例年、4月29日に行われているオグリキャップ記念だが、今年はそのみどりの日が週末と重なったため、28日(金)に行われる。
一昨年までは中央との全国交流GIIとして行われていたが、昨年からは東海・北陸・近畿地区のみの交流となり、距離もそれまでの2500メートルから1900メートルに短縮された。
地方競馬でも最近ではさまざまな距離で重賞レースが行われるようになってきているが、かつては距離が長いほど格が高いという傾向があった。
そういう意味で、このオグリキャップ記念は2500メートルでこその威厳のようなものがあったのだが、年末(年によっては正月)に行われる東海ゴールドカップともども1900メートルに変更されたのは、時代の流れなのだろう。
さて、今年のオグリキャップ記念だが、4月7日に行われたトライアルのスプリング争覇(笠松1900メートル)で圧倒的な人気にこたえ、楽に逃げ切ったレッドストーンを巡る争いとなる。大半が勝負付けの済んだメンバーで、兵庫から3頭が遠征してきたが、いずれも六甲盃(姫路2000メートル)でレッドストーンには決定的な差をつけられている。
レッドストーンを負かす可能性を残している馬はといえば、まずクインオブクイン。直接対戦している3月21日の名古屋大賞典GIII(名古屋1900メートル)や、昨年8月31日の岐阜金賞(笠松1900メートル)では、いずれもクインオブクインが先着している。
そしてもう1頭はマヤノモーリスで、中央から名古屋に転入緒戦の東海桜花賞で差し切り勝ちを決めた。
しかし、ここはやはりレッドストーンを本命に推したい。名古屋大賞典GIIIでの10着惨敗は中央馬が相手で流れが厳しくなってのもの。今回はよほど捨て身でハナを奪いにくる馬でもいない限り、すんなりハナに行ってマイペースのレースができそうだ。
相手はやはりクインオブクイン。昨年10月7日の東海菊花賞(名古屋1900メートル)を制して以降の4戦は、いずれもダートグレードを使われ、常に厳しい流れのレースを経験してきている。
そして東海桜花賞を制したマヤノモーリスだが、このときは相手に恵まれた感があり、今回のメンバーでは厳しいように思う。
馬連複ならレッドストーンとクインオブクインの組み合わせを厚く、押さえにレッドストーンからエンシェント、マイネルサイプレスあたりに流す。
3連単ならレッドストーンとクインオブクインの2頭軸のマルチで、エンシェント、マイネルサイプレス、トーコーカント、マヤノモーリスへ。
岩手ではスプリングカップというと、シーズン開幕初日に行われる3歳馬のオープン特別として定着していたのだが、今年は開幕初日のメインが七時雨(ななしぐれ)賞となっていた。スプリングカップは、はてどこへ?と思っていたら、開催がスタートしてから3週目、23日(日)のメインレースとして組まれていた。
どうやら昨年まで5月に行われていた七時雨賞が初日に来て、スプリングカップがこの時期にスライドしたということのようだ。この時期の3歳戦は、どこの競馬場でも同様、ダービー戦線に向けて注目の集まるレースとなる。
さて、1600メートルで争われるそのスプリングカップを圧勝したのはダンディキング。
1400メートルの七時雨賞の上位馬が中1週で再戦というメンバー構成で、七時雨賞では後続を離して逃げ、ゴール前ではブラックショコラにクビ差まで迫られたダンディキングだが、今回は見違えるようなレースぶり。後続に2〜3馬身ほど引き離しマイペースで逃げる展開は同じだったが、4コーナーから直線を向くと、軽く追い出されただけで後続をみるみる突き放した。ゴール前は手綱を抑える余裕を見せ、2着のテンショウボスに軽々と6馬身の差をつけた。
