16日に佐賀競馬場で行われる吉野ヶ里記念(1400メートル)は、8月15日に同じ舞台で争われるサマーチャンピオンGIIIの地元九州地区の前哨戦となる。
そのサマーチャンピオンで3着までに入った九州地区の馬はこれまでのべ2頭。03年2着のカシノオウサマと、04年3着の同じくカシノオウサマだ。
そのカシノオウサマの吉野ヶ里記念での成績はというと、03年は優勝で04年は2着だった。前哨戦としての役割を果たしているともいえるが、地元九州勢にとっては、過去5年で3着までに入っているのがカシノオウサマの2回のみというのは寂しい気もする。
さて吉野ヶ里記念だが、2500メートルで行われていた時代も含め、04年の第6回までは単勝1倍台の圧倒的人気馬が勝っていたが、昨年はこの流れが変わり、4番人気(単勝17.8倍)のオーミヤボレロが勝った。
今年は大井の帝王賞GIに遠征した(9着)ヤマノブリザードが人気になりそうだが、6月11日の国見岳特別(2000メートル)ではタイキシリウスにハナ差で敗れているだけに断然人気とはならないだろう。しかもそのタイキシリウスは、6月25日の黒髪山特別(1400メートル)でイカルガに半馬身及ばず2着に敗れている。
1400メートルの距離適性を考えると、タイキシリウスよりもむしろイカルガのほうに分がありそうだ。
ヤマノブリザードもデビュー地のホッカイドウ競馬に所属した2歳時を除けば、中央時代は一貫して芝を使われ、1400メートル戦への出走は1度あるのみでマイル以上を中心に使われてきた。
イカルガとヤマノブリザードの直接対決はまだないが、昨年のサマーチャンピオンで地元最先着の4着と健闘したイカルガを本命にしたい。ただしヤマノブリザードも佐賀に移籍してからのレースぶりを見れば圧勝があっても不思議はなく、印は対抗だが馬券的にはこの2頭が中心となる。そして3番手には当然タイキシリウス。
荒尾からは5連勝で九州王冠を制したテイエムデウスが挑戦してくるが、3月のはがくれ大賞典(佐賀)で6着に敗れていることや、荒尾での相手関係を見ると勝ち負けまでは厳しそうだ。
昨年の覇者オーミヤボレロは、それ以来1年間勝ち星から見放され、成績が冴えない。
連下で可能性がありそうなのは、5月の祖母山特別(2000メートル)でヤマノブリザードに1馬身差まで迫ったザオリンポスマンと、ランノホシまでだろう。
◎イカルガ
○ヤマノブリザード
▲タイキシリウス
△ザオリンポスマン
△ランノホシ
7月8,9日にばんえい岩見沢開催に行ってきた。9日の日曜日は特に天気がよかったこともあり、家族連れなどが多く競馬場は賑わいを見せていた。
今、ばんえい競馬を現地で観戦して楽しいことのひとつに、野外でジンギスカンが堪能できるということがある(ただし日曜日か祝日に限られる)。これはファンサービスの一環として調騎会の仕切りで行われているもの。1人前600円はかなりお得だ。
さて、この7月からオッズパークでもばんえい競馬の馬券が買えるようになった。
ばんえい競馬は、馬体重1トン前後の馬たちによるバトル(?)を実際に間近で見たほうがより楽しめることは間違いない。しかし、ネット上での観戦&馬券でもかなり楽しめることも間違いない。
地方競馬は少頭数になると固い決着になることが多く、馬券的に面白みに欠けると思われがちだ。ところがばんえい競馬の場合、フルゲートが10頭にもかかわらず、そんなことはないと断言できる。
たとえばぼくが岩見沢に行った8日は、全12レース中馬連複が3桁配当だったのは3レースしかない。だからといって大荒れになるわけでもなく、20〜60倍程度の賭け甲斐のあるレースが多かった。
というのは、ばんえい競馬の場合はたとえ同じようなメンバー同士のレースであってもさまざまな要因によってまったく違う結果になることも珍しくないからだ。
ひとつは馬場の水分量によるもの。平地の競馬が馬場状態を良・稍重・重・不良で表すのに対し、ばんえい競馬では水分量がパーセントで細かく表示される。それだけレースに与える影響が大きいためだ。
