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斎藤修NAR『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』、『競馬総合チャンネル』などで地方競馬を中心に記事を執筆。グリーンチャンネル『アタック!地方競馬』『地方競馬中継』解説。1964年生まれ。

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【コラム】規格外の4歳馬スターイチバン

 9月27日に行われた、ばんえい競馬の4歳シーズン二冠目・銀河賞は、断然人気に支持されたスターイチバンが、障害2番手から前を行くホクセイテンリュウをあっさりとらえ、まさに横綱相撲といえる内容で勝利。一冠目の柏林賞に続いて4歳シーズンの二冠を制した。
 
 軽種馬に分類されるサラブレッドに対して、ばんえい競馬の競走馬は重種馬と呼ばれ、成長すると大きいものでは体重が1200kg台にもなる。そのぶん成長もサラブレッドより緩やかで、ピークは7-8歳と言われている。
 それゆえ世代限定戦も4歳シーズンまであり、ばんえい競馬では、レース体系として2歳、3歳、4歳シーズンそれぞれに三冠が設定されている。なお、ばんえい競馬は4月から翌年3月を1シーズンとして行われているため、3歳三冠目のばんえいダービーこそ12月の年末に行われているが、2歳シーズンの三冠目・イレネー記念、4歳シーズンの三冠目・天馬賞は年明けに行われるため、三冠目が行われる時点での馬齢表記はそれぞれ3歳、5歳となっている。
 また、8月には3・4歳馬によるはまなす賞、シーズン終盤の3月には4・5歳馬によるポプラ賞という世代限定重賞が行われているのも、ばんえい競馬の特徴となっている。
 古馬重賞では、シーズン最初(4月下旬または5月上旬)に行われる、ばんえい十勝オッズパーク杯こそ「4歳以上」という設定だが、6月に行われる北斗賞以降の古馬重賞は「3歳以上」となっている。しかしながら、先に記した理由から古馬の主要重賞に3歳馬が出走することはなく、4歳馬が出走してくるケースもめずらしい。
 
 そんなばんえい競馬にあって、4歳ながら古馬重賞で互角の戦いをしているのがスターイチバンだ。
 4月26日のばんえい十勝オッズパーク杯では、絶対王者メムロボブサップをとらえようかという勢いで追い詰めての2着。8月16日のばんえいグランプリでは、6連覇を果たしたメムロボブサップ、重賞9勝の実績馬タカラキングダムに続いて3着に入った。
 ばんえい十勝オッズパーク杯は今年で20回目だが、過去19回で4歳馬の出走はわずか3例しかない。2011年のトレジャーハンターは3着に好走したが、このときは勝ったカネサブラック(720kg)より30kg軽い690kgだった。メムロボブサップにその記録を破られるまでばんえい競馬の重賞最多勝記録(25勝)を保持していたオレノココロも2014年に4歳で出走していたが5着。2023年のヤマノコーネルは7着だった。
 それだけに今年のばんえい十勝オッズパーク杯は、王者メムロボブサップとわずか10kgの負担重量の差で、4歳ながら好勝負を演じたスターイチバンのレースぶりは衝撃ともいえた。
 800kg前後の負担重量となるばんえいグランプリでは、NARのデータベースで成績が確認できる1998年まで遡っても、今年のスターイチバン以外で出走した4歳馬はわずかに1頭。2013年のブラックボスは最下位10着だった。
 これらのデータからも、スターイチバンの4歳にしての完成度がいかに規格外かがわかる。
 
 今年の4歳世代の2-3歳時には、キョウエイエース(ナナカマド賞、イレネー記念、ばんえいダービー)、スーパーシン(ヤングチャンピオンシップ、はまなす賞)、それにスターイチバンが世代の3強と言われ、いずれもすでにオープン格付となっている。
 ばんえい競馬では、その格付のしくみから2-3歳時に複数の重賞を勝ってしまうと、その収得賞金額ゆえ若い時期からオープンに格付されてしまい、自己条件(つまりオープン)では苦戦が続くケースがほとんど。5歳、6歳と年を重ねて本化してからようやく古馬戦線のトップレベルで活躍できるようになるのが普通だ。それゆえキョウエイエース、スーパーシンは、現在オープンの壁に当たっている状況だが、それは世代のトップレベルとして例年通りといえる。
 そうしたところで、4歳シーズンの前半から古馬重賞戦線で一線級の馬たちと互角のレースをしているスターイチバンは、10年、20年に1頭という、近年でいえば、それぞればんえい競馬の重賞最多勝記録を更新してきた、カネサブラック、オレノココロ、メムロボブサップらに次ぐ、歴代最強クラスの名馬となる可能性を秘めている。

