GⅠ開設57周年記念レースの優勝戦が行われた3月5日は、第1レースは雨走路だったが、徐々に水気が引けてきて優勝戦の時間帯には走路も乾いて良走路で行われた。激戦を制したのは地元の浦田信輔だった。
試走タイムは高橋貢がトップの29。次いで永井大介と人見剛志が30。浦田は32だった。
0オープンのカギを握るスタートは最内から久門徹が飛び出した。しかし、2番手に出た高橋義弘に乗って行った浦田がバックストレッチで一気に好位を奪った。人気の永井は序盤で好位を奪えず、苦しい展開になった。それでも、中団を捌いて行って、浦田の背後まで迫ると渾身の突っ込みを見せた。これはやや無理な突っ込みで立ち上がりで流れてしまう。そこを浦田が冷静に対処し、再び首位を奪取した。大外からのレースになった高橋貢は、試走29の機力を活かし3着まで追い込んだ。エンジン良かった人見はスタートで遅れて厳しいレースになった。
浦田の勝因は高橋義弘のスタートに乗って出られた事と、チャンス所を見逃さなかった事。百戦錬磨の浦田は勝ち方を知っている。大舞台のレースにおいて大事な場面を熟知している。そのレースのポイントとなる所で的確な走りができる。試走タイムが多少劣勢でも経験と腕でなんとかできてしまうあたりは流石である。今年は早々とSGも制しているし、良い年になりそうだ。
ファイナルバトル開演!
長い予選道中を戦い切り、優勝戦まで駒を進めた8人が出揃った。今節を通して言える事だが、主力級の選手がエンジン仕上げ切れない傾向がある。準決でも波乱が多かった。まずは簡単に準決を振り返ってみたい。
9R...10メートルからトップスタートを決めた久門徹が高橋義徳を交わして逃げ切る。人気の森且行が続いて行くも、岩科鮮太がイン突っ込んで2着。荒尾聡は試走から精彩を欠き、松尾啓史は追い込みが届かなかった。
10R...今節ずっとエンジンが良い阿部仁志がトップスタートを切ったが、すぐさま重富大輔が交わして逃走。永井大介が佐藤貴也や阿部仁志を捌くも重富までは届かず2着止まり。
11R...トップスタートを決めた高橋義弘が終始、篠原睦を抑え込む展開で逃げ粘った。高橋貢が5番手スタートから岩崎亮一、篠原睦を交わして優出圏内に入った。
12...スタートに課題があった中尾貴志が先行して逃げる展開。2番手に出た人見剛志がマーク追走から差し込み1着ゴール。浦田信輔は6番手ぐらいのスタートから冷静に攻めて行き、優出を決めた。
今節はエンジンが完全に仕上がっている選手が不在で、優勝戦も難解なレースになりそう。格から言えば、永井や高橋貢、浦田あたりだが、エンジンの状態には納得いっている様子がない。むしろ、優勝戦メンバーで一番仕上がっているのは人見だと思われる。しかし、大舞台でのレース実績で言えば、やや見劣りする感じは否めない。
そこで、この優勝戦の本命には浦田を推す。もう少しタイムが欲しい感じはあるが、優勝戦で2周増えるのは本人にとって好材料。更に、地元の声援を後押しに気合を込めて行きそうだ。
相手候補には重富大輔を挙げたい。長年課題だったスタートが良くなっている。と言うより良くなりすぎて、スタート巧者の部類に入ってきている。エンジンの仕上がりもマズマズ良いので好走を見せそうだ。他では当然、永井や高橋貢も絡んできそう。人見や岩科はエンジンの状態は良いが、序盤の位置取り争いで後手を踏みそうなので印を落とした。一発あれば、ドッカーンとスタート切った場合の久門の絡みか。高橋義弘はスタート切れているが、準決でもペースが上がらなかったように、エンジンの仕上がりは明らかに不足。
◎浦田信輔
○重富大輔
△永井大介
△高橋貢
▲久門徹
各地区から強豪メンバーが集結!
