3度目の挑戦で見事競輪王に輝いた眞杉匠選手(栃木113期)。今年2個目のGIタイトルを獲得し、更に今回は自力で勝ち取った優勝。喜びの声や今後の目標などを伺いました。
ナッツ山本:競輪祭(GI)優勝おめでとうございます。
眞杉匠選手:ありがとうございます。
ナッツ:少し日が経ちましたがお気持ちはいかがでしょうか。
眞杉:いや~やっぱり嬉しいですし、これで自信を持ってグランプリに臨めるかなと思いますね。
ナッツ:今年2つ目のGI制覇というところはいかがですか。
眞杉:うーん...やっぱりオールスター(GI)の時はラインのおかげで勝たせてもらったので、今回は展開が良かったんですが、それでも自分の力で取れたということは嬉しいです。
ナッツ:やはり誰かの後ろを回る優勝と自力での優勝というのは、喜びが違いますか。
眞杉:オールスター(GI)は本当にラインとしては100点のレースだったかなと思いますし、今回は今回で自分の持っているものを全部出せたかなと思うので、どっちも嬉しいのは嬉しいですね。それぞれ嬉しいというか。
ナッツ:また喜びの種類が違うということですね。今回、競輪祭(GI)の前は豊橋で完全優勝をされました。そこから競輪祭(GI)に挑みましたが状態面はいかがでしたか。
眞杉:豊橋では神山さん(神山雄一郎選手・栃木61期)と一緒だったんですけど、そこで、ちょっとセッティングのお話を色々と聞いたんです。かなりセッティングが良くなっての競輪祭(GI)だったのでそういう意味ではすごく良かったですね。
ナッツ:神山さんに!ということは豊橋の前までのセッティングはご自身の中ではあまり良くなかったんですか。
眞杉:そうですね。結構ずっと色々といじっていて、正解が分かんなくなっちゃっているような感じでしたね。そこで色々アドバイスをもらって変えてみたら良くなりましたね。
ナッツ:そのセッティングが出た状態で迎えた1走目ですが、松谷秀幸選手(神奈川96期)との連係でした。ちょっと京王閣記念(GIII)のこと(眞杉選手が松谷選手を押上げで失格)があったので、見ている側はドキドキしましたが、眞杉選手自身はいかがでしたか。
眞杉:いや~やっぱり京王閣のこともあったので...そこは失敗はできないなと思っていましたね。
ナッツ:その中で作戦としては、どのような感じだったのでしょうか。
眞杉:もうあのまんまですね。作戦通り行ったかなと思います。
ナッツ:勝負どころを逃さずしっかりと叩いて、という走りでしたね。ラインワンツーが決まりましたが、1走しての感触はいかがでしたか。
眞杉:感じはだいぶ良くて、そこから自転車をまた少しいじって、さらに良くなった感じですね。
ナッツ:1走目が終わって、2走目までに更にいじったということですか。
眞杉:1走目から2走目の時か、2走目終わった後かどっちか忘れちゃいましたが、そこでまたセッティングを更に微調整したっていう感じですね。サドルを少し下げたんだったかな。前回の豊橋と違って今回は小倉でドームで、また感じ方が少し違ったので、結果としてそれも良かったですね。
ナッツ:身体の状態としてはいかがでしたか。
眞杉:身体の状態的には、いつも大体初日は筋肉の張りがなくなって良いのですが、今回は前乗りもして、初日も休みだったのでそこがちょっと不安だったんです。でも1走目で良かったので、だいぶ気持ちの面でも「こっから良くなっていくだろうな」というのを感じましたね。
ナッツ:眞杉選手は初日がお休みの時、どういう過ごし方をされるんですか。
眞杉:いや、もう本当にのんびりですね。同県の方もいるし、みんなでレース見ながらコーヒーでも飲みながらって感じでした。笑
ナッツ:ゆっくりされてるんですね。笑 体を動かすということはあまりされないんですか。
眞杉:しないですね。なんか、疲れちゃうんで。指定練習はもちろん乗るんですが、後は休養にあててっていうような感じですね。
ナッツ:そして2走目に関しては山口拳矢選手(岐阜117期)との対戦でした。眞杉選手にどちらかというと近い年齢の若手で、同じくグランプリに乗ってくる選手ですが、眞杉選手の中で山口選手に対する意識というのはいかがですか。
眞杉:前回、共同通信社杯(GII)の時はゴール前差されたのですがその前は自分が勝って、割と勝ったり負けたりしてる感じなので、特別意識はしていないですね。もう自分のレースができればいいかなって。相手が誰だから何かを変えるっていうわけでもなく、どのレースも自分の力をしっかりと出すことを最優先にしていますね。結果的にしっかりと逃げ切れたので良かったです。
