この3年ほど、春の開幕直後に行われている焼石岳特別。比較的人気通りに決まり、堅い印象のあるレースなのですが、今年は少々状況が異なっています。
それは、今年は3月下旬に「施設改善特別競馬」が実施され、出走馬のほとんどがそこを経てやって来ている点がまず一つ。そしてもう一つは、前走でほとんどが掲示板圏内に好走し、勢いの良さをアピールしつつこのレースに望んでいるという点。
昨年のこのレースは1着サンライトサンデー、2着チャットルーム、3着グレートジャスパーと、ほぼ前シーズンのクラスが上だった馬が上位を占める結果に終わりましたが、今年はそれほど簡単にはいかないでしょう。
では前走から今回のレースへ、キーポイントになるファクターがないのか、といえばそんな事はありません。それは前走の距離と、今回のマイル戦との、それぞれの適性の差です。前走1400m戦や1800m戦がベストの距離で勝った馬、逆にそれでは少し短い、もしくは長かった馬。それを考えていけば有力馬を選び出せるはずです。
ということで主役に抜擢するのはユウワンテイオー。前走は1番人気に支持されたにもかかわらず4着に敗退。しかしそれは1400mという距離が大きく影響したもので、マイル戦ではオープンでも僅差に追い込んできているように、距離延長は明らかに有利です。ここは先行馬も多く、この馬にもってこいのハイペースも期待できるでしょう。
対抗格はハセノハンター。前走は1800m戦に加え休み明けのプラス体重で失速気味でしたが、やはりこの馬はマイルあたりの方が良さが出そうです。近走は安定度を欠いていますが本来は堅実な馬でもあります。
以上、マイルで良さが出そうな馬を押さえた上で、マイルはいくらか距離が長そうですが近走の逃げっぷりがすがすがしいバブルガムトミー、そしてスプリンター色の強い血統と実績ながら、前走は好調ぶりを遺憾なくアピール、見事な走りを見せたヒカリボラゾンを。
馬単11→2,4,12、3連単なら11を頭に2,4,12のBOX。
◆お奨めこの1頭
11R6番ミカダンディー。ここは強いライバルが揃いましたが、1400m戦という条件を考えればこの馬の適性が上と見ます。軽いコースになればなお強気で。
(文/テシオ 横川典視)
JRAではクラシック第一弾「第66回桜花賞」が阪神競馬場で行われるが、岩手でもそれに合わせるかのように、9日(日)メインは3歳牝馬による「第6回菜の花賞」、水沢1600m戦。
このレース1、2着馬には4月29日、今シーズン第一弾の重賞・留守杯日高賞(3歳牝馬オープン)への優先出走権が与えられる。
毎年のように悩まされるのが有力各馬の成長度合い。一冬を越していきなり成長を遂げる馬がいたり、2歳で成長がストップする馬もいる。しかもこの時期は発情期を迎える牝馬もいたりして難解さに輪をかける。
今回のメンバーを改めて見渡して、正直ウーンと頭を捻ってしまった。ここでは間違いなく格上の存在であるマツリダアーティスのダート適性を掴みかねているからだ。
昨年9月、芝の全国交流・テシオ杯ジュニアグランプリ(盛岡)で全国の強豪相手に軽く一蹴して見事優勝。そして冬期間はJRAに2度挑戦を試み、中山・菜の花賞0・9秒差7着、G?・フラワーカップはキストゥへヴンの1・1秒差9着。この実績をもってすれば今回のメンバーなら断然の人気を背負っていいはずだが、水沢ダート1600m寒菊賞で何と10・2秒差の大差しんがり負けを喫しているのだ。
ダートを使ったのはその一度っきり。本来なら3月に実戦を経験しているのも強みとなるはずだが、ダート適性が微妙。そんな訳でマツリダアーティスをすんなり本命に指名できないのだ。結論は単穴に落ち着く。
で、主軸に推すのはゴールデンパンジーとなる。昨シーズンまでダート戦<2501>(左から1、2、3、4着以下)と抜群の安定感を誇り、重賞・白菊賞でもサイレントエクセルの2着に食い込んだ実績も光る。ダート適性は父パークリージェント、母父ノノアルコの血統でも裏付けており、本命視が妥当だろう。
逆転筆頭はムーンプライド。ハイレベルほっかいどう競馬から昨年12月、岩手に転入し2戦1勝2着1回。通算成績でも<3411>と依然、底を見せていないのも魅力だ。一気に牝馬の頂点に立つか。
