今年もガールズケイリン総選挙の結果が発表され、上位になった選手たちによる『ガールズドリームレース』『アルテミス賞レース』があります。昨年アルテミス賞レースを優勝した小林莉子選手(東京102期)に連覇に向けての意気込みや、近況の成績、パールカップ(GI)の振り返りを伺いました。
山口:近況からお伺いします。パールカップ(GI)の最終日に落車がありました。怪我の状態はいかがでしょう?
小林:だいぶ良くはなってきましたが、まだ反応が鈍いですね。瞬間的な動きがまだまだかなと思います。
山口:その後のガールズケイリンフェスティバル(函館)では決勝進出されましたね。
小林:なんとかギリギリでしたけど上がれました。
山口:初日は外並走になり苦しい形でしたね。
小林:飛びつかれた時に、外並走をこらえて伸びたかったんですが、踏み直しがまだ本調子ではなかったです。レースを走ってみて足りない部分がわかりました。
山口:フェスティバル後の高松では完全優勝もされました。徐々に良くなってきていますか?
小林:決勝は捲りだったんですが、体の動きも確認できましたし、セッティングの修正点も見えたので収穫のある優勝でした。
山口:修正点というのは落車後の、ということですか?
小林:はい。他人の自転車を乗っているような乗りにくさがあり、自転車と自分の感覚のギャップがあるなと思っていました。セッティングは、怪我をする前のに戻しつつあったんですが、新しい部品を試したりもしていたので、馴染むまでに時間がかかったかなと思います。
山口:ガールズの選手はセッティングを師匠や他の方に見てもらう、というのをよく聞きますが、小林選手はご自身でされるんですか?
小林:自分でする時もあれば、兄弟子に聞くこともあります。でも今回はわからなくなってしまったので、いろんな方に聞きながらしました。
山口:アルテミス賞レースも迫っていますね。今年も選出されましたがいかがですか?
小林:毎年選んでいただき、レースに乗せていただいているのでたくさんの投票、本当に嬉しいです。去年やっとアルテミス賞を優勝できたので、今年も同じ場所(西武園)でまた勝って恩返しがしたいです。頑張らなければと思います。まずは乗せていただいたので、それに応えたいです。
山口:去年お話を伺った時は、「コレクションを優勝できていない」というお話があってのアルテミス賞優勝でした。次の目標は何でしょう?
小林:ビッグレースの決勝は何度かありますが優勝ができていないので、アルテミス賞は取れましたが、勝ち上がりのある大きい大会はまだ優勝がありません。「優勝できたら良いな」ではなく「優勝できるように」頑張っていきたいです。
山口:今年はGIが始まり、単発レースが今までより減るかと思います。その辺りはいかがですか?
小林:勝ち上がりが難しくなってくると思います。GIが出来て流れが変わりました。でもガールズケイリンが認められて男子のGIに組み込まれていくのはありがたいことだと感じています。
山口:ではGIのお話はまた後半にじっくりお伺いします!アルテミス賞レースのメンバーを見ていかがですか?
小林:毎年強い選手がたくさんいるので緊張しています。
山口:西武園のバンクについてはいかがでしょう?
小林:たまに練習にも入らせてもらっていますし、去年のアルテミス賞の他にも優勝したことがあるので、相性は良いと思います。
山口:自力タイプ、自在タイプといろんなタイプの選手がいますね。
小林:どうレースが動くか、まだ全然想像がつかないです。
山口:去年のアルテミス賞では、動くタイプの選手に切り替え切り替えての優勝でしたね。
小林:良い位置にいたいのはもちろんですが、今年自分の中で課題にしている「トップスピードを上げる」「捲りを出す」というのが、もしかしたら必要になってくるのかなという気がしています。でも基本的には自在で動ければなと思っています。
山口:では連覇目指して、ですね。
小林:頑張ります!
山口:ではGIについてお伺いします。パールカップ(GI)の雰囲気はいかがでしたか?
小林:新設のレースだったのでみんな緊張感がありました。高松宮記念杯競輪(GI)に組み込まれたので、男子選手のGIの雰囲気も3日間味わえたし、個人的には勉強になりました。
山口:勉強になったというのは、過ごし方のようなところですか?
小林:それももちろんですが、レースの取り組み方や勝ち上がりへ向ける気持ちの作り方、アップの仕方など、いろんな選手を見て勉強になったなと感じました。一走一走、失敗すると勝ち上がれないので、自分のピークをどう持っていくかなど、シビアな戦いの中でどう動くかを見られました。
山口:今後ガールズケイリンのGIに向けての参考になりましたか?
小林:とても参考になりました。
山口:具体的にどなたかと話しましたか?
小林:東京埼玉というくくりで近いので、平原康多選手(埼玉87期)とは何度か話しました。気持ちの持っていき方やレースの取り組み方などアドバイスもらいました。
山口:GIは一つ終わりましたが、今年からのGI新設についてはどう感じましたか?
小林:素直に嬉しかったです。ガールズケイリンにGIができるのはもっと先かなと思っていたので、こんなに早く認めてもらえて選手数も増えて、ビッグレースを組んでもらえたのは嬉しいです。ただオッズパーク杯ガールズグランプリに出場するのは更に難しくなったんですけどね。それでもそれ以上に嬉しかったです。
山口:初GIパールカップの決勝7人のうち、1期生が小林選手と荒牧聖未選手(栃木102期)の2人が勝ち上がったのは凄いですね。
小林:1期生は、一緒に1年間競輪学校(現:競輪選手養成所)に入って、デビューしてからもギリギリの戦いの中でお互いいたので、1期生が2人決勝に乗れたのは嬉しかったです。荒牧さんと一緒に「まだまだこれからだぞ、1期生」というのを見せられたかなと思いました。
山口:最初からずっとガールズケイリンを引っ張ってきて、今もなおトップでも活躍しているということですもんね。
小林:11年目ですが、「まだまだトップで頑張るぞ」という存在感は示せたかなと思います。
山口:ガールズケイリンの最近の流れについてお伺いします。近況いろんな選手の台頭があると思いますが、いかがでしょう?