ナッツ;そして次がダイヤモンドレースでした。このレースが単騎での戦いだったわけですが、強いメンバーも揃った中で、組み立てはどう考えてらっしゃったんでしょうか。
眞杉:緩んだところで行こうって思っていたんですけど、車番も悪かったので難しかったですね。もう1つ前の位置にいないと、勝負圏はなかったかなあと思いました。
ナッツ:結構ペースも早めに上がっていましたもんね。
眞杉:そうですね。行こうと思ったとこで被ってしまって。でも、そこで同じことをするわけにはいかないなと思って、それが決勝に繋がりましたね。逆にそこで失敗して良かったなって感じです。
ナッツ:単騎でダイヤモンドレースを走ったことが、具体的には決勝にどう繋がりましたか。
眞杉:やっぱり位置取りの部分で修正できたかなと思います。決勝に関しては南関勢が1番先行意欲が強いだろうなと思ったので、深谷さん(深谷知広選手・静岡96期)が前の時点で、その後ろの位置が良いかなとは思ってはいましたね。
ナッツ:決勝の番組が出た時点で、やっぱり作戦的には南関が行くだろうなっていうようなイメージだったのですね。
眞杉:そうですね。でも、もしそうならなかったら、どうにか追い上げるとか、何かするしかないなと思ってましたけど。とりあえず前々にはと思ってました。
ナッツ:ということは勝負所では結構狙った位置が取れたなっていう感じだったんですね。
眞杉:そうですね。南関勢の後ろの位置をしっかりと確保できたのは大きかったです。
ナッツ:ちなみに単騎の時は、普段のライン戦と違って1人で作戦を立てると思うのですが、そういう時は眞杉選手はどういうふうに作戦を立てられているのですか。
眞杉:作戦はないんです。その時思ったように走るという感じですね。フィーリングみたいな。作戦立ててもわからないじゃないですか。今回みたいに、絶対にここが先行するとかなんとなくわかれば別ですが、臨機応変というか、流れに応じてというか、そんな感じですね。
ナッツ:意外でした。それってラインで走る時にはどうなんですか。後ろの先輩からのアドバイスも色々ありそうなイメージなのですが。
眞杉:確かにそれはあるんですけど、大体作戦ってその通りになんないので。笑
ナッツ:逆に言うと、流れをしっかりと見極めて走れるっていうことですもんね。
眞杉:そうですね。レースの流れを見ながらその時に応じた走りをしていこうと思っていますね。
ナッツ:レースに話を戻すと、決勝に関しては、松井宏佑選手(神奈川113期)が深谷選手の番手から捲りに行ったのですが、その後ろの簗田一輝選手(静岡107期)のところをうまく外から決めて、太田海也選手(岡山121期)に被る前にいったなっていう感じだったんですけど、あの辺りの対応はいかがでしたか。
眞杉:最終ホームで誰も後ろから来なくて、1センター付近で脇本さん(脇本雄太選手・福井94期)が来てたのはわかったんですけど、太田君が捲って来るのが多分2コーナーだなと思ってました。もし先に行かせると太田君が楽になっちゃうので、うまく合わせるようにして出てこうとは思ってました。
ナッツ:そこで捲って簗田選手を決めて、太田選手もブロックして、という動きは本当に素晴らしかったと思います。
眞杉:そうですね、もうそれもその時の流れで反応出来たという感じですね。
ナッツ:結果的に最後の4コーナーは、松井選手の後ろで絶好の位置でしたが、その時に優勝できる確信はありましたか。
眞杉:いや、やっぱりゴールまでわかんなかったですね。松井さんのタイムも11秒フラットでしたし、もう必死に交わしに行きました。
ナッツ:ゴールしてからは右手が上がりました。小倉はドームでお客さんの声も相当響くと思うんですけども、ファンの歓声はいかがでしたか。
眞杉:いや~すごかったんですけど、やっぱり、地元の北津留さん(北津留翼選手・福岡90期)への歓声がすごかったですよ。笑 決勝の特別選手紹介の時も、僕の次が北津留さんだったんですけど、もう、ぶわぁぁぁ~!!というファンの歓声で「いや~やっぱり北津留さんは違うなあ」と思うくらい本当にすごかったです。笑
ナッツ:やっぱりそこは地元っていうのもあったんでしょうね。笑 でもこれでGIを2勝目ですよ。今回自力で取って、真のタイトルホルダーという感じに言われることもあるかと思いますが、ご自身の中ではいかがですか。
眞杉:いや~でも今回はなんだろうな...本当に展開が向いただけなので、全然まだまだだと思います。
ナッツ:まだまだですか。やはりその辺りはラインの先頭で勝ちたいという思いもあるのでしょうか。
