
―地元・福井での優勝おめでとうございます!3日間、積極的な先行が印象的でしたが、ご自身ではどう感じていましたか?
ありがとうございます。最終日は少し上手くいかなかった部分もありましたが、積極的に仕掛けるという気持ちで臨んでいました。普通開催でも自信を持って長い距離を行かないと、ビッグレースで気持ちの面で行けなかった部分があったので、次のGⅠに向けて克服したいという思いもありました。
―デビューから普通開催ではほとんど確定板を外していませんが、その点についてはどう感じていますか?
自分では負けたレースの方が印象に残っているので、あまり意識はしてないです。
―ご自身の課題や得意な仕掛けについてはいかがですか?
長い距離を踏めるのは強みだとは思いますが、全体のレベルが上がるともっと高いスピードを維持して走って行かなければいけないんですよね。今だと自分の9割ぐらいのスピードでは長くは踏めても、10割のスピードを長く持たせるのは難しいので、ベースを上げる必要があります。トップスピードに到達する速さも遅いので、そこも改善していきたいと思っています。
―初めてのGⅠ出場となったパールカップでは、どんな思いで臨みましたか?
初日は本当に緊張しすぎてパニック状態でした。負けたら終わりって意識があって落ち着かなかったんですけど、後手を踏まないレースをしようとは思っていたので、最低限、自分が後悔しないレースをしようと思って走りました。初日は結果的に2着に残れて良かったですが、内容的には納得していません。正直セッティングの部分もあまりしっくり来なかったですが、今回の福井で割と修正はできたと思います。
―準決勝での1着はご自身ではいかがでしたか?
落ち着いて流されたところを行けたのは良かったですが、脚もいっぱいで差されそうでした。そのへんも次に向けてもっと状態を上げていきたいです。
―決勝でトップクラスの選手と戦ってみてどう感じましたか?
そうですね、決勝は理想の展開というか位置取りは良かったのですが、精神的な部分で負けてしまったと感じました。脚力で負けてるのもあるのですが、精神的な部分で負けてしまったのが大きかったです。
―まずはGⅠの決勝進出という目標を達成しましたが、次の目標は何になりますか?
パールカップの決勝は内容も結果も納得のいかないものだったので、今後は決勝に進出するだけではなく、難しいとは分かってるんですが100点に近いような、自分の力を最大限に発揮して納得のいく走りをすることです。次回のGⅠオールスターではパールカップより勝ち上がりが厳しくなると思いますが、決勝には絶対行きたいです。
―オールスターのファン投票は14位という結果でしたが、どう感じていますか?
たくさん投票していただけたことはとてもありがたいです!でも7位以内ならドリームレースに出られて準決勝も自動で進めますよね。そこの7人って本当にお客様の支持を沢山得ていてすごいなと思いますし、私もそのようなファン投票で選ばれる選手になりたいと思います。
―GⅠオールスターへの意気込みをお願いします。
まだ普通開催を走れる機会があるので、セッティングやチェーンなど試していますし、パールカップよりは良い状態で臨めると思います!
―ありがとうございます。もともとは落車の救護をされていた経験もあるんですよね?
はい、アマチュアで自転車をやっていた時に、バイトでやっていました。やっぱり怖かったので、正直なところ、毎回自分のところで転ばないでほしいと思ってました。
でもその頃に脇本さん(脇本雄太選手 福井 94期)を見て、今でも鮮明に覚えてます。
本当にすごかったんです。当時は競輪のことも正直全然知らない状態だったので、バイト中は少し気が散ってしまうこともあったんですけど、脇本さんのレースの時はお客さんがいっぱい入っていてすごい盛り上がっていて鳥肌が立ちました。レースでこんなに魅せられる選手って本当にすごいなって感動した記憶があります。
―脇本選手とは面識はありますか?
元々はそこまで関わりはなかったんですが、この前のパールカップの時に一緒で、直接アドバイスを頂けてめちゃくちゃ嬉しかったですね。
―社会人をしながらボートをやっていた時代はいかがでしたか?