小林:ガールズケイリンがレベルアップしたのは、まず児玉碧衣(福岡108期)が一強の時代があったからだと思います。どう倒すかみんなが研究し、練習し、その中で全体的なレベルが上がっていき今は誰が勝ってもおかしくないです。その中で児玉も「どうしたら負けないか」を研究している。以前と比べて「本命は誰が見てもこの人!」というのではなくなってきたと痛感します。
山口:混戦の中でレースを組み立てているんですね。戦法も広がっていますか?
小林:最初はスタートを取って、誰かが逃げて、と単調なレースがほとんどでした。今はゴール前まで誰がどこから捲ってくるかわからないし、内を開けたらすぐすくわれてしまう。そういう意味では全体的なレベルがここ数年で上がったと思います。
山口:スピードやタイムの話は選手たちからよく出ますが、コース取りや位置取りなどの自在の面でもレベルは上がっていますか?
小林:上がってます。自力対自力のように、強い人に力だけで勝つ以外は、戦法で勝つしかないです。戦法も多彩になってきていて、お手本にする選手が増えてきました。トップのレースは、一瞬のスキも許されない雰囲気になってきている気がします。
山口:パールカップの予選では小林選手の「何とか前へ」という気持ちを感じました。最初は後方で、一車ずつ前にのレースでしたね。
小林:後方になってしまうと苦しい展開になるので、一車でも前へという気持ちは強いです。コースを見極めるのは経験も大きいのかなと思います。
山口:今年のビッグレースでは久米詩選手(静岡116期)が活躍しています。イメージはいかがでしょう?
小林:もともと強いなとは思っていたんですが、5月のガールズケイリンコレクションを優勝してから一気に勢いに乗ったのかなと。ビッグレースを優勝するというのは大きいんだなと思いますね。
山口:小林選手とは仲良しですよね。変化は感じますか?
小林:そうですね(笑)久米はナショナルチームの練習に入り始めて、「練習内容とかどんなのやってるの?」と聞くことも多いです。今は、勝ちへの強い意識が出ているのかなと感じます。今までは「強い人に勝ちたい」くらいの漠然とした気持ちだったように思うんですが、コレクション優勝後は本命も背負うので「トップ選手としての自覚や責任」を感じてる気がします。常に注目されている、というのを感じているんだろうなと。
山口:5月コレクションと7月ガールズケイリンフェスティバルの連続優勝ですもんね。
小林:メンタルは強いなと思います。学ぶところも多いですね。
山口:久米選手のお人柄というか、オッズパークのビッグレース直前配信でも先輩選手から愛のあるいじりをされているのをよく見るので、普段から良い関係を築いているのかなと思っていました。
小林:そうですね!久米はいろんな人と話すタイプで、先輩選手にも打ち解けてすぐ飛び込んでいくので、センスなんだなと思います。
山口:ありがとうございます。それでは小林選手の今後の目標は何でしょう?
小林:落車の影響もありグランプリ出場は今の時点でギリギリです。今後の2つのGI『オールガールズクラシック』と『競輪祭女子王座戦』、どちらかの優勝を狙いたいです。
山口:ナショナルチーム組も優勝を狙ってきそうですね。
小林:かなり厳しい戦いにはなると思いますが、気合い入れてそこを目指して練習もしていきます。
山口:今(7月下旬)の賞金ランキング7位。ボーダー上ですね。
小林:グランプリ出場はもちろん目指すんですが、GIが出来たことで「優勝してグランプリを決めたい」という気持ちも大きいです。それにどこかで優勝するとその時点から賞金争いからは解放されるので、特に次の10月を優勝する、というのは重要です。賞金ランキングでのグランプリだと毎年ギリギリまで走っているので、ちょっと疲れて参加になってしまいます。1本取って、年末を勝つためにしっかり練習して臨むのがベストです。
山口:パールカップでの児玉選手が「賞金ランキングでグランプリ出場は厳しいから優勝するしかない」と明言していましたね。
小林:パールカップ参加メンバーは「GIを優勝して勢いをつけてグランプリを走りたい」と思っていたと思います。
山口:次は10月です。取材時はまだ発表されていませんが、賞金ランキング上位ですから出場は出来そうですね。(補足:8月1日、選考順位10位で出場決定)
小林:そうですね。取らないとグランプリ乗れなさそうなので頑張るしかないです。ボーダーの選手たちはみんなそう言ってますけど、結構絶体絶命の賞金ランキングですからね。しっかり狙いたいです。
山口:ありがとうございます。最後にオッズパーク会員の皆様へ、まずは直近アルテミス賞レースへ向けての意気込みをお願いします。
小林:まずは選んでいただいたお客さんへ向けて、去年は優勝できたし連覇を目指して頑張りたいです。
山口:今後の意気込みもお願いします。
小林:今年の前半は落車など、お客さんにはご迷惑をお掛けした部分が多かったですが、後半戦はしっかり1着をたくさん取ってガールズグランプリに繋げられるように頑張ります。応援よろしくお願いします!
-------------------------------------------------------
※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
-------------------------------------------------------
※写真提供:公益財団法人 JKA
プロフィールページからお気に入り登録ができます。
※お気に入り登録にはログインが必要です。