8月、西武園競輪場で行われた『オールスター競輪(GI)』のアルテミス賞レースで優勝した石井寛子選手(東京104期)にレースの振り返りと、今後の目標、そして連続でのオッズパーク杯ガールズグランプリへ出場に向けた今後の意気込みをお伺いしました。
山口みのり:アルテミス賞レースの優勝おめでとうございます。
石井寛子選手:ありがとうございます。
山口:レースへ臨む気持ちはいかがでしたか?
石井:西武園競輪場は高校生から使わせてもらっているバンクなので、ひときわ思い入れのあるバンクでした。アルテミス賞レースはファンの方から投票してもらって出られるので、今年も走れるということをとても感謝しながら走りたいレースですし、勝って恩返しがしたいと思っていました。
山口:レースを振り返っていただきます。道中は奥井迪選手(東京106期)の後ろからでしたね。
石井:その位置になるのは想像できていなかったです。スタートでけん制が入り、奥井さんが上がってきて「まさかの奥井さんがS?」とびっくりしました。どうしようか迷っていたんですが、動きのない中で奥井さんがグイグイ踏みあがっていったので、もう私はついていくだけでした。その後は後ろを見ながら、仕掛けどころを迷っていたんです。
山口:そうだったんですね。確かにレースを見るとかなり後ろを見ていますね。
石井:はい。今年、私が負けたレースというのはいずれも「後ろを見るのを忘れた」というのが敗因でした。だから何度か見て、様子を確認していたんです。そうしたら黄色の車番の石井貴子さん(千葉106期)が見えました。そこで被ったりしたくないな、と思いバックストレッチから踏みました。
山口:石井貴子選手の上を梅川風子選手(東京112期)が捲ってきていましたね。
石井:梅川さんには気づいていませんでした。3コーナーで、奥井さん、私、もう一人外にいるなと思ったんですが誰かはわからなかったんです。でもそこからは自分を信じて怯まないように、懸命に踏みました。
山口:追走から捲りにいくのは大変だとお聞きします。後ろからのスピードに負けず踏み勝ったのは強いと思いました。
石井:普段の練習でしてきたことを出したら勝てるから、と言い聞かせながら必死で走っていました。
山口:見事優勝で、ファンの皆様に恩返しができたんですね。
石井:はい、嬉しいです。
山口:次のGIは松戸『オールガールズクラシック(GI)』です。7月には松戸を走って優勝をしていますが、良いイメージで臨めそうですか?
石井:GIの前に走れたのはとても大きいなと思っていました。また練習もたまに松戸でさせてもらっています。松戸は苦手だったんですが、それがちょっとだけなくなったかなと思います。でも前回7月の松戸も初日は2着だったりと勝ち切れていないので、苦手意識はあります。
山口:連続優勝という結果を出しても、苦手意識はあるんですね。
石井:前橋もそうなんですが、なかなかすっきり勝てないので33バンクは苦手意識があるかなと思います。7月の時も、人をあてにせずに自分でやらないとだめだなと思った記憶があります。
山口:今年はGIが新設され6月には『パールカップ(GI)』がありました。(7・6・1)という3日間は振り返っていかがでした?
石井:初めてのGIだしコンディションも整えて、前検日はかなり気合を入れて行ったんですが、体調が悪くなってしまいました。「なんで今日?」とショックで、様子を見ていたんですが、初日の朝には治っていたので走ったら7着、6着と大きい着を取ってしまいました。最終日は何とかしないとと色んなことをして、何とか1着でしたが、正直どうやって1着が取れたかはわからないです。
山口:大変な開催だったんですね。
石井:はい。GIで少しでも体調を崩したら全く戦えないというのがわかりました。
山口:でもその後は完全優勝もあり、7月函館の『ガールズケイリンフェスティバル』では連勝で決勝でしたね。
石井:はい。それくらい自分の中では仕上げて『パールカップ(GI)』にも参加したんですけどね。フェスティバルで仕上がっているのは証明できたのかなと思います。
山口:では『パールカップ(GI)』の大きい着も、次へ向けて頑張ろうと気持ちの切り替えはできましたか?
石井:はい、もちろんです。そこが悪かったので、自分で「次取らないとだめだ」と課して追い込みまくりました。もちろんガールズケイリンフェスティバルも優勝したかったんですが、決勝は体が動かなかったです。
山口:皆さんが最終ホームストレッチで仕掛け合いになりましたね。
石井:そうですね、その仕掛け合いの時に全く動けなかったです。前に吉川美穂さん(和歌山120期)がいて、抜きたかったんですがだめでしたね。脚にきていました。
山口:今年GIが新設されたことで、1年間の流れも変わったのかなと思いますが、石井選手はどう感じますか?
石井:私個人の意見としては、GIは必要がなかったです。今までの形で連続してガールズグランプリに出場できていたので、1年の流れが変わる方が嫌だなと思っています。 ただ、【ガールズケイリン】という大きいくくりで見た場合は、GIの新設は良かったと思います。「今まで見たことがなかったけど、GIだから見てみようかな」というお客さんもいるかもしれないし、今後の発展には繋がる。そして賞金が上がるのも、プロスポーツとしてとても良いですよね。ただ、私は変わって欲しくなかったな(笑)難しいですね。
山口:今年のGIはあと2つです。意気込みはいかがですか?
石井:体調も万全ではない開催もあるかもしれないし、GIはみんなが優勝を目指す大会になります。今の私はGIよりも普段のレースを大切にしたいと思っていて、日々の積み重ねが重要と考えます。そこも今、勝ち切れていない時もあるんですけどね。気を引き締めて臨みたいです。実は・・・。
山口:はい。
石井:今、腰を痛めているんです。9月の頭くらいからなんですが、そういう不安もあって自分で「何やってるんだ私」という気持ちですね。
山口:そうでしたか。松戸まではまだ一走、斡旋が入っていますね。
石井:はい。正規斡旋だし走りたい気持ちがあります。いろんな方に「欠場してGIに備えたら?」と言われます。でもさっきも言いましたが、私は普段の開催が大切だと思っているので、欠場は考えていないです。
山口:石井選手らしいです。
石井:それは良かったです。
山口:でもその普段の開催の積み重ねもあり、賞金ランキングは3位(9月17日現在)です。この位置はどう見ていますか?
