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斎藤修NAR『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』、『競馬総合チャンネル』などで地方競馬を中心に記事を執筆。グリーンチャンネル『アタック!地方競馬』『地方競馬中継』解説。1964年生まれ。

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【コラム】各地の3歳優駿競走から東京ダービーへ

 各地で行われる3歳"優駿"競走(ダービー相当レース)で、今年最初に行われたのは5月5日の兵庫優駿(園田)だった。兵庫一冠目の菊水賞を制していたゴッドフェンサーが2番手から3コーナーで先頭立つと、そのまま後続との差を広げて圧勝。菊水賞では2着ミルトイブニングに5馬身差だったが、同じく2着ミルトイブニングに6馬身差をつけた。これで園田ジュニアカップ、兵庫若駒賞から重賞4連勝で、デビュー5戦目から5連勝(通算7勝目)とした。
 昨年はオケマルがデビューから無敗のまま園田オータムトロフィーまで制して三冠馬となったが、ゴッドフェンサーにもオケマルに続いて2年連続で兵庫三冠の期待がかかる。
 
 ところで兵庫優駿は、一昨年が7月4日、昨年が6月26日に行われていたが、今年は2カ月ほど繰り上げての実施となった。
 かつて全国の地方競馬が連携して、"ダービーウイーク"、のちに"ダービーシリーズ"としてシリーズ化して実施されていたころは、7月上旬のジャパンダートダービーJpnI(大井)へ向けてということで、各地の"ダービー"相当レースは5月下旬から6月中旬に行われていた。
 しかし2024年からはダート路線の体系整備の一冠として、南関東の三冠がすべて中央と交流JpnIの"ダート三冠"となってからは、各地の3歳"優駿"競走は、地区ごとに日程が見直され、全国的な連携は解消されていた。
 
 そして今年、兵庫優駿の時期が2カ月ほども繰り上げられたのは、地方競馬全国協会(NAR)が2024年から実施している奨励金事業(詳しくはこちら:PDF)に対応したものと思われる。
 NARの奨励金事業は、ダート競馬の体系整備にともない、地方所属馬のレベルアップを推し進めるべくダートグレード競走や海外の主要競走に遠征するなどの活躍馬に対して奨励金・褒賞金を支給するというもの。
 たとえば3歳馬を対象にしたものには、『3歳競走地方所属馬付加賞金』がある。3歳ダート三冠(羽田盃、東京ダービー、ジャパンダートクラシック)に出走した地方馬の1〜10着の馬主に1着本賞金の10〜1%、兵庫チャンピオンシップ、関東オークス、マリーンカップに出走した地方馬の1〜8着の馬主に同10〜3%の付加賞金が与えられるというもの。
 
 さらに今年新設されたのが『主要3歳競走転戦奨励金』で、「各地の三冠競走の一冠目にあたる競走の勝馬については羽田盃、各地の三冠競走の二冠目にあたる競走の勝馬については東京ダービーに出走した後、各地の三冠競走を施行した主催者が施行する競走(同一年度に施行される競走)に出走した場合、1競走につき500万円が馬主に支給される」というもの。
 今年度は、施行時期を繰り上げた兵庫優駿のみが対象となった。つまり、兵庫優駿に出走したゴッドフェンサーが東京ダービーJpnIに出走し、再び地元兵庫に戻り、今年度中になんらかのレースに出走すれば馬主に500万円が支給される。
 それを意識してなのか、兵庫優駿のあと、勝ったゴッドフェンサーの盛本信春調教師は「東京ダービーはオーナーと相談して決めたい」というコメントを残しており、5月25日に発表された東京ダービーJpnIの選定馬に名を連ねた。
 
 2023年の2歳戦から始まったダート競馬の体系整備とNARの奨励金事業は、将来的に目標とされる地方競馬の国際化に向け、地方競馬へのダートの高素質馬の入厩促進と、地方競馬で行われているダートグレード競走のレベルアップ(高いレーティングを得る)を目指したもの。
 来年以降、この『主要3歳競走転戦奨励金』の対象になるよう、各地の一冠目、二冠目の日程を調整する主催者が続くかどうか。注目しておきたい。

2026/05/25
思うこと
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【コラム】早くも活躍を見せる新人騎手

