11月豊橋にて通算400勝を達成した尾崎睦選手(神奈川108期)。これまでの振り返りと今後の目標、そして直近のGI『競輪祭女子王座戦(GI)』への意気込みをお伺いしました。
山口みのり:400勝達成、おめでとうございます。
尾崎睦選手:ありがとうございます。
山口:300勝からを振り返っていかがですか?
尾崎:今年に入ってからあまり良くなく400勝は今年中に達成できるとは思わなかったので、達成できて良かったです。
山口:今年の前半は走っていない期間もありました。スタートダッシュという点で、でしょうか?
尾崎:そうですね。去年のオッズパーク杯ガールズグランプリは地元の平塚で開催だったんですが、出られなかったことで気持ちが切れてしまいました。そこから立て直すのに時間が掛かってしまいました。
山口:新たなスタートを切るきっかけはありましたか?
尾崎:これといって特にありませんでしたが、レースを重ねているうちに「このままだと良くないな」という気持ちはずっとありました。気持ちが切れたまま走っているのは、お客さんはもちろん、平塚競輪場でいつも一緒に練習している仲間や先輩たちにも失礼だ、一緒に練習をしてもらっているからには結果を残していかないといけない、という思いで、気持ちを入れなおしましたね。
山口:中継で平塚に行ったときに、選手の練習の様子を見させてもらい、本当にたくさんの選手と一緒に練習されているんだと感じました。
尾崎:はい、平塚は集まる時はたくさんの選手が一緒に練習をします。ガールズだからと言って嫌な顔せずに一緒にしてくれるので、ありがたいなと思っています。
山口:川崎が使えなかった時に、ガールズの選手も練習に来ていると伺いました。
尾崎:はい。ガールズもですし、川崎の男子選手もたくさん来ていました。皆さん、練習のためにずっと競輪場にいるんです。それが当たり前の光景でしたが、改めて「皆さんこんなに練習をするんだな」と思ったんです。
山口:尾崎選手もそこにいたのに、客観的に見えたんですね。
尾崎:自分の中で練習のサイクルができていたので、いつもその流れで練習をしていました。ただいろんな部分に視野を広げると、別々の選手が、様々な方法で強くなっている。川崎の選手であったり、他のガールズの選手の話も聞いたりしました。それで「このままだと良くないな」と思ったんです。「自分の脚力を向上させるためには、現状のまま練習をやっているのではだめだ」と、練習へ取り組む気持ちや時間の使い方に変化がありました。
山口:具体的には?
尾崎:具体的な練習方法というよりは、意識的なものが大きかったです。「みんな当然だけどたくさん練習をしているんだな」と(笑)
山口:初心にかえる、ということでしょうか(笑)
尾崎:私自身も、前はもっと練習していたのかな、と思いました。最近はどこか満足、という訳ではないですが落ち着いてしまった部分があった気がしました。
今年は2回違反訓練に行ったのですが、その時にガールズの選手たちと一緒に練習をしました。若い子たちと練習をして「みんな強い!」とびっくりしました。このままだと良くない、と。それで意識が変わったんでしょうね。
山口:今年は後半に優勝が複数回あります。その気持ちの変化が表れているんでしょうか。
尾崎:そうかもしれません。やっていることはそこまで変わっていませんが、取り組み方や意識が変わったから結果も繋がってきた気もします。
山口:GIの新設が、更に気持ちの変化があったりしましたか?
尾崎:それは特には関係ないですね。『パールカップ(GI)』を走った時はまだほわっとしていましたが、その後の『オールガールズクラシック(GI)』は出られませんでした。来年は3つのGIに出たいなと思います。
山口:『オールガールズクラシック(GI)』の選考期間に欠場期間が含まれていて、賞金上位という面では厳しかったですよね。
尾崎:2か月、あっせん停止だったのもありますが、その後にも結果が残せませんでした。もう少し優勝ができていれば出場できていたと思うので、勝てなかったのが良くなかったです。
山口:次の『競輪祭女子王座戦(GI)』へ向かうお気持ちはいかがですか?
尾崎:GIになったことで、モチベーションも上がります。今、平塚にはアマチュアのガールズがいるんですが、その子もGIレースは見ると思うので、私がそこで結果を出すことで彼女自身が「私も大きい舞台で戦いたい」と思ってくれると良いなと。それで頑張らないとなと思います。
山口:小倉は7月に走っていますが、イメージはいかがでしょう?
尾崎:走りやすいですが、それはみんなが思うのかなと。風もないですしね。
山口:去年はグランプリトライアルレースで2つ、ガールズグランプリへの切符がありました。今年はGIになりグランプリ出場権は1人です。その変化はどう感じますか?
