4月16日、水沢競馬第8レース、A2級戦で初の百万円台を軽く突破する3連単173万540円の岩手競馬史上最高配当を記録した。
レースは1着に半年ぶりの実戦となったサンシャインへイロ(5番人気)、2着にセンターソアー(6番人気)、3着にダンスブリッジ(3番人気)が入り、的中票数は2票。
水沢競馬場、テレトラック十和田の2ヵ所でそれぞれ1票ずつの購入だった。
それで弾みがついた訳でもないだろうが、第10レース・まんさく賞でも10番人気のローランボスコが優勝し、こちらは3連単86万2520円(的中本数は7本)となり、8レースに次ぐ史上2位の高配当を記録した。
これまでの過去最高の払い戻し金額は平成13年6月18日の馬単54万1190円で、今回は一気に3倍以上も記録更新したことになる。
開幕2週目で早くもミリオン馬券が飛び出した岩手競馬。次週以降、さらに記録更新があるのか、その点でも興味がつきなくなった。
さて今週から新企画<次走へのメモ>をスタートします。
内容は前週メインを中心にレースを回顧。さらには次走以降の馬券作戦の参考になれば…と思っています。
<次走へのメモ>
4月16日、まんさく賞
1着 ローランボスコ
「調教師の指示どおり」(南郷騎手)3番手外めを追走。後続にいた有力各馬がスパートしたのを見て3コーナー過ぎから早めに先頭。この作戦がズバリと当たり、後方であえぐ有力馬を尻目に2馬身差の完勝。昨年8月、すずらん賞に続く2つめの特別タイトルを手にした。
まだ冬毛が残り、必ずしも万全と言い難かったローランボスコだったが、今回の勝因は揉まれない展開が好を奏したこと。自身のマイル適性ぶりを発揮したことの2点。今後も水沢、盛岡を問わずマイルでは目が離せない存在となるだろう。
2着 タイキシェンロン
中団5番手は想定どおりのポジション。3コーナー手前から動くのもいつものパターンだったが、反応がひと息。パドックで馬体印象は悪くなかった。いや、むしろメンバーの中でも1、2番だと思ったが、レース後、菅原勲騎手「気合いが足りなかったかも」とコメント。次走の変わり身に期待したい。
3着 レストオブセール
ほぼ最後方からの競馬。向正面、インを突いてスルスル伸び、直線ではタイキシェンロンに肉薄。今回は小回り、距離不足だった印象で盛岡、そして距離が延びればさらに真価を発揮しそう。いずれ岩手オープンで通用を証明した。
5着 エアウィード
タイキシェンロンの直後につけ、3コーナーからまくりをかけたが、いつものシャープさが見られず。敗因は2走ボケか、まだ判別つかない。もう一戦を見ないことには…。
6着 マツリダパレス
馬体は仕上がっていたが、歩様がもう一つ。元々がそういうタイプだが、今回は顕著。このひと叩きでどう変わってくるか。
9着 マンボツイスト
プラス24?の馬体重が示すとおり、明らかに太め。JBCスプリントを使って放牧に出て、今回が復帰初戦。年齢が年齢だけに、実戦を使いながら徐々に立て直しを図るのでは。
*ブラーボウッズは挫石のため出走取り消し
(文・松尾康司/写真・佐藤到)
目には青葉山ホトトギス初鰹。そんな季節ももう目の前に来ました。桜の花が咲くのももうそろそろ。岩手もようやく春本番です。
そんな季節に行われる新緑賞ですが、このレース、のどかな名前のわりには荒れるんですよね。3年前はニッショウウララ−ジョープロテクターで決まって馬単62,780円。5年前はツルギマンテン−グッドマイスターで決まって、何と馬単203,260円の大波乱となりました。
最近では20万馬券と言ってもさほど珍しくもないですが当時は相当に驚かされましたし、それにメインレースでここまで荒れる事はやはり珍しい事。この新緑賞というレースが開幕後それほど間がなく行われ、かつ、能力を秘めた昇級馬・降級馬がぶつかり合うB3級という条件ゆえに、ふとしたきっかけで手も付けられないような荒れ方をするのでしょうね。
そんな前ふりから入ると、これから予想をしていく自分の首を絞めるような気がしますけど、ここはひとまず話を進めましょう。
このレースでお奨めするのは10番ハハノササヤキです。昨シーズンの11月に岩手に転入、その後8戦4勝2着2回3着2回と堅実な成績を残していますが、実際の走りはその成績以上に安定感があってまだ底を見せた感じがありません。1600m戦も経験しており、そこで今季B1級のシラバスと接戦を演じていますから、B3級なら十分通用する勘定です。
対抗格はトウカイタイトル。昨シーズンA2級で2勝を挙げている馬が降級してB3級は、あまりにも恵まれた感があります。楽に先手を取れれば当然首位まで。いわゆる“格の違い”を見せつけるかもしれません。
前走勝っているガッサンダンディーやチュードスラッガーには1600mは距離が少し長い。となるとマキバサウザンドあたりが浮上してくるのでは。距離は苦にしないし、揉まれると持ち味が出ない馬なので外枠も好都合といえます。
はじめに「新緑賞は荒れるレース」と書きましたが、この4年間は大荒れ−堅い−中荒れ−堅いと交互にやってきているんですよね。となると、今年はやはり荒れる順番という事に・・・?いや、ハハノササヤキが決めてくれるでしょう。
買い目は10番頭で相手は7と12。3連勝なら3と5を絡めて、できればボックスで手広く。
◆お奨めこの1頭
11R12番ハツネスキップラブ。B3からA2にジャンプアップした前走、手堅く3着にまとめてクラス通用を宣言しました。小柄だけどしぶといレースをするこの馬は買い!