 中央競馬では今年新人騎手が誕生しなかったことが話題となったが、地方競馬では107期騎手候補生として地方競馬教養センターを終了し、4月1日付の免許を受けた新人騎手が9名。そのうち開催日程の関係で5月デビューとなる予定の船橋所属2名を除いて7名がすでにデビューし、6名が初勝利を挙げるなど、早くも活躍が目立っている(成績は4月23日現在)。
 
107期.JPG
左から、小川悠汰(北海道)、高橋洸佑(兵庫)、沖響主(船橋)、南部楓馬(兵庫)、菅原吏久人(船橋)、塚本直之(高知)、浅野登生(金沢)、後藤武蔵(佐賀)、近藤颯羽(愛知)
 
 地方競馬の新人騎手は、競馬場ごとに開催日程や出馬投票のタイミングによってデビューできる日が異なるが、デビュー1番乗りで初騎乗初勝利を挙げたのが、金沢の浅野登生(あさの・とい)騎手だ。
 4月3日、金沢第2レース。所属する加藤和義厩舎のベルウッドブラボーに騎乗し、向正面では後続を4〜5馬身ほども離しての逃げに持ち込むと、4コーナー手前で直後に迫られた馬を直線では再び引き離し、1馬身の差を保って逃げ切った。
 
浅野騎手_ゴール前.jpg
デビュー1番乗り、初騎乗初勝利を挙げた金沢・の浅野登生騎手(写真:石川県競馬事業局)
 
 さらに7日の第8レースでも、単勝1.8倍の1番人気に支持された、同じく自厩舎のハクサンハナビで勝利。17日の第10レースで騎乗した5番人気(7頭立て)のドーンコスモでは、最後方追走から4コーナーでもまだ前とは離れた5番手という位置取りで、直線大外から豪快に差し切り3勝目となった。
 
 4月4日にデビューした佐賀の後藤武蔵(ごとう・むさし)騎手は、18日の佐賀第6レースをニシノイッキサスで直線3頭の追い比べとなって抜け出した。5番人気での勝利で、25戦目での初勝利となった。
 さらに翌19日の第3レースで2勝目。4コーナー12頭立ての後方2番手から、大外を回って直線馬場の真ん中から豪快に差し切った。騎乗したピピットは11番人気で単勝は1万3690円、3連単50万円の大波乱を演出した。
 
 園田では4月14日に2名がデビュー。
 第4レースの820メートル戦では、高橋洸佑(たかはし・こう)騎手が3番人気のメイショウボヌールで2番手追走から直線半ばで逃げ馬をとらえると、3馬身差をつけてのゴール。デビュー戦を勝利で飾った。高橋騎手はその後も2着3回と健闘している。
 もうひとり、南部楓馬(なんぶ・ふうま)騎手も同日第6レース、デビュー3戦目で初勝利を挙げた。これも820メートル戦。3番人気のバイカルに騎乗し、好スタートの先行争いから譲らず4コーナーでやや外に膨れて2番手となったが、前の馬をゴール前で競り落とし、3/4馬身差での勝利だった。
 南部騎手はさらに23日の第4レースでも1番人気のメイショウオニテで勝利して2勝目。これも820メートル戦で、3kgの減量がある新人騎手は、やはり超短距離戦でアピールできるかどうかが活躍への近道となりそうだ。
 
 4人の兄が地方競馬でデビューし、塚本5兄弟の末っ子として注目されているのが、高知の塚本直之(つかもと・なおゆき)騎手。2番目の兄・塚本雄大騎手が落馬事故で亡くなったのは、騎手候補生として合格発表があった10日後のこと。その兄が所属していた高知・目迫大輔厩舎に所属し4月5日にデビュー。19日の第8レースで、3番人気のノイヤーに騎乗し、向正面では後続に4馬身ほどの差をつけての単騎逃げに持ち込むと、ゴール前で迫る2着馬に3/4馬身差をつけて逃げ切り。15戦目での初勝利だった。
 
 そのほか、4月15日のホッカイドウ競馬の今季開幕日にデビューした小川悠汰(おがわ・ゆうた)騎手は、翌16日の門別第4レースを2番人気のヤマノプリティーで勝利。デビュー5戦目で初勝利となった。
 愛知の近藤颯羽(こんどう・そうは)騎手は、4月20日名古屋第2レースのデビュー戦でエンドレスクライに騎乗し、3コーナー過ぎで先頭に立って直線を向いたものの惜しくも2着。22日にはメインの第11レース、穀雨特別(A4)に騎乗し3着と健闘している。