平地の場合も馬場状態による巧拙はあっても、実力とかけ離れた結果になることはそれほど多くない。ところがばんえい競馬では展開がまったく違うものになってしまうのだ。
もうひとつはソリの重量によるもの。平地でも別定戦やハンデ戦はあるが、500キロ弱から1トンのソリの重量によって争われるばんえい競馬は、10キロ程度の増減でもレースがまったく違うものになってしまう。近走と比較して10キロの増減をどう読むかが予想の最重要ファクターであるといってもいい。
それから第2障害でどういうタイミングで仕掛け、越えられるかということも結果を大きく左右する。普段は楽に障害をクリアしているような大本命馬が、なんらかの理由によって障害で手間どったりすることもある。
そのため、たとえば単勝1.1倍、馬連複でも2倍を切るようなガチガチのレースでも簡単にひっくり返ってしまうようなこともよくあるのだ。
大きいくくりとしては同じ「競馬」だが、平地の競馬とばんえい競馬は、まったく別物と考えるほうがいい。
予想の視点がかなり違うので最初は戸惑うかもしれないが、コツがわかればこんなに楽しいものはない。
ばんえい競馬未体験の方は、ぜひともオッズパークでばんえい競馬にトライしてみてはいかがだろうか。
オッズパークのサイト上でのファン投票によって選ばれた3歳馬によって争われる「第1回オッズパーク ファンセレクション イン 笠松」が7日に行われる。
東海地区の3歳勢では東海ダービーを制したホウライミサイルが抜けた存在だが、12日のジャパンダートダービーGIに出走するためここには登録がなかった。
何度か書いているが、今年の東海地区の3歳戦戦はホウライミサイルが頭角を現すまで上位何頭かが勝ったり負けたりの混戦だった。
そのホウライミサイルが抜けた今回も、重賞戦線の上位をにぎわしてきた既成勢力に加え、ここにきて力をつけてきた新興勢力の争いで混戦となりそうだ。
まず既成勢力では、ファン投票で1、2位に選ばれているとおり、ゴールドジュニアを制したオクトパスとキムタツプリンセスがこのメンバーなら実績上位。
新興勢力では、これが重賞初挑戦となるフジノデュラブに魅力を感じる。中央挑戦を除けば10戦6勝、2着1回、3着3回と、3着を外していない。それに加え、ここに来て地元笠松では3連勝と力をつけている。
一発があれば、兵庫チャンピオンシップGIIは9着だったが、東海地区ではこれが重賞初出走となるオグリホットだろう。
本命には、前走サラ・クイーンカップで成長を感じさせたキムタツプリンセスを推してみる。対抗にはオクトパスで、フジノデュラブが3番手だが、ここで一気に突き抜けても不思議はない。
◎キムタツプリンセス
○オクトパス
▲フジノデュラブ
△オグリホット
とりあえず印はここまでで、勝ち負けになるのはこのあたりだろうが、3連単の3着ならイエローマリンやマウタンまで可能性は十分にある。
オッズがまったく読めないので、どんな馬券を買うかはオッズ次第ということになる。
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さて、この7月からオッズパークの競馬場が拡大され、10主催者が参加することとなった。
正直、これまで4主催者ではネタをひねり出すのに苦労することもあったのだが、これだけ競馬場が増えてくれればその悩みは解消するような気がする。
しかしそのぶん、当然のことだが重賞レースが増えて予想などもたいへんなのだが、それも楽しみのひとつということで。
そして一度くらいは「GET@LOT」のランキングにも載ってみたいものだが……。
7月2日、水沢競馬場では、古馬による1400メートルの重賞・栗駒賞が行われる。
フルゲート12頭に、他地区からは北海道1頭、船橋1頭、大井2頭の計4頭が遠征してきた。岩手は何年か前から重賞のほとんどを他地区にも開放するようになり、当初は遠征馬もそれほど多くはなかったが、昨年あたりから遠征馬が目に見えて増えてきたような気がする。
地方競馬の場合、特に古馬の重賞レースではいつも同じような顔触れになることも少なくないが、他地区からの遠征馬が入ることによって、馬券検討の興味は格段に増す。
