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斎藤修NAR『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』、『競馬総合チャンネル』などで地方競馬を中心に記事を執筆。グリーンチャンネル『アタック!地方競馬』『地方競馬中継』解説。1964年生まれ。

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【コラム】各地の3歳戦線展望

 地方競馬では今年も5月28日の九州ダービー栄城賞(佐賀)から全国で『ダービーシリーズ』がはじまる。そこで、今回は地区ごとに3歳戦線の有力馬を紹介する。
 
【岩手】
 岩手の3歳戦線は、一冠目が5月1日のダイヤモンドカップ(水沢1600m)で、二冠目が6月14日の東北優駿(水沢2000m)。
 4月3日に行われた前哨戦のスプリングカップを4馬身差で圧勝したのがクロールキックで、2歳時の寒菊賞に続く重賞2勝目。冬季に移籍していた南関東では不運な除外のあと、1戦(12着)したのみで結果を残せなかったが、レースを使われる過程で確実に力をつけてきた。そのスプリングカップで、直線単独先頭に立っていたものの2着だったのがグットクレンジング。門別デビューで高知の金の鞍賞2着から大井を経由しての岩手転入初戦。一冠目のダイヤモンドカップはクロールキックが回避となって、グットクレンジングを巡る争いとなりそう。
 牝馬では、スプリングカップ5着だったマルルットゥが、4月17日の3歳牝馬重賞・あやめ賞で重賞初制覇。そのあやめ賞では1番人気に支持されるも半馬身差2着だったボサノヴァは、2歳時に金沢シンデレラカップを制した実績。ともに5月15日の留守杯日高賞で地元の期待となりそうだ。
 
【金沢】
 金沢は、一冠目が5月24日の北日本新聞杯(1700m)で、二冠目が6月21日の石川ダービー(2000m)。
 金沢のこの世代は、令和3年の表彰で最優秀2歳馬に選定された牝馬のエムティアンジェが断然の成績を残している。門別で未勝利戦を勝って9月に転入。金沢所属となってからの2歳時は重賞のみ5戦して4勝、2着1回。地元では金沢プリンセスカップ、金沢ヤングチャンピオンを制し、笠松に遠征してラブミーチャン記念、ライデンリーダー記念を制した。唯一2着に負けた兼六園ジュニアカップは、先着されたのが門別の2歳オープン勝ち馬だった。そして3歳初戦となった4月17日の3歳A1特別では、岩手から転入初戦のリュウノガルシアと3コーナーから一騎打ちとなり、これをクビ差でしりぞけ勝利。相手は、岩手で冬休み明け2戦しての転入だったのに対し、エムティアンジェは年末のライデンリーダー記念以来の3歳初戦だったことを考えれば、着差以上に強い内容だった。
 また、金沢シンデレラカップで4着だったスーパーバンタムは、年末の準重賞・あての木賞を6馬身差で圧勝。冬休み明け後に3歳A1特別を2連勝と好調持続。
 この牝馬2頭の成績が目立つが、金沢では中央未勝利や1勝からの転入馬が勢力図を一気に塗り替えることもあるので、転入馬にも注意しておきたい。
 
【東海】
 東海地区は、5月4日の駿蹄賞(名古屋2000m)が一冠目で、二冠目の東海ダービー(名古屋2000m)は6月7日に行われる。
 東海地区もこの世代は牝馬が強い。秋に岩手から名古屋に転入したアップテンペストは、ライデンリーダー記念2着、新春ペガサスカップ2着と、あと一息だったが、2月1日の梅桜賞では、2歳時にゴールドウィング賞を制していたドミニク(笠松)に8馬身差をつけての圧勝。さらに2月15日、牡馬相手のスプリングカップも逃げ切って見せた。そして4月21日の東海クイーンカップでは1番人気に期待されたが、逃げ馬をぴたりとマークして進んだものの、3コーナーで一杯になってしまい12頭立ての11着に沈んだ。駿蹄賞に向けて立て直してくるかどうか。
 1月の新春ペガサスカップでアップテンペストに7馬身差をつけて勝ったのがレイジーウォリアー(名古屋)。その後は、3月1日の若草賞で高知・アンティキティラの2着、南関東からの遠征馬のワンツーだった東海クイーンカップでは4着。この世代は他地区からの遠征馬の活躍が目立っているだけに混戦といえそう。
 牡馬ではリンクスターツ(名古屋)が4月7日の笠松・新緑賞を重賞初挑戦で勝利。秋に北海道から移籍後、9戦5勝、2着2回と、今後の活躍も期待できそう。
 