2026/04/24
思うこと
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【コラム】弾けてる、さがけいば

 昨年度、佐賀競馬場が移転開設50周年を迎えて以降、さまざまに行われている取り組みの弾けっぷりが、なかなかにイイ。
 
 『うまてなし。』というプロモーション映像(PV)については、昨年2月にこのコラムで紹介した。
 素晴らしいと思った感想に間違いはなく、今年2月、そのPVが「第60回 JAA広告賞 消費者が選んだ広告コンクール」で「デジタル部門の受賞作品(メダリスト)」に選定され、表彰も行われたというから、やっぱりスゴかった。
 
 その後、そのPVはさらに進化を遂げ、『うまてなしDX』も公開されている。
 これらのPVがすばらしいのは、競馬開催を支える裏方を思いっきりクローズアップしていることだろう。
 一般的に競馬場をプロモーションするような映像では、レースや馬や騎手などを主役にすることが普通だが、『うまてなし。』『うまてなしDX』では、普段はファンが見ることがない裏の裏まで紹介しているので興味深く見ることができる。
 
 今年2月11・12日には、ウマ娘プリティーダービーとのコラボイベントも行われ、たいへんな入場があったとX(Twitter)で伝えられていた。
 
 さて、個人的なことにはなるが、9月10日に行われた西日本ダービーの取材で、コロナ以降はじめて、久しぶりに佐賀競馬場を訪れた。
 その際、『うまてなしDX』にも登場している、さがのうまこさんに初めてお会いすることができた。
 噂には聞いていたが、実写版(?)さがのうまこさんは、なかなかにセクシーだった。
 
IMG_3518.jpg
さがのうまことパッカルくん
 
 さがのうまこを"着ぐるみ"と言っていいのかは微妙だが、着ぐるみの"中の人"という存在に触れることがタブーとなったのは、ふなっしーの登場以来だろうか。いや、もっと以前のディズニーのキャラクターからだろうか。
 普通の着ぐるみであれば、"中の人"が代わってもほとんどわからないが、中も外もなく、顔以外ほとんどそのまんまのさがのうまこさんの場合、なにかの都合で"中の人"が代わらざるをえなくなった場合、いつも見ている人にはすぐにわかってしまうのではないだろうか、などといらん心配をしてしまった。
 そのときは潔く(?)、『二代目さがのうまこ』とかになるのだろうか。
 
 そして最近、さがけいばのニュースでちょっと驚かされたのが、『Chooooose Luck PROJECT!!』というアイドルオーディションだ。
 競馬場のイメージキャラクターなどは、既存のタレントさんと契約したりするのが普通だが、このプロジェクトでは、「応募時点で他のプロダクションに所属・契約していない」、いわば素人さんを対象に、歌やダンスの実技審査までやって、合格者にはその後、ダンスレッスンなどもあるという。かなり本格的なアイドル育成プロジェクトとなっている。
 果たしてさがけいばからどんなアイドルが誕生するのか、こちらも楽しみではある。
 
 間近に迫った大井・門別でのJBC開催当日の11月3日、佐賀競馬場では『ジャパン!爆ウマ!畜産!』が実施される(PDF)。
 (J)ジャパン、(B)爆ウマ、(C)畜産で、『JBC』となるらしい。
 JBC(ジャパン爆ウマ畜産)大食いチャレンジや、佐賀牛ロースステーキの試食会、佐賀牛ステーキなど豪華賞品の当たるJBC(ジャパン爆ウマ畜産)グルメ抽選会、JBC(ジャパン爆ウマ畜産)飲食コーナーなど、近くに住んでいれば、ぜひとも行ってみたいイベントだ。
 
 そして佐賀競馬場では1年後、いよいよ初めてのJBC開催となる。アイドルオーディションも、JBCに向けてのことと思われる。1年後のJBCまで、さがけいばはどんな弾け方をするのか。願わくば、想像を超えるような弾け方をしてほしい。

2023/10/27
思うこと
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【コラム】クライマックス!ダービーグランプリ

