来年も見たいマスターズ
今回は、前回の当コラムで告知させてもらった「ばんえい十勝マスターズ2009」のご報告。
ばんえいグランプリに合わせて、「もうひとつの夢の競演」と題して行った同カップ。参加して下さったのは、10名の調教師先生と、その管理馬10頭(枠順)。
久々の勝負服姿で集合した調教師先生達
どうです、人馬共に良いメンバーでしょ?
さて、そんな豪華メンバーによるマスターズカップだけれど、本番に先駆けて行われた表彰ステージでの参加調教師の紹介では、他調教師が「頑張ります」「久々だから」と、はにかむ中、皆川調教師だけは「私が世界の皆川です」と大音声で御挨拶。「最近の騎手はなっとらんから私が見本を見せてやるぅ」と宣言して、スタンドを爆笑の渦に叩き込まれた。
そんな陽気な皆川先生も、照れていた他先生も、しかし、17時10分、高らかに鳴り響くファンファーレと共にスタートを切れば、現役時代と変わらぬ勝負の鬼となって、馬を追うこと追うこと。
先ずは、実力上位2騎、ハマナカキング・服部師とキングファラオ・久田師がサクサクと歩を進めて第2障害へ。それに食らいついたのが、軽量アカネオーカン・中島師。現役引退から余り時を経ていない中島調教師だけに、坂をあげる姿も迫力満点。その姿に観客が目を奪われているうちに、1番キングファラオ・久田師と7番ハマナカ・服部師が坂を下って、後は一騎打ちとなったけれど、前回マスターズ覇者の久田先生がチャンピオンの意地を見せて連覇を達成した。
力強く第2障害に挑む中島調教師
という優勝争いもさることながら、しかし、勝負が決った後も場内の熱気は下がらず、軽快なステップを踏む皆川先生の「皆川ダンス」や、岩本先生の燻し銀の手綱さばき、伝説の金山フォームなどなど、10名の調教師の騎乗に観客の視線は釘付け。その興奮の大きさを証明するように、最年長・三浦調教師が最後に入線すると大きな拍手が沸きあがった(結果)。
ミスターばんえいの華麗な手綱さばき
いやあ、それにしても、さすがは往年の名手揃い。どの先生も精悍でカッコ良かった〜、と感動しつつ、レース後の集合写真撮影に走ったのだけれど……。
なぜか表情が暗い先生達
カメラに向かう先生方の顔が何だか少しく暗い。どよーん、とした、その表情はなぜ?
「先生方、もっと笑ってくださいよ」
たまりかねて笑顔を催促したら、間髪を入れず、皆川調教師が「こんなに疲れてるのに笑えるか!」
ドッと笑いが起こって、やっと、こんな写真が撮れたのだけれど、レース後の先生方、本当に辛かったようで、口々に「あ〜、こわい。ひどいもんだね、こんなにこわいなんて」と、のたまう。
「こんなに『こわい』のに笑えるか」と爆笑
因みに、「こわい」は北海道弁で「疲れた」という意味。
そんなに「こわく」なるほど、真剣に勝負してくださった訳で、申し訳ないから厩舎に引き揚げる先生方に「有難うございました!」と心より御礼申し上げたら、金田先生が振り返って
「いやぁ、楽しませてもらったよ」とニッコリ。そう言えば金田先生、小学生の息子さんたちとレース前に記念撮影されていた。お父さんの勇姿を見て、息子さん達も、ちょっぴり眩しそうな顔をしていたっけ。
という訳で無事終了したマスターズカップ。オールドファンから新生ばんえい発足以降の若いファンまで、たくさんのファンに喜んでいただいたようで、たくさんの人から、「またやってよ」「次はいつ?」と聞かれて、企画者としては大いに満足。むふふふふ
出来れば、来年も、いや、毎年、グランプリの日の恒例イベントとしてマスターズカップを定着させたい。そうして、ばんえい記念のみならず、夏のグランプリにも、是非、全国からファンが集まってくれれば良いな。
なーんて、優等生ぶった感想を記して、でもね、本当は、私が誰より一番マスターズを見たいのである。今回だって、私が見たいから、無理にも調教師会と主催者に頼んで、実現した訳で。だから、来年も、私のためにマスターズをやって欲しい。いや、やるのである、絶対に!