2026/09/30
思うこと
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【コラム】ヤングジョッキーズシリーズと若手騎手の活躍

 今年も8月5日の門別からヤングジョッキーズシリーズ(YJS)トライアルラウンドが始まった。そこからやや間隔が開いたものの、9月15日の金沢からは、ほぼ毎週のように若手ジョッキーたちの争いが全国で繰り広げられる。
 昨年からYJSのルールが変更され、地方騎手の出場資格が4月1日の時点でデビュー2年目以降の騎手となった。しかしそうなると、たとえば1年目に101勝に到達して減量がなくなった騎手はYJSに一度も出場できないままとなってしまう。そのため今年さらにルール変更があり、1年目で減量を卒業してしまった騎手は2年目に限って出場資格が与えられることになった。
 というのも、昨年4月にデビューした佐賀の長谷川蓮騎手が今年3月7日に101勝に到達し、騎手免許を受けてから1年経たないうちに減量を卒業したため、昨年までのルールであればYJSに出場できないところだった。こうした騎手にも一度はYJSへの出場機会を与えようとのことでのルール変更であろう。
 ちなみに2024年4月にデビューし、その年のYJSのファイナルラウンドで2位になった名古屋の望月洵輝騎手も、デビューから1年経たない翌25年1月6日に101勝に到達して減量を卒業した。その望月騎手は8月29日現在、今年197勝を挙げ地方全国リーディングで3位という活躍だ。
 今年の新人騎手でも、名古屋の近藤颯羽騎手が、初騎乗(4月20日)から約4カ月で29勝と活躍している(8月29日現在)。
 
 近年、若手騎手の活躍が目立つようになったのには、いくつか理由が考えられる。
 どこの世界でもおそらく同じような傾向はあるだろうが、かつては上下関係が厳しくデビューしたばかりの若手騎手は騎乗機会を得ることすら難しかった。しかし近年ではデビューしたばかりでも積極的に騎乗機会を与え、育てていこうという風潮が当り前になってきた。
 また多くの競馬場で騎手が不足しているという事情もある。加えて近年では、期間限定騎乗の制度ができ、騎乗機会の少ない若手騎手でも騎手が不足している競馬場で騎乗機会を得るということも可能になった。かつて、日本の高度経済成長期(1950〜60年代)には、中学を卒業して地方都市から東京や大阪などの大都市に働きに出る若者が"金の卵"と呼ばれたことがあったが、近年デビューする騎手も"金の卵"といっていいかもしれない。
 さらに、そもそも近年ではデビューする新人騎手の技術が確実に向上したということもあるだろう。2000年頃まで、現在のほぼ2倍の全国30場で地方競馬が開催されていた時代には、半年ごとに十数名、年間で30〜40名ほどの新人騎手がデビューしていた。当時は実際に騎手免許をもらって競馬場に所属してから腕を磨くという風潮だったのが、近年は少数精鋭となって、地方競馬教養センターの候補生のうちにより高い技術を得て卒業する新人騎手が少なくないように思われる。
 
 近年はJRAでも女性騎手の活躍が顕著だが、地方競馬でも若手女性騎手の活躍が目立っている。
 昨年名古屋でデビューした小笠原羚騎手は、昨年は4月のデビューから9カ月で31勝を挙げたが、今年は8月29日現在(以下、同)ですでに28勝を挙げている。
 2021年4月にデビューした兵庫の佐々木世麗騎手は今年一気に勝ち星を伸ばし、ここまで65勝。兵庫リーディングで6位という活躍だ。
 2019年10月にデビューした岩手の関本玲花騎手は、24年41勝、25年43勝、そして今年もここまで24勝と、コンスタントに勝ち星を重ねている。
 そして女性騎手で忘れてならないのが、ばんえいの今井千尋騎手。2022年12月にデビューし、23年103勝、24年105勝、そして25年には142勝を挙げ、日本の女性騎手の年間最多勝記録を更新。今年もすでに95勝を挙げている。
 
