函館競輪場で行われたサマーナイトフェスティバル(GII)。
決勝戦では脇本雄太選手(福井94期)とのサプライズ連係もある中で、3連覇という偉業を達成された松浦悠士選手(広島98期)にお話を伺いました。
大津:サマーナイトフェスティバル優勝おめでとうございます。
松浦:ありがとうございます。
大津:お気持ちはいかがでしょうか。
松浦:なかなか3連覇は出来ることではないので素直に嬉しいです。相性も良い大会なので、そこも後押ししてくれたのかなって思います。
大津:連覇への意識はありましたか。
松浦:そうですね、昨年連覇したことで3連覇ってのはかなり意識しましたけど、脇本さんと決勝で連係したことによって、その意識は強くなりすぎず走れました。
大津:高松宮記念杯(GI)では決勝進出、小松島記念(GIII)では優勝と良い流れでサマーナイトを迎えられたのではないですか。
松浦:走る中でストレスなくレースを出来るようになったっていうのが大きかったです。自分のやりたかった競走が高松宮記念杯(GI)から出来るようになって、それが結果に繋がっていると思います。
大津:ご自身らしさを取り戻せた要因は何だったのでしょうか。
松浦:バンクが使えなくなったので練習方法は変えざるを得なかったのですが、それ以上に武雄での落車がかなり尾を引いていたので、それが治ったというのが一番です。
大津:函館競輪場のバンク相性も良いように感じます。
松浦:函館は気温や湿度の関係で凄い走りやすくて、それも大きな要因だと考えます。
大津:全国的に厳しい暑さが続いていますもんね。
松浦:そうですね、そういった意味でも函館は良い条件の中で走れたという感覚はありましたね。
大津:選手の中では前泊して函館のグルメを楽しまれた方もいらっしゃったようですが、松浦選手はいかがですか。
松浦:それが身体の治療の予定が合わなくて東京に泊まることになってしまい、僕は前の日に函館に入ることが出来なかったんです。
大津:初日は単騎でのレースでしたが、どのような競走をイメージされていたのですか。
松浦:赤板くらいから展開が激しくなりそうだなって雰囲気があったので、どこのラインの後ろにいるのが最適なのかを見極めるのが大切だと考えてました。
結果的に脇本さんの3番手から始めるってのを選んだんですが、初日に関してはレースミスだったかなって感じました。
大津:1走してみてご自身でコンディションはどのように捉えていましたか。
松浦:めちゃくちゃ調子いいなって思いました。
脇本さんが行った後の古性君(古性優作選手・大阪100期)の感じがけっこうキツそうだったので「あー、キツいんだ。」って思って。僕はそこまでキツくなくて、まぁ余裕はなかったんですけど、それでなんか調子良いなぁって感じました。
大津:そのお言葉通り準決勝戦は圧巻のレースでしたね。
松浦:一番良い時の動きが出来たなっていうのはあります。
大津:後ろに付けた山田英明さん(佐賀89期)が「競輪人生の中で一番びっくりした。」とコメントもされていました。
松浦:そういって表現してくれるのは嬉しいです。
タイプは違うと思うんですが、脇本さんや犬伏君(犬伏湧也選手・徳島119期)の後ろっていうのは英明さんもないと思うので、犬伏君の後ろに付くと自分は自信がなくなるというか・・・。そうですね、そんな僕の後ろでもそういう風に思ってくれるんだっていうのは嬉しかったです。
大津:今大会での一番のサプライズは松浦さんが脇本さんと連係したことだと思いますが、改めて経緯を教えていただけますか。
松浦:去年くらいから機会があれば付かせてもらいたいなとは思ってたんです。
競輪の走り方だけじゃなくて脇本さんの人間性とか、そういうところも僕の中での判断材料になりましたし、戦っていく中で、ファンに近い感覚になってたんです。
昨年の富山記念(GIII)の時に四日間すごい良いレースが出来たんですけど身体がとてもしんどくて、でも脇本さんは、僕以上の距離をいつももがいていて。
ただ強いだけじゃなくて、キツくてもしっかりレースで100%出し切るって姿が凄いなぁって思ってて、チャンスがあれば連係したいと考えていました。
大津:そういった想いは脇本さんに伝えていたんですか。
松浦:はい、何回か話はしていました。
大津:いざ連係する旨を伝えた時の脇本さんのリアクションはどうだったんですか。
松浦:付いてくれるなら頑張るよって感じでしたね。
大津:決勝戦に向けての作戦会議はあったんでしょうか。
松浦:特にはなかったです。スタートの位置の確認だけで、あとは行けるところから行くねって。なんかいつもそんな感じみたいなんで。
大津:脚見せや発走機でのファンの声援はいかがでしたか。
松浦:脇本さんと連係を決めないといけないって思っていたので、決勝戦に関しては周りの声はほとんど聞こえていなかったです。
そういう意味ではとても集中出来ていたのかなぁと。
大津:松浦さん自身はどのような所に気を付けて走っていたのですか。
松浦:脇本さんの番手に付いたことがなかったので、どれくらいの加速なのか、どこから踏み上げていくのかとか、連結を外れてはいけないってことだけ考えていました。
離れてしまうと脇本さんに迷惑がかかってしまいますから。
そこに意識が集中出来ていたので、僕自身の3連覇っていうことに変に意識が向き過ぎずに良かったのかなと思います。
大津:実際に脇本さんの後ろに付いてみていかがでしたか。
松浦:力は凄いのは勿論なのですが走る技術も非常に高いなって感じました。ライン取りとか踏み上げ方とか、そういう技術の凄さを付いてて思いましたね。
大津:色々な方の番手に付いたこともありますが、脇本さんは別次元って感じですか。
松浦:そうですね、「力だけじゃなかったんだ。」って。これは実際に付いてみないと分からないことでした。この経験を中四国の若手の子たちにも伝えていきたいですね。
大津:ゴール前の直線を振り返っていただけますか。
松浦:いや、もう脇本さんのかかりは凄かったですし、最後の踏みなおしも強烈だったので自分の余力がどれくらい残っているかわかりませんでした。ただ、後ろから来られることはないなとは思ってました。「抜けるぞ」って感覚は全くなくて「抜けるのかな?」って感じでした。
大津:ゴール後は脇本さんと話されましたか。
松浦:あまりはっきりとは覚えてないんですが「ありがとうございます。」って言ったような気がします。
大津:後半戦に向けてどのようなレースを見せていきたいですか。
松浦:自分らしい動きというのは良い位置を取ったりだとか、勝負どころを逃さないことだと思ってて。
調子が悪い時は、そのタイミングをなるべく遅らせたりとかテクニックに拘ったりし過ぎた部分があるので、もっとイキイキと動くところを見てほしいですね。
大津:最後にオッズパークの読者の皆様に意気込みをお願い致します。
松浦:今回こうやって結果を残すことが出来て嬉しいです。また良いレースが見せられるよう頑張りますので、これからも応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 大津尚之(おおつなおゆき)
ソフトな見た目と裏腹にパワフルで安定感のある重低音ボイスが魅力。
実況、ナレーション、インタビュー、俳優など活躍の場は多岐にわたる。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
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