり込ませることができた。初コースで物見したのも良かったのか、道中も折り合いもつきましたし、4コーナーでも外に出せたんですが、最後は力の差でしょうね。でもこのメンバーで3着なら健闘したと言っていいと思います」と小林俊彦騎手。
今後は地元G?・ダービーグランプリ(9月18日 盛岡ダート2000m)を最大目標に置くと桜田浩三調教師。岩手勢がG?での善戦は久々のことだけに、期待は膨らむばかりだ。まずはオウシュウクラウンに、お疲れ様でしたと労をねぎらいたい。
さて本題。15日メインはオープン特別・桂樹杯トライアル「第6回ふみづき賞」。この一戦はA2級馬による芝1600m戦、芝適性組と好調馬組の激突がテーマとなり、それぞれが一長一短。ちょっと難解な一戦となった。
しかし有力馬は絞ることができる。芝適性組みではダイヤモンドヒカリとタイキインフェルノの2頭。一方、好調組では今季7戦3勝2着3回と抜群の連対率を誇っているブルーオスカー。その中間点に今季1勝3着2回のセイビンググレースがいる感じだ。
軸は芝適性を重視してダイヤモンドヒカリで勝負してみよう。過去、盛岡芝は<8.1.3.8>で通算8勝はおそらく盛岡芝の最多勝。それほど相性がいいのだが、今季はA2芝特別・FM岩手杯で0・5秒差6着。絶好の2番手を追走したのだが、直線で伸びを欠いてやや不満の残るレース内容だった。続く6月3日、オープン・かきつばた賞もヤマヨダイナミックの0・8秒差5着。名うての盛岡芝の鬼にも陰りが見え始めてきた。しかし、その後は水沢戦を自重し、このふみづき賞1本に絞って調整。復活に意欲満々、満を持しての出走となった。それに賭けてみたい。
相手にはセイビンググレースを指名。芝は中央時代、小倉未勝利戦で1勝(芝1200m)。そして岩手転入後も3走前・FM岩手杯0・1秒差3着、前々走・フレンドリーカップ・カシオペア賞で0・4秒差5着と絶対とは言わないが、芝でもソコソコの結果を出している。岩手の2勝はいずれもダート戦(水沢)で、前回9着も若干気になるが、その時は流れが合わなかったと解釈。状態は決して悪くはなかった。今後の路線を考える意味でもこのレースが正念場といっていいだろう。
一方、好調組ではブルーオスカーが抜けている。先にも記したが、今シーズン<3.3.0.1>と絶好調。これまで盛岡戦は苦手と見られていたが、今季は3戦1勝2着2回と目下の充実ぶりを如実に示す結果を出している。ただ懸念材料は芝。2歳新馬戦で3着にまとめたものの、以降の芝は02年、3歳重賞ウイナーC9着、03年、B2三陸リアス特別12着、04年、B1八幡平特別12着とまったく精彩を欠いている。とはいっても好調時にはアッサリ克服できることは良くあること。芝1600mで絶好の1枠を引き当てたのも後押しするかもしれない。
以下は年齢的な衰えは隠せないが、3年前には重賞せきれい賞、OROカップで2着にも入ったことがある格上馬タイキインフェルノ、今回、A1からA2へ降格したユーワプロトスあたりが連下となるだろう。
3連単は1着固定で5。2、3着折り返しで2、1。3着に9、1まで
馬複は2−5、1−5、5−9、3−5
<お奨めの1頭>
9レース ナムラジーガー
中央5勝は1000〜1400mと短距離ダートのスペシャリストだったが、このタイプは地方なら1800mも楽々こなす。初戦6着の分もまとめて
いや〜、暑くなってきました。夏ですね。
とはいえ、みちのく岩手の梅雨明けはまだまだ先ですが、とりあえずは夏。です。
よく「東北は雪が多くて大変。よくあんなところに住むね」という“都会人”の方がいますよね。でもその分、夏は体温を超えるほど暑くなる事もないし、南の方は南の方で毎年どこかで台風の被害があったりなんかして、私としては全国どこでも良いところもあれば悪いところもある、結局は同じだなあと思うのですが。
<<九州沖縄方面の大雨被害にあわれた方々には、心よりお見舞い申し上げます>>
というわけで夏本番の皮切りに、来週は盛岡競馬場でマーキュリーカップがあります。このレースは岩手で4つある統一グレードレースの第1弾。過去にはあのメイセイオペラが中央・他地区からの遠征馬をぶっちぎって優勝し、全国制覇へ名乗りをあげたレースでもあります。しかし、その98年以外の8回はすべてJRA馬に勝ちをさらわれており、岩手贔屓、地方贔屓の私としてはちと面白くない結果でもあるのです。
今年も中央勢は強力なグレードホースを揃えてきていますが、なんとか地方馬にも頑張って欲しいですね。
それから開催場が第4回を境に、水沢から盛岡に移っているのもマーキュリーカップの歴史上、見逃せない点。確かにコース幅が広くコーナーは緩く、スタート後とゴール前に長い直線があるオーロは、出走各馬の本当の力が問われるという点で統一グレードの舞台としてふさわしいもの。(詳しくは岩手競馬HPスペシャルサイトへどうぞ)しかし、「ひとつぐらいは水沢に」との声があるのもわかります。ここからダイレクトに繋がるGI、GIIの上位レースもありませんし、ここはいかにも地方らしい水沢競馬場を舞台にして、地方色いっぱいにレースの雰囲気をプロデュースするというのも楽しいかもしれません。