高橋貢と木村武之の激闘、再び!
4日間の戦いを終えてファイナリスト8人が出揃った。いづれも優勝戦に相応しい顔ぶれで、ハイレベルの戦いが期待される。記念開催の優勝戦と言えば0メートルオープン戦が主流だが、今回は10メートルオープン戦。これが優勝争いにどう影響するか。優勝戦を展望してみる。
まずはスタート争い。0オープンと違って10オープン戦では内枠が圧倒的に有利になる。三浦康平のスタートの切れも悪くはないが、ここは全国屈指のスタート巧者・篠原睦が先行しそうだ。更には6枠の高橋貢、7枠の木村武之がそれに乗って出る形とみた。
レース展開は、スタート決める篠原が逃げてペースをどこまで上げるか。GⅡの優勝戦は8周回となるので、篠原で逃げ切れるかは疑問。スタートで2番手に出そうな高橋がピッタリマークから差しの機会を窺う。篠原の隙を見逃さず、切り込んで行きそう。その後はそれに続く木村武之との一騎打ちムード。
過去に何度も死闘を演じてきたこの2人。どちらが勝つかは予想つきにくい。その時その時の仕上がりの差がモノを言いそう。ただし、今回に限って言えば、高橋は木村に対し10オープンの内側からのスタートになる。これは負けられぬと、闘志を倍増させてきそうなので、今回は高橋を本命にしたい。
本来ならば、永井大介も十分優勝争いに参加するハズだが、今回のエンジンの仕上がりは明らかに劣勢。新車に乗り替わってからのセッティングがなかなか出てない。優勝戦の試走でよほどのタイムが出ない限りは厳しいレースになりそう。
他でチャンスありそうなのは伊藤信夫。4日目は全選手で一番になる上がりタイムをマークしているので、序盤で抜け出せるようならチャンスも出てくる。また、岡部も2枠ならスタート頑張りたいところ。序盤で好位置に付けるようなら怖い存在。準決では高橋に離されない動きを見せていた。
三浦も10オープンの最内なら先行したいところだし、内山高秀は8周戦でも苦にしない精神力を持っている。共に、当日の試走気配では注意を要したい存在だ。
◎高橋貢
○木村武之
△永井大介
△伊藤信夫
▲岡部聡
豪華メンバーでGⅡグランプリ開幕!
地元・伊勢崎勢はS級とA級の選手が全て出場予定。総力戦で外来勢を迎え撃つ。外来からも強力な選手が参戦しており、激しい戦いが繰り広げられる。そこで、各地区の注目選手を挙げてみる。
まずは地元から。大将格の高橋貢は、前走が浜松のSG全日本選抜。準決では素晴らしい走りを見せてシッカリ優出を果たした。その優勝戦ではスタートで好位置を奪えず苦しいレースになってしまった。しかし、ここ半年くらいのスランプからは完全に脱している模様。今回も、地元勢を引っ張っていく力強いリーダーになりそう。
2番手の浅香潤も前走は浜松のSG。準決まで行けなかったが、残り2日間は連対した。試走タイムも30を切る数字をマークしていたので、ようやく本来のスピードが出てきた。外来勢に対する強力な存在になりえる。もう一人のS級は早川清太郎。前走はやはり浜松のSGで準決まで進めなかった。しかし、最終日は1着を取っていたので明るい材料と言える。
A級の中でも注目選手は多い。岩沼靖郎や三浦康平がようやく良くなってきた感がある。レース前半は不安だが、道中の伸びが良い森村亮や一発力がある金山周平、近況力を付けてる渋沢憲司らも見せ場を作りそう。
外来勢で注目なのは船橋地区。全国ランク1位の永井大介は、浜松のSGで優出ならなかった。これは永井が浜松との相性が悪いのも影響したと思われる。伊勢崎では過去にしっかりとした実績を残しているので心配はない。内山高秀も浜松のSGでは不本意な結果に終わったが、近況は整備力も身についてきているし早めの立て直しもありそう。また、片平巧は浜松のSGの準決で優出もありそうな動きを見せていたので、今回も楽しみだ。
川口からはランク筆頭が若井友和。浜松SGでは準決に乗れなかったが、残り2日間はしっかり結果を出している。試走タイムも30近辺が出ているのでエンジン的には戦える状態にある。同期の森且行はSGの後半2日間は良くなかったが、試走タイム自体はしっかり出ているので心配ない。後半追い込み型の中野憲人もエンジンは徐々に良くなりつつある。
浜松からは木村武之が登場。地元のSG優勝戦では、逃げ態勢を作ったがペースが上がらず浦田信輔に差し込まれてしまった。それでも準優勝という結果を残したのは流石。近況は大幅に崩れることも少ないので初日から飛ばして行きそうだ。2番手の伊藤信夫は地元のSGで反則してしまったが、エンジンの方は悪くなさそう。地元ではだいたい車が良いことが多い。あとは遠征先の走路に合うかどうかだ。ハンデ的にチャンスになりそうなのは松山茂靖。試走タイムが出なくても狙える強味がある。
