
―デビューしてまだ2ヶ月くらいだと思いますが、デビューしてみていかがですか?
最初の熊本といわき平では自分のミスで1着が獲れなかったのが本当に悔しかったです。それまでちゃんと練習も積んでいて練習に関しては自信がすごくあったので、自分のミスで獲れなかったのは本当に悔しかったです。でもその後はすぐに四日市があったので、気持ちを切り替えて自分から動くようなレース展開にして完全優勝ができたので良かったと思います。
―四日市では完全優勝おめでとうございます。何が勝因だったと思いますか?
ありがとうございます。それまでのレースではワンパターンしか考えられてなくて、展開待ちになってしまい自分で上手く判断できていませんでした。この人がこう動くだろうと決めつけてしまったのが悪い点で、自分の力を出しきれなかったです。四日市では師匠からも「とりあえず動け」というアドバイスをもらいました。7番車でも前を取ったり誰かの番手に飛びつくとか、自分から脚を使うレース展開に持っていけたことが大きかったですね。それによって他の選手に惑わされず、自分の思うような展開で力を出し切れたのが優勝に繋がったと思います。
―2日目も前々に動いて番手にハマるようなレースでしたが、あれは狙っていましたか?
7番車はキツいのでSを取りに行くつもりでしたし、北津留さん(北津留千羽選手 福岡 128期)が動くのも分かっていました。突っ張るか飛びつくかで迷って、突っ張りきれたと思ったのでペースで行こうかと思ったんですけど、北津留さんが4コーナーでまだ粘ってるのが見えたので出して番手にハマれました。そこからは待つんじゃなくて自分から2コーナーで仕掛けました。
―冷静な判断に見えましたが、ご自身ではレース慣れしてきた実感はありますか?
少しずつレースにも慣れてきましたし、ルーキーシリーズは同じ養成所にいたメンバーと走ったので、その中でこの人はこう動くんだなっていうのも見えてきました。
―ルーキーシリーズは捲りが多かったですが、今後はどう戦っていきたいですか?
自在をメインにやりたいです。
やっぱり若手なので誰かの力に頼るよりは自分で行けるところは行きたいんですけど、あとは自分の気持ち次第ですね。
今まで短い距離の練習しかしていなかったんですけど、本デビューに向けて少しずつ長い距離も踏めるようになってきてますし師匠[西徹選手 (石川79期)]からも「最低でも捲り」と言われています。本当に自力を出せということを言われているので、行けるところでは行きたいです。自分の中では捲り追い込みが得意だと思ってたんですけど、ルーキーシリーズでは捲り追い込みが上手く出せないこともあったので、1パターンではなく何でもできるというのを見せられるレースをしたいです。
―同期とは仲が良いですか?
はい、養成所ではいつも仲の良い5人組で一緒にいました。卒業してからもレースが一緒だったらご飯に行ったり、レース後に少し旅行したりとルーキーシリーズも楽しめました。自分が1番年下なので先輩たちに可愛がってもらって、本当にいい同期に恵まれたと思います。
―6月はレースがなかったと思いますが、その間はどのように過ごしていましたか?
毎日練習はしていて、練習メニューも少し変えて長い距離を踏めるようにしたり、ペースに持っていけるような練習をしていました。師匠と2人でもがく練習をメインにやってました。
―オフの日はどう過ごしていますか?
ケアもしますが、じっとしているのが苦手なので、お昼は美味しいカフェに行ったり美味しいものを食べて気分転換をしています。カフェは色んなところを回っているんですけど、チーズケーキが好きなので毎回違うところで食べています。お腹が空いている時は2軒回ったりもしますね(笑) 内灘にある「ひまつぶし」という喫茶店が選手の行きつけで、お昼ご飯をみんなで食べに行くこともあります。特にブリュレ系のチーズケーキが好きで、自分はほぼ毎回デザートでチーズケーキを頼んでますね(笑)
―初めて賞金をもらった時の感想と使い道を教えてください。
もらった時はこんなにもらえるんだ!って気持ちもあったんですけど、最初は自分の着が悪かったので悔しさもありました。でもバイトもしたことがなかったので、3日間でこれだけもらえるんだって嬉しかったです。
欲しかった洋服を買ったりもしましたけど、基本は貯金しています。あとは先輩とご飯に行ったり、友達と遊びに行ったりもしました。
―養成所では伸び悩んだ時期もありましたか?
