『九州皐月賞 荒尾ダービー』というレース名を見て、「はて、皐月賞でダービーとは?」と、あまり地方競馬になじみのないファンは面食らうかもしれない。
荒尾、佐賀に加え、当時まだ競馬が行われていた中津の3場が「九州競馬」として連携して開催を行うようになったのが2000年6月。翌年には九州全体で3歳3冠路線をつくるため、それまで単に『荒尾ダービー』として行われていたレースが九州3歳の一冠目となり、「九州皐月賞」が冠されるようになったという経緯がある。
さて、3日に行われる九州皐月賞荒尾ダービーだが、まだ単に「荒尾ダービー」だった00年に佐賀のキングラシアンが勝って以降、すべて佐賀所属馬に優勝をさらわれている。
しかし今年は、荒尾所属馬にも有力馬が少なくない。
2歳時に九州ジュニアグランプリ(荒尾)を制したブルーアラオは、中央や園田への遠征では成績を残せていないが、地元荒尾に限ればここまで6戦全勝と圧倒的な強さを誇っている。
逆転の可能性があるとすれば、ナガノコバンだろう。2歳時はパッとしなかったが、年明け3戦目の3歳戦から2連勝。前走4月9日のスイートピー賞はブルーアラオに3/4馬身まで迫った。
佐賀所属馬で最有力はユウワン。2月26日の飛燕賞(佐賀)こそ1番人気に支持されながらナセの2着に敗れたが、その後は古馬B2クラスに編入されて2連勝している。
その他では、九州ジュニアグランプリの2着馬で、通算13戦7勝、2着4回、3着2回と大崩れのない荒尾のケイウンヒーロー。
そして北海道、船橋、さらに佐賀へと転厩してきたスターオブジャパンは、3歳特別を2戦して2、1着と未知の魅力がある。
やはり最初の3頭が有力で、そのうちどれを中心にするか。荒尾勢にもがんばってほしいのだが非情とは思いつつ、本命は佐賀のユウワンを推す。前走、古馬B2のレースで大差圧勝では、力が違うと見るべきだろう。
ユウワンが頭の馬連単で、ブルーアラオ、ナガノコバンへ厚く、さらにケイウンヒーロー、スターオブジャパンに流す。
4月30日に行われた佐賀の古馬A1級による久住山特別(2000メートル)は、中央から転入緒戦のヤマノブリザードが圧勝、2着にも大井から転入したランノホシが入り、1番人気のオンユアマークは5着に敗れた。
ヤマノブリザードはスタートでダッシュがつかず、後方から追走する展開。しかし向正面で仕掛けると一気に先頭に立ち、好位を追走していたランノホシに8馬身差をつけ、楽勝でゴールを駆け抜けた。
ヤマノブリザードと言えば、2歳時に中央初挑戦となったクローバー賞をぼくは現地で見ていた。このときのことは、今でも鮮明に覚えている。
ヤマノブリザードは、たしかタイキブリザードの初年度産駒で、このときはまったく注目されず8番人気にしか過ぎなかった。クローバー賞のレース後、検量室前に戻ってきたヤマノブリザードのもとに藤沢和雄調教師がすごい勢いで近づいてきて、下馬した川島洋人騎手に「タイキブリザードの調教師の藤沢です」と、いきなり挨拶していたのを端から見ていて、ちょっと驚いた。
このレース、実は藤沢調教師はサンデーサイレンス産駒のマチカネアカツキという期待馬を出走させていた。2番人気ではあったが単勝オッズは2.2倍で、1番人気のアグネスソニックとの2頭の組み合わせで間違いなし、勝つのはどちらだろう、というレースだった。
しかし勝ったのはヤマノブリザードで、マチカネアカツキはクビ差で2着、アグネスソニックがやや離れて3着だった。
藤沢調教師はといえば、期待のマチカネアカツキが負けたことはさておき、タイキブリザード産駒が勝ったことのほうに大喜びしていたのが印象的だった。