もちろん前記マツリダアーティスはあっさりのシーンまで考えられ、昨年終盤にスランプから立ち直ったパワフルビクトリも主力圏内に位置する。他に小柄な牝馬で仕上がり早いモエレタキシードも軽視できないだろう。
3連単はゴールデンパンジーを1着に固定。ムーンプライド、マツリダアーティスにぶつけ、押さえにパワフルビクトリ、モエレタキシード。
3→9→6、3→6→9、3→9→8、3→9→12、3→6→8、3→6→12
馬複は3−9、3−6、3−8、3−12
お奨めの1頭
2レース タイキファスト
岩手で通算6勝をマークし、冬期間は東海へトレード。今回が再転入初戦となるが、なんと最下級C3級へ格付け。ここでは役者が違いすぎます。
今シーズンから岩手競馬でも3連勝(3連複は全レース、3連単は後半5レース)が導入される。
これまで岩手の最高配当は平成13年6月18日、1着セイザンパンジー、2着にタカノアピールが入った馬単54万1190円だったが、この記録が破られるのはいずれ時間の問題。
驚愕の1千万馬券とは言わないが、まずは100万円を突破する馬券が飛び出てほしい、とは多くのファンが望んでいることに違いない。
さて8日、開幕を飾るメインは3歳オープン短距離特別「第11回七時雨賞」(水沢ダート1400m)。このレースは昨年まで盛岡ダート1200mを舞台に行われ、第1回サカモトデュラブを皮切りに、メグミウイナー、昨年のセキトシャンハイなど快速自慢が勝ち馬に名を連ねている。
今年は開幕初戦にぶっつけ、1、2着馬には5月14日の3歳重賞・岩鷲賞(盛岡ダート1400m)の優先出走権が与えられる。これは余談だが、岩鷲(がんじゅ)とは岩手の象徴でもある岩手山の別称で5月、頂上付近に残る雪が鷲の形に似ていることからその名がついた。
七時雨賞の主役にブラックショコラを指名する。活躍の場は芝、ダートを問わず7戦3勝2着2回。唯一の着外は11月、JRAに挑戦した一戦のみで岩手に限ればすべて3着以上にまとめている。
とりわけ印象的だったのは1月2日の重賞・金杯で、後方待機策から鮮やかなマクリを決め、クラシックホリデーに続く兄弟制覇を果たした(当時の金杯は明け4歳戦だったが)。
気になるのは馬場状態だが、メンバーを見渡せばハイペース模様になりそうで、よほど前残りの競馬にならなければ金杯の再現濃厚と見ていいだろう。
逆転首位を狙うのは、アラブの女傑ミスハクギンを母に持つダンディキング。折り合い面に課題を残して昨シーズンを終えたが、母譲りの天性のスピードが武器。1400mの距離ならペースかまわず押し切ってしまう可能性も高い。同タイプがどう出て、どうさばくかにも注目してみたい。
以下は8月以来の実戦でも3戦2勝2着1回、仕上げにも手間取らないダンストーンアレス、金杯で逃げて2着に粘ったミステリーゴット、好枠を引き当てたトウショウジャンボを上位に取ってみた。
3連勝導入を祝福して3連単は11←→12の1、2着の裏表から1、10へ。
馬複は11−12、1−11、10−11、1−12
◆お奨めの1頭
9レース、9シラバス。
前回は2着に敗れて岩手の連勝は5でストップしたが、スローの流れに泣いた。その一戦を叩かれて気配もアップし、再び連勝街道を歩む。
全国地方競馬ファンのみなさま、初めまして。フリーカメラマンの佐藤到でございます。
私が競馬の写真を撮るようになったのは1997年、勤めていた写真店を退職しフリーとなった駆け出しの私に、岩手競馬マガジン『テシオ』が創刊になるということで松尾編集長から声をかけていただいたのが始まりでした。以来、生業の中心として岩手競馬の写真を撮り続けて10年目になります。今でこそ毎週々々競馬場に出没しコース脇や発売窓口周辺をうろうろしておりますが、実はわたくし、この仕事を始めるまで競馬というものを見たことがありませんでした。
私がカメラと出会ったのは中学の頃でした。またその一方で幼い頃から生き物が大好きだった私は、次第に動物の写真に惹かれるようになり、いつしかアフリカのサバンナや極地で、野生動物の写真を撮りたいと夢見るようになりました。ところが生来思い切りが悪く、また山にこもって何日もシャッターチャンスを待つような根性にも欠ける私。これまで多く撮影したのは、人里近くに出没するカモシカや、餌付けされたハクチョウなどの冬鳥といったところ。いつしかサバンナの夢は胸の奥に仕舞い込まれていました。ところが運命とは不思議なもので、こんな私のもとに、野生ではないものの競走馬という美しい動物を撮影する機会が飛び込んできたのです。もちろん、二つ返事で私は撮影のオファーを受けたのでした。