石井:本数にもよると思うので、また抜かれたりすると思います。でも一つも欠場ができない状況ですね。最後のGI、11月の『競輪祭女子王座戦(GI)』の前にこの位置にはいたいです。なので松戸もすごく大切になってきます。
山口:『オールガールズクラシック(GI)』は予選→準決勝へは2着までと3着は4人という厳しい勝ち上がりですが、それについてはいかがですか?
石井:そうですね。松戸を苦手と思わずに頑張るしかないです。あとは腰がどうなっているかですね。ガールズケイリンフェスティバルくらい動けると良いですけどね。今年は厄年の最後の年だから、いろんな不安があるんですよね(笑)
山口:ああ!(笑)でも30代の女性はほとんど厄年ですもんね。
石井:そうなんですよ。ずっとだから、何とか耐え抜いていきます。
山口:頑張ってください!先ほど少し話には出ましたが、連続してのガールズグランプリ出場というのは、もう意識はしていますか?
石井:確実に出たいです!今年は立川競輪場で行われるので、地元ですしお客さんにたくさん来てもらって応援をいただきたいです。またきっとテレビ中継もすると思うので、それをモチベーションにして頑張ります。
山口:どのようにして松戸までは過ごしますか?
石井:1日も休まず練習はしっかりしています。松戸もなんですが、その後には鹿児島国体にも出るんです。プロのガールズ選手が出られる大会が今年で最後なんです。鹿児島は行ったことがないので絶対出たいと思っていて、その練習もしています。 腰の不安もあるんですが、自転車に乗っている時は痛くないので練習はできるんですよね。
山口:そうなんですね。
石井:はい。なので練習はハードですね。ケアも、しっかりします。
山口:ありがとうございます。それでは最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。
石井:長年やっていると体調を崩したり、怪我をしたりと、今年は厳しい戦いです。調子の波もあるので、皆さんにはとても迷惑をかけていると思うのですが、何としても立川のグランプリには出たいと思っています。今後も気を抜かずに頑張るので、熱い応援をどうぞよろしくお願いします!
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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2年連続でオッズパーク杯ガールズグランプリに出場し、先日で200勝を達成した尾方真生選手(福岡118期)。近況の振り返りや、ビッグレースに対する気持ちを伺いました。
山口みのり:まずは高知での200勝達成おめでとうございました。
尾方真生選手:ありがとうございました。
山口:意識はしていましたか?
尾方:今年の目標の一つでしたが、走っている時は意識していなくて、お客さんに言われて気づきました。
山口:そうだったんですね。200勝達成を振り返っていかがですか?
尾方:先輩たちには「もう200勝なんだ、早いね!」と言われるのですが、自分では自力を出せたレースもあるんですが、大きいレースではなかなか勝てないのでしっかり練習をしないといけないなと感じます。
山口:ではビッグレースの話もお伺いします。苦戦している、という具体的な部分はどんなところだと感じますか?
尾方:デビューしたばかりの時はすんなり逃げさせてもらえていたので結果も出ていたんですが、最近は逃げようと思ってもなかなか逃げさせてもらえません。仕掛けても「前まで出られないかもしれない」と怖くなってしまい、出しきれないレースが、特にビッグレースで多いです。
山口:ガールズケイリンフェスティバル(函館)ではそんなレースも多かったですね。戦法を変えていくというのは意識しますか?
尾方:私は逃げた方が勝てることが多いとわかっているんですが、そうじゃない時にも勝てるようにしていきたいです。普段のレースから捲りをしていこうと今年は意識しています。
山口:決まり手が、捲りや差しも増えてきてますね。意識しているんですね。
尾方:そうですね。
山口:練習方法も変わってきていますか?
尾方:今年の4月からウェイトトレーニングを始めました。それまでは全くやっていなかったんですが、まだ実感はありませんが徐々にあらわれてくるのかなと思います。
山口:どなたかのすすめだったんですか?
尾方:師匠(藤田剣次選手・福岡85期)のお姉さんにマッサージをしていただいているんですが、その方に「ウェイトをしてみたら?」とすすめてもらいました。師匠も、今はされていないんですが、一時期ウェイトをしていて、「力が入りやすいから良いよ」と聞いていたんです。それでやってみようかなと4月から始めました。
山口:新しい練習メニューを取り入れようと思ったのも、きっかけがあったんですか?
尾方:予選は勝てて決勝まですすめても、決勝で勝てない時期が多かったからです。先輩たちの上りタイムもすごいので、そんな皆さんに勝つためには違うことをやった方が良いのかなと思いました。
山口:近くに強い選手もいらっしゃいますもんね。
尾方:久留米はトップ選手が多いですし、今は人数もかなり増えています。一緒に練習してすごいタイムもみんなが出しているので、もっと頑張らないといけないなと思います。
山口:久留米へ出稽古に行く選手も多いと伺います。
尾方:そうですね。最近は本当にたくさんの方が来られています。藤田さんの指導を求めて来られる方も多いと聞きます。
山口:出稽古に来る選手もいることで、練習のモチベーションも変わりますか?
尾方:はい。いつものメンバーではなく県外から来た選手たちと一緒だと、更に頑張ろうという気になりますね。
山口:ここまで賞金ランキングは4位(2023年9月中旬)ですが、この位置はどう見てますか?