飯塚からは篠原睦。浜松SGでは3日目にして一般戦回りになってしまった。しかし、ここからの3日間は全て1着。試走タイムも出ているし、スタートも抜群に切れていた。また、東小野正道も浜松SGで納得いく結果が出せなかった。しかし、このエンジンになってからは以前より良くなっているし、伊勢崎は過去にプレミアムカップを制した相性のいい走路。巻き返しに期待したい。他で注目は重富大輔。課題だったスタートがだいぶ改善されている。
最後に山陽からは岡部聡。浜松SGでは成績イマイチだったが、試走で29をマークする日もあったのでエンジン自体はマズマズか。岩崎亮一も浜松SGではピリッとしなかったが、伊勢崎との相性は悪くなく、2年前には優勝もしている。人見剛志はここ何節もエンジンは良い状態で安定している。スタートさえしっかりこなせれば上位争いに食い込んでくる。
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主な出場予定選手
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高橋 貢〔伊勢崎 S-7(22期)〕
早川 清太郎〔伊勢崎 S-16(29期)〕
浅香 潤〔伊勢崎 S-33(23期)〕
永井 大介〔船橋 S-1(25期)〕
若井 友和〔川口 S-11(25期)〕
木村 武之〔浜松 S-9(26期)〕
篠原 睦〔飯塚 S-21(26期)〕
岡部 聡〔山陽 S-23(19期)〕
川口勢VS浜松勢に船橋勢と飯塚勢も参戦!
今回は地元上位陣に休場選手が多く、逆に浜松から大量参戦。それに、船橋や飯塚からも何車か加わる形。スピードタイプの選手が少ないので、激しい競り合いが見ものになりそう。各地区の上位選手を中心に、気になる選手の動向を追う。
まずは地元からだが、S級は3人だけ。その中でランク最上位は鈴木清で、前走は浜松のSG全日本選抜オートレース。初日から試走タイムが出ない症状が出ていて、シリーズを通してもいい所がなかった。冬場のこの時期なら試走タイム33程度は欲しいところ。今回は一般開催だが、やはりその近辺の試走タイムが出るかどうかがカギになりそうだ。
大木光も前走は浜松のSG。2~3節前まではエンジンが安定して良かったが、このところはやや落ち気味。浜松の開催でも立て直しができずに終わってしまった。今回は地元開催なので、早い段階で整備による立て直しが期待される。S級最後は青木治親。前走はやはり浜松のSG。試走タイム自体はマズマズ出ていたが、レースに繋げることができなかった。しかし、今回のように一般開催なら十分通用する動きはあった。初日から気持ちよく快勝と行きたいところ。
地元A級の中では、阿部剛士に注目。前走は浜松のSGで、準決まで行けなかったが、残り2日間を共に2着で終えている。試走タイムも33出ていたのでエンジン自体もマズマズ良い。スタートも切れているので速攻に期待できる。また、吉田祐也は、前節こそ初日の重走路で苦しんでしまったが、エンジン自体は冬場のスピード戦にも対応できる状態になっている。他では、小原望が一戦ごとに力を付けており、シリーズ間での成長にも注意して見ていきたい。2級車新人も、近況は上位争いに参加してきているので注目を。
外来では浜松勢が大挙参戦。リーダーはS級の金子大輔。地元のSGでは準決6着で優出はならなかった。SGの大舞台ではエンジンが少し足りなかったが、今回なら優勝争いにまで参加できる動きはある。レース運びも巧いので、必ずや優勝戦まで駒を進めてくるだろう。速攻派の鈴木辰己や鈴木静二、ただ今成長中の辰巳裕樹、スピードがある柴田健治と関口隆広、逃げて渋太い上村敏明や橋本優一、一発力がある鈴木健吾などタレント豊富。
飯塚からは久門徹が参戦。エンジンは日替わり状態だが、浜松のSGでは2勝を挙げており、試走タイムが34出れば戦える状態。藤川幸宏は浜松3日目の落車の影響が出ているのか、車は良くなさそう。
船橋では新井惠匠がランク筆頭。浜松のSGでは、本人の持てる力を出し切れずに終わった。エンジン自体ももう少し欲しいところで、整備での上昇に期待したい。
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主な出場予定選手
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鈴木 清〔川口 S-31(23期)〕
大木 光〔川口 S-35(28期)〕
青木 治親〔川口 S-39(29期)〕
吉田 幸司〔川口 A-10(21期)〕
深谷 輝〔川口 A-13(26期)〕
新井 惠匠〔船橋 A-25(30期)〕
金子 大輔〔浜松 S-6(29期)〕
久門 徹〔飯塚 S-34(26期)〕
SG全日本選抜Vの浦田信輔を地元・山陽勢が迎え撃ち!
