競輪界を代表する男子選手、ガールズケイリン選手にインタビューを実施します。他では聞けない素顔や本音、競輪にまつわるエピソード、今後の抱負などをご紹介します!
競輪界を代表する男子選手、ガールズケイリン選手にインタビューを実施します。他では聞けない素顔や本音、競輪にまつわるエピソード、今後の抱負などをご紹介します!
見事ヤンググランプリ2025を制覇した中石湊選手(北海道・125期)。 単騎でも揺るがなかった冷静な判断と、展開を読み切った決断力が光りました。 そのレースの舞台裏を紐解きます。
ナッツ:ヤンググランプリ2025の優勝、おめでとうございます。
中石:ありがとうございます。
ナッツ:少しお時間が経ちましたが、今のお気持ちはいかがでしょうか。
中石:ヤンググランプリを獲ってから、そんなに余韻みたいなものはないですね。次に向けてまたすぐ練習をしている感じです。もちろんその時は優勝して嬉しかったんですけど、今はもうヤングのことをずっと喜んでいるというわけではなくて、ちゃんと切り替えて、という感じですね。
ナッツ:そこは意識して切り替えているんでしょうか。
中石:いや、もう普段ナショナルチームで練習させてもらっていて、自分より強い人が毎回練習にいるんですよね。今日なら今日で、自分より強い選手との差をどうやって縮めていくかを、今後の試合に向けて準備していかないといけない。それを考えていると、ヤングを獲ったということも、「そんなことあったな」くらいの感覚で、いつも通りに戻りましたね。
ナッツ:ただ、周りの反響は結構あったんじゃないですか。
中石:それはやっぱり大きかったですね。いろんな人に知ってもらえた開催だったな、と思います。優勝したことで、伊豆のお店に入ると「テレビに出ていたよね」って言われることも多かったですし。多分、ヤンググランプリのテレビ中継の影響ですかね。いろんな人に祝福してもらえたので、そこはすごく良かったなと思いました。
ナッツ:それは嬉しいですね。ではレースについて聞かせてください。開催に臨むにあたっての状態面はいかがでしたか。
中石:2開催前の四日市を単騎で優勝していたので、単騎戦だったら自分の力で勝ちにいける競走はしっかりできる、という自信はありました。だから変に構えずに、自信を持って臨む準備はできていました。
ナッツ:気持ちも体も、不安はなかったということですね。
中石:そうですね。ナショナルチームの先輩方が強すぎて、「めちゃくちゃ調子いいな」とまでは思わなかったですけど、「悪くはないな」「本番だったらどうにかなるだろうな」とは思っていました。
ナッツ:先ほどお話にあった単騎という点については、中石選手にとって苦になることはなかったですか。
中石:はい。普段は先輩が付いてくださって走ることが多いので、背負うものも大きいんですけど、単騎だと自分の競技みたいな感覚になるので。テンポが違う分、気持ちの変化はありましたけど、それも四日市で一回試せていたので、そこまで緊張はしなかったですね。
ナッツ:いい意味で気楽、という感じですか。
中石:そうですね。作戦も全然違ってくるので。
ナッツ:その作戦ですが、ラインが2つ、単騎が4人というレースでしたが、どんなイメージでしたか。
中石:単騎だったので、ライン同士がレースを動かしてくれれば位置をしっかり取って、あとはいいところで行くだけ、というイメージでした。ただ、関東ラインと広島ラインが前を固めて、単騎の4人はみんな後ろという形になり、単騎が切りに行かないといけない展開になったのは想定外でしたね。そこで梶原さん(梶原海斗選手・福岡・123期)が動いてくれたのが、単騎としては一番大きかったですね。自分がそれをやれと言われたら、できなかったかもしれないです。
ナッツ:もし梶原選手が動かなかったら、単騎勢はそのまま後ろになってしまう可能性もありましたよね。