尾方:毎年ギリギリでグランプリに出場できているんですが、今年は余裕を持って決めたいと思っていました。でも現状だとまだギリギリなので、まず松戸の『オールガールズクラシック(GI)』をしっかり頑張れるようにしたいです。
山口:今年の賞金ランキングは接戦ですね。
尾方:そうですね。一走一走が勝負ですし、GIは勝負だと思います。まだ私自身、優勝ができるかの自信はないですが、まずは決勝に乗れるようにしたいです。
山口:オールガールズクラシック(GI)はティアラカップ(特選)からのスタートですから有利ですね。
尾方:そうですね。ギリギリ7番手でティアラカップから走れることになりました。
山口:ティアラカップの選考は、期間内の賞金上位者です。狙っていましたか?
尾方:いえ、全然気にしていませんでした。記者さんに「松戸はティアラカップからですね」と言われて、「ティアラカップって何ですか?」と答えてしまいました(笑)
山口:そうですか(笑)
尾方:それで「特選からスタートですよ」と言われて初めて有利なんだと思いました。ラッキーです。
山口:準決勝へいけるのは有利ですもんね。
尾方:はい。勝ち上がりを見たら、「予選からは1、2着と3着は4名が準決勝へ」とあったので、良かったなと思います。
山口:半年間の頑張りの成果ですもんね。
尾方:はい!良かったです。
山口:尾方選手、松戸は1回しか走ってないですけど覚えていますか?
尾方:うーん、追加で1回走って、(児玉)碧衣さんが優勝したのは覚えているんですが、あんまり感覚は覚えていないです。
山口:33バンクもあんまり走っていないですよね?直近だと2月の前橋(完全優勝)くらい。
尾方:そうですね。もがき出す距離がいつもの400バンクよりは早いと思うので、それは意識したいです。
山口:ティアラカップのメンバーは既に出ていますが、印象はいかがですか?
尾方:すごい強い先輩ばかりなので、しっかり自力を出していきたいと思います。
山口:ティアラカップのメンバーでは今年は児玉碧衣選手(福岡108期)と久米詩選手(静岡116期)がビッグレースを優勝しています。久米選手は今年一気にランキング上位にきましたが、意識はされますか?
尾方:函館のガールズケイリンフェスティバルの時に、自分は全くダメでしたが、詩ちゃんは優勝しました。その後、詩ちゃんに「自信持って走ったら大丈夫だよ」と励ましてもらえました。実は、前からお互いに励まし合っている仲なんです。 今年は詩ちゃんの調子が良く大きいレースも優勝しています。自分もビッグレースを勝てる選手になりたいので、詩ちゃんだけ特別に意識はしないですが、他の先輩たちと同じように、誰にも負けたくない気持ちはあります。
山口:児玉選手については、身近な存在だと思いますが、いかがですか?
尾方:碧衣さんは、今はまだ手が届かないところにいます。それはパールカップ(GI)を優勝した時にも思いました。最近は碧衣さんに「私のこのレースどうでしたか?」と質問して、自分に取り入れられる事は少しでも取り入れようと教えてもらっています。すごく良い姉弟子だし、いつかは追いつきたいと思う選手です。
山口:ではこの後GIが2つありますが、そこへ向けてはいかがでしょう?
尾方:そんなに意識はせずに、自分のレースをやっていきたいです。
山口:ガールズグランプリに向けてはいかがですか?
尾方:自分のレースをしていって、グランプリが決まったら良いですね。3年連続、グランプリを走りたい気持ちはあります。
山口:デビュー翌年からガールズグランプリを走っていますが、今年はGIも新設され一気に様相が変わったと思います。1年の流れも変化したと思いますが、いかがですか?
尾方:GIが3つできて、そこを優勝できたらグランプリ出場です。いつも私は11月の競輪祭トライアルレースの賞金で決めていたんですが、毎年ハラハラして走っていました。それは嫌なので、『競輪祭女子王座決定戦(GI)』に入るまでには、グランプリ出場を決めていたいですね。
山口:そうなると、GI優勝、もしくは賞金ランキング5位以内くらいになるんでしょうか。賞金争いも変わってくるんですね。
尾方:そう思います。
山口:より、オールガールズクラシック(GI)のティアラカップから、というのは有利ですね。
尾方:大きいですね!
山口:では今年のパールカップ(GI)の感想を伺いたいです。
尾方:普段のビッグレースと、私はそこまで雰囲気の違いは感じなかったです。
山口:そうですか。松戸はオールガールズですから、雰囲気は違うかもしれませんね。
尾方:そうですね。去年の平塚での10周年アニバーサリーレースにも走らせてもらったんですが、そっちの方が雰囲気は普段とは全然違いました。
山口:男子がいない開催というのはいかがでしたか?
尾方:宿舎や控室も同期と一緒でした。普段の開催よりも先輩たちともたくさん話せて、私はすごく楽しかったです。
山口:それは良かったです。松戸はGIですからまた違うと思いますが、できるだけレース以外はリラックスできたらいいですね。
尾方:そうですね。
山口:では後半に向けて、どんなことを意識して走りたいですか?
