まもなくやってくる今年最後のガールズGI『第1回競輪祭女子王座戦(GI)』。ここで今年のオッズパーク杯ガールズグランプリの出場者が決まります。現在賞金ランキング上位で、初のガールズグランプリ出場を狙う吉川美穂選手(和歌山120期)。今の心境やここまでを振り返ってお話を伺いました。
山口みのり:競輪祭(GI)も迫っていますが、現在の調子はいかがでしょうか?
吉川美穂選手:今は、良いとは言えないです。今、体調を崩してしまったんです。競輪祭の前なのに、万全で臨めないのはつらいです。
山口:そうでしたか。ここからどうケアしていくかですね。
吉川:そうですね。まずは3日間無事に走り切れるようなケアをしていきたいです。インフルエンザでもコロナでもなかったんですが、自分でもまさかこんなタイミングで風邪を引くとは思っていなくて......。競輪祭(GI)の時にも記者さんにも「風邪を引いてしまった」とコメントは出そうと思っています。
山口:そうでしたか。どうぞご自愛ください。それではここまでの振り返りを中心にお話を伺いますね。今年はGIを2回とも出場され、なかでも『オールガールズクラシック(松戸)(GI)』では決勝2着でした。そこへ入るまでには前走から期間が空きましたがいかがでしたか?
吉川:基本的に練習をしていました。追加も欲しかったんですが、なかったらそれはそれとして練習を頑張るだけと。松戸は期間が空いてもそれなりに走れたので良かったと思います。
山口:『パールカップ(GI)』では西日本予選では6着でした。松戸も予選基本的には2着権利の厳しい勝ち上がりでした。そこはどう考えていましたか?
吉川:パールカップ(GI)と同様に厳しい勝ち上がりだと認識してとても緊張をしていました。初日は2着で準決勝にいけてよかったです。
山口:展開としては前で梅川風子選手(東京112期)にとびつく形でした。それは想定していましたか?
吉川:はい。33バンクなので「誰かをマークする」というよりは、自分で前にいた方が良いなと思っていました。
山口:位置取りも厳しい選手もたくさんいましたね。
吉川:はい。だからより、私が良い位置を初手から取れるとは思っていませんでした。前でレースを作った方が、私には展開が向くと思っての組み立てでしたね。
山口:準決勝も、自力がたくさんいる組でした。メンバーを見た時はいかがでしたか?
吉川:GIはどのレースも初日からメンバーは強い選手ばかりでしたが、準決勝は特に濃いなと思いました(笑)でも佐藤水菜選手(神奈川114期)が強いなと思ったので、初手からマークをしたいなと考えていました。車番も、佐藤選手が4番、私が5番で隣だったのもあり、初手でマークができたらその組み立て、マークができなかったらその時に考えようと思っていたんですが、すんなり後ろを取れました。後は、佐藤選手が本当に強いのでとにかくマークをはずさないように、と集中していました。
山口:7番手になるかもしれない、という想定はありましたか?
吉川:そうですね。佐藤選手の仕掛け次第では6番手、私が7番手になるだろう、でも彼女がいけないなら仕方ない、と思って覚悟はしていました。
山口:佐藤選手は最終ホームストレッチあたりで捲っていきました。あのタイミングはどうでしたか?
吉川:私は打鐘でいくかなと思っていたので、かなりドキドキしました。メンバーも前には小林莉子選手(東京102期)、日野未来選手(奈良114期)、柳原真緒選手(福井114期)など、みんな自分から仕掛けていける選手がそろっており、打鐘でいくのかなと思っていたので「まだいかないのか」と(笑)たださっきも言ったように覚悟はしていました。
山口:最終バックストレッチでは皆さんが仕掛け合う形でしたね。
吉川:私は佐藤選手を追走していたので、最終3コーナーでは余裕がありました。「もしかしたら佐藤選手を差せるかもしれない」と夢を見ましたが、4コーナーでは佐藤選手がすごく伸びていったので、私は追走しただけでしたね。ただ私は2着を取らないと決勝進出は厳しかったので、結果にはほっとしました。
山口:決勝は振り返っていかがでしたか?