すごい大変でしたね。よくやってたなと思います。性格的にもあまり器用ではないので、会社の仕事を上手く手を抜くことができなくて、不慣れな仕事を全力で頑張っていました。その時には少しイップス(突然自分の思い通りのプレーができなくなる症状)のような感じで調子も悪かったんですが、競技の方も100%で頑張っていましたね。でもボートの経験は競輪にすごく活きています。ボートは脚が固定されていてスクワットみたいな動きなので、股関節をロックさせる感じなんです。その動きがちょっと自転車と似てる気がします。
―選手になったきっかけと今の環境について教えていただけますか?
最初は競輪養成所のHPD教場だったんですけど、自分は実績もなかったので練習生なら残してあげるという感じで言われたんです。その後に全日本(全日本選手権トラック)や普段の練習もあって、正式にチームに加入させてもらえることになりました。
環境もすごく良いですし、コーチや道を示してくれる先輩方もいるので、とても良い環境でやらせてもらえていると思います。
―限界を超える怖さについても話されていましたが、そのあたりはいかがですか?
そうですね、自分の悪いところではあると思うんですけど、頭で無理だと思ってしまうと押さえこんでしまうんです。でもそこは超えて行かないと精神的にも肉体的にも強くなれないので、頑張らないといけないです。怖さはあるんですけど、自分を信じてあげないとだめだなって思います。自分が限界だと思ってるところは上がってきていて前よりはリミッターが外れてきてるとは思うんですけど、まだまだもっと超えていかないとだめだと思ってます。
―直近だとジャパントラックカップⅡの女子スプリントで3位という結果でしたが、走ってみていかがでしたか。
今回はすごい強い選手がいたので、その中で走れたのは良い経験になりました。メダルは獲れてすごい嬉しかったんですけど、ラッキーな部分もありました。上位との脚力の差もそうですし、全てにおいてまだまだ差があるというのは感じました。
―4月の香港のインターナショナルトラックカップⅠでは、チームスプリントでの金メダルおめでとうございます。
ありがとうございます。3チームしか出場せず、相手もフルメンバーではなかった中での戦いではありました。ただチームスプリントという種目は自分の苦手が詰まってる種目だと思ってるんです。なので迷惑かけてばっかりなんですけど、強くなってそこを改善できれば個人種目もすごいレベルアップできると思ってます。
―具体的にどのあたりが苦手だと感じているんですか?
本当に苦手な部分ばかりなんですけど、その中で特に感じるのはスタンディングでスタートしてからの中間加速の部分と、座ってからシッティングで自分の力で上げていくところですね。その動きがギクシャクしちゃっててすごい苦手です。苦手というか本当に迷惑をかけすぎて。。強くならないとダメだなってすごい思い知らされるんです。なのですごく頑張りたいと思っています。
―以前、佐藤水菜選手のインタビューで仲澤選手のお名前が挙がっていました。
はい、名前を挙げていただけて嬉しいです。すごく強い選手ですし、大会も一緒に行って色んな強さを目の当たりにしました。とても尊敬もしてますし、本当にこの人を超えられるのかなって思ったりはします。現時点の自分の実力だと本当に雲泥の差なんですけど、でも自分が無理だと思ってたら絶対に無理だと思ってるので、敵うぐらい強くならなきゃダメだって思って、日頃からトレーニングをしないといけないと思いました。
―今後の競技面での目標は?
直近では8月の全日本(全日本自転車競技選手権大会)があるので、しっかり力を出して結果に繋がればと思います。最終的にはオリンピックを目指していますが、その前に国内での選考もあるので、こちらも頑張ってまずは枠を勝ち取りたいです。
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※インタビュー / 太田理恵
東京大学 大学院卒、GIでは自力選手のタイムを計測。 モデル出身で、現在は競輪MCや毎月のコラム執筆を中心に活動する。 ミス・ワールド日本大会2014,2015,2020特別賞受賞。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
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