開幕早々、岩手競馬は記録ラッシュとなっています。
まず先週の16日、2Rで小林俊彦騎手が地方通算3500勝を達成。岩手では2人目、地方競馬では歴代10人目(現役では7人目)の大記録を成し遂げました。
昨年4000勝を達成した菅原勲騎手がいるためか、小林騎手の記録はちょっと目立たない感じがあるのですが、3500勝はもちろん偉大な偉大な記録ですし、ひとつの地区にこんな大記録を持つ騎手が二人もいる、それも生え抜きでというのもまた凄い事(兵庫には有馬・川原という二名の大騎手がいますが、どちらも他地区からの移籍)。
体力にはまだまだ自信があるという小林騎手、4000、4500と勝ち星を積み重ねてほしいですよね。
また、22日日曜日は3Rで城地俊光調教師が通算100勝を、4Rでは関本浩司調教師が初勝利を挙げました。関本調教師は開業後2戦目での初勝利と順調なスタートで、「騎手の時とは違う緊張をするけれど、ひとまず勝ってホッとしました。この勢いでどんどん勝ち星を増やしたい」と笑顔を見せていました。
他にも、阿部騎手が地方通算1200勝に、沢田盛夫利騎手は同1300勝に間近となっています。もしかしたら、皆さんがこの稿を読んでいる頃には達成されているかもしれません。
岩手競馬を、東北を取り巻く状況は依然厳しいですが、こういう記録の積み重ねが元気に繋がっていけばいいなと、単純ですが思ったりします。
さて、月曜日のメインレースはA級一組の「ヒメコザクラレース」。レースの名前は非常に可憐な高山植物にちなんだものなのですが、レースの方はとても可憐なんて言ってられない、実に難解なメンバーとなりました。
その理由は10頭中4頭もいる転入馬。南関東C級くらいなら普通なら軽視、もしくは様子見してしまうのですが、日曜のあすなろ賞が転入馬のワン・ツーになってしまったのを見せられると、ここも転入馬が猛威を振るいそうな気がしてきて・・・。うーん。
あまり悩んでもいられない。という事で予想に行きましょう。本命は思い切って(6)ダークライを狙います。
3歳時にはロックハンドスターのNO.2的存在。その後古馬A級に入って苦戦が続きましたが徐々に良化、シーズン終盤は一線級とも互角の戦いができるようになっていました。
持ち時計的に1800mは少し長め。ですが今の先行有利のコース状態なら、先行しぶといこの馬の脚質が最大限に活きると見ました。
本命を捻ったから対抗以下は順当に(2)ダンストンリアル、(1)マルブツワイルドを押さえて。ダンストンリアルは昨年のあすなろ賞勝馬で実力は既にオープン級。マルブツワイルドも重賞入着があってA級上位で足りないとは思えません。どちらも昨季ラストを勝って締めくくっている点も魅力です。
(4)ジョウテンロマンは詰めの甘さはともかくとして、もととも一息後の成績が微妙な馬。8歳の大型馬、中間順調とはいえ押さえまでに留めておきたい。
転入馬で狙うなら(8)ホクセツロマンか。本来は中距離の先行馬、南関での左回り実績がちょっと微妙ですが、3歳重賞で好走した経験が武器になる可能性は決して小さくないでしょう。
●9Rの買い目
馬単 (2)=(6)、(1)=(6)、(1)=(2)、(6)→(4)、(6)→(8)
開幕延期により、今シーズンのオープン戦線はこの「あすなろ賞」スタートする。舞台は盛岡ダート1800m。6月19日、みちのく大賞典トライアルで1、2着馬には優先出走権が与えられる。
当初、ロックハンドスター、ゴールドマイン、マヨノエンゼル、マイネベリンダなどの登録があったが、ロックハンドスター、ゴールドマインは北海道・コスモバルク記念直後のために回避。またマヨノエンゼルはここにきて腰に疲れが出たため自重。またB・ドリーマーカップ、青藍賞の重賞2勝マークしたマイネベリンダも仕上がり途上のため出走を見送った。
しかしサクラマジェスティ、コアレスレーサーの対決は以上4頭は補えないにしても見応え十分。ロックハンドスターは別格に、他の3頭とは互角以上に戦える能力を持っている。
主軸はサクラマジェスティ。昨年6月、中央3勝1000万下から転入。初戦、2戦目は休み明けと小回りに手こずって3、2着に終わったが、盛岡へ替わって動きが一変。広いコースで秘めた能力が如何なく発揮された。