尾崎:わかりやすくて良いと思います。去年までの2枠というのはもちろんチャンスは広がりますが、「今まで1年間賞金争いをしていた選手たちを、賞金ランキング下位の選手が優勝したら一発逆転でグランプリ出場が2人もいる」というのはどうなんだろう、と疑問に思っていた部分も正直に言えばありました。だからGIになって良かったのかなと思います。
山口:GIは予選、準決勝、決勝と勝ち上がりになりますね。それについてはいかがですか?
尾崎:ガールズケイリンではなかなか勝ち上がりのレースは少ないですが、さっきも言いましたがこれもわかりやすくて良いと思います。しっかり初日から気持ちを入れて走りたいと思います。
山口:レース内容の点をお伺いします。戦法や気持ちの面で、近況の変化はありますか?
尾崎:レベルがとても上がって、みんな脚力もありスピードもあります。自力でレースを勝つというのが難しくなってきました。だから、位置取りを含めてシビアに、クレバーに走らなければいけないレースもあると感じています。何でもできる選手になろうと思いますね。
山口:近況は狭いコースから捲りに行くこともありましたね。
尾崎:無理に位置を取りに行くことはしないですが、自分の位置はちゃんと主張しないといけないと思っています。もちろんルールの範囲内ですが、踏み負けないようにしたいです。
山口:何でもできる、というのは先行も含めてですか?
尾崎:はい。先行をできる選手というのが一番脅威だと思うので、「先行を含めて何でもできる選手」というのが理想です。
山口:8月には京王閣の4日制のレースで優勝がありました。普段より1日長い開催で結果を出したというのはいかがでしたか?
尾崎:4日間の内容が良かったのかなと思います。1着は決勝だけでしたが、予選から組み立てを考えて、決勝を勝ち切ることができたのは収穫がありました。何度か4日制を走って慣れてきた部分もありますが、過ごし方なども男子選手のアドバイスもあり、それを生かせたと思います。でも疲れましたね。
山口:トータルでの組み立て、というのは大事なんですね。
尾崎:そうですね。3日制の普通の開催でも一緒ですが、予選などの勝ち上がりの走り方は大切です。予選を見て、対戦相手もレースを組み立ててくると思うので、それは意識をして走れました。
山口:今後のビッグレースにも繋がりますかね。
尾崎:そうだと良いです。ビッグレースはみんな強いので、そうそう自分の思うようなレースをさせてもらえません。でもちゃんと準備をしてやりたいこと、勝ちに向かう組み立てを悔いなくできたら良いなと思います。
山口:今後の課題はどんなことでしょうか?
尾崎:1着を取る回数が少ない時期があったり、ばらつきがあるので、1着を安定して取れるようにしたいです。あとはしっかりGIに出場して確定版にのる、決勝に進出して優勝争いができるように、まで持っていけたら良いなと思います。
山口:今年はビッグレースを外で見る時期がありましたが、どう感じましたか?
尾崎:松戸の『オールガールズクラシック(GI)』は、ガールズだけでGI開催ができたのは凄いと思いました。「ガールズケイリンが凄くなっているんだな」と客観的に見ていましたね。それは1期生の人たちから、作ってきたものが形になってきて、男子と同じGI、競輪に近づいていけている。ガールズケイリンって良い競技だなと思いました。
山口:その中には、他競技で活躍した尾崎選手のような選手が第2の競技人生としてガールズケイリンで活躍しているのは大きいと思います。
尾崎:そうですね。他の競技からもガールズケイリンには入ってきやすいと思うので、私は本当にガールズケイリンと良い出会いができたなと思います。
山口:これからも活躍を期待しています。
尾崎:ありがとうございます。
山口:『競輪祭女子王座戦(GI)』も近づいています。これからの過ごし方は?
尾崎:もうすぐですから、今からじたばたしてもだめですからね。ゆっくりケアをしていきたいです。
山口:ありがとうございます。それでは最後にオッズパーク会員の皆様へ、GIへの意気込みをお願いします。
尾崎:GI......一生懸命頑張ります、しか言えないですね。
山口:では応援してくださる皆様へ、ではいかがでしょう?
尾崎:そうですね。では、この前400勝を達成した時に、私が嬉しそうにしていたんですが、記者の方に「競輪は500勝が節目ですよ」と言われたんです。「そうなんだ!」と思ったので、この後は500勝をできるように頑張らないとなと思ったんです。なのでそれを目指して頑張ります。応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
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