尾方:最近は着を狙う小さいレースになってきているので、もう一回、先行を含めて思い切ったレースをできたら良いなと思います。
山口:ありがとうございます。それでは最後にオッズパーク会員の皆様へ、『オールガールズクラシック(GI)』への意気込みをお願いします。
尾方:特選のティアラカップスタートなので、普段より思い切ったレースができるようにしたいです。これからも自力を出したレースをできるように頑張っていくので応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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現役史上最多900勝という偉業を達成した神山雄一郎選手(栃木61期)。達成の瞬間の意外な気持ち、そして今の自分との向き合い方などお話を伺いました。
大津:900勝おめでとうございます。
神山:ありがとうございます。
大津:少し日が経ちましたが達成されたときのお気持ちをお伺いできますでしょうか。
神山:基本的にはホッとしました。
大津:喜びよりもですか。
神山:そうですね、良かったっていうかやっと出来たかなっていう感じです。
大津:重圧もあったのでしょうか。
神山:自分としてはあまり意識していなかったのですが、周りの人たちがかなり意識をしていたので、それに応えなきゃいけないっていう責任感が出てきて、その中でもなかなか勝てなかったので段々気にするようになってきました。
大津:神山さんとしては「900」という数字にはあまりこだわってはいなかったのですか。
神山:そうです、はい。ただ、やはりファンの方や関係者の方々は強く意識されてましたので競輪場に入った時とかそういう空気は常に感じていました。
大津:リーチをかけてから、なかなか勝てない時の心境というのはどうだったんですか。
神山:勝つのって難しいじゃないですか、9人もしくは7人全員が1着を狙いにいくので。
自分では普段と変わらない感じだとは思ってはいたんですけどね。でも、周りの期待感をとても感じていたので「なんとしても1着を取らなくちゃ。」という気持ちから練習に力が入りすぎてオーバーワークになっていたような気がします。
大津:確かにどこの競輪場でも神山さんの900勝というのは話題になってましたもんね。
神山:その重圧が積み重なってしまって、つい練習をし過ぎちゃいました。
大津:同じラインを組む選手からの神山さんへの思いも凄かったんじゃないですか。
神山:ありがたいことに、かなり気合が入っている選手もいたのですが、僕としては普段通りやってくれたら良いからっていう思いでした。
大津:とはいえ前を走る選手へのお客さんの声援もいつもとは違ったように感じました。
神山:そうですね、そういうのもあったので僕ではない選手もプレッシャーを感じて上手く走れなかったりとかあったと思います。
大津:ここまでお話を伺うと、冒頭のホッとしたってお気持ちに繋がってまいりました。
神山:達成するまでの何か月間は本当にキツかったですね。
大津:900勝を決めた時の周りからの反響は凄かったんじゃないですか。
神山:899勝からの次の1勝が長くて数か月も引っ張っちゃったので、どんどん周りや選手のボルテージも上がってきちゃってそれが良かったのか悪かったのか分かりませんが決めた後の反響はものすごかったですね。
大津:かなり連絡がありましたか。
神山:携帯電話に思い出せないくらい連絡が来てて、それに返信するのが大変でした。
大津:祝勝会とかはあったのですか。
神山:優勝したわけじゃないんで大々的にってのはなかったですけど、4人くらいで集まって一回飲みには行きましたね。
大津:記念品を作る予定はありますか。
神山:いずれ作ろうかなとは思うけど、作るのもタダじゃないから考えるよね(笑)
大津:地元のメディアでも取り上げられていましたね。
神山:宇都宮でのテレビや、宇都宮競輪場での報告会、宇都宮市長からも表彰していただきました。自分ではそこまで凄いことだってのは思ってなかったんですが嬉しかったです。
大津:報告会ではファンからどのような言葉をかけてもらったんですか。
神山:昔は叱咤激励が多かったんですけど、最近では褒められることのほうが多くなってきたんで複雑ですね。僕のことをずっと見てきてくれたファンの方々は僕と同じように年齢を重ねてきてるわけで、みんな歳と共に優しくなっちゃってるんですかね。
大津:勝ったレースと負けたレースでは、どちらが記憶に残ってますか。
神山:名のあるレースで勝てば思い出として残っているし、逆に負ければ悔しくて残っているし、どちらがっていうのはなくて両方覚えてます。
大津:700勝から800勝を達成するまでと、800勝から900勝への道のりは違いましたか。
神山:一番違うのは時間がかかったってことですよね。歳と共に1着を取る回数ってのは少なくなってしまうわけですから。でも、積み重ねてきた数ってのは一緒なので、時間はかかりましたが僕としてはすべて同じように頑張ってきたとは思います。
大津:900勝を達成した直後のインタビューで「練習は噓をつかない。」とお話されていたのが印象的でした。
神山:そうですね、練習の成果がいつ出るか分からないのでそれが一番辛いんですが、でもやっていないと絶対に無理なので、練習を続けるっていうのは自分の中で間違ってないことだと信じています。
答えがないんですよ、練習って。いまやってる練習の成果が明日出るかもしれないし、一年後に出るかもしれない。一年後に出る練習をやったとしても半年でやめちゃったら、その練習が実を結ばない内に引退するようになるんで、だから本当に難しいんです、練習を考えるっていうのは。歳を取ればとるほど、その難しさを実感します。
大津:今、ご自身の身体とどのように向き合ってらっしゃるのですか。
神山:向き合うってほどじゃないですけど、日々を一生懸命に生きてるって感じですかね。
正直言って一生懸命やっても結果が出なかったりするわけじゃないですか。今となってはその状態が何か月も続くわけです。だから、正直やけくそです。やけくそでやってる感じです。
大津:今までだってずっと一生懸命だったわけですもんね。
神山:みんな一生懸命だと思うし、諦めたら終わりなんで。その中で答えを探しながら、自分を痛めつけながらやって、その練習の成果がいつ出るか分からないのに、やり続けないといけないんです。
レース行って「今回も全然成果出ねぇじゃねぇか」って打ちのめされて帰ってきて、また考えて「今度はこういうことやってみよう」って、次の開催に行って、またダメで。良い時なんてホントないです。それの繰り返しで、もう5年も6年も経ってます。
大津:結果が出ないとモチベーションを保つのも難しいように思うのですが、それでも続けられるのは何故ですか。