はい、養成所に入ってすぐはいつも出していたタイムが出なくてすごく悩みましたし、環境が変わると自分は弱いんだと感じました。もっとタイムが出ても良いはずなのに、経験が少ない人の方がすごく伸びがあって毎日上手くいかないことが多かったです。自分は養成所に入ってからはタイムが落ちてしまった方だったので本当にしんどくて、早く卒業したいと思った10ヶ月間でした。
―養成所時代は在所成績2位でしたが、このあたりはどう感じていますか?
戦法を試して先行もしていたんですけど上手く残れなくて、途中まで1位だったのが2位に落ちてしまいました。他の選手には勝ちにこだわらずに自分の戦法を試すように言われたんですけど、負けず嫌いなので負けるってことがすごく嫌いだったんです。なので捲りや追い込みで自分が勝つパターンを考えて、絶対1着を獲ろうって思って走ってました。在所成績は2位でしたけど、1着の回数は1番多かったのでそこは良かったと思います。
―負けず嫌いだと感じたエピソードはありますか?
男子選手と一緒に練習してついて行けなかったり差せないとまだまだ弱いなって思いますし、「クソッ!」って思う負けん気があります。練習のタイムでもガールズの中では絶対に1番になりたいですし、1番のタイムを出せてもそれが自分の中では良くなければ「もう1本!」ってなりますね。
―トライアスロンはいつから始めて、きっかけは何だったんですか?
小学4年生から始めました。父が趣味でトライアスロンをやっていて、「ロードバイクを買ってあげる」と言われたんです。遊びに行く用かと思ってたんですけど、「練習行くぞ」って言われてびっくりしました(笑)でもロードバイクで練習するようになって石川県の大会に出たら2位で、「意外といけるんじゃないか」と思って始めました。
―高校では自転車競技をやられていましたよね。競輪選手を目指したきっかけは何ですか?
最初の1年は成績が伸び悩んでたんですけど、高校2年生ではインターハイで優勝できて、高校3年でインターハイを2連覇できたら養成所を受けようと決めていました。高校の時は自転車の成績が良くてやり切ったと思えたので、もう一度自転車を続ける気持ちになれるか不安もありました。でも競輪選手と練習をする中で皆さんすごく強くて、自分も自転車競技で沢山稼いで少しでも親に恩返しできたら良いなと思って競輪選手を目指しました。
―高校時代、競輪選手とも練習の経験があるんですよね。
そうですね、その時は男子選手にもつかせてもらったのですが、ハンドルの捌きとか技術が全然違いました。横に動いた時に千切れてしまい単独で走ることが多くて、それがすごく悔しかったですね。石川や富山のガールズ選手と一緒に練習した時に「選手になりなよ」って声をかけてもらったんです。そういう近くに選手がいる環境だったのも、選手を目指すきっかけの1つになりました。
―目指している選手像や憧れの選手はいますか?
114期の佐藤水菜選手(神奈川)。のようになりたいです。高校3年生の全日本選手権で、自分はジュニアでさとみなさんはエリートで、全部同じ種目を走ったんです。そこで2人とも3冠制覇したんですけど、一緒にインタビューを受けようって声をかけてくださって本当に嬉しかったですし、「もっとこうした方がいいよ」とアドバイスもくれました。本当に優しくて強い選手なので、私も佐藤水菜選手のようになりたいと思っています。
―本デビューしてからの目標を教えてください。
まずは1勝することが短期目標です。
長期目標はガールズグランプリに出場することで、優勝できるように頑張っていきたいと思っています。
―本デビューに向けての意気込みをお願いします。
初戦は四日市で強い選手が沢山いるんですが、まずは無事に走り終えたいですし、3着以内に入ることが最低限の目標です。予選でもしっかり自力を出して決勝に上がって勝ちたいですね。
2戦目は地元なので、しっかりと見せ場を作りたいです!
-------------------------------------------------------
※インタビュー / 太田理恵
東京大学 大学院卒、GIでは自力選手のタイムを計測。 モデル出身で、現在は競輪MCや毎月のコラム執筆を中心に活動する。 ミス・ワールド日本大会2014,2015,2020特別賞受賞。
-------------------------------------------------------
※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
プロフィールページからお気に入り登録ができます。
※お気に入り登録にはログインが必要です。