楽しみな新人騎手の活躍
先週の日曜日(18日)、所用があって、厩舎地区を歩いていたら、前方、コースの方向から若い男性が自転車に乗ってやって来た。勝負服を着ているから騎手さんであるのは分かったけれど、見慣れない勝負服柄。はて、誰かしらん? と考えるともなく考えていると、自転車の騎手さん小さくガッツポーズ。顔には満面の笑み。
あ、あれは、つい先日、デビューした新人騎手・貝羽智生くん。あの喜び方からすると……。
慌ててスタンドに戻って調べてみると……やっぱり! 貝羽くん、初勝利をあげていたのね。
騎乗センスの良さではベテラン大河原騎手も一目置く貝羽騎手。初白星をあげるのは時間の問題と誰もが思っていたことだけど、それでも新人さんにとって初めての勝利は、やっぱり格別なものなんでしょうね。と、あの嬉しそうな笑顔を思い出して、こちらまでニヤニヤしてしまったのでありました。
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さて、しかし、ご存知のように、今年、ばんえい競馬では、この貝羽くんの他にも、実に3名もの新人がデビュー。しかも、みんなそれぞれに個性的。いずれ、友香さんの騎手ファイルで詳しく紹介されるだろうけど、今回は、ちょいと先取りして、一言ずつだけ、ご紹介をば。
前述、貝羽くんより先に初勝利をあげたのが、長澤幸太騎手。兄弟子に大河原騎手、鈴木恵介騎手がいる名門・服部厩舎の所属だけれど、厩舎をあげてのバックアップと天性の素質で、1月19日現在で既に5勝! 初騎乗初勝利という偉業も達成した大器なのである。
照れ屋さんなのか、一見すると、ぶっきらぼうだけれど、人懐っこい笑顔は必ずや若い女性にも人気を博すはず。将来のばんえい界のスター誕生!ですわよ、皆さん!
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兄弟子に恵まれていると言えば、菊池一樹騎手も西弘美・謙一親子を擁する大橋厩舎の所属。厩務員時代から西弘美騎手に可愛がられていて、JRA騎手歓待パーティーや優良馬表彰式といった公式の場所でも、いつも西さんの横には菊池くんの姿が。そう言えば、いつだったか、競馬場から少し離れた和食屋さんで、ばったり西さんに会った時も、その横には菊池くんが居た。という訳で、前々から、よく見知っていた青年が騎手さんになって、私としては密かに親しみを覚えているのである。西さんに負けない立派な騎手になってよ〜!
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でもね、今年の新人騎手さんで一番個性的、といったら……やっぱり林義直騎手!
だって、身長が、何と! 何と! 190センチ! 厩舎地区で「林騎手」と言って通らなくても、「ジャンボ」と言えば誰もが「ああ、あいつ」と頷くほど。
厩務員時代から、林くんが馬を引くと、どんな巨漢馬でも小さく見えて、不思議な気持ちになったけれど、騎手としてソリに乗ると、これがまた、益々不可思議。ソリがちっちゃく見えるの。馬がちっちゃく見えるの。遠近感が変なの。
馬にまたがったら、馬のお腹の向こうから林くんの足先が見えるし、1コースを走っていても凄く近くに見えるし……。
オッズパーク・ばんえい・マネジメントの方が「ギネスに『世界一大きな騎手』として申請しようかな〜」とおっしゃっていたので、「是非、申請すべきですよ」と強く強くお薦めしておいた。アメリカ辺りにはアマチュア騎手の中にバスケット選手がいるらしいし、ばんえいの騎手がJockeyと言えるのか否か微妙ではあるけれど、いんや、そんなこたー関係ないのですよ。ダメでもともと。申請して、ばんえいの存在を多くの人が知ってくださればいいわけでね。
もしもジャンボ林くんがギネスブックに載るようなことがあったら、それこそ大きな大きな広告塔になるわけで……。いやギネスブックに載らなくったって、大きな体で大活躍して欲しいものである。
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ベテラン勢に猛者が居並ぶ「ばんえい騎手」ではあるけれど、いつまでもベテラン騎手に頼っているようでは、ばんえい界に明日はない。早くベテランを脅かし、引導を渡す次代の騎手が育って欲しい、と切望する私には、今年デビューの新人騎手の活躍が楽しみで、楽しみで……。