神山:心のどこかで「オレはまだ出来るはずだ。」って自信があるんです。
出来るって言っても特別競輪で優勝できるとかそういうのではなくて、自分の納得する着を取る走りが出来るはずだって思えるんです。その気持ちが僕の中で消えてないのでやれているんです。
神山雄一郎という競輪選手に僕自身が期待してるんです。もちろんその期待の度合いは昔とは違いますけど、自分が納得する走りや着。まだやれるはずだって思うからやめられないんです。
大津:我々からするとGIでの活躍など、そういう所にフォーカスをあててしまうのですがそういうことではないってことですよね。
神山:そうなんです、たとえ特別競輪の舞台以外だとしても自分自身を納得させられる競技なんです、競輪ってのは。向き合えるんです、自分と。ファンの方は特別競輪での1着も、S級やA級戦での1着も価値は一緒だと思うんです。賭けの対象としてみれば。
だとしたらファンの方が、どんな位置にいようと僕らの1着を求めてくれるんだから「オレも頑張らなきゃいけないよな。」って気持ちになれるんです。極端な話、1着じゃなくても、車券で考えると3着でもお客さんの役には立ちますよね。「神山ってけっこう頑張ってんだから3着には来るんじゃねぇか。」なんていうお客さんがいて、頑張って僕が3着に入ったら喜んでくれる人もいるわけじゃないですか。それを味わいたいっていうのかな。
お客さんの役に立てなくなったなら仕方ないけど、まだやれるはずだって僕は思ってるんです。
大津:失礼な話をして恐縮なのですが、以前までとは神山さんに対するオッズも変わってきていますもんね。
神山:お客さんも大切なお金を賭けてくれるわけですから。その中で、もし僕が1着に来た時にオレを信じて買ってくれた方に大きい配当がいくってのも、僕は魅力として捉えられるんですよ。「オレを信じて買ってくれた人に、オレは万車券を出したぞ!」って。それも大きなモチベーションに繋がるんですよね。
大津:1倍台のオッズもあったと思うのですが、それとはまた違うヤル気に繋がるってことなんですね。
神山:そうですね、正直そこまでの責任感ってのは以前ほどはないけど、でも発送機に着くと変わらず同じ緊張感はあるんですよね。あの緊張感があるので、やっぱりオレはまだやれるんだろうなって思えるのかな。
大津:今の「神山雄一郎選手」のどんな走りをファンに見てもらいたいですか。
神山:どうですかね、ファンの方と僕ら選手では目線が違うと思うので難しいですけど、僕としてはなんとしても3着までに入りたいと思ってるんですよ。1着とは言えないんですが、3着までに入りさえすればオレを買ってくれたファンの人の為に頑張れるんです。今となっては、それも難しいことなんですが。だけど、それでも姿勢を崩さずに見せていきたいなとは思っています。
大津:最後にオッズパークの読者の皆様にメッセージをお願い致します。
神山:またS級で優勝したいです。あとはファンの為に車券に絡めるように日々練習を怠らずやっていきたいと思います。
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※インタビュー / 大津尚之(おおつなおゆき)
ソフトな見た目と裏腹にパワフルで安定感のある重低音ボイスが魅力。
実況、ナレーション、インタビュー、俳優など活躍の場は多岐にわたる。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
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デビュー戦の四日市・ルーキーシリーズで見事優勝を飾った東美月選手(兵庫124期)にお話を伺いました。スケートからの転身ということで、選手を目指したきっかけやここまでの振り返り、今後の目標を聞いてみました。
山口:まずは選手を目指したきっかけは何ですか?
東美月選手:もともと高校までスピードスケートをしていて、大学進学と同時に違うスポーツをやりたいなと思っていました。高校生の時に、親のすすめでガールズサマーキャンプに参加し、自転車に乗るのは楽しかったと思い出して始めました。
その時点ではプロになりたいとは思っていなかったんですが、父が自転車の練習環境を探してくれている中で、通っていた接骨院の先生に師匠の澤田義和選手(兵庫69期)を紹介していただきました。「自転車競技をやろうかな」という軽い気持ちだったんですが、澤田さんと最初に練習させてもらった時に「選手を目指すなら本気でやらなあかんぞ」と言われて流れのままに選手を目指しました(笑)
山口:急展開!(笑)
東:最初にプロの方を紹介していただいたので、そういう流れになりました。でも練習をしていくうちに強くなっていくのが楽しくて一生懸命練習しました。だんだん「好きな自転車を職業にできたら良いな」と思うようになったので、今となっては良かったです。
山口:流れにのったら良い方向へいったんですね(笑)
東:そうですね。流れにのっていきました(笑)ガールズケイリン選手に絶対なる!という強い気持ちもなく、そもそもそこまで自転車、競輪というものを知らなかったので、勢いもありますね。
山口:それがまだ2年ほど前ということですよね。
東:そうですね。大学1年からアマチュアをやり、2年生の年に試験に合格して、3年生で大学を休学して競輪選手養成所に入りました。
山口:澤田選手と出会ってからすごいスピードで動いていったんですね。
東:はい。高校でスケートをやっていて、ぼんやりと「次は何をしようかな、何がしたいだろう」とあやふやだった時があったので、自転車に出会えて「もっと強くなりたい」と思えました。
一般的に大学生の頃は、たくさんの人が「将来何をしたいか、どう働くか」を迷う時ですが、私も明確に何がしたいかと決められない時期に自転車と出会い、競輪選手という職業があると知り、運命を感じたというか、「競輪に挑戦してみよう」と道が開けたのは嬉しかったです。
山口:プロとしてお金が稼げるというのもやってみようと思った理由の一つですか?
東:はい、そうですね。私は自分が普通の会社員をやっているのは想像ができず、スポーツ関係の仕事をやりたいかなと思っていたので、そこでガールズケイリンと出会えて良かったです。
山口:自転車経験のない中の養成所生活はいかがでしたか?
東:とても楽しかったです。兵庫は今ガールズケイリン選手がいなくて、たくさんの女子と一緒に練習する機会はなかったので楽しかったですね。もちろんきついこともありましたが、練習環境が整っていたので充実した1年間でした。
山口:基礎的なことも訓練できたんですね。デビュー戦のルーキーシリーズ・四日市ではいきなり優勝を手にしました。卒業してデビューまでの間はどんな練習をしたんですか?