岩手オープン馬の第一弾を飾る特別は毎年恒例の「第7回まんさく賞」(水沢1600m)。このレースは重賞・シアンモア記念のトライアル戦で、今年の古馬戦線を意味でも重要な一戦となる。
昨年は3年連続で岩手の年度代表馬に輝いたトニージェントが優勝。2着にはマンボツイストが入ったが、そのトニージェントは始動が遅れ、戦列復帰は5月以降にずれ込みそうだ。
中心はタイキシェンロンで動かないだろう。過去、水沢1600mはシアンモア記念2連覇などを含めて<5101>。マイルから1800mを最も得意とし、左回りだと道中でモタれ気味(外に行きたがる)となるだけに、今回の右回りがベストの条件。
昨年度は南関東へ移籍し、船橋代表でシアンモア記念を制覇するなど、これまで重賞7勝をマークしているが、すべて岩手競馬であげたもの。その相性のよさから昨秋、再度転入し、再び快進撃。重賞・早池峰賞、トウケイニセイ記念を合わせて5戦4勝3着1回の好成績を残し、シーズンを終えた。
大型馬だが仕上がりに手間取らないタイプ。事実、一昨年のまんさく賞でも快勝劇を演じており、ここは信頼の軸と言える。
逆転筆頭格はエアウィード。3歳時までは伸び悩んでいたが、年を重ねるごとに地力アップ。昨年、秘める素質が全面開花して青藍賞、北上川大賞典の2重賞を制し、G?・マーキュリーカップでも地方最先着となる4着に健闘するまでに到った。
その後、南関東へ殴り込みをかけ、結果は出せなかったが、帰郷初戦のトウケイニセイ記念で3着。また前走(3月26日)も余裕の直線抜け出しを決めた。
今回はマイルとコース適性からタイキシェンロンを優位に採ったが、エアウィードがアッサリ勝つシーンまで考えて不思議はない。
中央在籍時ダート5勝、1600万下から転入したブラーボウッズ(馬体故障のため出走取消)も怖い存在だ。岩手初戦の前走、初コース、太め残りの不利がありながらエアウィードの0・1秒差2着にまとめた。
カギを握る1頭、昨年度の年度代表馬マツリダパレスは中間の動きがもう一つ。本来なら本命視まであるのだが、今回は抑え程度に落ち着き、ならば古豪マンボツイスト、トキオパーフェクトの格を優先した方が無難かもしれない。
3連単はタイキシェンロン、エアウィードの1、2着折り返しで
3⇔5から11、12、4、6へ流し
馬複は
3−5、3−11、3−12、3−4
お奨めの1頭
5レース ターフグレード
笠松A級からの転入で、最下級C3級格付け。相手に恵まれた初戦(4月9日)は好位追走からアッサリ直線抜け出して快勝。そのレース内容からもう一丁いける。
今回からこのブログが「テシオブログ」という形にリニューアルされた。読んで下さっていた皆さんは、突然トップのバナーに変な3人集が現れてびっくりされたかと思う。
どうせだから改めて紹介させていただけば、左がよこてん、真ん中が私・松尾、右が佐藤。心機一転、この3人が「テシオ」の看板を背負いながら走りますので、これからもよろしくお願いします。
さあ、予想に行こう。
遅ればせながら、岩手競馬でも4月8日から3連勝式馬券(3連複、3連単)が導入されたが、やはりその効果は絶大だった。
さっそく開幕初日(4月8日)、第1レースで3連複2万9470円の万馬券が飛び出し、3連単が始まった(後半5レース)第7レースでは、その3連単2万80円。それらを合わせて計10本の万馬券が出た。
しかし3連勝が爆発したのは10日、月曜日。最終11レースで馬単2万1570円、3連複1万7990円。そして3連単10万円台を突破する12万7010円の高配当が出た(もちろん他の競馬場に比べれば可愛いものだが)。また同日メイン・焼石岳特別でも3連単9万8810円が出るなど計11本の万馬券オンパレード。
また3日間合計でも25本の万馬券が飛び出し、昨年開催週(4月2日〜4日)の11本を大きく上回った。少額投資で大きな馬券をゲットすることが馬券ファンならずともの夢で、3連勝式こそがインターネット向きの馬券。この勢いで百万馬券が早く出ないものかとワクワクしている。
さて15日(土)のメインはA2級馬による1800m「第16回はまゆり賞」。中心にスピードパンチを推す。前走A2平場戦では3番手をキープし、スローペースの流れと見るや、2コーナー過ぎに先頭。そのままゴールまで押し切る強い内容で完勝した。