 さて、YJSの話に戻ると、昨年デビューした小笠原羚騎手は、冒頭で触れたルールによって、YJSには今年初出場となる。昨年は中京競馬場でのファイナルラウンドで誘導馬に騎乗したが、今年はトライアルラウンドで上位に入ってファイナルラウンドに出場したいところだろう。
 またすでに減量を卒業している佐賀の長谷川蓮騎手も、今年一度限りのYJS挑戦となるだけに活躍を期待したい。

2026/08/30
思うこと
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【コラム】霧島賞の快挙から

 2023年に始まった『ダート競馬の体系整備』では、高額賞金の2歳重賞・ネクストスター競走が各地に新設された。その効果として、南関東以外の地方競馬にも高額で取引された2歳馬(新馬)の入厩が目立って増えたことが話題となった。
 たとえば佐賀には、2022年の北海道セレクションセールで1650万円(税込)で取引されたウルトラノホシが2歳になって入厩。新馬戦を勝ち、2戦目の九州ジュニアチャンピオンこそ4着だったが、第1回のネクストスター佐賀の覇者となり、続いてカペラ賞と重賞を連勝。ダートグレード競走にも果敢に挑戦し、3歳初戦のブルーバードカップJpnIIIでは地元南関東勢を差し置いて地方馬最先着の4着と健闘。"佐賀の星"として話題となった。そして地元に戻って、佐賀皐月賞、栄城賞と佐賀二冠を制覇。4歳になった昨年は、年末の中島記念で惜しくも2着。そして5歳になった今年は九州クラウン制覇を含め目下3連勝と活躍。ここまで6500万円近い賞金を稼いでいる。
 
 地方競馬では2021年度以降、年間の総売得額が過去最高を更新し続けていることなどから、南関東以外の地区でも1000万円を超える賞金の重賞がめずらしくなくなった。これにより、ウルトラノホシの例だけでなく、地方に入厩する馬(中央からの移籍も含めて)のレベルが確実に上がってきている。
 それを象徴する出来事のひとつが、7月16日に佐賀で行われた九州産馬による交流重賞・霧島賞だった。
 6番人気だった地元佐賀のアイタカが4コーナー手前で先頭に立つと直線では後続を突き放し、1・2番人気に支持されたJRA馬を2着・3着に完封した。
 アイタカは、中央所属として出走した一昨年の霧島賞が8着。佐賀に移籍して出走した昨年も同じく8着。しかし今年3度目の挑戦で見事に勝利。佐賀所属馬による勝利は、霧島賞が荒尾競馬場で行われていた2008年(1月)のナセ以来、じつに18年ぶり(年度でいうと19年ぶり)のことだった。
 じつは地方馬優位は霧島賞だけでなく、前哨戦からのことだった。
 霧島賞では第1回の1997年から、えびの特別、大隅特別という2つの前哨戦が行われているが(霧島賞が2008年1月に実施された2007年度は除く)、今年は、えびの特別を佐賀のカシノハンゾウが制し、大隅特別を高知のヒマワリクンが制していた。両トライアルとも地方馬が制したのは初めてのこと。
 つまり、トライアルまで含めた霧島賞シリーズで地方馬の完全制覇は、霧島賞30回の歴史で初めてのことだった。
 
 冒頭で触れた『ダート競馬の体系整備』の計画が発表される際、JRAからは、現状以上に中央競馬でダートの番組を増やす計画はないということがはっきり示された。つまりダート競馬は地方で盛り上げてほしい、ということ。
 中央競馬では時期やクラスによって除外ラッシュが問題視されることがあるが、番組が限られるダートではなおさらのこと。特に準オープン以上はフルゲートになることが多く、上級クラスのダート馬は、よほど賞金を持っている馬以外、計画的に出走することが難しくなっている。また地方で行われるダートグレード競走は中央馬の頭数が限られるため、ある程度の賞金を稼いでいないと出走することが難しい。
 であれば馬主としては、預託経費も中央競馬ほどは高くはなく、それなりの賞金額になった地方競馬に移籍してコンスタントに出走できたほうがいいと考えたのは自然なこと。そのため中央の上級条件から地方に移籍する馬が確実に増えてきたことで、近年、地方競馬が全体的にレベルアップしていると考えられる。
 フォーエバーヤングのような世界トップレベルの馬が地方に移籍してくることはないにしても、中央在籍時に地方のJpnII・IIIで3勝を挙げたディクテオンは、大井に移籍して韓国に遠征してコリアカップGIIIを制し、東京大賞典GIまで制した。中央在籍時より地方に移籍して目覚ましい活躍を見せたのは、目標を定めて出走するレースが選択できたことが、少なからず要因としてあったと思われる。
 今後願わくば、チャンピオン級の活躍馬が南関東だけでなく、ほかの地方競馬からも出てくることが望まれる。