ダンディキングは、昨年10月の若駒賞(盛岡1600メートル)で2着、1月2日の金杯(水沢1600メートル)では8着に敗れ、ここまで重賞勝ちはない。今回は成長を感じさせるレースぶりで、今後の重賞戦線での活躍が大いに期待される。
父は武豊騎手で北九州記念を制したダンディコマンド。そして母は、笠松所属時代に重賞12勝を挙げたアラブの名牝ミスハグギン。「サラ系」という血統でも、注目を集めることになる。
ル・プランタン賞は四国・九州地区交流による3歳牝馬の重賞だが、残念ながら佐賀所属馬のみによる争いとなった。1月22日に行われた花吹雪賞に荒尾所属馬として参戦(7着)したヒロノジョーも現在は佐賀・東眞市厩舎に移籍している。
その花吹雪賞上位馬を見てみると、勝ったアブソルートウインは船橋・川島正行厩舎へ、2着だったカネクラモチは大井・荒井隆厩舎へ転出。今回は花吹雪賞3着以下と、新興勢力による争いとなる。
とはいうものの、まだ重賞に顔を出していない新興勢力に魅力的な上がり馬がいないため、中心はやはり花吹雪賞3着のタマノハルカ。2歳時の九州ジュニアチャンピオンでは9着と惨敗だったが、その後徐々に力をつけ、前走の飛燕賞でも4着と、牝馬では最先着を果たしている。
新興勢力で魅力を感じるのはミステリーチューン。父スペシャルウィークの社台ファーム産で、おまけに母の母がダイナアクトレスという良血。結局JRA認定レースは3戦して勝てず、年明けまで惨敗と好走を繰り返していたが、ようやく前走3月18日の1400メートル戦で2勝目を挙げた。ここまで1400メートルまでしか距離経験がないが、血統的に1800メートルのここで大化けする可能性を秘めている。
その他では、重賞初挑戦だがここ4走で2勝2着2回と安定しているブライダルサンデー、九州ジュニアグランプリ5着以来今年まだ1戦しかしていないクリスタルディーバにも可能性がある。
花吹雪4着のドラマチックメモリは、その後成績がよくないので見送る。
3連単も導入されたし、タマノハルカ軸1頭で相手は3頭、ミステリーチューン、ブライダルサンデー、クリスタルディーバの3連単マルチでどうだろう。この時期の3歳牝馬戦だけにそう堅くはおさまらないような気がする。押さえにオッズを見てタマノハルカから3頭に馬連複で流す。
競馬場のたべものといえば、ぼくにとっては何と言ってもヤキソバだ。
かつて地方競馬情報誌『ハロン』に「今月のヤキソバ」というコラムを書いていて、30回も続いた。よくそんなにヤキソバを食ったもんだと思うが、実際にはマズかったりで取り上げてないものもあるので、もっと食ったことになる。そもそも、その3年弱の間に特に無理をしたというわけでもなく30個以上食ったということは、通算すればおそらく地方競馬のヤキソバは100回以上食ってるに違いない。
だから何だと言われればそれまでだが、ぼくにとっては競馬場といえば、それくらいヤキソバなのだ。
競馬場といえばモツ!という人もいるだろうが、ぼくは残念ながら内臓系があまり得意ではない。なのでヤキソバなのだ。
で、考えてみればオッズパークの5競馬場は、いずれもわりとたべものが充実している。もちろんヤキソバもだ。
というわけで、唐突だが「今月のヤキソバ」を復活させることにする。ただ、いずれも遠征といえるところにある競馬場だけに、毎月というわけにはいかないものの、タイトルだけは引き継いでみた。
まずは笠松。
笠松といえばスタンド裏にズラリと並んだたべものやさん街にまず目が行くが、ヤキソバに関しては、1コーナー寄りスタンド2階の「競馬場喫茶部」という食堂のヤキソバがダントツだった。
「だった」というのは、残念ながら今はもうない。たしかちょうど去年の今ごろだったか、笠松競馬場に行ったとき、「競馬場喫茶部」が廃墟となっていたのを発見して愕然としたのだった。
