7月に本格デビューをした124期生。ルーキーシリーズから自力を発揮し、最終戦の福井では見事優勝を飾った熊谷芽緯選手(岩手124期)にお話を伺いました。ここまでの振り返りや、今の目標を聞いてみました。
山口:ガールズケイリン選手を目指したきっかけは何ですか?
熊谷:中学時代はソフトボールをしていたんですが、その時の友達がガールズサマーキャンプに誘ってくれて一緒に参加し、初めてバンクを走りました。それが楽しかったんです。まずは「高校で自転車をやってみよう」と思い、そこから選手を目指しました。
山口:全く違う競技に行くのも勇気が必要ですよね。
熊谷:はい。自転車は落車など危険な部分もあり「怖いかな」というイメージもあったんですが、乗っていて楽しいという気持ちの方が上回りました。「プロになるとお金も稼げるよ」とも言われていたのでそれも魅力でした。その時は「自分を変えたい、大きな夢に向かって頑張りたい」という気持ちもあったり、いろんな理由で選手になりたいなと思いました。
山口:競輪選手という職業があるのは知ってましたか?
熊谷:漠然とは知ってましたが、女子があるのは知らなかったです。
山口:高校の自転車部では成績も残されましたね。
熊谷:頑張りました(笑)
山口:ぐんぐん伸びてくのは楽しかったですか?
熊谷:自分の成長を感じるのは楽しかったです。選手を目指したらもっと成長を実感できるかもしれない、と思いました。今も、良い感じだなと思う時もあれば駄目な時もある、少しずつ伸びていっているのかなと思います。
山口:師匠(小泉俊也選手・岩手77期)との出会いは?
熊谷:高校の時にもバンクでお会いする機会があり、私から師匠になってくださいとお願いしました。私の先輩も小泉さんが師匠なので、その繋がりもあります。小泉さんも自力で戦っているので、私も見習って頑張らないとなと思います。
山口:小泉選手と一緒に練習しているんですか?
熊谷:師匠はいろんな所で練習をされているようで最近はお会いできてないです。私はその時バンクにいる皆さんやガールズの高木香帆さん(岩手120期)と一緒に楽しく練習させてもらっています。
山口:競輪選手養成所時代はいかがでしたか?
熊谷:今思うと楽しく過ごせたと思います。キツい時もありましたが、みんなが同じ目標を掲げて頑張っていたので充実した日々を過ごせました。
山口:キツい部分、というのは何でしたか?
熊谷:練習の中でうまくいかない時が多々あり、どうしたら良いのかわからなくなった時がありました。そんな時に、すぐに話を聞いてくれるお友達や先生方がたくさんいて乗り切れました。
山口:みんなで頑張れたんですね。
熊谷:はい、同じ目標へ向かっていたので存在が励みになったし頑張れました。
山口:養成所で、自分ではどこが伸びたと思いますか?
熊谷:持久力と、最後の伸びが出たのかなと思いました。高校時代は最初のダッシュしか自信がなかったんですが、養成所を出た後は、まだまだですが、持久力は少しついたのかなと思います。
山口:その時から戦法は自力を基本としていたんですか?
熊谷:はい。先生方も先行をして脚をつけた方がいい、という感じだったので競走訓練は先行主体にしていました。
山口:先行にこだわっている方も他にもいましたよね。
熊谷:とにかく自分が先行するぞ、という気持ちで競走訓練は走りました。
山口:その前々の気持ちがルーキーシリーズにも出てましたね。
熊谷:はい、とにかく前々を心がけていたら最終的には優勝もできたので良かったです。
山口:一走ずつ力になっていきましたか?
熊谷:はい、前に踏むごとに力になっていき、成長しているなと感じられるので、これからも前々で頑張りたいです。
山口:福井のルーキーシリーズ最終戦は見事優勝でした。目標にはしていましたか?
熊谷:はい、一度は優勝をしたいと思っていて、まさか最後にできると思っていなかったので嬉しかったです。
山口:決勝は一度は内につまる展開でしたよね。
熊谷:そうですね。そこから無理矢理仕掛けたので重注がついてしまい、それは反省点なんですが、なんとか前の松井さん(優佳選手・大阪124期)に追いつけて良かったです。
山口:結果を出したルーキーシリーズでした。本格デビュー後、先輩たちと走ってみていかがですか?
熊谷:ルーキーシリーズとは違う緊張感があります。
山口:何が一番違うと感じますか?
熊谷:雰囲気もピリッとして違いますし、ずっとプロで戦っている皆さんの気迫も感じます。でも目標としている走りが先行逃げきりなので負けずにいきたいです。
山口:本デビューの弥彦で予選1は先行できましたね。
熊谷:はい、ただ力の差を感じました。真後ろから(石井寛子選手に)いかれてしまったので・・・・・・。その負けから何走かは慎重にいきすぎて消極的になっていました。その後、平塚で加瀬加奈子さん(新潟102期)が逃げきるレースをテレビで見て(2023/8/3・第7レース)、気持ちが切り替わり「やっぱり先行逃げきりがかっこいい」とまた頑張ろうと思いました。
山口:あのレースはかっこよかったですね!