今回で57回目を数える飯塚のGⅠ開設記念は、3月1日から5日までの5日間で開催される。各地区からトップクラスの選手が参戦するが、地元飯塚勢も層の厚さで応戦する。主力級選手を中心に動向を追ってみる。
まずは地元飯塚から。大将格の浦田信輔は好調を維持。浜松のSG全日本選抜を見事な走りで制すると、その後は山陽の一般開催に参戦。1着、1着で優出すると、その優勝戦では4着。試走タイムはしっかり出ていたので、エンジン自体は問題なさそう。若手が多い飯塚勢を力強く引っ張っていく存在になる。
2番手の荒尾聡は前走が浜松のSGでしっかり優出。優勝戦では8着になってしまったが、ここ最近の苦しんでいた様子からはやや上向いてきたか。もちろんまだ本調子ではないので、ここからの上昇に期待したい。田中茂は前走が浜松のSGだった。準決で3着になってしまい優出はならなかったが、節を通してマズマズの動きを見せていた。同期の篠原睦は前走が伊勢崎のGⅡグランプリ。準決を2着で突破すると、優勝戦でも鋭い飛び出しから逃げを見せて2着ゴール。準優勝の結果を残した。相変わらずスタートは切れているし、レース後半までペース落ちることが少なくなった。同じく同期の久門徹は前走が川口の一般開催。準決を1着で突破すると、優勝戦では3着に食い込んだ。試走タイムが出てないのは気がかりだが、レースではそれなりの走りができている。
他にもまだまだ地元S級選手はいるが、いづれも調子はイマイチ。東小野正道はこのところ落車が続いているので、初日の試走には特に注意して目を向けてみたい。
外来勢はどの地区も注目だが、まずは全国ランク1位の永井大介を擁する船橋地区から。
永井大介は前走が伊勢崎のGⅡで、優勝戦まで進んだものの結果は7着。全国ランク1位の存在感を示せなかった。その理由はエンジン。このところ納得いく仕上がりになっていないことが挙げられる。試走タイムもこの時期なら30を切れる実力を持っているので、その辺りが目安になる。内山高秀も前走は伊勢崎GⅡ。優勝戦まで進んで4着だった。エンジンの仕上がりはもう一息という所だが、その状態ナリの走りはしっかりできている。
次にホットな地区は浜松か。ランクトップは金子大輔で、前走は川口の一般開催。なかなか調子が上がらず、優勝戦までは進んだが結果は5着。しっかりエンジン仕上がれば、十分優勝できる状況だった。もうひと仕上がりを求めたい。伊藤信夫は前走が伊勢崎のGⅡ。優勝戦まで進んで3着だった。前を走っていた篠原に内山が重なる展開で、内山に割り込んで行けたのと、試走タイムが出ていたことを考えるとエンジンの状態はマズマズ良いと言える。最も注目したい選手は佐藤貴也。地元のSGで優出すると、その後は山陽の一般開催に参戦。この開催で見事優勝した。優勝戦は松尾啓史が先頭に立つ展開だったが、佐藤が差し返しての逆転勝利。本人の自信に繋がったことだろう。
伊勢崎からは8選手が参加予定。何といっても注目は高橋貢。前走は地元のGⅡで完全優勝を決めた。ここ最近の不調を打ち消す強烈な成績を残した。完全復活へ向け、今回も全力で取り組んでくるだろう。他に注目なのは桜井晴光。元々は飯塚所属の選手で、走路の特徴は掴んでいる。更に、この開設記念は2009年に制している。独走に持ち込める展開になりそうならアタマから買ってみたい選手の一人だ。
川口地区からはS級が5人参戦予定だが、いづれも調子はイマイチ。それでも鈴木清が地元の開催で優出しているし、森且行は試走タイム自体はそれなりに出ているので好走可能。また、A級ではあるが、阿部剛士がエンジン好調。ハンデ位置的にも魅力があれば、積極的に狙ってみたい。
最後に山陽地区。地元の一般開催で優勝戦まで進んだ選手は3名。トップの成績は松尾啓史で準優勝だった。1回は先頭に立ったものの佐藤貴也に交わされてしまった。それでも試走タイムは出ていたし、予選、準決の動きは良かったので今回も期待できる。次が、6着だった藤岡一樹。一時期に比べればだいぶエンジン立ち直ってきたが、良い時の手応えを知ってるだけに、今の状態には満足していないだろう。上積みを狙って整備に取り組みそう。7着になった丹村飛竜は試走タイム3・27という強烈な数字を出していた。準決でも29を出していたのでエンジン自体は問題ないか。
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主な出場予定選手
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浦田 信輔〔飯塚 S-3(23期)〕
荒尾 聡〔飯塚 S-4(27期)〕
田中 茂〔飯塚 S-12(26期)〕
永井 大介〔船橋 S-1(25期)〕
佐藤 裕二〔川口 S-17(24期)〕
高橋 貢〔伊勢崎 S-7(22期)〕
金子 大輔〔浜松 S-6(29期)〕
松尾 啓史〔山陽 S-8(26期)〕
高橋貢が見事に完全優勝を達成!
