今年で第50回と歴史を刻んできたMRO金賞だが、近年さまざまに競走条件を変えてきた。99年からは、3歳馬によるJRA菊花賞のステップ競走代表馬選定レースとして定着している。当初は東海・北陸地区の交流だったが、兵庫や福山にサラブレッドが導入されたのにともない、近畿地区、中国地区へと交流の範囲を広げてきた。
JRA朝日杯フューチュリティステークスのステップとなる兼六園ジュニアカップでは笠松所属馬が過去7年で4勝と活躍しているのに対し、このMRO金賞は笠松勢との相性が悪く1勝もしていない。地元金沢勢が4勝と優位に立っている。
ところで、たびたびこの「MRO」とは何だ?というのが話題になるのだが、地元の人たちにとっては何のことはない、北陸放送の愛称らしい。多くの地元新聞では、「MROテレビ」「MROラジオ」と表記されているのだそうだ。
さて、そのMRO金賞だが、今年は笠松、名古屋、兵庫から各2頭と遠征馬が揃い、地元金沢勢は5頭が出走する。
まず地元勢では、マトリックスが実績上位。無敵のセンパツトモ不在のここは、ぜひとも重賞タイトルを獲っておきたいところ。
コーワティアラは、北日本新聞杯は6着だったものの、その後は5戦して4勝。1度の敗戦はマトリックスの2着というもので、成長ぶりが目立つ1頭。
新興勢力では、今年4月にデビューし4戦負けなしのチヨノドラゴンや、前走中央との条件交流では4着に敗れたものの、地元最先着のウエスタンサニーに可能性がある。
遠征勢では、メンバー中唯一の重賞勝ち馬、笠松のオクトパス、兵庫ダービー4着のクラウンボーイ、中央から名古屋に移籍して2連勝のマコトタイセイあたりが有力。
抜けた実績馬がいない代わりに、各地からそこそこの馬が出走してきて比較が難しいが、ここは未知の魅力も含めてマコトタイセイから狙ってみたい。名古屋転入緒戦のアジサイ特別では、東海ダービー3着のホウライカップや、オクトパスと勝ったり負けたりのマウタンを相手に堂々1番人気で勝利を収めている。この相手関係を見れば、重賞で通用しても不思議はない。
マコトタイセイからの流しで、相手は地元期待のマトリックス、笠松のオクトパス、兵庫のクラウンボーイ、地元のコーワティアラ、チヨノドラゴンまで。
人気が読めないので難しいが、もしマコトタイセイが人気を集めるようなら印上位に絞る。
◎マコトタイセイ
○マトリックス
▲オクトパス
△クラウンボーイ
△コーワティアラ
△チヨノドラゴン
今年14回目を迎えるばんえい競馬の重賞・北斗賞は、第1回から第10回まではシーズン最初に行われる古馬の重賞として親しまれていた。しかし03年からは旭川の開催が春だけになったことで、地名のついた旭王冠賞を春の旭川開催で行うしかなくなり、北斗賞は押し出せれる形で夏の岩見沢開催となった。
そして定量戦で行われる古馬の重賞は、ばんえい最大のレース・ばんえい記念と、この北斗賞のみ。北斗賞がシーズン最初の重賞だったころはそれでもよかったが、この時期に行われるのに定量戦はどうなのだろう。力関係もある程度はっきりしてきているし、年度内の獲得賞金もかなり差がついてきている。別定戦にしたほうが馬券的に妙味が出ると思うのだが。
さて、ばんえい競馬といえば王者スーパーペガサスだが、この北斗賞には登録すらなかった。今シーズンは旭川で2戦して2、6着。スーパーペガサスにとっては、もはや目標はばんえい記念5連覇しかなく、無理せず最後の大一番に絞って調整していくのだろう。この北斗賞にしても、02年から04年に3連覇しているだけに、どうしても欲しいタイトルというわけでもない。
登録の段階では、サダエリコ、ミサイルテンリュウ、アンローズの三つ巴だろうと考えていたのだが、残念ながら岩見沢コース得意のアンローズが回避してしまった。それで定量戦となれば、ここは旭王冠賞で1、2着のサダエリコとミサイルテンリュウの一騎打ちで仕方がない。
20キロ差の旭王冠賞ではサダエリコが先着したが、15キロ差に縮まった7月2日のマロニエ賞では、ミサイルテンリュウが勝ち、間にアンローズを挟んでサダエリコは3着だった。
