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やっぱり馬が好き(第31回)  旋丸 巴

イケメン騎手は難儀な存在?

 ばんえい存続問題で揺れた11月以降、私の人生は大きく方向転換してしまったようで、何しろかにしろ、ばんえい関係の知人が爆発的に増えた。特に、騎手の人達とは、随分、お話をさせてもらうようになった。

 と、ここで、突然話は飛んで、我が氏素性の話になるのだけれど、当方、実は、小学生時代を兵庫県芦屋市という高級住宅街で過ごし、通った小学校は、その名も「山手小学校」。同級生には大企業の社長さんの子息なんぞがゴロゴロ。なおかつ、当時、私は隣街・神戸の乗馬クラブに通っていて、大臣を務める国会議員の先生や経済界の大物であるオジサン達と馬首を並べて馬術に励んだ。

 って、何を言いたいかと言えば、「私ってばお嬢様なの」ということなんである。

 けれど、また、私には別の氏素性物語があって、かくかように優雅な生活の以前に住んでいたのは、大阪南部・河内という地方。御存じない方のために解説すれば、河内というのは、その、あの、まあ、お下劣なお言葉などをお話になる地域で……。

 芦屋育ちにも関わらず、だから、時折、私は、心ならずも、幼少のみぎりの河内弁が口を突くことがあって、この発作が起こるのが、困ったこと競馬場なのである。

 「行け~!! ××~!! こら~っ、××っ、差せ!! 差さんか~!!」

 「××」の部分に、騎手各位の御芳名が入ることは当然で、なおかつ、敬称略、というのも、これまた当然。

 だったのだけれど……。

 ここで話は冒頭に戻る。

 色々な騎手の方々とお知り合いになったのですよ。しかも、その内、何人かとは真剣に意見交換なんぞもさせていただきました。と、なると……。

 そう、前述の如き河内弁での「応援」(世間では、これを「罵声」と呼ぶ)は、できない訳で……。

 のみならず、知っている騎手さんの姿を見ると、馬券検討に大いなる迷いが生じて……って、まあ、元々が、そんな精緻な馬券検討であるはずもないのだが、それにしても、「お話させてもらった騎手さん」というのは、なかなか難儀な存在なのである。

Photo_74  「ナイターを始めるなら、屋台村なんかを誘致して、若い人のデートスポットにするなんていう考えもありますよね」と、先日のシンポジウム後のレセプションで、真剣に「ばんえい再生」について語ってくれた鈴木恵介騎手(写真)。こんな風に熱く紳士に語られたら、以降、馬券を買わずにいられる訳はなく……。

Photo_75  また、12月の署名運動で、「勝負服にも冬用と夏用があるんですか?」という私のアホな質問に、丁寧に答えてくれた阿部武臣騎手(写真・左)も、あの日以来、無視できない存在となって……。

 「あのさぁ、結局、イケメンの騎手さんに気持ちが行ってるだけじゃないの?」と、我が家に生息するオジサン(我らが馬券博士・古林大教授先生のお説によると、これを「ハイグウシャ」というらしい)が嫌味を言うけど……。

 けどね、女性読者諸氏よ、精悍なマスクも凛々しい恵介君の騎乗姿や、ハーフかと見紛う艶やかな武臣さんの笑顔を見て、心動かなくなったら、もう、あなたの「女性度」は、相当、枯れてますぜ。ふっふっふ(写真映りは悪いけど、恵介騎手も、武臣騎手も、実物はもっとイケメン)。

 という訳で、なまじ騎手の方々とお知り合いになったばかりに、生来の馬券下手に拍車がかかって、もう、ズンドコの馬券成績。辛酸をなめることに危ない喜びさえ感じる、この頃の旋丸なのでありました。うわ~ん。

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