防府競輪場の施設改修の為、玉野競輪場で行われた今年の防府記念(GIII)。
今までとは異なる舞台の中、完全Vでの6連覇を達成した清水裕友選手(山口105期)。
初のGP出場から5年経ち29歳になった今、6連覇の喜びやGIタイトルへの気持ちを伺いました。
ナッツ:地元記念6連覇おめでとうございます。
清水:ありがとうございます。
ナッツ:率直なお気持ちはいかがでしょうか。
清水:すごく嬉しい気持ちとちょっと信じられない気持ちですかね。
ナッツ:信じられない気持ちというのは、どういった部分でしょうか。
清水:6連覇っていうところがちょっと自分でもあんまりピンと来てないんですよね。本当に6連覇もしたのかと。
ナッツ:2年前に4連覇した時に、前人未到の記録を達成して、そこから去年は更新して、さらに今年もその記録を伸ばしました。本当に想像できない素晴らしい記録なのですが、やはりプレッシャーもありましたか。
清水:それが今回は割といつもよりはリラックスして走れたかな、とは思います。
ナッツ:それはどのあたりに要因があったんでしょうか。
清水:まあ防府じゃなかった部分ですかね。防府だと緊張して、あがるまではいかないですけどちょっと冷静な判断ができなかったりで、っていうのがある中で、そういう部分が今回なかったのかなっていうのはあります。
ナッツ:今まで5連覇をしていた地元の防府の333mバンクと、玉野の400mバンクの違いはどう感じていましたか。
清水:その辺は正直あんまり。特に周長の好き嫌いはないので。333mバンクは好きですけど、別に400mが嫌だとかそういうのはないんで、あんまり気にならなかったですね。
ナッツ:その中で今回は6連覇かつ完全優勝でした。意外にもこの6連覇中での完全優勝は初めてかと思いますがそのあたりはいかがでしょうか。
清水: いや~そうですね。今回は連日前の選手が頑張ってくれたおかげで、なんとか完全優勝できたって感じですかね。
ナッツ:前回の寛仁親王牌(GI)からは約2週間あいてたのですが、今回の地元記念を迎えるにあたっての状態面としてはどうでしたか。
清水:状態的にはずっと悪くないなっていうのがあったので、基本的には心配してなかったですね。それと改修工事で防府競輪場が使えなかったので街道練習していたんですけど、寛仁親王牌(GI)が終わってバンクで練習できるようになったんで、そのあたりは結構うまくいったかなと思いました。
ナッツ:レースを振り返っていきたいのですが、初日は犬伏選手(犬伏湧也選手・徳島119期)に付いてのレースでしたね。
清水:ものすごいダッシュでしたね。新山さん(新山響平選手・青森107期)が流していないところを犬伏君が仕掛けたので、追走がすごくきつくて自分も結構いっぱいでした。ただ郡司さん(郡司浩平選手・神奈川99期)が仕掛けたところが見えて、なんとか最終的には1着には来れたんで状態として悪くはなかったですね。
ナッツ:出切ってからは、後ろを何度も見ていましたが余裕はありましたか。
清水:出切ってからも、そんなに余裕はなかったですね。後ろに別線が入っていたのもわかっていましたが誰かが来ても、正直自分でブロックできたりできる余裕はちょっとなかったですね。
ナッツ:その辺りは2日目以降どう修正していったのでしょうか。
清水:初日に関しては練習で良かった自転車を試したんですけど、ちょっと当たりがなくて、犬伏君に千切れそうになったところもあったので、そこですぐに今まで使ってた自転車に戻せたっていうのも大きかったですね。もちろん、初日は純粋に犬伏君が強かった部分もあるんですけどね。
ナッツ:そして2日目は取鳥選手(取鳥雄吾選手・岡山107期)マークでした。同級生の間柄ですが、清水選手にとって改めてどんな存在でしょうか。
清水:雄吾も今は防府に来て常に練習も一緒にしてるので、そういう意味では息の合った連携ができたんじゃないかなと思います。
ナッツ:結構最近、防府にいろんな方が来てる印象がありますね。それはやっぱり環境がいいんですかね。
清水:いや~どうなんでしょうね。笑
熊本の嘉永君(嘉永泰斗選手・熊本113期)とか、尭弥(上田尭弥選手・熊本113期)も来てくれますし、そういう意味では他地区の選手と一緒に練習できて刺激をもらってますね。
ナッツ:その後準決勝が終わって中四国勢が4人勝ち上がってきましたが、決勝の並びが決まるまでにどんな経緯がありましたか。