続く札幌3歳Sも制したヤマノブリザードは、12月を前に藤沢和雄厩舎に転厩。朝日杯FSでアドマイヤドンの2着と好走した。いや、藤沢調教師にとっては好走ではなく、悔しい敗戦だったかもしれない。
中央所属としての勝利は5歳時のエイプリルSの1勝のみ。その後は和田正道厩舎、的場均厩舎と移り、中央では一度もダートを使われないまま佐賀へ転厩してきた。
今回のレースを見るかぎり、むしろ中央でもダートを使ったらどうだっただろうと思わせるような強い勝ち方で他馬を圧倒した。
そして1番人気のオンユアマークだが、昨年は九州大賞典を制し、今年は佐賀記念GIIIで地方最先着の3着と健闘するなど九州のトップに立っていた。今回はやや厳しいペースでの逃げになったとはいえ、ヤマノブリザードとランノホシに来られたところでまったく抵抗できずに後退し、5着に沈んだ。体調に問題があったなどの理由でもない限り、今回のレース内容では転入馬2頭に完全に覇権を握られたと言ってもいいかもしれない。
4月28日、笠松競馬場へ。1カ月のうちに2度も笠松に来るのははじめてかも。
今回は競馬場内でヤキソバを売っているお店をすべてチェック。結果、このブログで紹介するのは2つ目だが、おそらく今回のところで笠松競馬場に現存するヤキソバはすべて食べたことになると思う。
で、今回のヤキソバやさんの場所は、ゴールまで100メートルのハロン棒があるあたりのスタンド2階で、お店の名前はどこにも書いてないので不明。
写真では前回のと同じくらいのヤキソバに見えるかもしれないけど、こっちのお皿のほうがひと回りもふた回りも大きい。
あっ!
前回書いておいた「馬券を一緒に写して大きさがわかるようにするプロジェクト」はいきなり断念。まだこの時点では馬券は買ってなかったので……。
紅しょうがは自分で好きなだけ乗せられるようになっているのだが、例によって笠松仕様のみじん切り。具はシンプルにキャベツと豚肉少々のみ。炒めるときに鰹節を入れてくれるのがポイント。そして最大の特徴は関東風の辛めのウスターソースを使っていること。
名古屋近辺の東海地区は食文化的におもしろい場所で、関東圏と関西圏が入り乱れている。たとえば焼きうどんなんかは関東圏はしょうゆ味で関西圏はソース味がほとんどだと思うのだが、名古屋あたりではお店によってしょうゆ味が出てきたり、ソース味が出てきたりなのだ。
というわけでこのヤキソバは関東文化圏ヤキソバ。
数人分の麺にお湯(たぶんダシではないと思う)をかけて炒め、ソースをかけない状態で鉄板の端のほうに置いてあり、注文ごとにソースをかけて焼くという方式。スタンド裏の食べ物やさん街と違って人通りがイマイチ少ないためか、ところどころ麺が乾いてしまってるのが難点といえば難点。麺を炒めるタイミングをみはからって注文するのがいいかも。400円也。
オグリキャップ記念は、トライアルのスプリング争覇に続いて名古屋のレッドストーンが逃げ切った。
好スタートを切ったレッドストーンは、鞍上の倉地学騎手が気合を入れてハナを主張。これは前走スプリング争覇を制したときから角田輝也調教師が強調していたとおりだ。
2番手争いが激しくなったが、結局はクインオブクインが単独2番手で、ペースが落ち着いたところで先頭のレッドストーンに半馬身から1馬身の直後をぴったり追走。人気2頭がレースを引っ張り、このまま決着するのかと思われたが、3〜4コーナーでクインオブクインの手ごたえが怪しくなった。
直線を向くとレッドストーンが単独先頭。2、3着には兵庫のマイネルサイプレスとトーコーカントが押し上げたものの、レッドストーンを脅かすまでには至らなかった。
レッドストーンは、久々の直接対戦となるクインオブクインと、中央から移籍2戦目のマヤノモーリス以外はほぼ勝負付けの済んでいるメンバーで、やはりここでは力が抜けていた。