中でも見事だったのは9月、ロックハンドスターを退けた一戦。今回と同じ盛岡ダ1800mを舞台に、2番手を追走したロックハンドスターを徹底マーク。4コーナーでアッサリ交わし、内からロックが差し返すと再び鋭く伸びて1馬身半差。
いかに大井遠征2戦後で疲れがあったにせよ、後の三冠馬ロックハンドスターを子供扱いにした強さに舌を巻いた。大晦日のファン投票・桐花賞では完敗を喫したが、小回りを意識して早めに動いて末をなくしただけ。個人的な意見だが、盛岡コースに限ればサクラマジェスティとロックハンドスターの差は1馬身もないだろうと思っている。
コアレスレーサーはそのとき、2着ロックハンドスターから離されること9馬身差3着。サクラマジェスティとの差は決定的かと思ったが、続くA級(盛ダ1800m)で鮮やかな逃げ切りを決めて雪辱。前走大敗のお返しをキッチリした。
桐花賞でコアレスレーサーは7着に沈んでしまったが、これは馬場と流れが合わなかったから。まだ勝負付けは済んでいないが、今回の印は仕上がり比較を考えてのこと。
大型馬ゆえ叩き良化型と踏んで間違いないし、若干太めの印象。もちろん、ここでぎっちり仕上げてしまえば今後におつりがなくなるのは当然。今回の状態で他陣営とどのようなレースをするかを測る意味もあり、このレースのみで結論を下すのは早計。ただ、アッサリ勝つようなら打倒ロックハンドスターの最有力候補に浮上する。
盛岡ダート1800m地点はゴール板から200m手前。1コーナーに入るまでおよそ2ハロン。ほとんどの1800m戦はペースが落ち着き、坦々とした流れとなるが、先に行きたいのは新参サンキンスピーチ、ワイルドキャット。
サンキンスピーチは通算28勝。重賞は1つのみだが、一貫して東海でオープンを張り続けてきた古豪。転入直前の梅見月杯では東海№1・ヒシウォーシイ相手に、逃げ粘って3着。これだけ走れば当然勝ち負けに持ち込める。
ワイルドキャットは板垣調教師が逃げに定評がある斎藤騎手を指名した。南関東A2下でも3着に入った実績があれば、レベル比較からも岩手オープンで勝って不思議なし。斎藤騎手が持ち味を存分に引き出すか注目してみたい。
あとは北上川大賞典を優勝メイホウホップ、菅原勲騎手が鞍上マイネルプロートスも怖い存在だ。
◎(4)サクラマジェスティ
○(5)コアレスレーサー
▲(2)サンキンスピーチ
△(6)ワイルドキャット
△(7)メイホウホップ
3連単は4、5の1、2着折り返しから2、6、7、8へ
馬複は 4-5、2-4、4-6、6-7
<お奨めの1頭>
7レース シルクアヴァロン中央3勝→笠松→高知→船橋→佐賀と渡り歩き、昨年暮に岩手B2で2戦を消化。その後、佐賀に移動して再び岩手へ。初戦はC2へ降格し、相手も楽だったが、それにしても強かった。1400mも問題にしない
先週14日から岩手競馬がようやく再開した。長い間、待ちわびていたファンが盛岡競馬場へどっと押し寄せ、初日14日が本場入場者数が3402名。驚いたのは2日目15日で何と6542名!。前年比で20%以上、1000人以上も上回った。
これが岩手競馬ファンの気持ちだったと受け止めて間違いないだろう。またネット投票でもみなさんから応援をいただき、我々関係者もファンの温かさ、熱心さに対し感謝の念に耐えません。本当にありがとうございます。
21日メインはA級二組「ハヤチネウスユキソウレース」(盛岡ダート1600m)、10頭立て。翌日に特別「あすなろ賞」が控えているが、なかなかの好メンバーがそろった。
盛岡マイル適性、仕上がり比較からアドマイヤサムライが中心となる。昨年4月、中央1勝から転入。いきなりA級馬相手で4番人気にとどまったが、後方待機策からひとマクリ。1頭だけ大外をブン回ったのにもかかわらず、一気に突き抜けて4馬身差。衝撃の岩手デビューを飾った。
その後も白星を積み重ねていったが、好、凡走の落差が激しく信頼度の点では見劣りした。理由は気性難が災いしたから。折り合いがうまくつかないと直線で伸びを欠いて凡走。特に小回り水沢で顕著に現れ、終盤4戦もパッとしなかった。