東:男子選手に追走してダッシュもがき、というのを中心にしていました。アマチュアの時は男子選手と一緒に練習してもついていけなかったんですが、卒業をしてからは兵庫の練習環境に慣れ、男子選手についていけるくらいスピードを上げられるようにを第一の目標にしていました。徐々についていけるようになり、一緒にもがき合えるようになったので成長しているのかなと思います。
山口:デビュー戦・四日市は(3・2・➊)と優勝されました。振り返っていかがでしたか?
東:決勝は車番も良くて位置取りもうまくいったので、最後まで体力を温存できました。力を出すところで出せて、ゴール前で強い竹野百香さん(三重124期)を差せたのは良かったと思います。優勝というのは良い経験になりましたし、「次は自力を出して勝ちたい」という新たな目標が見え、より頑張ろうと思えました。
山口:最後3コーナーからは狭いコースをいきましたね。
東:自分でも「よくあそこにいけたな」と思います(笑)雨が降っていて、前も見えにくかったのに必死でしたね。先輩方にも「よくあんな狭いとこ通ったな」と言われました。
山口:内も外もいて、真ん中の隙間を追い込みでしたね。あのコースいける方はガールズでは少ないと聞きます。
東:はい、ここしかない!と思って踏み、ギリギリを通り抜けられました。
山口:振り返りをありがとうございます。ではルーキーシリーズを終え、本格デビューまで1か月ありました。その間はどう過ごしましたか?
東:1か月あったので、練習に身が入っている時とそうでない時の差がありました。コンディションを整えるのが難しかったですね。
山口:短期目標があった方が練習がしやすいタイプなんですね。
東:7月からはレースが次々とあって、その方が目標がたくさんあるので頑張れる気がします。練習期間は短いですが、レースも一走一走に学びがあるのでもっとたくさん走っていろんな経験をしたいです。
山口:自転車経験が少ない分、実践でもたくさん学びがあるんですね。
東:ルーキーシリーズと本格デビュー後でレース展開やスピードなど違いもたくさんあるので、まだ苦戦しているんですが、都度反省をしつつ、経験を積み重ねて成長していければなと思います。
山口:ルーキーシリーズと本格デビュー後、どこが一番違うと感じますか?
東:ルーキーシリーズは、1年間一緒に競走訓練をしてきた同期なので、どういう選手なのか知っていて慣れています。先輩たちは走りもわからないし、スピード感覚も全く違います。ルーキーシリーズの方がややゆっくりでしたが、7月からはスピード感覚が違いすぎてレースについていくのもやっとでした。自分でレースを動かしていくこともなかなかできなかったので、少しずつできれば良いなと思います。
山口:いきなりトップ選手との対戦ですもんね。
東:デビュー戦の大垣でいきなり7着・7着を取ってしまい、正直メンタルがやられてしまいました。でも自分はルーキーシリーズでは優勝させてもらいましたが、一気に成長をするタイプではなく地道な積み重ねが結果に繋がっていくタイプだと思うので、一戦一戦、少しでも前へ進んでいきたいです。「7着7着でも最終日は確定版へ」など小さな目標を少しずつクリアしていきたいです。
山口:レース間隔が詰まっている方が良いですか?
東:そうですね。間隔が空くと緊張感も増します。今は数をこなしていくしかないですね。いっぱい走りたいです。
山口:2戦目・前橋の最終日は捲っての本格デビュー後、初1着がありました。自力が出せましたね。
東:自分でも展開がハマったなと思ったレースでした。養成所の訓練でも、捲りは不発になることが多くて、あんなにきれいに捲りきれたのは気持ち良かったです。
山口:かなり後ろを離して(4車身差)の1着でしたもんね。自信になりましたか?
東:はい、今度は予選で出せるようになりたいです。
山口:青森の最終日は五味田奈穂選手(千葉124期)と長い距離のもがき合いがありました。
東:先行をする予定ではなかったんですが、レース後にVTRを見た時に、長い距離を自分が外で踏み合って、2着に残れたので良かったのかなと思いました。前に出られなかったのは反省なんですが、最後まで負けずに踏み合えて残れたのは収穫があったかなと思います。
山口:お話を聞いて本当に一つ一つが力になっているんだなと感じました。今の目標は何ですか?
東:一番の目標は、オッズパーク杯ガールズグランプリに出場することです。直近だとガールズフレッシュクイーンの出場を目指しています。競走得点はまだ低いんですが、少しずつ上げていって出場したいです。
山口:そういう意味では『競輪ルーキーシリーズ2023プラス(京都向日町競輪にて)』へ選出は一歩目標に近づいたのでは?
東:そうですね。選ばれた選手たちはみんな強いので、その中で自分がどんなレースをするか、もう少し時間があるのでじっくり考えたいと思います。
山口:地元地区の京都向日町ですね。走ったことはありますか?
東:昔に走ったことはあります。久しぶりに走れるのも楽しみですし、勝ちたいですね。
山口:他の選手たちの印象はいかがですか?
東:自力が強い選手が多いです。自分も自力なのかそれとも自在なのか、いろいろ考えて臨みたいです。
山口:今後の戦法はどんなイメージですか?
東:なんでもできるようになりたいので、全ての決まり手に数字を付けたいです。レースの展開によって自在に動けるようになりたい、というのもありますし、今はまだ自分に何があっているのかハッキリしていないので、いろいろ試したいです。一番得意なものを見つけていけたらなと思います。
山口:ではレースのお話とは違う話題を伺います。先ほど大学は休学して養成所へということでしたが、復学されたんですね。
東:はい。養成所を卒業して4月からは、練習と大学を両立しています。
山口:忙しいですね!
東:宿題や学校でバタバタしています。先生方と相談して、調整もしてもらっているんですが、行ける時はなるべく行って両立するようにしています。今は8月で夏休みなので、競輪に集中できてほっとしていますが、9月からはまた授業が始まります。忙しいんですが、頑張ろうと思います。
山口:オフの日はどうですかと聞こうと思ったんですが、学校があるんですね。
東:そうですね。大学生なので、学業もしっかり頑張っています。競輪に繋がることを学んでいるので活かしていきたいです。
山口:差し支えなければ、どんなことを学んでいるか教えて欲しいです。
東:スポーツ学部です。ゼミでは競輪のことを研究しているので、練習はもちろん走りに繋がりますが、スポーツ科学のような専門的なものを学びそちらも競輪に繋げていきたいです。
山口:賞金は何に使いましたか?
