8月15日から行われるオールスター競輪の3日目に、ガールズケイリン総選挙の1~7位になった選手たちによる『ガールズドリームレース』が行われます。久しぶりにドリームレースを走る山原さくら選手(高知104期)に意気込みや、近況の成績、パールカップ(GI)の振り返りを伺いました。
山口みのり:今年はガールズケイリン総選挙では6位で『ガールズドリームレース』に選出されました。結果を見ていかがですか?
山原:まさか選んでいただけると思っていなかったので、めちゃくちゃびっくりしました。
山口:昨年は『アルテミス賞レース』を走りましたが、ドリームレースはまた違いますか?
山原:はい、1~7位に選ばれるというのは凄いことだと思います。私もここ数年はドリームレースは選ばれていなかったので、もちろん昨年のアルテミス賞に選んでもらえるのも嬉しいんですが、やっぱりドリームレースは気持ちが違うというか、更に嬉しいです!
山口:それはここまでの活躍をお客様が見ていた証拠ですね。
山原:選んでもらってからそう言っていただけることも多いんですが、そんな風に皆さんが思ってくれているのも嬉しかったです。
山口:ドリームレースの他6人の印象はいかがでしょうか?
山原:本当に『ドリームレース』というメンバーですよね。やばいです(笑)どうなるんだろう、って思ってます。
山口:ファン目線ではすごく楽しみですけどね(笑)
山原:グランプリ女王だったり、近況のビッグレースを取った選手、世界でも戦っている選手、ずっと強い選手、本当に凄すぎます。それぞれの一番が集まっている感じです。戦法もみんなが自力だけど、捲りが強い、カマシが強い、何でもできる、とそれぞれの分野で強い人が集まっているので、まだ客観的に「すごいなー」と思っちゃいますね(笑)
でもその中で自分も選んでもらったので、ビビらずに存在感を出していきたいです。
山口:オッズパーク杯ガールズグランプリ2022を走った後にお話を伺った時は、「メンバーが決まってから1か月間は作戦を考えていた」というお話がありました。今回はいかがですか?
山原:グランプリの時も頭を抱えましたが、今回は特に強烈すぎて一周回ってどんな感じになるか楽しみです(笑)強すぎる選手ばかりなので、なかなか思うような展開にはならないと思いますが、逆にすごいメンバーが集まっている分、お互いがちょっとけん制する場面もあるかな、と。そんな時は思い切り仕掛けられるようにはしておきたいです。
山口:昨年のガールズグランプリもけん制し合うような場面がありましたね。
山原:はい。ただグランプリでけん制があったからこそ、今回はそうならないように皆さん考えていると思います。でもチャンスはゼロではないので、自分も持ち味を出せるところから仕掛けられたら良いなと思っています。
山口:ほとんどの選手が先行もしそうな選手たちでしょうか。
山原:最近でも先行で勝っている選手もいますね。ただでさえ強いのに、本番になると「本物の強さ」を出してくるメンバーばかりです(笑)自分が出来ることは、集中してレースに臨むだけですね。
山口:西武園のバンクはイメージいかがですか?
山原:優勝はあるんですが、すごく良いイメージはないんです。捲りが決まりにくいのでその辺りは考えてレースを組み立てたいです。そもそもそんなに走った経験もないかもしれませんね。最近はコロナ禍もあり、西の開催が多かったですから、東日本の競輪場はビッグレースで走るくらいでしたからね。
山口:捲りが決まりにくいなら、先行やカマシを良いタイミングでできればチャンスはあるんでしょうか。
山原:今まで私が西武園で着外だったパターンは、捲り不発で勝てない時だった記憶があります。その結果を踏まえて、メンバーは強烈ですがあまり遅い仕掛けだと逆に厳しくなると思い、いつもよりは早くというイメージではいたいですね。
山口:ありがとうございます。それでは直近のレースを振り返ります。パールカップ(GI)は復帰戦だったんですね。
山原:はい。落車で怪我をしてしまい治りが遅く、復帰がパールカップ(GI)になってしまいました。不安と緊張もたくさんあり、その前に「パールカップ(GI)までに復帰が間に合えば良いな」という感じでした。
山口:そうでしたか。走ってみていかがでしたか?