短期的には他地区の陣営に賞金をもって行かれてしまうというデメリットはあるかもしれない。しかし長い目で見れば、ファンの興味を惹き付けたり、それによって他地区でも追随して重賞を開放するようなところが出てくるであろうから、地方競馬全体のことを考えればメリットのほうがはるかに大きいと思う。
さて、栗駒賞だが、地元岩手勢の力関係は、前哨戦の姫神賞の着順どおり、タイキシェンロン、ベルモントシーザー、オリエントボスという順位づけでよさそうだ。特にタイキシェンロンは昨年11月以降は3着が1度あるだけで、それ以外は連対を外していない。距離についても、この1400からマイルあたりで力を発揮する。
南関東勢だが、ハタノアドニスは昨年のJBCスプリントGI2着でアッと言わせたが、その後はダートグレードで着外続き。ベルモントソレイユも2月の報知グランプリカップ3着があるだけで、1年以上勝ち星から遠ざかっている。バニヤンドリームはB1B2を接戦で勝ったばかり。と、いずれも決め手に欠ける。
ならば前々走の赤レンガ記念でジンクライシスの2着している北海道のタイギャラントでもイケそうな気がする。その赤レンガ記念では、一昨年まで岩手で活躍していたバンケーティングを6馬身ちぎっている。
そして地元勢と他地区勢の比較だが、今回は他地区勢にあまり強く推せるような馬がいないだけに、得意の距離でもあり地元2頭を中心に見てよさそうだ。連下に、タイギャラント、ハタノアドニス、ベルモントソレイユまで。順番はともかく、この5頭の組み合わせで3連単までイケそうな気がする。
◎タイキシェンロン
○ベルモントシーザー
▲タイギャラント
△ハタノアドニス
△ベルモントソレイユ
さらに、印はまわらなかったものの、気になる馬が1頭。全国をさすらう内田利雄騎手が手綱をとるローランボスコだ。昨年も、期間限定で岩手に所属しているときに、マーキュリーカップGIIIで騎乗した経験がある(12着)。また、4月のまんさく賞では、鞍上は内田利雄騎手ではなかったが、10番人気という低評価ながらタイキシェンロンを2馬身差で退け波乱の立役者となった。穴をあけるならこの馬だろう。
「交流元年」と言われたのが1995年のことで、あれからもう10年以上が過ぎた。中央と地方の交流、また地方同士の交流が当たり前のようになったことで、地方競馬もこの10年ほどでかなり変化してきた。
かつてほとんど中央競馬としか関わりがなかった社台グループが、最近では地方競馬でも共有オーナーの会員を募集するなどしてかなりの頭数を使っているということなども、その変化のひとつだろう。
そしてUAE・ドバイのシェイク・モハメド率いるダーレーグループの日本法人、ダーレー・ジャパン・レーシングの参入も地方競馬にとっては、ひとつの大きな「事件」だった。
当初は船橋が中心で、最近では大井にも所有馬が増えてきたが、今年の2歳馬からは、岩手にも進出してきた。
デビューはこれからだがパチョリという2歳牝馬が、馬主ダーレー・ジャパン・レーシングとして岩手に登録されている。
ちなみにダーレーの生産馬では、岩手ダービー・ダイヤモンドカップを制したオウシュウクラウンがすでに岩手で活躍しているが、これはダーレー・ジャパンの所有馬ではなく、馬主は西村専次氏。05年の千葉サラブレッド2歳トレーニングセールに上場され、このときは主取りとなったが、その後西村氏にトレードされたのだろう。
そうした縁があったからなのか、ダーレー・ジャパン所有のパチョリは、オウシュウクラウンと同じ櫻田浩三厩舎に入厩している。
パチョリの父は日本でも繋養されていたジェイドロバリーで、母はMarrubiumという血統。全兄の3歳馬ハーブポットという馬が船橋所属となっているが、ハーブポットがUAE産であるのに対し、パチョリはイギリス産。ジェイドロバリーを受胎した母馬がイギリスに送られて誕生した産駒なのだろう。
聞くところによると、パチョリだけでなくほかにも何頭かダーレー・ジャパンの所有馬が岩手に入厩してくるらしい。
岩手に入ったダーレー・ジャパンの馬たちが、今後どんな活躍を見せるのかはもちろん、それによって岩手競馬がどう変わっていくのかも楽しみなところではある。