「交流元年」と言われたのが1995年のことで、あれからもう10年以上が過ぎた。中央と地方の交流、また地方同士の交流が当たり前のようになったことで、地方競馬もこの10年ほどでかなり変化してきた。
かつてほとんど中央競馬としか関わりがなかった社台グループが、最近では地方競馬でも共有オーナーの会員を募集するなどしてかなりの頭数を使っているということなども、その変化のひとつだろう。
そしてUAE・ドバイのシェイク・モハメド率いるダーレーグループの日本法人、ダーレー・ジャパン・レーシングの参入も地方競馬にとっては、ひとつの大きな「事件」だった。
当初は船橋が中心で、最近では大井にも所有馬が増えてきたが、今年の2歳馬からは、岩手にも進出してきた。
デビューはこれからだがパチョリという2歳牝馬が、馬主ダーレー・ジャパン・レーシングとして岩手に登録されている。
ちなみにダーレーの生産馬では、岩手ダービー・ダイヤモンドカップを制したオウシュウクラウンがすでに岩手で活躍しているが、これはダーレー・ジャパンの所有馬ではなく、馬主は西村専次氏。05年の千葉サラブレッド2歳トレーニングセールに上場され、このときは主取りとなったが、その後西村氏にトレードされたのだろう。
そうした縁があったからなのか、ダーレー・ジャパン所有のパチョリは、オウシュウクラウンと同じ櫻田浩三厩舎に入厩している。
パチョリの父は日本でも繋養されていたジェイドロバリーで、母はMarrubiumという血統。全兄の3歳馬ハーブポットという馬が船橋所属となっているが、ハーブポットがUAE産であるのに対し、パチョリはイギリス産。ジェイドロバリーを受胎した母馬がイギリスに送られて誕生した産駒なのだろう。
聞くところによると、パチョリだけでなくほかにも何頭かダーレー・ジャパンの所有馬が岩手に入厩してくるらしい。
岩手に入ったダーレー・ジャパンの馬たちが、今後どんな活躍を見せるのかはもちろん、それによって岩手競馬がどう変わっていくのかも楽しみなところではある。