中石:そうですね。セオリーとしては、単騎勢が3番手くらいで広島勢の後ろに入って、関東が切りに行く、みたいな展開を予想していたんですけど、それがなかったのは予想外でした。英斗(阿部英斗選手・福岡・125期)も、「梶原さんが切れなかったら自分が切っていた」とレース後に言っていたので、誰も動かなかったら、誰かが切りに行くことにはなっていたと思います。でも、そこでしっかり切りに行ける梶原さんは、やっぱりすごいなと思いました。
ナッツ:あれがあったことで、一気にレースが動きましたもんね。
中石:自分が予想してたのは、森田さん(森田一郎選手・埼玉・125期)と西田さん(西田優大選手・広島・123期)のラインが出させて切って、という展開でした。その中で単騎勢も勝ちたいですし、ラインの選手も勝ちにいかないといけない。短くなったところを上から一気に行こうと思っていたんですけど、森田さんもなかなか動かなかったですし、一本棒になりました。なので、落ち着いて行けばいいかな、と。あと、平塚バンクは結構重かったんですよね。前で先行している人も、そんなにめちゃくちゃ掛からないだろうな、と思ってました。その中で牽制があって、どこに誰がいるかわからない感じでごちゃついてくるだろうし、そのさらに外を捲っていけば、自分にはあまり影響がないはずだと思っていました。
ナッツ:かなり細かく展開を読んでいたんですね。
中石:そうですね。ちょっと上がってはしまいますが、イエローライン付近の外々を踏み続ければ、勝てるなとは思っていました。
ナッツ:ただ実際は、最終ホームは一本棒の8番手でした。少し想定とは違ったと思いますが、焦りはなかったですか。
中石:なかったですね。1周半のところで梶原さんが切ったことで、ラスト1周の並びはそこまでイレギュラーにはならなかったんです。西田さんが絶好の位置になっていましたけど、自分の中では英斗の位置がレースの鍵を握ると思ってました。みんな多分、「英斗が何かしてくるんじゃないか」っていう怖さがあったと思います。内から捌いたり、横の動きをしたり。普段は徹底先行でも、こういうレースは勝ちに行くタイプの選手なので、そこは警戒していました。でも逆に、思ったより正攻法の走りだったな、という印象でしたね。
ナッツ:それだけ阿部選手のことを、みんな意識していたのではないかと。
中石:そうですね。今回のヤンググランプリとか、ルーキーチャンピオンって、結構"内"が空きがちになるんですけど、英斗がいたことでみんな内を締めて走っていたんですよね。だから英斗も外しかなくて、外に持ち出して捲っていったんだと思います。英斗は最終バックで必死な感じで前に集中しているのが見えたので、横には来ないなと思って、自分は結構スレスレに行きました。僕が上から来ているのも、英斗は気づいてなかったと思います。英斗からすれば西田さんを捲れば1着か2着はある展開だったんですよね。森田さんも英斗の内に差し込んでしまっている場面もあって、なかなか仕掛けどころが難しかったと思いますし、結果的に、英斗が周りに警戒されていたおかげで、自分に展開が向いた気がしています。
ナッツ:仕掛けるタイミングとしては、いかがだったんでしょうか。
中石:ホーム過ぎですね。梶原さんが叩いて、西田さんが飛びついて、西田さんは車間を切って待ってる感じだったと思います。行くと西田さんに合わされるな、という感じがあって、なかなかみんな行けなかったと思います。その時、僕は8番手で、ホーム過ぎに一瞬緩んだんですよ。前を走る松崎さん(松崎広太選手・茨城・123期)との車間が縮まった瞬間があって。僕の後ろには栗山さん(栗山和樹選手・岐阜・125期)もいましたけど、勝利に一番近いのは、自分の後ろを回って差してくる形だろうなと感じていて、変に内をすくってくるようなことはしないだろうなと。なので、その一瞬緩んだ時に「今やな」って思って踏み込みました。そのタイミングで英斗も捲りに行って、みんなそれについていきました。その英斗の後ろで森田さんや篠田さん(篠田幸希選手・群馬・123期)の位置が、最終バックではちょっと"斜め"になってたんですよね。
ナッツ:斜め、ですか。