しかしともあれヤキソバだ。
今回は、おそらくまだ食べたことのない「美津和家」さんのヤキソバ。スタンド裏のたべものやさん街の一店舗。
まず笠松競馬場のヤキソバの特徴は、どの店のヤキソバもトッピングされている紅生姜が千切りではなくみじん切りになってることだ。ほかの競馬場ではこんなの見たことない。競馬場に限らず、生まれてこのかたお目に掛かった記憶がほとんどない。いや、お好み焼きとかにはこういうみじん切りを入れるのかもしれないが、少なくともヤキソバのトッピングでは見たことがない。
で、「美津和家」さんのヤキソバだ。
麺はふつうのちぢれ麺。ところどころコゲているソースがなんとも食欲をそそるプレゼンテーションだ。そのソースは、関西風の濃くて甘いやつ。
突然だが、ここでヤキソバ豆知識をひとつ。名古屋あたりを境にした東日本のヤキソバがだいたいにおいて辛めのウスターソースを使うのに対して、西日本は甘めの濃厚なソースを使う傾向がある。これは全国の競馬場でヤキソバを食べて気づいた経験則。
で、「美津和家」さんのヤキソバの話に戻る。
肝心の具は、キャベツ、豚肉、それにちっちゃい桜エビ。これはもしかして「アミエビ」という種類だろうか。とにかく桜エビ系が入ってるヤキソバは、ぼくにとってはそれだけでポイントが高く、競馬場フードとしては、まずまずイケてるヤキソバであることは間違いない。
ただ、400円という価格の日本全国の競馬場で食べられるヤキソバと比較すると、ちょっと量が少ないかな、というのがやや残念なところではある。写真では大盛に見えるが、いかんせんトレーがちっちゃい。
これからは大きさ比較のためにタバコの箱と一緒に写真を撮ろうかと思ったり。しかしぼくはタバコを吸わないのだった。そうだ!馬券だ。馬券なら発券機のメーカーが違っても、日本の場合は全国どこでも大きさはほとんど同じだ。しかも、馬券と一緒に撮影しておけば、どこの競馬場でいつ食べたものか一目瞭然。これは名案だ。
7日に行われた笠松・スプリング争覇は、単勝1.3倍の圧倒的人気となったレッドストーン(名古屋)の圧勝となった。
スタート後すぐにハナを奪い、1周目の3コーナーではスギノデトリアーノに競りかけられ、一旦は外から行かれそうになったものの、強引にハナを主張した。3コーナー手前ではエンシェントが一気にまくってきたが、並ばせることもなく直線では楽々と突き放した。ちょっとこのメンバーでは器が違ったようだ。
「今日はどの馬につつかれてもハナに行けと騎手には言ってありました。そういう厳しいレースをしないと、上に行って勝負ができないので」と角田輝也調教師。
これは前走、名古屋大賞典GIIIで10着に敗れたときのことを言っているのだろう。レッドストーンよりも内枠だったピットファイターにどうしてもハナを譲ってもらえず競り合う形となり、結局は共倒れとなった。
今のところ、マイペースでレースができれば強いものの、そうでないときは粘りがきかないというのがこの馬の弱点のようだ。
粘りという意味では、中央馬相手の厳しいレースでも確実に入着するレイナワルツのほうがまだまだ上のようだ。実際に名古屋大賞典GIIIでもレッドストーンの直後を追走したレイナワルツは5着に入着。アッと驚かせた昨年のJBCクラシックGI・3着以降、東海地区のレースでは2戦負けなし、3戦したダートグレードではいずれも掲示盤を確保という堅実な結果を残している。
次走は、と問われた角田調教師は、
「伝統のあるオグリキャップ記念をぜひ獲りたいと思います。オグリキャップ記念でも堂々、逃げ宣言です」
と、自信を持って答えた。
そんなレッドストーンに捨て身で競りかけてくる馬がいるのかどうか。オグリキャップ記念は、まずそれが見どころになりそうだ。