【兵庫】
 兵庫では、2歳時5戦全勝で令和3年の最優秀2歳馬に選出されたガリバーストームが残念ながら戦線離脱。一冠目の菊水賞(園田1700m)が4月7日に行われた。
 笠松・ゴールドジュニアから園田・兵庫ユースカップをともに圧勝し、断然人気に支持されたバウチェイサーは直線を向いて先頭にたったものの、後続2頭に交わされて3着。勝ったのはベルレフォーンで、後方追走からのロングスパートが決まり、「目いっぱいの仕上げで、展開も向いた」と新子雅司調教師。3着に負けたバウチェイサーも新子調教師の管理馬で、「初めての1700mもあったし、重め残りだった」とのこと。両馬揃って二冠目の兵庫チャンピオンシップ(JpnII・園田1870m)に挑戦を予定している。
 牝馬では、1月20日の園田・兵庫クイーンセレクションでハナ差の接戦を演じた2頭に注目。勝ったニネンビーグミは、菊水賞では6着だったものの牝馬最先着。惜しくも2着だったニフティスマイルは、4月10日の佐賀・ル・プランタン賞に遠征して2着。5月12日ののじぎく賞(園田1700m)では他地区勢を迎え撃つことになる。
 
【高知】
 高知では2歳時、圧倒的な強さで地元4戦4勝、全日本2歳優駿(JpnI・川崎)にも挑戦(13着)したマリンスカイが断然の存在だった。3歳初戦となった3月21日の土佐春花賞も制したが、4月9日の仙台屋桜特別では直線失速してまさかの6着。勝ったのは、中団からロングスパートでまくってきたガルボマンボだった。
 一方で、牝馬のアンティキティラは、1月23日の佐賀・花吹雪賞、3月1日の名古屋・若草賞と遠征して重賞を連勝し、北海道所属時からの連勝を6に伸ばした。当初はグランダム・ジャパン2歳シーズンを使っていくとのことだったが、地元の三冠路線に軌道修正。同じく牝馬のヴェレノは、土佐春花賞がマリンスカイの2着で、仙台屋桜特別でもガルボマンボの2着と好走。
 5月1日の高知一冠目・黒潮皐月賞(1400m)は、この4頭の争いとなりそう。そして二冠目の高知優駿(6月20日)は、1900mへ一気の距離延長に対応できるかどうかもポイントになる。
 
【佐賀】
 佐賀では一冠目の佐賀皐月賞(1800m)が5月8日、二冠目の九州ダービー栄城賞(2000m)は中2週で5月29日に行われる。
 佐賀もこの世代は牝馬が強く、2歳時に九州ジュニアチャンピオンを制したムーンオブザクインが3月6日の飛燕賞も制した。そして1月23日の花吹雪賞では高知のアンティキティラに屈して2着だったザビッグレディーは飛燕賞でも2着。3月20日の佐賀皐月賞トライアルでムーンオブザクインを2着に下したのも牝馬のブルーデイジーだった。
 牡馬では、古馬B級に編入されての特別戦では苦戦しているものの、2月20日の古伊万里賞(1750m)、3月5日の波戸岬特選(1800m)と連勝したイカニカンが中距離での能力の高さを見せるかどうか。
 また佐賀では、飛燕賞から、昨年新設された7月3日の佐賀ユースカップという、1400mで争われる3歳の短距離路線もある。