中石:そうなんです。英斗の後ろに一本で付いているというよりは、ちょっと横に広がる感じで、みんな斜めに付いていた感じなんです。壁になっているような感じで、だからそこを目掛けても風がこなくて。そこを狙って、思いっきり加速しました。残り1周半まで、ただ前に付いているだけで完全に脚が溜まっていたので、もう飲み込む感じで行きました。踏み出した瞬間の感触も良かったですし、出はかなり良かったですね。横に誰かが来るとか、考える余裕もなかったです。
ナッツ:とにかく前だけを見て、ということですね。
中石:そうですね。最終バックの感じで、これを飲み込めたら1着あるなって思いました。あとは、栗山さんが後ろに付いているのは分かっていたので、直線では差されないように、本気で踏みました。
ナッツ:見事1着でゴールとなりました。すぐに右手でガッツポーズが出ましたね。
中石:絶対に獲れると思っていたわけじゃなかったんですよね。展開がもっとぐちゃぐちゃになると思っていたので、勝ち切れたのが嬉しかったですね。それが、そのままガッツポーズに出ました。ルーキーチャンピオンで負けていた分もあったので。
ナッツ:平塚のグランプリシリーズということで、声援もすごかったんじゃないですか。
中石:雰囲気は全然違いましたね。でも、気持ちが上がりすぎないように、いつも通り走ることを意識していました。声援を聞いてテンションが上がりすぎると、逆にダメなので。周回中は、正直ほとんど聞こえてなかったです。
ナッツ:相当集中していたんですね。
中石:松崎さんの後輪だけに集中して、ペースが緩むかどうか、それしか見てなかったです。ゴールしてから、ようやく声援が聞こえてきて、そこでガッツポーズを返しました。
ナッツ:シャンパンファイトもありましたね。少し慣れていない感じが出ていましたが、いかがでしたか。
中石:養成所では習わないので、難しかったですね(笑)。守澤さん(守澤太志選手・秋田・96期)や慎詞さん(中野慎詞選手・岩手・121期)に「やり方わかるか?」って言われて、「わからないです」って答えて、エアで練習していたんです。やり方は教えてもらっていたんですけど、実際にやると全然違いました。あれはあれでよかったんじゃないかと思います(笑)。
ナッツ:その後、北日本勢での胴上げも印象的でした。
中石:北日本の選手は人数も多いし、パワーもあって、めちゃくちゃ高く上がりました(笑)。初めて、ああやって胴上げされて動画も撮ってもらって、素直に嬉しかったですね。その時に、ヤンググランプリを獲って良かったなって思いました。
ナッツ:さあ、このヤンググランプリ優勝を経て、今後の目標としてはいかがですか。
中石:今年は競技の大会も多くて、競輪に出る本数は少なくなるかもしれないですけど、GIII以上のグレードレースでしっかり勝ち切れる選手になりたいです。予選、準決勝とちゃんと上がって、少しでもいい成績を残せる1年にしたいですね。去年はいろんな経験ができましたし、迷惑をかけた部分もあるので、それを踏まえた上で去年したミスをしないように走っていきたいです。
ナッツ:GIでいうと、去年はオールスター競輪(GI)に推薦で出場しましたが、今年は全日本選抜競輪(GI)にも出場されますよね。
中石:はい。そこは実力で取れた出場権なので、すごく嬉しいです。
ナッツ:競技の面では、2028年のロス五輪を見据えて、ということになりますか。
中石:そうですね。あと2年しかないので、自分がどこまで強くなれるか、挑戦したいです。ナショナルでもAチームとの差は大きいので、今年中にしっかり埋めて、1対1で戦える力を付けたいです。
ナッツ:今後も期待しています。では最後に、オッズパーク会員の皆様へ、メッセージをお願いします。
中石:北日本の番手選手や、先輩方に信頼してもらえる先行選手になるのが目標です。今までの経験やミスを無駄にせず、ミスのないレースを心がけて、少しでも目標に近づけるように頑張っていきます。これからも応援をよろしくお願いします。
インタビュー:ナッツ山本
※写真提供:©公益財団法人JKA/Shutaro Mochizuki
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