山原:決勝にはいけませんでしたが、思っていた以上に動けました。何とかなりそうだなという感覚があり、その後から良い調子になってきましたね。
山口:その後の小倉でベストタイムが出たという記事を見ました。
山原:そうだったんです。3日間通してタイムが良かったんです。今までは3日間全部のタイムが良いというのは、私はあまりなかったんですが、2日目のタイムが小倉では見たことないくらいのタイムが出ました。
山口:トップ選手からは特に、最近のタイムの話もよく聞きますね。
山原:そうですね。上位の選手は11秒なかばでも出してきます。それに対応して自分も出さないと同じ土俵では戦えないです。
今まで、流れの中でだんだんスピードが上がっていく時はタイムが出せるタイプだったんですが、スローペースから一気にトップスピードを出すのが苦手でした。そういう時が負けパターンだったんですが、最近はそういう時にも対応できている気がします。トップスピードを上げるのはずっと課題の一つだったんですが、取り組んできた結果が最近出てきているのかなと思います。
山口:函館・ガールズケイリンフェスティバルでは連勝で決勝でしたね。
山原:実は初日がかなり脚が重かったんです。「大丈夫かな」と心配していたんですが、レースは展開に恵まれ何とかカバーが出来ました。2日目も緊張感を持って臨んだんですが、変な緊張感ではなく良い緊張感でレースを走れて、2日目で「調子が良いな」と思いました。
山口:決勝はドリームレースのようなメンバーでしたね。
山原:はい、凄いメンバーでしたが自分にもチャンスがあると思い、体も気持ちも良い状態で迎えられました。ただ決勝では発走直後に他の選手が落車というアクシデントがあり、待っている時も「レースはできるんだろうか、もしかしたら中止になるかもしれない」という気持ちがどこかでありました。15分くらい待つ時間があったんですが、待機場所も暑いところで、アクシデントなので仕方がないですが、それで集中しきれなかったんでしょうね。良い状態で迎えたのに、本当に悔しかったです。調子が良く、強い選手を相手に私はどこまで勝負ができるんだろうと楽しみだったんですが、「絶対はない」というのを改めて感じました。
山口:まさか、というようなこともあるんですもんね。
山原:本当ですね。ビッグレースでスタートのやり直しは初めてだったので、集中力が切れてしまい本当に悔しかったです。
山口:その悔しさは次へぶつけて、ですね。
山原:はい!
山口:ではパールカップ(GI)についてお伺いします。初のGIでしたが雰囲気はいかがですか?
山原:ビッグレースの参加は今までもあったので、特にいつものビッグレースと変わらない感じでした。ただビッグレース初めての期の若い選手とかは緊張しているかなという雰囲気はあったんですが、ベテラン勢はそこまでではなかったです。
ただ優勝したらグランプリに繋がるのでそこに向けて、というのはあったと思いますが、いつもの緊張感のあるピリッとしたビッグレースの雰囲気だったかなと感じました。
山口:この後のGIも2つありますし、山原選手は出場も決まってますよね。
山原:そうですね。出られるんですが、ビッグレース出場の選手はスキがなくて強いです。最近はビッグレースの開催も増えてきて、走る機会も多いから、みんなが底上げをしてきているのを感じます。
ビッグを走って失敗して「また次頑張ろう」と、今までは思っていたんですが、そんな感じじゃあっという間において行かれてしまうと感じます。みんなのレベルアップの仕方が尋常じゃないので、失敗したら次それをいかせるように、持ち帰って練習して、次どう改善して結果に繋げるかをしていかないと、成長できないし終わってしまう。そんなハイレベルのメンバーの中で戦えるのは嬉しいですね。
山口:最初から勝負ですもんね。
山原:そうですね。みんな本当に強いです。余裕はないですが、10年くらいの経験はあるので期の若い選手たちと比べると、気持ちは落ち着いて走れているのかなと思います。
山口:ガールズケイリンフェスティバルでは1、2期生のガールズ選手が決勝に4人いましたもんね。
山原:そうなんです。出場した1、2期生の全員が決勝に上がったので頑張ってますよね(笑)「おばさんたちまだまだやるよね!(笑)」と小林莉子(東京102期)とも話していました。
山口:凄いですね。
山原:そうですよね。年齢だけじゃないですよ(笑)
山口:練習面の充実ぶりもうかがえます。防府へ練習に行かれているという記事を拝見しましたが今もですか?
山原:今は防府は改修をしていて11月まではバンクが使えないんです。今は高知に戻って練習をしているんですが、それまではずっと防府で家も借りて練習はお世話になっていました。また使えるようになったら行く予定です。
山口:どんな環境だったんですか?
山原:周りものどかで自然がたくさんです。逆に言うと練習しかやることがない。良い環境です。男子選手だと桑原大志さん(山口80期)や清水裕友くん(山口105期)、取鳥雄吾くん(岡山107期)などと一緒に練習させてもらっていました。皆さん「GIを優勝する」「グランプリを目指す」という高い目標でレースも練習もしているので、同じ空気を感じて練習をさせてもらっていると、いつもの練習もとても刺激になります。1日1日、きつい内容でも楽しく練習させてもらえて、気持ちの面でも大きく強くなれたと思います。
山口:更にレベルアップできた環境なんですね。では今年後半への目標は何ですか?
山原:残りのGIの優勝を目指したいです。私の今の賞金ランキングだとグランプリ出場は厳しいと思うのでGIを優勝するしかないですね。今までだったら追加を走って走って、少しずつ賞金を積み上げていくしかなかったですが、今はGIがあるので、そこへ向けてモチベーションを高めていきたいです。今年は本当に良い制度になったと思います。
山口:それでは、最後にオッズパーク会員の皆さんへメッセージをお願いします。
山原:いつも応援ありがとうございます。今年は前半がスタートダッシュを失敗してしまい、調子が悪い時もあったんですが、皆さんの応援のおかげで大分調子も戻ってきました。残りのビッグレースで自分の力を出し切って優勝できるように頑張るので、また応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
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