ニシキエース牝馬三冠に王手
15日(祝・月)は牝馬三冠の第2弾、ばんえいプリンセス賞(3歳牝馬オープン)が行われ、2番人気のニシキエースが勝利。6月の黒ユリ賞に続く重賞2勝目を挙げると同時に、牝馬二冠を達成しました。
道中はニシキエース、ウィナーナナが馬群を引っ張るかたちで進み、3番手以降は横一線。そのままの隊形で第2障害を迎えました。
ひと息入れたのち、いち早く仕掛けたのはウィナーナナ。しかし一歩遅れて登りはじめたニシキエースがひと腰で天板まで上がりきると、先頭で第2障害を越えていきました。少し遅れてウィナーナナ、カネヅル、キタノメイゲツがほぼ同時にクリアして追撃態勢。ユーファンタジーはそのうしろからという展開。
楽な手ごたえのまま残り30メートルラインを越えたニシキエースは、その後も後続を突き放す一方。10メートル以上の差をつけて独走態勢を築くと、激しい2番手争いを尻目にゆうゆうとゴールを果たし、圧倒的な強さを見せつけました。ようやく残り10メートル付近まで来た2番手集団からはわずかにカネヅルがリードを奪い、ウィナーナナは苦しくなってズルズル後退。キタノメイゲツもしぶとく食い下がりましたが、半馬身ほどのリードを保ってカネヅルが2着入線を果たしました。以下キタノメイゲツ、ユーファンタジーと続き、ゴール前で脚が止まってしまったウィナーナナは結局6着という結果に終わりました。
黒ユリ賞制覇時にも紹介したように、同馬は97年の三冠馬ウンカイの初年度産駒。牡牝の違いこそあれ、父同様の三冠制覇がいよいよ現実味を帯びてきました。今回のレースへ向けては、黒ユリ賞後にひと息入れ、逆算してローテーションを組んだ印象。完璧なレースぶりからも“狙い澄ました”感が強く感じられ、陣営の牝馬三冠への意気込みは並々ならぬものと見ていいでしょう。ばんえいオークス(12月14日)でも十分に期待が持てそうです。
黒ユリ賞で3着だったカネヅルが一歩前進。ウィナーナナの失速に助けられた感もありますが、追いすがるキタノメイゲツを振り切ったあたりは地力強化の証明でしょう。そのしぶとさからも、今後のレースぶりに注目です。
松田道明騎手「この馬のお父さん(ウンカイ)も強い馬でしたし、やはり似たところがあるのでしょう。今回は、相手になりそうな馬を決めていて、そうした馬をある程度引きつけてレースができれば、自分の馬に分があると思っていました。今日の条件や馬場を考えるとウィナーナナにも不利な部分があるなと思ったので、障害では相手の様子をうかがいながら、ひと呼吸おいて仕掛けました。(障害以外の)道中の強さは抜けているので、障害を下りた時点で勝てるだろうと思いました」