こうして私は、それまでほぼ未体験だった競馬場という空間に踏み込むこととなります。
それまで大衆の例にもれず、競馬に対しては「鉄火場的ちょっとコワイおじさんたちがいるぞーなイメージ」しか持っていなかった私ですが、いちどホンモノの競馬を見て、疾走する大型動物の迫力と美しさ、それを操って勝負を演じる騎手のカッコよさに、いっぺんでハマってしまいました。
ところで10年前というと、岩手では新盛岡競馬場が開場して2シーズン目。岩手の怪物トウケイニセイの走りを生で見た経験はなく、かわってメイセイオペラが頭角を現した年になります。これを考えると、もう少し早く競馬に興味を持っていれば伝説のトウケイニセイをこの手でフィルムに収めることが出来たのに、と何時になっても残念に思います。それにメイセイオペラが全国区で活躍した際にも、もう少し腕があがっていて、もうちょっといい写真を残せたのではないかと… うーん、実に悔しいことです。
さて、今でこそ『テシオ』ではカメラマン兼ライターとして、一部の文章を書かせてもらっておりますが、昔から作文は大の苦手で、その上前述のとおり競馬のキャリアもソコソコ。おまけに観察力や記憶力もイマイチな私ですので、競馬の知識でいえば熱心なファンのほうがよっぽど詳しい方が多くいらっしゃると思います。
私としては、スルドイ予想やレース考察は編集長とよこてん氏にお任せして、カメラマンの目にうつった競馬や、競馬に限らず馬の話題、あるいはもっと広げて岩手のいろいろなネタを、全国のみなさんにお届けしていきたいと思っています。おつきあい、よろしくお願いします。
みなさんはじめまして。テシオのよこてんこと、横川です。前回は当誌の編集長が自己紹介をしまして、今回は私の番ということになりました。
さて、私は生まれも育ちも盛岡で・・・と言いたい所なんですが、実は生まれは南国・高知。その後福島・京都と移り住んで、そして現在、みちのく岩手は盛岡で暮らしています。
よく「なんで高知生まれなのに盛岡で競馬の仕事をしてるんですか?」と聞かれるんですけど、その時に高知で生まれて福島、京都と・・・という話をすると、相手が競馬好きな方ならたいてい「ああ!」と納得して下さいます。そう。みんな競馬場のある街なんですよね。
ギャンブルと名のつくものにはいろいろ手を出してみるけれど、結局、競馬が一番好きなのは、やっぱり生まれた時から『競馬場のある街』の空気の中で暮らしてきたせいなのかもしれません。
え、本当の理由はって?それはまあ、秘密という事にしておきましょう。
自分が初めて競馬場に足を踏み入れた日の事、今でもはっきりと覚えています。
最寄り駅から競馬場まで歩いていく間からもう興奮しっぱなし。競馬場の建物が見えたと言えば騒ぎ、パドックだスタンドだと、右を向いては「へぇ〜」左を向いては「へぇ〜」、もう見るものが何もかも珍しいという状態でした。
でも、不思議な事に、その時競馬場で初めて見た生のパドック・生のレースの様子もなんだかはっきり覚えてるんですよね。
その時の私は、素人なりにパドックで「いい!」と思った馬を1頭選び、そこから1番人気以外の人気上位馬に(ああ、昔から穴党なんだこれが・・・最初から道を誤っている)流すという作戦を採りました。
しかし、レースでは当たり前のように1番人気が勝ち、私が狙った馬は10着。勝ち馬はその後オープンまで行った馬ですから、本当は逆らっちゃいけない馬でしたね。
でもまあ、私が買った馬は結局一頭も掲示板に残れないという惨敗でしたけど、それから10何年も経った今でも、そのレースの事は鮮やかに思い出します。こうして書いているだけでも、パドックを周回する私の狙い馬、そのひづめの音が耳に鮮やかに甦ってきます。初めての生のレースは、それだけ私に大きな刺激を残してくれたわけです。
今こうしてオッズパークという新しい舞台に立つと、初めて競馬をした日の新鮮な気分を思い出します。この記事を読んでいただいているみなさんにも同じように、新鮮なドキドキ・ワクワクを感じていただいて、そしてもし、初めてオッズパークにやってきた日がみなさんの忘れられない日になったなら・・・。そんなお手伝いができるよう、がんばります。よろしくお願いします。