眞杉:そうですね。今回は単騎で捲り追い込んだだけなので、強いレースかと言われたら別にそうではないと思いますし、やっぱり準決勝も自分だけ3着で勝ち上がってしまったので、そのあたりがまだまだですね。
ナッツ:その中でも眞杉選手は、小松島のGIIIを制した時も単騎でしたが、単騎戦を全く苦にしないというか、むしろ得意なんじゃないかというイメージもあります。ご自身の中でどう違いますか。
眞杉:あ~単騎は結構、僕は良い意味で気楽に走れてると思うので結構好きですね、プレッシャーがないというか。
ナッツ:ただ、単騎だと結構位置取りが明暗を分けたりっていうのがありそうですけども、そういうのも差し引いても、単騎は気持ち的にはだいぶ楽というか。
眞杉:そうですね。逆にもし自分にラインができていて、そのレースに単騎の選手がいると、正直単騎の選手はあんまり気にしないんですよね。だから逆に自分が単騎の時も、そこまで気にせず周りも走ってくれるので、良い意味で警戒されない感じがしますね。
ナッツ:今後はS級S班として走るわけですが、責任感だったり挑む気持ちっていうのはいかがですか。
眞杉:やっぱり1年で落ちることがないようにとは思ってます。
ナッツ:継続していきたいと。ただ、そこでレースが小さくならないように、という意識はやはりありますか。
眞杉:そうですね。守りには入らないように。しっかり変わらずこれからも先行していくっていう気持ちでいますね。
ナッツ:ちなみに眞杉選手の印象的なレースで、2年前の京王閣ダービー(GI)の決勝のイメージがあります。あの時に先行できず、なかなか力を出しきれなかったっていう部分があったかと思いますが、あの出来事をきっかけに、何かご自身の中で変わったことや取り込まれたことはあるんでしょうか。
眞杉: あの時は結構...なんだろう。まあ、決勝で何もさせてもらえずに、本当に悔しいレースというか、情けないレースになっちゃったので、先行できなかった時になんでもできるようになりたいと思って色々やっていたのですが、変なレースが多くなっちゃったんですよ。
ナッツ:逆にそれが裏目に出てしまったと。
眞杉:はい。自在にも立ち回れるようにしようと思っていたのですが、逆にそれで結構、やらかすことが多かったんです。その後に斡旋停止などもあって、1回バックが5本くらいまで減ったことあるんですよ。でもやっぱりこれじゃ、ダメだなと思って変に意識せずに基本は変えずに行こうと心掛けましたね。今もまたちょっとバックは減ってしまっているので、バックは戻していきたいです。ただ、やっぱり先行できなかった時の為に他のこともできるようになっておかないといけないので、基本は変えずに色々取り組んでいきたいですね。
ナッツ:そして次はいよいよグランプリですが、グランプリに対する気持ちはいかがでしょうか。
眞杉:単騎の戦いになるので今回と同じようにうまく優勝したいですね。
ナッツ:さっきの話からすると、普段は警戒されない単騎でも、競輪祭(GI)のイメージがある分、今回の単騎の眞杉選手という存在は、やっぱり警戒される立場にもなるかなと思うんですが、いかがでしょうか。
眞杉:いや~。まあ、警戒しないで欲しいですね。笑 いないもんだと思って走ってくれないかな。笑
ナッツ:いや~そういうわけにはいかないとは思いますが。笑 グランプリも期待しています。では今後の眞杉選手の目標をお伺いしたいんですがいかがでしょうか。
眞杉:やっぱりSS班として1年走って、しっかりと再来年以降もSSとして走り続ける、というところが当面の目標ですね。
ナッツ:まず本当に来年1年が大事な年になってきそうですよね。最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。
眞杉:まずはグランプリでは優勝を狙って頑張ります。そして来年はしっかりとSS班として頑張っていきますので応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / ナッツ山本(なっつやまもと)
公営競技の実況に憧れ、一年発起し脱サラ。今年別府競輪と飯塚オートレースの実況でデビューを果たすことになった期待の新星。
まだデビューから間もないが、競輪中継の司会も経験し徐々に活躍の場を広げつつある。星の観測と手品が趣味。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
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