2022/04/29
思うこと
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【コラム】名古屋競馬場移転

 名古屋市港区にあり、その地名から"土古(どんこ)"とも呼ばれ親しまれた名古屋競馬場が3月11日で開催を終えた。年度が変わっての4月8日からは、これまでトレーニングセンターとして使用されてきた弥富市の施設が新・名古屋競馬場となって開催が始まる。
 
 愛知県の競馬場の歴史をみると、大正時代末期には、岡崎、豊川、一宮、豊橋と4カ所で競馬が行われていたが、昭和2(1927)年に公布された地方競馬規則のもと、新たに組織された名古屋競馬倶楽部に、岡崎、豊川の倶楽部が合併する形となって、西春日井郡川中村(現・萩野村)に名古屋競馬場が新設された。
 その後、昭和6(1931)年に名古屋市南区稲永新田(現・港区稲永新田)に移転、さらに昭和11(1936)年には丹羽郡岩倉町(現・岩倉市)に移転し、昭和13(1937)年まで開催されたが、昭和14(1938)年には戦時体制となって名古屋競馬場は廃止。岡崎競馬場が鍛錬競馬場となって、昭和18(1943)年まで軍用保護馬の鍛錬競走が行われた。
 そして戦後、昭和23(1948)年に新たな競馬法が施行されると、昭和24(1949)年4月1日に愛知県と名古屋市で名古屋競馬場管理組合が組織され、同年6月に完成したのが"土古"の名古屋競馬場。以来、73年間に渡って開催が行われてきた。
 
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旧・名古屋競馬場で行われた最後のレースの直線
 
 旧競馬場の開催最終日となった3月11日には4220名のファンが入場。最終レース終了後にはスタンド前で閉場式が行われ、愛知県競馬組合の管理者である大村秀章愛知県知事が挨拶。跡地は「都市開発の拠点となる」という話があった。
 その旧競馬場は3月18日から『サンアール名古屋』と名称を変え、2号・3号スタンドで引き続き場外発売が行われている。2024年にはコースの2コーナーあたりに新たな場外発売施設が完成予定となっており、順次、スタンドが解体され、その跡地はショッピング施設になるとのこと。コースの一部は学校や公園になり、また2026年に開催される第20回アジア競技大会の選手村としても使用される。
 
 一方、トレーニングセンターから姿を変えた新・名古屋競馬場では、3月22日に模擬レースと開場式が行われ、24日にはナイターでの模擬レースも行われた。
 
 旧競馬場は1周が1100mで、ゴールまでの直線は現存する地方競馬でもっとも短い194mだったのに対して、新競馬場は1周1180mで、ゴールまでの直線は240mと長くなった。1周距離は80m長くなっただけだが、旧競馬場に比べてかなり大きく見えるのは、幅員が23mから30mと広いコースになったためと思われる。
 設定距離は、900、920、1500、1700、2000、2100m。これにともない、従来から行われてきた重賞などの距離も変更される。ダートグレード競走として最長距離の2500mで争われてきた名古屋グランプリが2100mになってしまうのはちょっと残念ではある。
 
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ゴールまでの直線240mは、西日本の地方競馬ではもっとも長い
 
 特徴は、3〜4コーナーのスパイラルカーブ。地方競馬では船橋競馬場でも採用されているが、コーナーの半径が入口の3コーナーでは大きく、出口の4コーナーに向けて徐々に小さくなるため、スピードに乗ったままコーナーを回ることができる。
 旧競馬場は1周1100mでも直線が短いぶん、コーナーがゆったりしていて、小回りのわりには3コーナーあたりからまくってくるようなレースが見られたが、新競馬場では勝負どころでのまくりから、さらに直線での追い込みがスリリングなものになりそうだ。
 
