ラブリー谷厩務員
今回は、谷歩(たに・あゆみ)さんという女性のお話。この人、既に色々なメディアで取り上げられているから、ご存知の方も多いと思うけれど、ばんえい競馬の女性厩務員さん。
昨年、十勝馬事振興会が発行した「赤べえ」という絵本で、谷さんが絵を担当。私が文を担当したことが縁で親しくさせてもらうようになったのだけど、この本の制作の過程で、谷さんの絵を初めて見た時には、心底驚いた。冗談抜きで巧いのである。馬の絵に対しては相当評価が厳しい私が、そう言うのだから、本物。それで、すっかり彼女のファンとなった私だけれど、以降、厩舎を訪ねたり、メールをやり取りしたりするうちに、谷さんの人間性そのものにも惹かれるようになった。何たって、実直で明るい性格が素敵!
帯広畜産大学を卒業し、浦河の谷川牧場で、かの三冠馬シンザンの世話をしたこともある、という経歴を持ちながら、一向、偉ぶったところがなくて、いや、それどころか、小柄な体で巨漢馬相手に真摯に働き、でありながら、いつも快活、お茶目なのだ。
この原稿を記すために、メールで「今、担当してる馬、教えて」と問い合わせたら、「3歳、せん馬、カゲセンプー。昨年度は男だったんだけど、あんまり、ろくでないことばかりするので玉とられました」……だって。
谷さん、女性としてどうよ、この発言。
他の担当馬についてのコメントも面白いから引用すれば……。
「キョウワプリンセス 2歳牝馬。何でもおっかなびっくりの体ばかりでかい5月生まれのお嬢ちゃん。人一倍大きな目がとってもラブリーです」
他にタカラガールという3歳牝馬の、計3頭を担当。プロ級の絵を描き続けながら、今日も愛馬3頭と共に、ばんえい競馬で戦っている谷さんは、キョウワプリンセスに負けず劣らずラブリーなんである。