今回の舞台も同じ水沢1800mならシーズンをまたいで3連勝を飾り、A級入りへの手土産(てみやげ)戦にしたい。
逆転首位を狙うのがスウィープザボード。2歳時に重賞・南部駒賞を勝った実力馬で、GI・全日本2歳優駿に挑戦して6着。
ところが3歳以降は伸び悩み、ずっとスランプ状態が続いていた。そこからようやく立ち直ったのが昨シーズンで、しかも今季はA1級からA2級へ降格。案の定、前走は中団から鮮やかに抜け出し、幸先のいいスタートを切った。
この2頭に割って入るのが佐賀競馬から再転入初戦のゲイリーエクシード。その佐賀では4、2、3、4着と未勝利に終わったが、中央5勝から岩手にトレードされた時は4戦2勝2着1回。その2着はオープン特別・白嶺賞でマークしたものでこのメンバーなら格上位と見て間違いない。
以下は前回、馬群を割って快勝タガジョーヴェルデ、水沢の鬼タイカンホープ、絶好枠1枠に入った ミススズランあたり。
3連単は6、10、2の3頭をボックス買い。押さえに6、10の1、2着固定から2、7、8、1へ流し
馬複は6−10、2−6、2−10、6−8、6−7
(文/松尾康司)
JRA桜花賞が終わりました。優勝は…という話はここではしません。しかし毎年のことながらこの時期、阪神の桜はキレイですね。聞けば東京ではもう桜は散り始めているとか。
こちら北国・岩手では、桜の花はまだ固いつぼみの中で外の様子をうかがっています。それでもだいぶつぼみはふくらんでおり、ここ数日の寒の戻りがやわらげば、季節は一気に歩みを早めるのではないでしょうか。
桜といえば、実は水沢競馬場は隠れた桜の名所となっています。桜があるのはコースを挟んでスタンドの反対側。北上川堤防との間に2列、一部は3列になって、約150本のソメイヨシノが向正面いっぱいに続いています。
走路とは少し離れていますので、桜舞い散る中をサラブレッドが疾走、というわけにはいかないのですが、それでも内馬場にある公園から観戦すると、いっぱいに咲き誇る桜を背景に馬群が駆け抜けるというアングルを楽しむことができます。
ここが桜の名所として観光案内されないのは、通常この場所が立ち入り禁止になっているから。競馬場の敷地内であり、ましてレース時には人がいれば馬が驚いてしまうことも考えられるので当然なのですが、他の県内お花見スポットにも見劣りしないほど圧巻の桜並木が遠くからしか眺められないのはもったいない。
そこで岩手県競馬組合も粋な計らいをしまして、一昨年からは期間限定で桜並木の開放を行っています。もちろん傍らでは競走馬たちが真剣勝負を繰り広げていますのでカラオケや酒宴はご遠慮願っていますが、そのかわり県馬術連盟や愛馬の会などが中心となって乗馬体験や馬車運行などが催され、市民の穴場的お花見スポットとなっています。(※)
ところで、関東以南のみなさまは桜というとどんなイメージでしょうか。全国的には、年度変わりの出会いや別れの時期に結びついた印象が多いようですね。実際、TVCMでも桜の木の下に新1年生というのを毎年流しますし、歌の世界でもそうです。
しかしここ岩手では、桜といえば4月末。しかも何年かに一度は決まって「咲いた桜の花に雪が積もる」というシーンを鑑賞することが出来ます。小さな島国と言われる日本ですが、本当に多様な気候がみられるものですね。
そういえば北海道に暮らす作家・倉本聰氏の著作の中で、「例えば南海上から日本へ接近する台風をテレビは克明に伝える。しかし台風が東京を過ぎるとテレビは突然明るさを取り戻し、こっち(北海道)を直撃しつつあっても『台風は北へ去りました』などと云う。台風が来るたびに、いつも疎外された気分を味わう」という一文を読んだことがあります。確かに現代はテレビだけでなく、いろんなことが東京中心に動いています。しかし少なくとも私たち“地方”競馬のファンは、中央以外に目を向けている人間のはず。インターネットによって中央と地方の距離が縮まっている時代でもありますし、地方の良さ、ローカルの力を主張していきましょう。
※本年度の水沢競馬場桜並木開放については、この原稿を書いている段階では詳細が決定していません。ご来場の際は岩手県競馬組合の発表をご確認下さい。
(文/テシオ・佐藤到)