2026/07/28
思うこと
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【コラム】東海地区若手騎手の台頭

 地方競馬の騎手リーディングは、特定の地区の特定の騎手によって上位争いということが多いが、昨年は大井の笹川翼騎手が初めてトップに立ち、今後は群雄割拠とも世代交代ともいえる状況となりそうだ(以下、成績は地方競馬のみ6月19日現在)。
 今年も目下のところトップに立っているのは176勝で笹川騎手だが、2位はデビュー6年目の塚本征吾騎手(愛知)が149勝、3位はデビュー3年目の望月洵輝(愛知)が143勝で続いている。4位矢野貴之騎手(大井)、5位吉村智洋騎手(兵庫)は上位の常連だが、6位は渡邊竜也騎手(笠松)で129勝、7位は飛田愛斗騎手(佐賀)で114勝と、若手騎手の台頭が目立ってきている。
 
 所属頭数も騎手の人数も多い南関東ではひとりの騎手が突き抜けるということは難しいが、それほど層が厚くない地区の競馬場では、トップ騎手に有力馬の騎乗が集中するなどで1人だけ勝利数が突き抜けるということがよくある。
 しかし今年の名古屋所属騎手では、塚本騎手と望月騎手の2人が競り合いながら全国リーディングのトップを狙えるほどの勝ち星を挙げているという状況はめずらしい。
 ここ10年ほどの地方全国リーディングは、300弱から300台後半の勝利数での争いとなっているが、塚本騎手、望月騎手は、このまま休みなく1年間騎乗すれば300勝に届くペースで勝ち星を重ねている。
 2人とも笠松競馬場での勝利数も多く、また所属地区以外から重賞などでの騎乗依頼が増えていることも、勝利数を伸ばしている要因だろう。
 今年東海地区以外の重賞では、塚本騎手は佐賀、高知、金沢で計5戦に騎乗して、ゴールドスプリント(佐賀)、佐賀ヴィーナスカップ(佐賀)を勝利。同じく望月騎手は金沢、大井、川崎で計8戦に騎乗して、ネクストスター中日本(金沢)、百万石賞(金沢)、日本海スプリント(金沢)を勝利した。
 ちなみに、塚本騎手の佐賀での重賞2勝はともに高知所属馬、望月騎手はネクストスター中日本こそ名古屋所属馬での勝利だが、あとの2戦は金沢所属馬での勝利だった。
 デビューして数年の騎手が、他場の重賞で有力馬に数多く騎乗して活躍しているということでは、地方競馬が一昔前とは変わってきていることを感じさせられる。
 
 名古屋所属といえば、木之前葵騎手にも注目しておきたい。近年は毎年コンスタントに50前後の勝ち星を挙げているが、ここまで地方通算で686勝。日本の女性騎手といえば、現在は調教師となった宮下瞳さんの地方通算1382勝がダントツのナンバー1だが、2位は別府真衣騎手(現・宮川真衣調教師)の747勝。木之前騎手が今のペースで勝ち星を重ねていけば、来年中には別府騎手を超えて日本の女性騎手で歴代2位となる可能性が高い。
 
 そして最後はベテラン騎手の話になるが、小牧太騎手(兵庫)には今年も注目だ。
 一昨年8月、20年ぶりに中央所属から兵庫所属に復帰したが、フルシーズン騎乗した昨年、いきなり兵庫リーディングとなり、地方229勝は全国でも6位という活躍だった。
 今年も6月19日に100勝に到達し、年間200勝ペースで勝ち星を重ねている。兵庫リーディングでは吉村智洋騎手(地方137勝)の2位となっている。
 小牧騎手で今年スゴイのが勝率だ。28.2%(354戦100勝)は、吉村騎手の25.1%を上回り、全国でも宮川実騎手(高知)の30.4%に次ぐ2位となっている。
 ベテラン騎手の場合、体力や精神的なことから騎乗数を絞ることで高い勝率をマークすることはあるが、年間200勝ペースで勝ち星を重ねながらこの勝率はすばらしい。
 ちなみに宮川騎手はここまで224戦68勝、小牧騎手に次ぐ勝率3位の赤岡修次騎手(高知)は237戦66勝で27.8%となっている。
 これらの比較からも、今年9月に59歳になる小牧騎手の数字がいかにスゴいかがわかるだろう。今年1年を終えて、勝率全国1位となる可能性もある。