ここは20キロ差に戻ったためサダエリコのほうに分があり、と考えるのが普通かもしれない。しかしミサイルテンリュウにとっては、タイトルは昨シーズンの帯広記念しかなく、とにかく重賞タイトルを積み重ねたいところ。旭王冠賞の雪辱に賭けるミサイルテンリュウのほうを本命にする。
相手はもちろんサダエリコで、この2頭に続くのは、岩見沢で調子を上げてきたヨコハマボーイと、旭王冠賞3着のミサキスーパー。しかし上位2頭の組み合わせを買うと、オッズ的にそれ以外の馬券まで回らないような気がするがどうだろう。
◎ミサイルテンリュウ
○サダエリコ
△ヨコハマボーイ
△ミサキスーパー
このブログで張り切って復活させた「帰ってきた今月のヤキソバ」だが、この日とこの日にいずれも笠松のヤキソバを取り上げたきり後が続かない。
で、マーキュリーCで盛岡に行ったときに食べようと思っていたのだが、以前にも一度食べたことがあって、どうにもイマイチっぽいヤキソバしか見当たらなかったので断念してしまった。あんかけヤキソバみたいなのもあったような気がしたのだけど、競馬場のヤキソバといえば、やっぱソースヤキソバでしょ。というわけで盛岡のヤキソバは見送り。
というか、どこの競馬場でも売店などはだいぶ改装、縮小されているようで、最近ではヤキソバならどこに行ってもある、という状況にはなかなかならずにちょっと寂しかったり。
* * *
さて、23日(日)は盛岡競馬場で3歳馬による芝の重賞「オパールカップ」が行われる。フルゲート14頭のうち、6頭が他地区からの遠征だ。
以前に書いたかもしれないが、岩手の重賞はほとんどが全国交流になっていて、こうして他地区から多数の遠征があり、レースとしてワクワクするし、予想のしがいもある。
とはいうものの、地元岩手で岩手競馬の馬券しか買わないという人にとってはどうなのだろうと、ふと思ったり。もしかして、「こんな見たこともない馬がたくさん出るレースの馬券なんか買えん」という意見があっても不思議ではない。
メンバー構成にもよるのだろうが、他地区の馬がたくさん出てくる重賞と、地元馬ばかりの重賞と、どっちが馬券が売れるのかちょっと調べてみたいような気もする。
そしてオパールカップだが、出走馬をざっと見渡すと、重賞勝ち馬は地元岩手のブラックショコラのみ。前々走、芝1600メートルのはまなす賞では、ジャパンダートダービーGIで3着と好走したオウシュウクラウンに半馬身差まで迫る2着。地元の利もあり鞍上が菅原勲騎手とくればこの馬が本命だろう。
対抗は笠松のシホウネリ。昨年10月のジュニアクラウン2着のあとは、7戦すべて中央の芝を使われ、3着が最高だが常に勝ち馬とそれほどないレースをしている。
さらに、芝は初出走となるが船橋のジェスターズコートにも期待したい。ダーレー・ジャパン所有のUAE産で、ここまで8戦して3着を一度も外していないという堅実さ。ここ2戦は大井で2連勝と調子を上げている。
以上3頭の争いだろう。あとは離れて地元のツルマルオーカンとグリーントマトまで。
◎ブラックショコラ
○シホウネリ
▲ジェスターズコート
△ツルマルオーカン
△グリーントマト
マーキュリーカップGIIIは、一応はスターキングマンが1番人気にはなったが、6番人気までが単勝10倍以下という混戦。しかし結局は中央勢が上位3着までを占め、6番人気のクーリンガーが勝った。昨年3月のマーチステークスGIII以来の勝利で、「休み明け3回叩かれて調子が上がっていた」という岩本調教師の言葉が勝因でもあるのだろう。
ただ今回は人気が割れていたように一長一短のメンバーで、たとえばクーリンガーがすんなり好位につけられたのに対し、今回も人気はなかったが前に行けないとレースができないスナークレイアースが内枠で包まれて行き場をなくし、まったくレースにならなかったように、展開や運に左右された面も大きい。もう一度同じメンバーでやればまったく違う結果になるような気がする。
まあ、負け惜しみだが……。
さて、19日(水)には兵庫の3歳三冠最終戦、菊水賞が行われる。