 ダービーグランプリがいよいよ間近に迫った。第36回にして、最後となるダービーグランプリだ。
 地方競馬の全国からダービー馬を集め、「ダービー馬によるダービー」という、交流レースが少なかった当時としては画期的な企画だった。
 元号は2つ遡って昭和61年(1986年)、第1回が行われた。いわゆる"バブル景気"はその年末から始まり、景気上昇とともに競馬の売上も上昇していくのだが、創設時にそんなことは誰も予想はしていなかったはず。そう考えると偶然とはいえ絶好のタイミングだった。
 1着賞金は2000万円。この年、岩手の主要古馬重賞、みちのく大賞典や桐花賞が1000万円だったことを考えれば、破格の高額賞金だったといっていい。その後、前述のとおりバブルとともに競馬の売上も上昇し、90年には3000万円、92年の第7回には5000万円となった。92年の大井競馬の賞金を見ると、東京ダービー、東京大賞典(当時は南関東限定)が6800万円だから、地方全体でもトップレベルの賞金だった。
 
 こうして盛り上がりを見せたダービーグランプリだが、時代の流れとともに数奇な運命を辿ってきた。
 
 中央と地方の"交流元年"と言われたのが95年のこと。翌96年にダービーグランプリは中央と交流のGIとなり、1着賞金は6000万円。
 交流初年のダービーグランプリには、なんと皐月賞馬イシノサンデーが出走してきた。中央の重賞と変わらない賞金とはいえ、中央の現役バリバリGI馬が地方のダートに出走してくるなど、当時は"事件"といえた。しかも、鞍上は、当時地方で不動の全国リーディングだった船橋の石崎隆之騎手。
 今でこそ、中央の有力馬に地方のトップジョッキーが乗ることも珍しくないが、交流が始まった当初、中央馬には中央の騎手、地方馬にはその所属場(または同地区)の騎手が騎乗するのが通例。中央馬に地方の騎手が乗ることを認めていない競馬場もあった。
 ダービー馬ではないものの、皐月賞馬と地方ナンバーワン・ジョッキーのコンビは、単勝2.3倍の人気にこたえて勝った。
 
 しかし地方競馬の売上には陰りが見えてきていて、2001年、第1回JBCが始まるという年に、大分県・中津競馬から地方競馬は廃止が相次いだ。
 06年度、膨大な累積赤字を抱えた岩手競馬も県知事から一旦は廃止の意向が表明された。しかし、競馬組合議会の最後の最後の採決で、わずか1票差で存続。
 存続とはなったものの、当然のことながら緊縮財政での再出発。07年、第22回のダービーグランプリは1着賞金600万円。史上始めて地元馬限定として行われた。
 そして08、09年は休止。10年には地方全国交流として復活したが、1着賞金は800万円。「ダービー馬によるダービー」という当初の理念とは程遠い状況ではあった。
 
 それでも17年に始まった"3歳秋のチャンピオンシップ"では、ダービーグランプリがその最終戦となり、1着賞金は1000万円ではあるものの、勝ち馬にはシリーズの実績に応じてボーナス賞金が設定された。
 その後、コロナ禍の無観客開催を経て、ネットでの売上が上昇したことで、ダービーグランプリの1着賞金は、20年1500万円、21年2000万円と上昇。
 さらに2500万円となった昨年は、東京ダービー馬カイルを含め、南関東から大挙7頭が遠征。東海三冠馬タニノタビト、北海道二冠馬シルトプレ、地元二冠馬グットクレンジングなどが出走し、「ダービー馬によるダービー」が名実ともに復活。勝ったのは、北海優駿馬シルトプレだった。
 
 そして1着賞金が3000万円となった今年、ダート競馬の体系整備によって、地方だけの交流であるダービーグランプリは、その役目を終えることとなった。
 その最後という年に、中央相手のジャパンダートダービーも圧勝し、無敗のまま南関東三冠を制したミックファイアが参戦。
 北海道三冠馬となったベルピットは、北海優駿を制したあと「あの馬(ミックファイア)にも負けないと思います」と角川秀樹調教師が自信を見せていたのを思い出す。その三冠馬同士の対決が、いよいよ実現する。
 のみならず、地方馬として初めてアメリカに遠征し、サンタアニタダービーで僅差の2着、そしてケンタッキーダービーにも出走(12着)したマンダリンヒーローも参戦。地方競馬からダートの本場、アメリカの"ダービー"にもつながった最初の年となった。
 