東:学費ですね(笑)
山口:そうですよね(笑)
東:自分で払っているので、今後の授業費を貯めつつ、それ以外の残った分を服やコスメを買っています。
山口:両立してますね。
東:まだ学生というのは変わらないので、ブランド物とか大きい買い物は卒業してからです(笑)
山口:頑張ってください!では目標とする選手はどなたですか?
東:奥井迪選手(東京106期)や児玉碧衣選手(福岡108期)です。レースを動かせる選手になりたいので、お二人は目標です。児玉選手は先日もガールズドリームレースで逃げて優勝されていて、かっこよかったです。どのレースも自力を出して勝っているので、そういう選手になりたいなと思いました。
山口:今の練習環境はどんな感じですか?
東:師匠や男子選手と一緒に練習させてもらっています。今はガールズがおらず実践的な練習ではないのですが、いずれは他の県のガールズの所へも出稽古へ行けたら良いなと思います。今は兵庫の練習環境に慣れて強くなりたいです。
山口:バンク中心ですか?
東:はい、明石に競技場があるので、そこをメインに練習しています。
山口:フレッシュクイーンへというお話は出ましたが、今後の目標を改めて教えてください。
東:まだまだレースでは自力を出せていなくてビビっているところもあるので、早くレースに慣れて自分で展開を作っていける選手になりたいです。
山口:では最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。
東:確定版にのれるように、自力を出して全力で頑張ります。応援よろしくお願いします!
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
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7月に本格デビューをした124期生。ルーキーシリーズから自力を発揮し、最終戦の福井では見事優勝を飾った熊谷芽緯選手(岩手124期)にお話を伺いました。ここまでの振り返りや、今の目標を聞いてみました。
山口:ガールズケイリン選手を目指したきっかけは何ですか?
熊谷:中学時代はソフトボールをしていたんですが、その時の友達がガールズサマーキャンプに誘ってくれて一緒に参加し、初めてバンクを走りました。それが楽しかったんです。まずは「高校で自転車をやってみよう」と思い、そこから選手を目指しました。
山口:全く違う競技に行くのも勇気が必要ですよね。
熊谷:はい。自転車は落車など危険な部分もあり「怖いかな」というイメージもあったんですが、乗っていて楽しいという気持ちの方が上回りました。「プロになるとお金も稼げるよ」とも言われていたのでそれも魅力でした。その時は「自分を変えたい、大きな夢に向かって頑張りたい」という気持ちもあったり、いろんな理由で選手になりたいなと思いました。
山口:競輪選手という職業があるのは知ってましたか?
熊谷:漠然とは知ってましたが、女子があるのは知らなかったです。
山口:高校の自転車部では成績も残されましたね。
熊谷:頑張りました(笑)
山口:ぐんぐん伸びてくのは楽しかったですか?
熊谷:自分の成長を感じるのは楽しかったです。選手を目指したらもっと成長を実感できるかもしれない、と思いました。今も、良い感じだなと思う時もあれば駄目な時もある、少しずつ伸びていっているのかなと思います。
山口:師匠(小泉俊也選手・岩手77期)との出会いは?
熊谷:高校の時にもバンクでお会いする機会があり、私から師匠になってくださいとお願いしました。私の先輩も小泉さんが師匠なので、その繋がりもあります。小泉さんも自力で戦っているので、私も見習って頑張らないとなと思います。
山口:小泉選手と一緒に練習しているんですか?
熊谷:師匠はいろんな所で練習をされているようで最近はお会いできてないです。私はその時バンクにいる皆さんやガールズの高木香帆さん(岩手120期)と一緒に楽しく練習させてもらっています。
山口:競輪選手養成所時代はいかがでしたか?
熊谷:今思うと楽しく過ごせたと思います。キツい時もありましたが、みんなが同じ目標を掲げて頑張っていたので充実した日々を過ごせました。
山口:キツい部分、というのは何でしたか?
熊谷:練習の中でうまくいかない時が多々あり、どうしたら良いのかわからなくなった時がありました。そんな時に、すぐに話を聞いてくれるお友達や先生方がたくさんいて乗り切れました。
山口:みんなで頑張れたんですね。
熊谷:はい、同じ目標へ向かっていたので存在が励みになったし頑張れました。
山口:養成所で、自分ではどこが伸びたと思いますか?
熊谷:持久力と、最後の伸びが出たのかなと思いました。高校時代は最初のダッシュしか自信がなかったんですが、養成所を出た後は、まだまだですが、持久力は少しついたのかなと思います。
山口:その時から戦法は自力を基本としていたんですか?
熊谷:はい。先生方も先行をして脚をつけた方がいい、という感じだったので競走訓練は先行主体にしていました。
山口:先行にこだわっている方も他にもいましたよね。
熊谷:とにかく自分が先行するぞ、という気持ちで競走訓練は走りました。
山口:その前々の気持ちがルーキーシリーズにも出てましたね。
熊谷:はい、とにかく前々を心がけていたら最終的には優勝もできたので良かったです。
山口:一走ずつ力になっていきましたか?
熊谷:はい、前に踏むごとに力になっていき、成長しているなと感じられるので、これからも前々で頑張りたいです。
山口:福井のルーキーシリーズ最終戦は見事優勝でした。目標にはしていましたか?
熊谷:はい、一度は優勝をしたいと思っていて、まさか最後にできると思っていなかったので嬉しかったです。
山口:決勝は一度は内につまる展開でしたよね。
熊谷:そうですね。そこから無理矢理仕掛けたので重注がついてしまい、それは反省点なんですが、なんとか前の松井さん(優佳選手・大阪124期)に追いつけて良かったです。
山口:結果を出したルーキーシリーズでした。本格デビュー後、先輩たちと走ってみていかがですか?