 トレーニングセンターとしてつくられた場所だけに、公共交通機関での便は決していいとはいえない。最寄り駅でも、近鉄蟹江駅または近鉄・JR弥富駅から約10km。開催日には、名古屋駅(名鉄バスセンター)、サンアール名古屋(旧競馬場)、近鉄蟹江駅から無料シャトルバスが運行される。
 すでにバスの時刻表も発表されていて、たとえば昼間開催時は、名古屋駅(名鉄バスセンター)から競馬場へは午前中に2本のみだが、近鉄蟹江駅からは10時から15時台まで5本が運行される。
 遠方からの遠征の場合、名古屋駅で近鉄に乗り換えれば近鉄蟹江駅までは8分ほど。行きは近鉄蟹江駅からの無料バスに乗って、帰りは最終レース後、名古屋駅行きのバスを利用するというのが便利そうだ。ただしバスの所要時間は、競馬場ー近鉄蟹江駅間は約25分、競馬場ー名古屋駅間は約40分となっている。
 
 競馬場の近くにあるのは、大規模な倉庫と思われる建物だけで、民家などはまったくない。それゆえナイター開催も問題がなかったのだろう。ただしナイター開催は他場との競合を避け、1〜2月の冬期間を中心に、2022年度は26日間を予定。
 周辺に配慮するような施設がなく、他場との競合を避けるということであれば、他競技ではすでに行われている、無観客による競馬初のミッドナイト開催という可能性はどうなのだろう(あくまでも個人的な希望です)。
 オッズパーク的には、競輪、オートだけでなく、競馬にもミッドナイトがあればいいと思うのだが。
 
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スタンドは、1階屋外席312席、2階屋内席229席。ほかに1〜6名用の個室もある

2022/03/29
思うこと
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【コラム】佐賀競馬場 うまてなし。

 2月23日に佐賀で行われた九州産馬による交流のたんぽぽ賞では、飛田愛斗騎手がタケノサイコウをまこと見事な騎乗ぶりで勝利に導き、中央から転入しての連勝を9に伸ばした。
 
 出走10頭中6頭が中央馬だが、コロナの影響で鞍上はすべて地元佐賀の騎手。山口勲騎手の1番人気イールテソーロが逃げ、差なく2頭が続いて、中央の人気上位馬3頭が先行集団を形成。向正面に入ると4番手以下はやや離れた。タケノサイコウの飛田騎手は、スタート後の直線では中団よりうしろにいたが、徐々に位置取りを上げていき、3〜4コーナーで一気のまくり。4コーナーを回るところで4頭が横一線となっての追い比べは見ごたえがあった。
 
 そしてゴール前。大外のタケノサイコウが抜け出し、飛田騎手はガッツポーズ。2着イチザウイナーには3/4馬身差だが、着差以上に余裕のある勝利。直線争った中央3頭のうち、佐賀のトライアルを使っていたのはイールテソーロだけで、あとの2頭は佐賀初参戦。飛田騎手は、どこから仕掛けていけば勝てるか、まるで中央有力3頭の能力がわかっていたかのように差し切った。

 ゴール後、「スーパーヤングチャンピオン、君の名は、ヒダマナト」という中島英峰アナウンサーの決め台詞もよかった。
 
 飛田騎手にとっては、デビューからわずか4カ月半ほどだった昨年のこのレースが重賞初制覇で、そして連覇。地元佐賀所属馬にとっては、2001年のコウセイロマン以来、じつに21年ぶりのたんぽぽ賞制覇となった。
 
 それで今年も気になるのが、佐賀のリーディング争い。昨年は、このたんぽぽ賞当日に飛田騎手は1日6勝を挙げる活躍で、2月末日現在で、飛田騎手34勝、山口騎手32勝。デビューからまだ4カ月半ほどという若者が、佐賀では絶対的存在の山口騎手とリーディングを争い、一時的とはいえ上回っていたことは驚きだった。
 