 神様が仕組んだとしか思えない、ダービーグランプリのクライマックスだ。

2023/09/29
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【コラム】ユメノホノオの高知三冠達成で

 今年の地方競馬の3歳世代は、各地で傑出した活躍馬が目立った。
 ジャパンダートダービーJpnIを制したミックファイアは、現状の南関東三冠体系最後の三冠馬となった。
 8月27日の黒潮菊花賞ではユメノホノオが高知三冠に、続いて29日の王冠賞ではベルピットが北海道三冠馬となった。
 ほかにも、現在は脚部不安で休養中だが、名古屋のセブンカラーズはデビューから無敗のまま東海ダービー制覇。金沢のショウガタップリは、大井・黒潮盃で初の敗戦を喫してしまったが、地元金沢では11戦11勝で、石川ダービーなど重賞6勝。兵庫ダービーを制した牝馬スマイルミーシャは、その後古馬B1特別を制して8戦7勝、敗けたのは菊水賞の2着だけ。
 秋になって、西日本ダービー(9月10日・佐賀)やダービーグランプリ(10月1日・盛岡)で、各地を代表する3歳馬の直接対決があるのかどうか、楽しみなところ。
 
 そのなかで、高知三冠を達成したユメノホノオの収得賞金が7196万円にもなっていることにはちょっと驚いた。三冠だけで3200万円もの賞金を稼いだ。
 スペルマロンが高知所属馬として高知所属時に史上初めて1億円の賞金を獲得したことが話題となったのは、一昨年10月のこと。ユメノホノオがデビューしたのは昨年7月で、それから1年1カ月で7000万円超の賞金を稼いだことでは、近年、いかに高知競馬の賞金が高額になっているかがわかる。
 
 ユメノホノオは、2009年のグランシング以来、14年ぶり4頭目の高知三冠となったが、歴代4頭の高知三冠の賞金を比較すると、以下のとおり。左から順に、黒潮皐月賞/高知優駿/黒潮菊花賞の1着賞金、【 】内はその合計で、単位は万円。
 
 1998 カイヨウジパング 250/300/300【850】
 2000 オオギリセイコー 200/300/300【800】
 2009 グランシング   27/27/27【81】
 2023 ユメノホノオ   800/1600/800【3200】
 
 地方競馬の売上はバブル直後の1991年に戦後のピークを記録し、そこから徐々に減少。2011年にはピーク時の約1/3ほどまでに落ち込んだ。高知競馬の浮き沈みは地方競馬全体よりもさらに極端で、上記3歳三冠の賞金を見ると、2009年は2000年の1/10となり、そこから14年が経過して2023年には、じつに40倍という賞金に跳ね上がった。2000年と2023年の比較でも4倍となっている。
 
 高知競馬の売上がもっとも落ち込んだのは2008年度で、1日平均4042万円余り、年間で約38億8千万円。JRA-PATで地方競馬の馬券発売が始まった2012年頃から飛躍的に売上を伸ばし、2022年度には1日平均8億6796万円余り、年間で約946億円となった。どん底だった2008年との比較では、年間でじつに約24倍となった。
 
 あらためて、高知競馬の現在の売上や賞金はすごいと思うが、もっとすごいと思うのは、どん底だった時期に、その売上とその賞金で、今に競馬を繋いできたこと。
 かつて地方競馬は全国30場で行われていたが、2001年、大分県の中津競馬廃止以降、売上の減少などで地方競馬は相次いで廃止となり、現在は15場となっている。
 
 そうした状況でも高知競馬が継続できた要因のひとつとして、売上が低迷した時期には積極的に他地区に遠征して賞金を稼いだということがある。ただそれにしても、他地区に遠征して勝負になるような、ある程度のレベルの馬がいなければできないこと。当時の売上、賞金体系で、それなりのレベルの馬を高知に入れた馬主と、それを育て上げた厩舎関係者の努力があればこそ。
 
 地方競馬は今年の2歳戦から全国的にレース体系が大幅に見直され、新たな時代に向かう。現在まで、高知所属馬でダートグレード競走を制したのは、1998年、第1回として行われた黒船賞のリバーセキトバが唯一。
 あらたなダート体系のもと、高知競馬から四半世紀以上ぶりに、ダートグレード勝ち馬が出てくることを期待したい。

2023/08/30
思うこと
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