好天のもと行われた伊勢崎のGⅡグランプリの優勝戦は、地元の高橋貢が圧巻の走りで優勝した。
試走タイムは全車でそれほど差がなく、スタートが重要となった。大方の予想通り、篠原睦が内枠から好スタートを決めた。高橋は4~5番手のスタートだったが、あっさりと2番手に立つと篠原をいつ抜くかの展開になった。逃げてる篠原はそれほどペースが上がらず、高橋がきれいに交わすとそのまま押し切った。後続を大きく引き離し、王者の真の姿が戻ったかのような力強い走りだった。
2着には篠原がそのまま粘り込んだ。3番手に付けていた内山高秀だったが、篠原攻略のカギを掴めず追走一杯。更に後ろに付けていた伊藤信夫が内山を捌いて3番手に上がった。注目の木村武之は序盤の展開も苦しかったが、最後まで上位浮上はならずに終わってしまった。また、全国ランク1位の永井大介は、今節の不調がそのまま優勝戦まで続いてしまった。試走タイムから物足りなかったが、レースでも見せ場なく終わってしまった。
昨年後半は苦しんだ高橋貢だが、今年に入ってからは地元のGⅠで準優勝。浜松のSG全日本選抜でしっかり優出。そして、今回地元のGⅡで結果を出した。本来の実力からすれば、本人としてはマダマダだろうと思われるが、今回の優勝をきっかけに再び輝きを取り戻してくれる事を祈っている。
5日間のロング開催で、存分にレースを楽しめる!
今回は一般開催ながら5日間と長いシリーズになる。準決や優勝戦のレースを占うべく、初日のレース内容から目が離せない。実力選手を中心に近況を追ってみる。
まず地元勢でS級の参戦は4人。ランク筆頭は青山周平で、前走は浜松のSG全日本選抜。準決1着を含め、予選中はオール連対で優勝戦まで駒を進めた。肝心の優勝戦では序盤で中村雅人に捌かれ、巻き返すことができずに終わってしまった。結果は5着。またもや不本意な成績になってしまった。しかし、この5着を除けば、今年に入ってからは全てのレースで連対を外していない。今年に入り全14走して1着が10回、2着が3回、あとはSG優勝戦の5着が1回のみ。これは凄まじい成績と言える。今回も当然、優勝候補の筆頭に挙げられる。
それを阻止すべく立ち向かうのは中村雅人や池田政和、西原智昭。中村は前走がやはり浜松SG。しっかり優勝戦まで進んで結果は3着。トップスタートを切った木村武之にピタリマークする展開で隙を窺っていた。しかし、後方から一瞬の間隙を突いてやってきたのは浦田信輔。最後まで木村を抜けずに終わってしまった。ただ、エンジンの仕上がりはかなり良いと言えるので、青山に抵抗できる一番手になるだろう。池田は前走の浜松SGの3日目に落車している。それ以来のレースになるので、初日の試走は特に注目して見てみたい。西原も前走は浜松SG。3日目に1着が1回あるが、本人としては納得行く結果ではなかったと思われる。今回は地元なので早めの立て直しに期待したい。
A級の中では福村唯倫が調子上向き。伊勢崎の一般開催に2節連続で出場して共に優出。最後のレースは雪で中止になってしまったが、エンジンは安定していた。荒川哲也も調子は良い。前走が川口の一般開催で、予選と準決を共に1着。優勝戦でも2着に入る準優勝を決めた。その前の地元も悪くはなかったので、今回もチャンス。その川口開催では落合淳も優出していたので注意。
外来勢では山陽からS級選手が2人参戦。浜野淳はマズマズだった浜松SGの後に、地元で3日間走っていた。その開催では全くいいところがなかったが、浜松の時の動きを取り戻せれば十分戦える。角南一如も同じく浜松SGの後に地元で走った。どちらの節も力を出せきれずに終わっているので巻き返しに期待したい。
浜松からは笠木美孝がS級選手として参加。地元のSGではいい結果を出せなかったが、1月に船橋に来ているのでセッティングの面でデータが取れているか。同地区からは他にも、スピードある筒井健太や一発力がある浅野浩幸などが参戦するので楽しみ。また、浜松の2級車新人の4人も初めての遠征で、今回の船橋開催に参加する。こちらも注目して見てみたい。
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主な出場予定選手
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青山 周平〔船橋 S-2(31期)〕
中村 雅人〔船橋 S-5(28期)〕
池田 政和〔船橋 S-15(23期)〕
西原 智昭〔船橋 S-28(28期)〕
浜野 淳〔山陽 S-19(24期)〕
角南 一如〔山陽 S-25(27期)〕
笠木 美孝〔浜松 S-44(22期)〕
広瀬 勝光〔川口 A-11(30期)〕