清水:犬伏君はもう先に自力っていうコメントを出して、松浦さん(松浦悠士選手・広島98期)が4番手を固めるから、って言ってくださった。だからあとは雄吾と話して、どちらを前後にするかって話になったんですけど、今まで雄吾と連携した時に僕は一度も前を回ったことがなかったので、地元だからって言って、そこで番手を主張するのも自分の中でそれは違うなと。なので雄吾が番手で自分が3番手の並びが1番自然かなっていう感じでしたね。
ナッツ:もし10連覇がかかっていても同じ並びというお話も目にしました。
清水:地元だからってわがままを通すわけにもいかなかったし、どっちにしろ、地元っていうか今回は雄吾の地元(岡山)でしたからね。一度でも雄吾の前を回ったことがあればそこは分からなかったですけど、今までのことを考えてこういう並びになりましたね。
ナッツ:そしてその決勝戦。中四国の作戦としては、いかがだったんでしょうか。
清水:スタートを取って、前からの突っ張りでしたね。
ナッツ:スタートは結構稲川選手(稲川翔選手・大阪90期)も来てましたけども、あのあたりはいかがでしたか。普段清水選手がスタートを積極的に取るイメージがなかったのですが。
清水:そうですね。あんまり普段自分の中で、スタートを取ることをそんなに重視してないんで。でもやっぱり今回のスタートは緊張しましたね。笑
ラインの選手からスタートを頼まれたので、こういう時はしっかり取らないと、と。
ナッツ:その作戦通り、しっかりとスタートをとって犬伏選手の突っ張り先行でした。ただ、高久保選手(高久保雄介選手・京都100期)も、結構抵抗してきましたね。
清水:高久保さんの抵抗が激しくて、あの辺りなかなか犬伏君もペースで駆けられなかったと思いますし、自分も付いていて結構きつかったですね。
ナッツ:ただ、その後取鳥選手が高久保選手を捌いて、最終2コーナー付近から番手捲りを打ちましたが、古性選手(古性優作選手・大阪100期)はサラ脚の状態でした。踏み出した時に、これは古性選手が行ってしまうんじゃないか、という感じもありましたが、取鳥選手の後ろで見ていてどうでしたか。
清水:そうですね。正直2コーナーで後ろを見た時に古性さんのスピードがちょっと違うなっていうのはもう僕も感じとったんで、どう対処しようかなっていう気持ちではいたんですけど、なんか、自分でもどうやって対処したか、あんまり覚えてないですね。
ナッツ:2度ほどしっかりブロックにいきましたが、思うより先に体が動いたっていう感じですか。
清水:なんて言うんですかね、仕事してやろうと思ってした感じじゃないですね。無意識ではないんですけど、あんまり覚えてないんです。
ナッツ:それだけ気持ちが入っていたわけですね。その後、最後の直線は取鳥選手を差し切って6連覇を達成しましたが、ゴールした瞬間のお気持ちはいかがでしたか。
清水:嬉しかったんですが、正直、4コーナーを回った時に前を抜けんかもなーって感じだったんですよ。笑
ナッツ:えっ、そうなんですか。
清水:自分ももういっぱいいっぱいでしたし、気持ちだけでなんとか抜けて1着だったという感じですね。松浦さんも内を締めてくれてましたし、本当に最後は気持ちですね。
ナッツ:それは意外でした。そしてゴール後には手を高々と上げました。玉野のファンの歓声はいかがでしたか。
清水:いつもの防府ではなかった分、本当の地元とはちょっとまた雰囲気が違いましたけども、それでもやっぱり歓声としてはすごかったですし、選手紹介の時からすごく応援してくれる方が多かったんで、気合いが入りましたね。
ナッツ:先ほど少しお話もありましたが、今回の地元記念では全てのレースで前で戦う仲間がいました。その辺りは今までとまた少し違った部分があったかと思いますが、いかがでしたか。
清水:そうですね、今までは人の後ろは基本そんなになくて、あっても節間2回ぐらいですかね。今回の地元記念以外は基本的には自力が多かったので。でも今年に入って人の後ろを回る機会がすごく増えたんですよね。やっぱりそれだけ中四国の層が、厚くなってるのかなっていうのは感じますね。
ナッツ:その中でも今年になって、特に犬伏選手という中四国の若手の大きな存在が出てきましたけど、清水選手から見て犬伏選手はどうですか。
清水:いやー、本当にすごく強いので、僕もずっと頼りっぱなしじゃなくて、犬伏君みたいな自力に近付けるように頑張りたいなっていう気持ちはやっぱありますね。
ナッツ:良い刺激になっているんですね。
清水:そうですね、やっぱりあれだけ自力で勝ったら、すごく楽しいだろうなとは思うんで。もちろん犬伏君ともしっかり連携するというのも大事なんですけど、やっぱり自分も自力でそこまで行きたいなっていう気持ちを持ってしっかり取り組みたいなとは思います。
ナッツ:自力強力な清水選手でも、犬伏選手の自力に強さを感じるんですね。