しかし、今回の舞台は盛岡ダート1600m。コーナーがわずか2つのコース形態はアドマイヤサムライに願ってもない条件。事実、盛岡ダ1600m6戦3勝2着2回と抜群の連対率を誇っている。
もう一つ終盤で凡走したのは調子もひと息だったから。疲れが溜まると切れる末脚が不発に終わるケースが多かったが、今度は万全の状態で臨めることも心強い。好発進を決める。
ブライティアピアも同じく中央1勝からの転入だが、こちらはB2スタート。メンバーにも恵まれたが、圧巻の5連勝。そのほとんどをワンサイドで決め、ついにA級入りを果たした。
文句のつけようのないレース内容からオープンでも通用は疑いのないところ。ただ連勝よりも馬の調子重視。長丁場なのであわてず、じっくりの陣営方針から対抗格とした。
サウンドサンデーは昨年、南関東代表でOROカップ(盛岡芝1700m)へ参戦してコスモヴァシュランの2着確保。実力のほどは証明済みだし、レベル差歴然の南関東で通算11勝マーク。
岩手2戦後、川崎オープンへ挑戦(12着)し、その後は園田へ移籍。結果は振るわなかったが、3月30日までレースを使われてきたのが最大の強み。移動で極端に体重が減っていれば話は別だが、470キロ台をキープできていれば当然、勝ち負けに持ち込める。
スクリームイーグルは冬場にハリを打ってリフレッシュさせたと佐藤祐司調教師。追い切り時計は強めに追ってラスト14秒1と平凡だったが、このひと追いで気配が変わる可能性もあるし、おそらく実戦になると一変のタイプ。岩手入り後、すべて馬券対象になっているように軽視すると痛い目にあうだろう。
評価に迷うのがマイネルリファイン、イシノウォーニングの4歳2頭。不来方賞でロックハンドスターに離されたが2、3着に気を吐いて実力はお墨付き。ただマイネルリファインは叩き良化型、イシノウォーニングは終盤はともかく本質的には水沢巧者。その点で今回は若干割り引いた。
◎(2)アドマイヤサムライ
○(4)ブライティアピア
▲(7)サウンドサンデー
△(9)スクリームイーグル
△(3)マイネルリファイン
△(10)イシノウォーニング
3連単は2、4、7の3頭ボックスが本線。あとは2、4から9、3、10へ3着流し
馬複は 2-4、2-7、2-9、2-3
<お奨めの1頭>
10レース ライジングヤマト
岩手2戦目は伸びを欠いて3着だったが、極端に深い馬場に泣いた。ここは仕切り直しの一戦で、その名のとおりライジングあるのみ
震災による影響を経て、約4ヶ月ぶりに再開された岩手競馬。その初日・二日目は好天にも恵まれ、競馬場はたくさんのお客様で賑わいました。
ちょっと風が冷た目でしたが日差しはすっかり初夏のそれで、ずいぶんと開放的な感じでもありました。実際、5月頃と秋の10月前半あたりの盛岡競馬場は過ごしやすいし景色も綺麗だし、1年の中で一番良い時期なのは確かですよね。今日も岩手山が綺麗に見えていました。こんないい時期の競馬場を、できるだけたくさんのファンの皆さんに楽しんでいただきたいですね。
そんなこんなでこの土日、荒れる時はドカンと荒れるのはそういう"読みづらさ"があるせいなんだろうなと感じています。
さて予想です。いろいろ悩みつつ本命は(2)タカラムーンを指名しました。昨季終盤に移籍してきて2連勝、それもほぼワンサイドの勝利。まあ、連勝とはいえB2でもわりと下位、B2特別レベルで好走していた馬たちに比べれば若干の格下感があるのは確かですが、例えば2走前で破ったコスモローダンセが今季B1でソコソコ、というところから比較するとこの馬もB1で足りておかしくない、という計算は可能です。
加えて4歳で10戦というキャリアもここでは魅力。昨年4月の遅いデビューからほぼ1ヶ月1走ペース。その最後2戦を連勝で締めくくったのですから、伸びていく勢いが満ちているのだと期待したくなりますよね。
対抗は(4)シャイニーハリアーで妥当でしょう。こちらも昨秋に転入してC1→B2と7戦4勝3着以下無しの安定ぶり。◎同様B2でも中位くらいでしたがレベルは決して低くなく、ここで通用する力は持っている馬のはずです。脚質的にも今の盛岡のコースが合いそうで、すんなり好位追走なら面白いレースをしてくれるでしょう。