ここは兵庫ダービーで3着以下を引き離し一騎打ちを演じたチャンストウライとジョイーレのどちらが勝つかというレースでしかたないような気がする。
「両雄並び立たず」という格言があったり、競馬だから結果的に実力どおり決まらないこともあるかもしれないが、過去の成績や映像を元に予想するとなれば、やはり2強の一騎打ちという結論になる。
マーキュリーカップのときに盛岡競馬場で会った某カメラマンさんは、メイセイオペラ産駒ということでジョイーレの取材を続けているのだが「勝ったところを一度も見たことがない」と嘆いていた。そう、どんな相手とでも惜しいレースばかりで、不思議なことにジョイーレにはまだ重賞タイトルがない。
ベテラン川原正一騎手だけに、兵庫ダービーと同じようなレースはしないだろうということで、ジョイーレを本命にする。もちろん相手はチャンストウライ。
3着候補としては、ここ2戦は大敗だがいずれも古馬とのレースで、兵庫に移籍後は3歳戦で1戦1勝のモエレヤマト。それから、兵庫ダービートライアルを勝って、本番では6着だったオリエンテーリングあたりでどうだろう。
◎ジョイーレ
○チャンストウライ
△モエレヤマト
△オリエンテーリング
岩手からはコンスタントにダートのチャンピオンホースが出ているが、不思議と地元のダートグレードでの勝ち鞍が少ない。
マーキュリーカップGIIIはメイセイオペラのみ。クラスターカップGIIIは岩手勢の勝ち馬がなく、地方勢では名古屋のゴールデンチェリーが勝っているのみ。中央との交流になって以降のダービーグランプリGIは中央馬が全勝。メイセイオペラとトーホウエンペラーが勝って唯一岩手勢2勝がGIの南部杯だというのも興味深い。
こうして並べてみて気づいたのだが、4つもダートグレードがありながら、地方他地区の勝利はなんとゴールデンチェリーただ1頭しかいない。
今年のマーキュリーカップGIIIもご多分にもれず中央勢が優勢だ。5頭いずれもがダートグレードの常連で、少なくともダートグレードで2勝を挙げている。スナークレイアースに至ってはダートグレードの常連どころかこのマーキュリーカップにはこれが5度目の出走となる。
今回は抜けた人気になりそうな馬はなく、どれも一長一短。
GI馬スターキングマンは59キロが微妙で、03年の東京大賞典GI以来勝ち星から遠ざかっている。
クーリンガーも昨年のマーチステークスGIIIを勝って以来1年以上勝ち星がない。そのうえ今年は3戦して掲示板にすら届いていない。
牝馬2頭は牡馬との混合では分が悪い。レマーズガールは昨年の名古屋大賞典GIIIでクーリンガーと半馬身差の2着があるのみ。グラッブユアハートは昨年の白山大賞典GIIIからダートグレード3連勝したときはかなり強くなった印象だったが、前走スパーキングレディーカップGIIIでまったく走る気を見せなかった。
昨年3着のスナークレイアースは11歳になった今年、2戦とも大敗している。
どれを中心にするか難しいところだが、過去4戦してすべて3着以内という適性を重視してスナークレイアースを本命にする。昨年3着、一昨年1着のときも、そこに至る過程では必ずしもいい成績は残していない。単勝や連単の頭ではなく、あくまでも連勝の軸ということで。
2番手にはグラッブユアハートを指名する。前走スパーキングレディーカップGIII・7着は、「馬場入りしたときから走る気がなくダメだと思った」と安藤勝己騎手が言っていたとおり、この結果は例外として目をつぶる。
地方他地区からも興味深いメンバーが挑戦してきた。金沢のビッグゴールド、ビッグドンは、いずれも中央から移籍後これが3戦目となる。天皇賞・春2着などがあるビッグゴールドのほうが注目度は高い感じだが、ダートでの実績に乏しい。むしろここでは移籍前のアンタレスステークスGIIIで5着したビッグドンのほうが勝負になりそうだ。みちのく大賞典を勝った大井のコアレスハンターにも可能性がある。
◎スナークレイアース
○グラッブユアハート
▲スターキングマン
△ビッグドン
△コアレスハンター