近走ダートグレード戦線で善戦してきたことで2番人気となったクインオブクインは結局5着に沈んだが、おそらく勝つためにはレッドストーンを執拗にマークするしかなかったのだろう。勝ちにいっての完敗だった。
しかし、倉地騎手がレース後に「今回はマークされたぶん、少しきついレースになった」と語ったとおり、クインオブクインがぴったり直後を追走したことでレッドストーンにとっても苦しいレースとなった。レコード勝ちした3走前の六甲盃(姫路)でも2着は同じくマイネルサイプレスだったのだが、このときは楽々と4馬身も突き放していたのが、今回は1馬身半まで詰められた。
そして角田輝也調教師は、前々走の名古屋大賞典GIIIで10着に敗れたのに納得がいかなかったのか、それともよほど悔しかったのか、この2戦は、いずれ再び中央の一線級と対戦するであろうことを想定してレースに臨んでいた。
「とりあえずここが最大の目標だったので、まだ先は考えていません。1800〜2000メートルを集中的に使って、そういう距離のスペシャリストを作ろうと思ってやっています」
次回、どのタイミングでダートグレードを使うかはわからないが、名古屋大賞典GIIIのときは違うレッドストーンのレースぶりが見られるに違いない。
3歳牝馬による重賞・留守杯日高賞は、重賞に格上げされて今年で6年目。8月に行われるひまわり賞(オークス)へと続くレースだが、両レースを制したのは01年のセイントリーフのみ。というのも02年以降、ひまわり賞には他地区から実力馬が遠征してきて、地元岩手所属馬は苦戦を強いられている。
さて、留守杯日高賞だが、実績面ではサイレントエクセルが断然。11月27日に行われた牝馬限定の白菊賞(水沢1400メートル)を圧勝。1月2日の金杯(水沢1600メートル)は4着に敗れたものの、ここに出走した牝馬4頭では最先着を果たしている。今シーズンこれが初出走なのがやや不安なところ。
順調度ではゴールデンパンジーが上。白菊賞では先行しながら4コーナーでサイレントエクセルに並びかけられると、6馬身も突き放され2着に敗れた。しかし今シーズンの緒戦、4月9日の菜の花賞(水沢1600メートル)では、3番手追走から直線で先頭に立ち、並びかけてきたパワフルビクトリとの叩き合いを制している。
3番手は、その菜の花賞でクビ差2着まで迫ったパワフルビクトリ。金杯ではサイレントエクセルから1馬身半差の5着だった。
もう1頭挙げるとすればバルクだろう。ここまで12戦していまだ勝ち星はないが、2着は6回。上記3頭とはそれほど差のないレースをしているので、勝つまでは難しいが連下なら十分可能性はある。
サイレントエクセルとゴールデンパンジーのどちらを頭にするかだが、やはり今シーズン一度叩いている強みでゴールデンパンジーを取り上げたい。約4カ月ぶりの実戦となるサイレントエクセルについては、専門紙の調教コメントや、当日のパドックを見て判断したい。いずれにしてもこの2頭が中心で、連下にパワフルビクトリとバルク。それ以外は実績的には狙いにくい。
ところでサイレントエクセルの父、ウイングアローといえば、思い出すのがダービーグランプリだ。
ウイングアローは当時、ユニコーンS(中山)、スーパーダートダービー(大井)と圧勝し、ダービーグランプリで3歳ダート3冠確実と思われていた。しかし盛岡で予定されていたダービーグランプリは雪のため中止。この水沢に舞台を移して仕切り直しとなったのだが、ナリタホマレに足元をすくわれ、まさかの2着に敗れた。
そのナリタホマレは、11歳となった今も荒尾で現役。なんとも競馬の奥深さを感じさせられる。