 今年はここまで、山口騎手27勝に対して、飛田騎手25勝。とはいえ騎乗数は飛田騎手のほうが少なく、勝率と収得賞金では飛田騎手が上回っている。山口騎手は、3月28日の誕生日で52歳。今年なのか、来年なのか、世代交代という可能性はありそうだ。
 
 話は変わるが、少し前のこと。スカパー!で佐賀競馬の中継を見ていて、ある映像に釘付けになった。
 
 『うまてなし。』という、佐賀競馬場移転開設50周年のプロモーション映像だ。
 
うまてなし1.jpg
 
 YouTubeの佐賀競馬オフィシャルチャンネルでも公開されているので、ご覧になった方もいるのではないだろうか(フルバージョンはこちら)。
 
 おなじみ、中島アナのナレーションで、「しかし、そのみちのりは、決して平坦ではありませんでした。九州の競馬をともに盛り上げてきた、中津競馬、荒尾競馬の廃止。九州地方競馬、最後の砦......」とはじまる。中津競馬、荒尾競馬がまだ元気だった頃を知っている身としては、一瞬差し込まれた懐かしい映像には、おおっ!となった。
 
 出演は、騎手や調教師だけでなく、主催者や従事員のみなさんが、ぞろぞろとパドックに入ってくる場面は壮観だ。
 
 そして佐賀競馬場にかかわる人々を紹介していく。まずは正門横にある、龍ラーメン、のだ屋のおじちゃん、おばちゃん。ここから始まるのが、ファンにとってはうれしい。清掃員、警備員の紹介まである。そして、「頼まれたら、なんでも焼いちゃう、うまてなし。」という紹介は、佐賀競馬場を知るファンにとっては、ニヤリとする場面だ。
 
 この映像をつくったのは、おそらく広告代理店なのだろうが、センスがいい。競馬が好きな人がつくったに違いない。
 
 もうひとつ、YouTubeのオフィシャルチャンネルでは、『てっちゃんの部屋』というのが始まった。"てっちゃん"というのは佐藤哲三さんのことだが、その第1弾(#1)は、飛田愛斗騎手との対談。騎乗技術について語るとても濃い内容で、最後のほうには、傍で見ていた金山昇馬騎手と、金沢から期間限定騎乗中の魚住謙心騎手も登場する。こちらも必見ですよ(こちら)。

2022/02/26
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【コラム】師弟コンビでNARグランプリ同時受賞

 NARグランプリ2021の表彰馬・表彰者が発表された。表彰馬では、2歳最優秀牝馬と牡馬が北海道所属馬だった以外は、やはりというべきか南関東所属馬が受賞。一方で、表彰者のほうはさまざまな地区から選ばれた。
 なかでも祝福すべき選出は、打越勇児調教師の最優秀勝利回数調教師賞と、所属する宮川実騎手の最優秀勝率騎手賞、高知の師弟コンビの同時受賞だ。打越調教師は2年ぶり3度目の受賞だが、宮川騎手は初受賞となった。
 ただなんとも残念なのは、コロナ感染拡大の影響で、昨年に続いて表彰式典が行われないこと。宮川騎手はもちろんのこと、優秀新人騎手賞の飛田愛斗騎手(佐賀)、優秀女性騎手賞の佐々木世麗騎手(兵庫)などが実際に表彰されるところやインタビューなどは見たかったし、多くのファンにも見てほしかった。
 
 NARグランプリの表彰では、2008年までは調教師と騎手は総合的に最優秀調教師賞、最優秀騎手賞という表彰しかなく、勝利回数、賞金、勝率が部門別に表彰されるようになったのは09年から。それ以降、昨年までの13年で、最優秀勝利回数調教師賞は高知の調教師がじつに8回も受賞している(田中守調教師1回、雑賀正光調教師4回、打越調教師3回)。
 最優秀勝率騎手賞も高知の赤岡修次騎手が5回受賞しており、今回の宮川騎手で高知所属騎手はのべ6回目の受賞となった。
 ここ10年、高知競馬が右肩上がりで売上を伸ばしてきたことを象徴しているかのような活躍といえよう。
 