2026/06/21
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【コラム】各地の3歳優駿競走から東京ダービーへ

 各地で行われる3歳"優駿"競走(ダービー相当レース)で、今年最初に行われたのは5月5日の兵庫優駿(園田)だった。兵庫一冠目の菊水賞を制していたゴッドフェンサーが2番手から3コーナーで先頭立つと、そのまま後続との差を広げて圧勝。菊水賞では2着ミルトイブニングに5馬身差だったが、同じく2着ミルトイブニングに6馬身差をつけた。これで園田ジュニアカップ、兵庫若駒賞から重賞4連勝で、デビュー5戦目から5連勝(通算7勝目)とした。
 昨年はオケマルがデビューから無敗のまま園田オータムトロフィーまで制して三冠馬となったが、ゴッドフェンサーにもオケマルに続いて2年連続で兵庫三冠の期待がかかる。
 
 ところで兵庫優駿は、一昨年が7月4日、昨年が6月26日に行われていたが、今年は2カ月ほど繰り上げての実施となった。
 かつて全国の地方競馬が連携して、"ダービーウイーク"、のちに"ダービーシリーズ"としてシリーズ化して実施されていたころは、7月上旬のジャパンダートダービーJpnI(大井)へ向けてということで、各地の"ダービー"相当レースは5月下旬から6月中旬に行われていた。
 しかし2024年からはダート路線の体系整備の一冠として、南関東の三冠がすべて中央と交流JpnIの"ダート三冠"となってからは、各地の3歳"優駿"競走は、地区ごとに日程が見直され、全国的な連携は解消されていた。
 
 そして今年、兵庫優駿の時期が2カ月ほども繰り上げられたのは、地方競馬全国協会(NAR)が2024年から実施している奨励金事業(詳しくはこちら:PDF)に対応したものと思われる。
 NARの奨励金事業は、ダート競馬の体系整備にともない、地方所属馬のレベルアップを推し進めるべくダートグレード競走や海外の主要競走に遠征するなどの活躍馬に対して奨励金・褒賞金を支給するというもの。
 たとえば3歳馬を対象にしたものには、『3歳競走地方所属馬付加賞金』がある。3歳ダート三冠(羽田盃、東京ダービー、ジャパンダートクラシック)に出走した地方馬の1〜10着の馬主に1着本賞金の10〜1%、兵庫チャンピオンシップ、関東オークス、マリーンカップに出走した地方馬の1〜8着の馬主に同10〜3%の付加賞金が与えられるというもの。
 
 さらに今年新設されたのが『主要3歳競走転戦奨励金』で、「各地の三冠競走の一冠目にあたる競走の勝馬については羽田盃、各地の三冠競走の二冠目にあたる競走の勝馬については東京ダービーに出走した後、各地の三冠競走を施行した主催者が施行する競走(同一年度に施行される競走)に出走した場合、1競走につき500万円が馬主に支給される」というもの。
 今年度は、施行時期を繰り上げた兵庫優駿のみが対象となった。つまり、兵庫優駿に出走したゴッドフェンサーが東京ダービーJpnIに出走し、再び地元兵庫に戻り、今年度中になんらかのレースに出走すれば馬主に500万円が支給される。
 それを意識してなのか、兵庫優駿のあと、勝ったゴッドフェンサーの盛本信春調教師は「東京ダービーはオーナーと相談して決めたい」というコメントを残しており、5月25日に発表された東京ダービーJpnIの選定馬に名を連ねた。
 
 2023年の2歳戦から始まったダート競馬の体系整備とNARの奨励金事業は、将来的に目標とされる地方競馬の国際化に向け、地方競馬へのダートの高素質馬の入厩促進と、地方競馬で行われているダートグレード競走のレベルアップ(高いレーティングを得る)を目指したもの。
 来年以降、この『主要3歳競走転戦奨励金』の対象になるよう、各地の一冠目、二冠目の日程を調整する主催者が続くかどうか。注目しておきたい。

2026/05/25
思うこと
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