三番手は(5)ソノマンマを採ってみました。得意は芝、ダートは軽い馬場限定という所がありつつ、それでもA級のダート戦でも格好をつけているのだから地力はやはり高い馬。すんなり先行できれば少々競り合っても・・・というタイプなのも、このメンツの中では武器になりそうです。
以下も先行馬で固めて(1)ビュレットライナーと(8)エムアイルシェルが押さえ。(1)の前走は格上挑戦の重賞、それも同型多数で全くの参考外。前々走の内容ならここでもハナ奪って・・・も可能。(8)は昨年10月以来の休み明けですが、その夏~秋頃に見せていた充実感は非常に目立つものでした。この馬も自分の流れにさえなれば非常にしぶとい先行馬。枠順が外過ぎるのがちょっと残念。
●9Rの買い目
馬単 (2)=(4)、(2)=(5)、(4)=(5)、(2)→(1)、(2)→(8)
開幕2日目から早々と今年の超目玉ホースであるベストマイヒーロー、シーグランディが対決する。舞台は盛岡ダート1800m、「七時雨賞」。
今シーズンの岩手クラシック戦線を占うだけではなく、両馬ともこれから全国に殴り込む意欲十分。私自身も非常にワクワク、ドキドキしている。シーグランディがあえてベストマイヒーローにぶつけ、勝算ありと踏んでいるからだ。
昨年、ベストマイヒーローは6戦5勝2着1回。一度敗戦を喫したのはイレ込みが激しかったテシオ杯ジュニアグランプリだけ。他のレースでは圧勝に次ぐ圧勝で5戦の合計着差が34馬身!平均6・8馬身差とけた違いの強さで2歳三冠を楽々と達成してしまった。
対するシーグランディはデビューから一貫して芝1本のローテーションを組み、2勝3着1回の成績からJRA・福島へ連続挑戦。きんもくせい賞は道中のロスが響いて5着に終わったが、続く福島2歳ステークスで2着(3着繰り上がり)。岩手所属馬で久々にJRAを舞台に好勝負を演じた。
帰郷後、寒菊賞で初めてダート戦を使い、決して適性があったわけではなかったが、総合力でカバーして完勝。以降、地元戦をスキップしJRAへ連続挑戦。結果は2度とも11着に終わり、クラシックを狙う馬たちの壁に突き当たった。
確かにこの敗戦がレベル差であったのは否定できなかったが、それ以上に収穫だったのが馬自身の成長。中山・若竹賞では馬体が寂しく映ったが、東京・セントポーリア賞では見違えるほど良化を見せ、佐藤雅彦調教師は納得の表情で「いい経験になった」とレース後、我々に語った。
その後、シーグランディは水沢へ戻らず、美浦トレセン近くの牧場で休養。当初は3月半ばに帰厩する予定だったが、あの悪夢の大震災が発生し、4月中旬まで伸びてしまった。
ところが、水沢で久々に対面した菅原勲騎手はビックリした。私にも「シーグランディがさらに良くなっていた。この時期に成長する馬は間違いなく走る」と。両馬とも菅原勲騎手のお手馬。今回、ベストマイヒーローとのコンビで臨むのが当然だが、できればシーグランディにも乗りたいと本音を漏らすほどだった。
現時点ではベストマイヒーローが上は疑いのないところ。ただ回復したとは言え、一度体を緩めたのは事実だし、久々の輸送でテンションが上がる可能性もある。たとえダートでも死角なしとは言い切れない。最終的に臨戦課程の差を熟慮してシーグランディを本命とした。
以下は大きく離された評価となるが、セリトスガッテンは寒菊賞でシーグランディの2着確保。小柄な牝馬で仕上がりに手間取らないタイプでマークは欠かせない。
凡走か、はたまた劇走かの可能性を秘めているのがトーホクスピリットだ。昨年は気性面で幼さが残り、体の方も成長途上。その象徴的なレースがテシオ杯ジュニアグランプリでスタート直後に落馬中止。また出遅れを喫した南部駒賞で10着と信頼を置けなかった。
しかし、一冬を越して心身ともパワーアップ。陣営も今年が本格化するはずとの読みがあり、大化けするか注目してほしい。あとは本調子を欠くが、先行力と粘りが身上グランプリボーイも連下押さえは必要だろう。
<お奨めの1頭>
4レース ケイジーウィザード
09年まで岩手へ在籍し、A級3勝を含め、通算12勝をマーク。南関東から再転入し最下級C2へ編入。このメンバーでは実力が違いすぎる。