平地の競馬は大レースが集中する年末にクライマックスを迎えるが、ばんえい競馬は3月末のばんえい記念に向けて、いよいよ佳境を迎える。
牝馬が強い3歳世代
世代ごとのチャンピオン決定戦もこれから順次行われ、まず12月29日には3歳三冠目のばんえいダービーが行われる。
今年の3歳世代は、二冠目のばんえい菊花賞(11月7日)で上位3着まで牝馬が独占したように、牝馬が強い。そのばんえい菊花賞を制したサクラヒメは、続くばんえいオークス(12月5日)も勝って目下5連勝。遡ると6月28日の勝利以降では11戦8勝、2着2回、3着1回という成績で、夏以降急激に力をつけてきた。
3歳一冠目のばんえい大賞典(8月1日)を勝ったイオンも牝馬で、黒ユリ賞に続いて重賞2勝目、ばんえいオークスでもサクラヒメの2着だった。ばんえい菊花賞3着のアバシリサクラも2歳時には一冠目のナナカマド賞を制しており、この世代は2歳シーズンから牝馬中心に上位陣の争いが展開されてきた。
牡馬では2歳シーズン三冠目のイレネー記念を制したオーシャンウイナーが、ばんえい大賞典で2着と好走した。
2歳馬はイレネー記念に向けて
ばんえいダービーの翌日、30日に行われるヤングチャンピオンシップは、2歳シーズンの二冠目。このレースは出走条件がやや特殊で、5地区に分けられた生産地ごとの予選が行われ、その1、2着馬(計10頭)に出走資格がある。
今年の2歳馬は、一冠目のナナカマド賞(10月17日)を制したキングフェスタがここまで8勝を挙げて抜けた存在。同2着だったヘッチャラもここまで5勝を挙げ、2着6回、3着1回で、3着以内を外したのは一度だけという上位安定の成績を残している。
ナナカマド賞3着でここまで4勝のヤマカツエース、同じく4勝を挙げているトワイチロが続く存在。トワイチロは去勢されているが、それ以外の3頭は牡馬。
牝馬では3勝を挙げているニシキマリン、同じく3勝のサウスグリンらが牡馬相手に上位を狙う。
2歳世代(明け3歳)はこのあと牡馬の翔雲賞(2月6日)、牝馬の黒ユリ賞(2月13日)、を経て、3月19日に行われる三冠目のイレネー記念に向けての争いとなる。
4歳シーズン最後の一冠を制するのは?
ばん馬はサラブレッドに比べて成長がゆっくりなため、4歳シーズンにも三冠が設定されている。その三冠目(明け5歳)が1月3日の天馬賞。
4歳一冠目の柏林賞(7月4日)を勝ったのはゴールドハンター。昨年(2020年)12月にデビューして新人らしからぬ活躍を見せている金田利貴騎手はこの勝利が重賞初制覇でもあった。ゴールドハンターは2歳時には障害を避けてコース外に走っていってしまうなど激しい気性もあり、レースでは第2障害の手前まで金田騎手がそりの上に座っているのも特徴的だ。
二冠目の銀河賞を制したのが、柏林賞3着だったヤマトタイコー。3歳時にはばんえいダービー2着の実績もあり、デビュー12年目の渡来心路騎手とともに重賞初制覇となった。
しかしながらこの世代の中心的存在といえるのはキョウエイリュウ。2歳時には、ナナカマド賞、ヤングチャンピオンシップ、3歳時にはばんえい菊花賞、ばんえいダービーと、それぞれ二冠を制した。ここまで4歳シーズンの二冠は重いハンデに苦戦しているが、定量で争われる天馬賞で最後の一冠を狙う。
2歳シーズン(明け3歳)にイレネー記念を制し、3歳ではばんえい大賞典を勝ったコマサンダイヤは、4歳の今シーズンはクラスの壁に苦しんでいるが、銀河賞2着であらためて世代上位の能力を見せた。
世代交代で混戦の古馬戦線
古馬戦線は、オレノココロ、コウシュハウンカイというツートップが昨シーズン限りで引退。ばんえい記念を制したホクショウマサルも死んでしまい、世代交代が一気に進んだ。
ばんえい記念に向けてもっとも重要な前哨戦となるのが、1月2日の帯広記念。
現役馬として唯一ばんえい記念(2019年)を制している9歳のセンゴクエースは、今シーズンは旭川記念(7月18日)を制した。
古馬戦線に本格参入の5歳2強が、ばんえい十勝オッズパーク杯(5月2日)と北見記念(10月31日)を制したアオノブラックと、ばんえいグランプリ(8月15日)を制したメムロボブサップ。
昨シーズンの帯広記念でオレノココロに僅差で2着だった7歳のメジロゴーリキは、岩見沢記念(9月19日)を制した。
同じく昨シーズンの帯広記念3着、ばんえい記念2着で台頭してきた6歳のキタノユウジロウは北斗賞(6月20日)を勝利。
ドリームエイジカップ(11月28日)では10歳の古豪シンザンボーイが2019年の北見記念以来の重賞制覇を果たした。
今シーズンの古馬戦線は、ここまで複数の重賞を制したのがアオノブラックのみと、世代交代のシーズンらしく混戦となっている。