 打越勇児調教師の父・打越初男氏は、騎手として高知競馬では初めて地方通算2000勝を達成し、調教師としても活躍。しかし2011年に60歳の若さで亡くなられた。打越勇児調教師は、父の厩舎を引き継ぐかたちで2012年に調教師となった。2年目の13年には早くも110勝を挙げると、以降は年間100勝を下回ることがなく、18年には197勝で初の全国トップ。19年には202まで勝利を伸ばして2年連続での全国1位。20年はわずか1勝差で2位だったが、21年はキャリアハイとなる206勝で、前述のとおり最優秀勝利回数調教師賞3度目の受賞となった。
 
 宮川実騎手は、1999年に打越初男厩舎からデビュー。2007年には初の年間100勝超となる117勝で高知リーディング2位まで躍進。翌08年には139まで勝利数を伸ばし、デビューから10年足らずで高知リーディングの上位に定着した。しかし09年5月2日、レース中の落馬事故で顔面を複雑骨折、左目を失った。
 それでも何度かの手術を経て、約1年後の10年5月29日には奇跡的に復帰。11年に打越初男調教師が亡くなられたあとは別の厩舎に移ったが、12年の打越勇児厩舎開業とともに所属となった。
 
 高知競馬は08年度に1日平均の売上が約4000万円にまで落ち込み、その後は回復傾向にあったが、まだまだ厳しい時代。打越勇児厩舎は、開業したばかりの12年12月5日、船橋・クイーン賞(JpnIII)にアドマイヤインディで遠征。宮川実騎手を背に14頭立て12番人気で3着という好走は、ちょっとした感動だった。
 
 宮川騎手は、翌13年6月1日に地方競馬通算1000勝を達成。そして今年1月9日には、さらなる大台の地方通算2000勝に到達した。
 
 いまこの師弟コンビには、期待の有力3歳馬がいる。昨年、デビューから圧倒的な強さで4連勝という快進撃を見せた牝馬のマリンスカイだ。2着につけた着差は、8馬身、9馬身、8馬身、8馬身というもの。高知所属馬として初めて全日本2歳優駿(JpnI)にも出走。スタート直後、他馬にぶつけられる不利もあって13着と残念な結果となったが、明けて3歳の高知の三冠路線のみならず、全国区での活躍も期待したい。

2022/01/27
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【コラム】ばんえいクライマックスへ向けて

 平地の競馬は大レースが集中する年末にクライマックスを迎えるが、ばんえい競馬は3月末のばんえい記念に向けて、いよいよ佳境を迎える。
 
牝馬が強い3歳世代
 
 世代ごとのチャンピオン決定戦もこれから順次行われ、まず12月29日には3歳三冠目のばんえいダービーが行われる。
 今年の3歳世代は、二冠目のばんえい菊花賞(11月7日)で上位3着まで牝馬が独占したように、牝馬が強い。そのばんえい菊花賞を制したサクラヒメは、続くばんえいオークス(12月5日)も勝って目下5連勝。遡ると6月28日の勝利以降では11戦8勝、2着2回、3着1回という成績で、夏以降急激に力をつけてきた。
 3歳一冠目のばんえい大賞典(8月1日)を勝ったイオンも牝馬で、黒ユリ賞に続いて重賞2勝目、ばんえいオークスでもサクラヒメの2着だった。ばんえい菊花賞3着のアバシリサクラも2歳時には一冠目のナナカマド賞を制しており、この世代は2歳シーズンから牝馬中心に上位陣の争いが展開されてきた。
 牡馬では2歳シーズン三冠目のイレネー記念を制したオーシャンウイナーが、ばんえい大賞典で2着と好走した。
 