清水:いや~もう衝撃を受けるくらい強いですからね。犬伏君にしろ、岡山の太田君(太田海也選手・岡山121期)にしろ。そこに近づけるように、まだまだ自力でやっていきたい気持ちはありますね。
ナッツ:ただ、やはり清水選手は24歳の時にグランプリに初めて出て、単騎でも脇本選手(脇本雄太選手・福井94期)相手に捲っていった自力のイメージが本当に強烈でした。今思えばあの若さでグランプリに出て、今のように中四国の若手がどんどん出てきているわけじゃなかった中でグランプリに乗って活躍されたのは本当にすごいですね。
清水:でも正直そこからSSになって、だんだんレースが小さくなってしまって、 結局自分の成長を自分で止めてしまった感じがありますね。
ナッツ:それはどういう部分でそう感じたのですか。
清水:うーん、やっぱりもっと下積みをしとかないといけなかったなってのは感じたりはしますね。早くSSに上がってしまった分、自分自身の力がまだ付いていない状況だったので。
なので、今は基本の練習でしっかり力をつけて、しっかりとまた自力を出せるようになっていきたいですね。
ナッツ:最近では若手から目標とされる側になってきたと思うんですけど、その辺りはいかがですか。
清水:そういう自覚はあまりないですね。まだまだそこは自分自身でもそういう存在というよりは、やっぱり自分がしっかりと成長していかないといけないですね。どっちにしろ、僕なんかを目標にしていたら大した選手になれないので。笑
ナッツ:いやいや、そんなことはないとは思いますが、お話を聞いていても、やっぱりご自身の中ではまだまだこれからっていう気持ちが大きいと。
清水:まあ、そうですね。負けずに上を見て頑張っていきたいなとは思います。
ナッツ:そして今年は、2年ぶりのグランプリ出場の可能性も高まったんですけども(11/10時点の賞金ランキング6位で有力)、そのあたりの意識はいかがでしょうか。
清水:でもやっぱりGIのタイトルを取ってグランプリで勝負したい気持ちが大きいですね。
ナッツ:清水選手は3年前の全日本選抜(GI)を制してしますが、やっぱりそこからもう1つ、という気持ちが。
清水:そうですね。最初にGI取った時も、なんかわからんまま取った感覚は強いんで。
この為に頑張ったんだっていうものがあった上で、GIのタイトルを取りたいかなっていうのはあります。あの時は勢いで取った感じで、何がなんでも取ってやるんだと思っていたわけではないので。
ナッツ:今年1年は、FIなどの普通開催も走る機会がありましたけども、1度SSから落ちたからこそ、見えた景色みたいなのものがあったんですね。
清水:そうですね。今年はしっかりとベースを作ってきたのですが、力を付けてもう一度GIを取りたいという気持ちが大きくなりましたね。
ナッツ:そのGIというところで次は競輪祭(GI)ですが、地元記念を走って競輪祭(GI)に向かうのが毎年の流れとなっています。決勝に乗ったことも複数回ありますが、ここ数年は少し苦しい戦いが続いています。
清水:そうなんですよね。最初は良かったんですが最近は何故か成績が良くなくて。ただ、小倉自体は好きなバンクですし、しっかり頑張りたいですね。
ナッツ:そこに向けて、あと2週間ぐらいですが今の状態としてはどうですか。
清水:しっかり練習もできてますし、平常心で練習をやれていると思います。
ナッツ:改めてになりますが、今後の目標を教えてください。
清水:GIをしっかり取れる選手になれるように上を見て頑張っていきたいなと思います。
ナッツ:それでは最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。
清水:いつも応援してくださりありがとうございます。おかげさまで記念も6連覇できましたし、これに満足せず、また一戦一戦GIのタイトルを目指して上を見て頑張っていきたいと思います。応援お願いします。
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※インタビュー / ナッツ山本(なっつやまもと)
公営競技の実況に憧れ、一年発起し脱サラ。今年別府競輪と飯塚オートレースの実況でデビューを果たすことになった期待の新星。
まだデビューから間もないが、競輪中継の司会も経験し徐々に活躍の場を広げつつある。星の観測と手品が趣味。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
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