地元山陽勢は10数人欠けるが、ほぼ全選手出場の今節。外来の目玉選手は浦田信輔で、強固な地元の牙城を切り崩す存在になりそう。
今、最も乗れている選手は間違いなく浦田であろう。SG全日本選抜を制してからまだ1週間と経っていないのだから、勢いはそのままに初日から力強い走りを見せてくれそう。優勝戦の難しいレースを勝ち切ったのだから今回は当然、優勝候補に挙げられる。問題は山陽走路に合うかどうか。エンジン自体の素性は問題ないわけであるから、走路にセットが合うかがカギになる。
浜松のSGで優出したのは、他に2人いる。一人は浜松の佐藤貴也。地元開催のSGとあって、気合の方も満点だったのは確かだが、エンジンの方も高い位置にあったと言える。元々、走りの攻撃力は高い選手として定評があった。問題はエンジン作りだった。自分のイメージするエンジンをなかなか作れずにシリーズが終わってしまうケースが多かったが、先のSGでは車を良い状態に仕上げることができた。これは、これからの戦いにおいて大きな自信になったと思われる。
もう一人の優出者は山陽の前田淳。優勝戦は大外に置かれて厳しいレースになってしまったが、準決などの大事な場面で大駆けすることが多い。それにはもちろん、本人のしっかりした走力がなければなされないこと。ここ一番でのスタート力も強い味方になる。今回は追って行く展開が多くなりそうだが、その捌きも見ものとなる。
他の地元S級の動向はと言うと、ランク筆頭の松尾啓史はSGで優出ならなかったが、連日試走タイムは出ていたのでエンジン自体は問題ないか。藤岡一樹はSGで勝ち星がなく、残り3日間も全て3着。エンジン的にはもうチョイという状態。浜野淳は試走タイムは出ない状態にあるが、レースでは本人の腕だけでカバーして乗り切っている印象。これに試走タイムがしっかり出てくるようだと怖い存在になる。角南一如はSGの4日目に1着を取ったが、まだまだ本人の納得いくエンジンにはなっていないだろう。
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主な出場予定選手
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浦田 信輔〔飯塚 S-3(23期)〕
松尾 啓史〔山陽 S-8(26期)〕
藤岡 一樹〔山陽 S-18(29期)〕
浜野 淳〔山陽 S-19(24期)〕
角南 一如〔山陽 S-25(27期)〕
前田 淳〔山陽 S-29(27期)〕
佐藤 貴也〔浜松 S-36(29期)〕
牧野 貴博〔船橋 A-73(24期)〕
SG全日本選抜・激戦を制したのは浦田信輔!
SG第27回全日本選抜オートレースの優勝戦が11日、浜松オートで行われた。優勝したのは戦前の予想を覆して浦田信輔だった。
試走は高橋貢、青山周平、中村雅人、浦田信輔の4人が一番時計の3・29だった。地元期待の木村武之は3・30と、思ったほどの試走タイムが出なかった。他では前田淳が32、佐藤貴也が33、荒尾聡は34だった。
レース展開は大方の予想を裏切って荒尾が先行できなかった。トップスタート切ったのは木村。それに青山が続く形だった。中村が青山をすぐに捌いて2番手に立った。そこからは粘る木村と、隙を狙っている中村の一騎打ちムードだった。しかし、そこに割り込んできたのは浦田。中村が決め手を欠き、追走で様子を見ていたところを浦田がまとめて差し込んだ。
木村にとっては絶好の展開だったが、やはり試走タイムが表す通り、エンジンは仕上がり不足だったのかもしれない。ペースが上がらなかった。中村もいつもの走りができていれば突っ込めていたとは思うが...。一瞬のチャンスをモノにした浦田は流石の一言。攻めの技量もさることながら、走りの積極性に限って言えば全選手の中でもトップ級。ファンからの支持が厚いわけである。
青山は車の仕上がり不足もあったとは思うが、自分の展開を作れなかった時の課題が残された形。先行して自分のリズムで走れているときはいいが、自分のグリップでレースさせてもらえない時にやや不安が残る。もちろん、それはトップクラス同士のバトルでの事だが...。
高橋貢は優勝戦ではいいところがなく終わったが、準決の走りをみると低迷は脱してきつつある様子。今後の完全復活に期待したい。