2歳馬はイレネー記念に向けて
 
 ばんえいダービーの翌日、30日に行われるヤングチャンピオンシップは、2歳シーズンの二冠目。このレースは出走条件がやや特殊で、5地区に分けられた生産地ごとの予選が行われ、その1、2着馬(計10頭)に出走資格がある。
 今年の2歳馬は、一冠目のナナカマド賞(10月17日)を制したキングフェスタがここまで8勝を挙げて抜けた存在。同2着だったヘッチャラもここまで5勝を挙げ、2着6回、3着1回で、3着以内を外したのは一度だけという上位安定の成績を残している。
 ナナカマド賞3着でここまで4勝のヤマカツエース、同じく4勝を挙げているトワイチロが続く存在。トワイチロは去勢されているが、それ以外の3頭は牡馬。
 牝馬では3勝を挙げているニシキマリン、同じく3勝のサウスグリンらが牡馬相手に上位を狙う。
 2歳世代(明け3歳)はこのあと牡馬の翔雲賞(2月6日)、牝馬の黒ユリ賞(2月13日)、を経て、3月19日に行われる三冠目のイレネー記念に向けての争いとなる。
 
4歳シーズン最後の一冠を制するのは?
 
 ばん馬はサラブレッドに比べて成長がゆっくりなため、4歳シーズンにも三冠が設定されている。その三冠目(明け5歳)が1月3日の天馬賞。
 4歳一冠目の柏林賞(7月4日)を勝ったのはゴールドハンター。昨年(2020年)12月にデビューして新人らしからぬ活躍を見せている金田利貴騎手はこの勝利が重賞初制覇でもあった。ゴールドハンターは2歳時には障害を避けてコース外に走っていってしまうなど激しい気性もあり、レースでは第2障害の手前まで金田騎手がそりの上に座っているのも特徴的だ。
 二冠目の銀河賞を制したのが、柏林賞3着だったヤマトタイコー。3歳時にはばんえいダービー2着の実績もあり、デビュー12年目の渡来心路騎手とともに重賞初制覇となった。
 しかしながらこの世代の中心的存在といえるのはキョウエイリュウ。2歳時には、ナナカマド賞、ヤングチャンピオンシップ、3歳時にはばんえい菊花賞、ばんえいダービーと、それぞれ二冠を制した。ここまで4歳シーズンの二冠は重いハンデに苦戦しているが、定量で争われる天馬賞で最後の一冠を狙う。
 2歳シーズン(明け3歳)にイレネー記念を制し、3歳ではばんえい大賞典を勝ったコマサンダイヤは、4歳の今シーズンはクラスの壁に苦しんでいるが、銀河賞2着であらためて世代上位の能力を見せた。
 
世代交代で混戦の古馬戦線
 
 古馬戦線は、オレノココロ、コウシュハウンカイというツートップが昨シーズン限りで引退。ばんえい記念を制したホクショウマサルも死んでしまい、世代交代が一気に進んだ。
 ばんえい記念に向けてもっとも重要な前哨戦となるのが、1月2日の帯広記念。
 現役馬として唯一ばんえい記念(2019年)を制している9歳のセンゴクエースは、今シーズンは旭川記念(7月18日)を制した。
 古馬戦線に本格参入の5歳2強が、ばんえい十勝オッズパーク杯(5月2日)と北見記念(10月31日)を制したアオノブラックと、ばんえいグランプリ(8月15日)を制したメムロボブサップ。
 昨シーズンの帯広記念でオレノココロに僅差で2着だった7歳のメジロゴーリキは、岩見沢記念(9月19日)を制した。
 同じく昨シーズンの帯広記念3着、ばんえい記念2着で台頭してきた6歳のキタノユウジロウは北斗賞(6月20日)を勝利。
 ドリームエイジカップ(11月28日)では10歳の古豪シンザンボーイが2019年の北見記念以来の重賞制覇を果たした。
 今シーズンの古馬戦線は、ここまで複数の重賞を制したのがアオノブラックのみと、世代交代のシーズンらしく混戦となっている。

2021/12/25
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