吉川:尾方真生選手(福岡118期)が初手で私の前まで来たので、入れるか迷ったんですが1車入れました。レースが動いて最終周回では、私は内側にいてコースがなかったんです。でも外から佐藤選手が捲るのが見えて、そこから外へ持ち出しても佐藤選手には追い付かない、と思った瞬間に前が空いてコースができたので、もう思い切り踏み込みました。「ここしかない」と思って無我夢中で踏んだら、勢い余って久米詩選手(静岡116期)の内側に差し込んでしまい、もったいないことをしました。でもそこでバックを踏んでも伸びていったので、調子も良かったと思うし、自分の勘もさえていたのかなと感じました。
山口:確かに、3コーナーからは縫うようにして追い込んできましたよね。
吉川:はい。「このコースが空くかな」と思ったところが本当に空いたり、と展開や運が良かったです。
山口:それで賞金ランキングが更にあがりましたね。
吉川:はい、良かったです。
山口:その後の地元和歌山では、100勝と地元初の完全優勝を達成されました。
吉川:はい、いろんな方に物凄くプレッシャーを掛けられました。
山口:先輩方に、ですか?
吉川:いや、一緒に決勝を走っていた藤田まりあ選手(埼玉116期)に「美穂さん、決勝で勝つと100勝なんですよね」と言われたりしました(笑)
山口:おお!(笑)
吉川:あとは和歌山の選手にも「やれんのか?」と煽られていました。緊張した中での決勝でしたが、うまいこと立ち回れて100勝と完全優勝ができて良かったです。
山口:地元の期待は、この後のガールズグランプリ出場へもかかっていると思いますが、どんな雰囲気でしょうか?
吉川:『オールガールズクラシック(GI)』を走る前から、関係者の方や選手にも「今年はグランプリ出場いけるやろ」と言われて、「まだそれは早いです、いけたらラッキーくらいに思って、そこまで期待しないでください」と返していました(苦笑)
山口:そうでしたか。取材時の賞金ランキングでは吉川選手は4位ですが、今年は3~6位がほぼ変わらない額で混戦ですよね。
吉川:差はないので、今の私の体調を考えると、競輪祭(GI)で全て決まるのが不安です。今の正直な気持ちとしては、私ももちろん優勝を狙うんですが、それ以外だとグランプリ圏内の誰かが優勝してくれ、と思ってしまいます。優勝が厳しくなってしまった場合は、少しでも上位が取れるように、賞金の積み上げができるように、くらいついていきたいです。なんとかグランプリに出られたら嬉しいです。
山口:賞金争いをしている他の選手の緊張感などは感じますか?
吉川:普通開催ではそこまでないですね。ただ私も特に意識してグランプリの話はしないようにしているので、そう感じるだけかもしれません。ただ10月、宇都宮では石井寛子選手(東京104期)が優勝したのですが、その時には石井選手に「一緒にグランプリにいこうね」と声を掛けてもらいました。
山口:ありがとうございます。では競輪祭女子王座戦(GI)について伺います。去年のトライアルレースは雰囲気はいかがでしたか?
吉川:ピリピリしている選手とそうでない選手の差がありました。でも、私はあんまりそういうピリつきを感じない鈍感な方なので、あんまり気にしないですね。
山口:自分のペースは乱されないのは良いですね。
吉川:そうですね。それは問題ないと思います。でも私がポケーとしすぎて、周りのペースを乱しているのかもしれません(笑)
山口:そうですか(笑)それは人それぞれということで(笑)小倉は7月に走っていますが、イメージはいかがでしょう?
吉川:前回に走った時はそれなりに走れました。でもそれよりも、競輪祭(GI)の時の印象が強いですね。その時は波があって良い走りはできなかったんです。今年も体調を崩してしまっての参加は憂鬱ではあります。なんとか決勝を目指していきたいです。勝ち上がりも『オールガールズクラシック(GI)』に比べたらまだゆるいので、1日1日集中して、頭を振り絞って考えてレースに臨みたいです。
山口:まずは初日ですかね。
吉川:はい、そこを集中していきたいです。
山口:前回のインタビューの時には「メンタル強化が課題」と仰っていました。今はどうでしょうか?
吉川:レースでは気持ちの弱さが出ることはまだありますね。グランプリにもし出場ができたら気持ちの強いレースをしたいな、と思っています。まずはそれをクリアしないといけませんね。
山口:去年と今年では、プレッシャーやご自身の成績、環境など変わったことはありますか?
吉川:去年も後半は「グランプリいけるぞ!」という応援とプレッシャーをいただいてのレースがあったので、そこまでは変わっていない気がします。今年はグランプリ出場が現実味を帯びてきましたが、でも、そんなに変わらないですね。
山口:そうですか(笑)
吉川:「グランプリ出場が決まったら飯おごってやるよ」くらいですね(笑)
山口:良い環境です(笑)
吉川:はい(笑)
山口:それでは、最後にオッズパーク会員の皆様へ、『競輪祭女子王座戦(GI)』への意気込みをお願いします。
吉川:体調を崩してしまい、自分でどこまでやれるのか不安はありますが、1日1日集中して1着を目指して、決勝を、そしてグランプリ出場を目指して頑張ります。応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
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