熊谷:ルーキーシリーズとは違う緊張感があります。
山口:何が一番違うと感じますか?
熊谷:雰囲気もピリッとして違いますし、ずっとプロで戦っている皆さんの気迫も感じます。でも目標としている走りが先行逃げきりなので負けずにいきたいです。
山口:本デビューの弥彦で予選1は先行できましたね。
熊谷:はい、ただ力の差を感じました。真後ろから(石井寛子選手に)いかれてしまったので・・・・・・。その負けから何走かは慎重にいきすぎて消極的になっていました。その後、平塚で加瀬加奈子さん(新潟102期)が逃げきるレースをテレビで見て(2023/8/3・第7レース)、気持ちが切り替わり「やっぱり先行逃げきりがかっこいい」とまた頑張ろうと思いました。
山口:あのレースはかっこよかったですね!
熊谷:そうなんです!見てて絶叫してしまいました。かっこよくて憧れです。
山口:本格デビュー戦は加瀬選手も一緒の参加でしたね。
熊谷:はい、実際にお会いしても明るく話してくれました。でもレースだとかっこよくて、素敵でした。2走目は一緒に走りましたが、加瀬さんが先行で、私は仕掛けを見てしまったレースでした。私もいかなきゃ駄目だったなと終わってから思いました。
山口:レース後に加瀬選手とは話しましたか?
熊谷:「もっと先行しよう!」と言ってくれました。あのレースで私が仕掛けて、モガキ合うのを構えて待っててくれたのかな、と今は勝手に思っています。
山口:やり合うのを待っててくれたように感じたんですね。
熊谷:はい。モガキ合ったり仕掛けていけば、もっと学ぶことはあったのかなと感じます。
山口:最終日には本格デビュー後の初1着もありました。いかがでしたか?
熊谷:勝ちたいと思っていたので、初めての1着は嬉しかったです。
山口:前の高木佑真選手(神奈川116期)はかなり遠かったですが捕まえられる、という感覚はありましたか?
熊谷:一気にいかれて瞬時の反応が苦手なので、結構遅れてしました。だいぶ離されてしまいましたが、自力を出せた1着だったので良かったです。
山口:次が青森・地元戦でした。決勝に乗りましたね。
熊谷:アクシデントのあったレースだったんですが、なんとかギリギリで決勝に行けました。
山口:決勝はオッズパーク杯ガールズグランプリを走った山原さくら選手もいましたね。いかがでした?
熊谷:もう、すごかったです。この一言ですね。
山口:スピードとかも違いますか?
熊谷:はい、ちょっとどうしていいかわからないくらい強かったです。私もついていけるのかな、と少しは思っていたんですけど、全然でした。
山口:熊谷選手と板根茜弥選手(東京110期)がもがき合ったタイミングでの山原選手の仕掛けでしたよね。
熊谷:はい、かなり踏み合っていたので脚も使っていました。でもそこからまだいけるのが、先行で強い選手なのかなと思います。もっと脚力を付けて頑張りたいです。
山口:理想の戦法は先行ですか?
熊谷:はい、逃げきれる選手になりたいです。
山口:憧れの選手はどなたですか?
熊谷:先ほどから話している加瀬さんと、小林優香さん(福岡106期)は高校生の時に目標にしていた選手です。お二人のようになれるよう頑張りたいです。
山口:今の強化したい部分はどこですか?
熊谷:瞬発力ですね。先ほど話に出た弥彦の最終日のレースのように、瞬時の反応が苦手なので、瞬発力をつけて素早く反応できるようにしたいです。
山口:先行を目標だと、持久力もダッシュも必要なんですね。
熊谷:はい!やることがたくさんですが、頑張りたいです。
山口:『競輪ルーキーシリーズ2023プラス(京都向日町競輪にて)』にも選出されましたね。
熊谷:はい、単発レースに選ばれたのは嬉しいです。優勝を目指しているので、逃げきりで優勝できるように頑張りたいです。
山口:記念のレースの最終日ですから、男子のトップ選手もたくさんいます。
熊谷:ドキドキします!学ぶことが多いと思うので頑張ります。
山口:頑張ってください!それでは少しレースの話からは離れて、本格デビューして生活のルーティンなどはできてきましたか?
熊谷:いや、まだ全然できてなくて探っている状態です。オフの日は家でゆっくりしていることが多いですね。レースの数日前はしっかり休みを入れて体を休めたりはしています。
山口:遠征もありますが、準備などどなたかにアドバイスはされましたか?
熊谷:遠征の時の経路などは先輩方に質問しました。飛行機は一人でこれまで乗ったことがなくて緊張します。新幹線でも緊張したのに、今から不安です(笑)徐々に慣れていきたいです。
山口:賞金は何に使いましたか?
熊谷:最初の賞金は、家族でご飯に行きました。弟がいるんですが、お菓子とか買ってあげてますね。自分のものだと、お洋服やアクセサリーを買いました。
山口:プロになって取材も増えますもんね。
熊谷:身だしなみは最近気にするようになりました。それも楽しいです。
山口:選手としての目標は何ですか?
熊谷:まずは先行で逃げきれるようになることです。
山口:目の前の目標を一つずつ、という感じですか?
熊谷:はい。いつかは世界を舞台に戦ってみたいと思うこともあるんですが、まだまだ弱いので目の前のレースを一つずつ自分のレースで勝てるように頑張りたいです。
山口:バンクの周長は好き嫌いなどどうですか?
熊谷:地元で練習している紫波自転車競技場が33バンクなので33バンクは走りやすいかなと思います。
山口:ありがとうございます。では最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。
熊谷:逃げきれるような脚をつけて1着を取れるように頑張ります。応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
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