熊谷:そうなんです!見てて絶叫してしまいました。かっこよくて憧れです。
山口:本格デビュー戦は加瀬選手も一緒の参加でしたね。
熊谷:はい、実際にお会いしても明るく話してくれました。でもレースだとかっこよくて、素敵でした。2走目は一緒に走りましたが、加瀬さんが先行で、私は仕掛けを見てしまったレースでした。私もいかなきゃ駄目だったなと終わってから思いました。
山口:レース後に加瀬選手とは話しましたか?
熊谷:「もっと先行しよう!」と言ってくれました。あのレースで私が仕掛けて、モガキ合うのを構えて待っててくれたのかな、と今は勝手に思っています。
山口:やり合うのを待っててくれたように感じたんですね。
熊谷:はい。モガキ合ったり仕掛けていけば、もっと学ぶことはあったのかなと感じます。
山口:最終日には本格デビュー後の初1着もありました。いかがでしたか?
熊谷:勝ちたいと思っていたので、初めての1着は嬉しかったです。
山口:前の高木佑真選手(神奈川116期)はかなり遠かったですが捕まえられる、という感覚はありましたか?
熊谷:一気にいかれて瞬時の反応が苦手なので、結構遅れてしました。だいぶ離されてしまいましたが、自力を出せた1着だったので良かったです。
山口:次が青森・地元戦でした。決勝に乗りましたね。
熊谷:アクシデントのあったレースだったんですが、なんとかギリギリで決勝に行けました。
山口:決勝はオッズパーク杯ガールズグランプリを走った山原さくら選手もいましたね。いかがでした?
熊谷:もう、すごかったです。この一言ですね。
山口:スピードとかも違いますか?
熊谷:はい、ちょっとどうしていいかわからないくらい強かったです。私もついていけるのかな、と少しは思っていたんですけど、全然でした。
山口:熊谷選手と板根茜弥選手(東京110期)がもがき合ったタイミングでの山原選手の仕掛けでしたよね。
熊谷:はい、かなり踏み合っていたので脚も使っていました。でもそこからまだいけるのが、先行で強い選手なのかなと思います。もっと脚力を付けて頑張りたいです。
山口:理想の戦法は先行ですか?
熊谷:はい、逃げきれる選手になりたいです。
山口:憧れの選手はどなたですか?
熊谷:先ほどから話している加瀬さんと、小林優香さん(福岡106期)は高校生の時に目標にしていた選手です。お二人のようになれるよう頑張りたいです。
山口:今の強化したい部分はどこですか?
熊谷:瞬発力ですね。先ほど話に出た弥彦の最終日のレースのように、瞬時の反応が苦手なので、瞬発力をつけて素早く反応できるようにしたいです。
山口:先行を目標だと、持久力もダッシュも必要なんですね。
熊谷:はい!やることがたくさんですが、頑張りたいです。
山口:『競輪ルーキーシリーズ2023プラス(京都向日町競輪にて)』にも選出されましたね。
熊谷:はい、単発レースに選ばれたのは嬉しいです。優勝を目指しているので、逃げきりで優勝できるように頑張りたいです。
山口:記念のレースの最終日ですから、男子のトップ選手もたくさんいます。
熊谷:ドキドキします!学ぶことが多いと思うので頑張ります。
山口:頑張ってください!それでは少しレースの話からは離れて、本格デビューして生活のルーティンなどはできてきましたか?
熊谷:いや、まだ全然できてなくて探っている状態です。オフの日は家でゆっくりしていることが多いですね。レースの数日前はしっかり休みを入れて体を休めたりはしています。
山口:遠征もありますが、準備などどなたかにアドバイスはされましたか?
熊谷:遠征の時の経路などは先輩方に質問しました。飛行機は一人でこれまで乗ったことがなくて緊張します。新幹線でも緊張したのに、今から不安です(笑)徐々に慣れていきたいです。
山口:賞金は何に使いましたか?
熊谷:最初の賞金は、家族でご飯に行きました。弟がいるんですが、お菓子とか買ってあげてますね。自分のものだと、お洋服やアクセサリーを買いました。
山口:プロになって取材も増えますもんね。
熊谷:身だしなみは最近気にするようになりました。それも楽しいです。
山口:選手としての目標は何ですか?
熊谷:まずは先行で逃げきれるようになることです。
山口:目の前の目標を一つずつ、という感じですか?
熊谷:はい。いつかは世界を舞台に戦ってみたいと思うこともあるんですが、まだまだ弱いので目の前のレースを一つずつ自分のレースで勝てるように頑張りたいです。
山口:バンクの周長は好き嫌いなどどうですか?
熊谷:地元で練習している紫波自転車競技場が33バンクなので33バンクは走りやすいかなと思います。
山口:ありがとうございます。では最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。
熊谷:逃げきれるような脚をつけて1着を取れるように頑張ります。応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
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