4月6日、岩手競馬2019年度がスタートする。実際は3月の再開から始まっているが、4月を迎えると気持ちも新たになるのは岩手競馬にかかわるホースマンの常。
例えれば3月の競馬は助走期間。昨年は禁止薬物の発生により12月24日で競馬が終了。例年より冬期休養が長くなって2月20日から馬場開放。その間は完全に充電に入り、約1ヵ月ほど乗り込まれて3月開催を迎える。
とはいえトレーニングと実戦は別物。調教を順調にこなしていても実際に走ってみないと分からないのは事実。助走期間に状態を把握して調教メニューを再構築し、4月の新シーズンに臨む。
予想する我々も同様。23日から再開した当初、パドックを見ても目に馴染まず正直焦った。これで2019年度を乗り切れるか不安になったが、徐々に通常状態に戻れてホッとした。
今年の岩手は例年に比べて雪が極端に少なく、暖冬傾向だったが、それでも北国の寒さは半端でない。パドックでも冬毛が残っている馬は少なくなかった。逆に毛ヅヤがいい馬も目に付き、状態差が結構大きかった。
画面越しでもパドックチェックは馬体重の増減ともども、必ずしてほしい。変化を見極める―。これが馬券検討の手助けになるはずだ。
新シーズン開幕初日メインは3歳準重賞「第44回スプリングカップ」(水沢1600m)。今年さらに充実した岩手3歳クラシック戦線を占う重要なメンバーが顔をそろえた。
10月以来の実戦でもグレートアラカーを主軸視する。デビュー戦の芝1000m3着から重賞・ビギナーズカップは当初の青写真どおりと千葉幸喜調教師。
その期待に応えて豪快なまくりを披露。芝からダートに替わって反応が一変し、4角先頭からそのまま押し切って完勝。
2歳戦線をリードすると誰もが疑わず、2歳根幹重賞・若駒賞で1番人気に支持された。しかし内に包まれて勝負どころで前がふさがる不利。直線で盛り返しを図り、最内を突いたが3着止まりに終わった。
以降は休養に入り、このスプリングカップで戦線復帰。ほかの全馬が3月のレースを使い、5ヵ月半ぶりの実戦は明らかにハンデだが、ここは地力を信じる手。好発進を決め、今年こそ飛躍の1年にしたい。
パンプキンズはデビュー戦、3戦目を快勝したが、前後して大敗。強さとモロさが同居していたが、実戦を使われながら着実に成長。昨最終戦の重賞・寒菊賞で鮮やかな逃げ切りを決めた。
前走はスナンビンに完敗2着だったが、太め残りだったのも事実。パドックで毛ヅヤの良さがひときわ目を引き、ひと叩きされて上昇確実だし、スナンビンが回避なら逆転首位まで十分。
バイクミリオンは北海道未勝利3着1回から転入後、ロングスパートを決めていきなり連勝。3戦目は後方のまま9着に終わり、評価が微妙になったが、今季初戦で2着確保。
ライズブロッサムが逃げ切り、決して展開的に向きではなかったが、自力で動いて連対を果たした。これで今後のメドが立ったのは明らか。脚質的に距離が延びれば延びた方がいいタイプだけに、マイル延長は望むところ。
トーセンロブロイは船橋1000m・2歳新馬2着。2戦目も3着にまとめたが、以降は伸び悩んで岩手へ新天地を求めてきた。初戦は5着止まりだったが、初の水沢に戸惑ったと解釈。コース2度目で巻き返しに転じる。
ナムラボーナスはJRA札幌・2歳新馬(芝1200m)を快勝。高知3戦とも大敗を喫し、ダート対応がネックだが、実績を考えればアッサリまで。
メイクミーラフは先行して粘りを発揮するのが身上。初戦はマーク厳しかったが、タイム差なし2着と健闘した。スンナリなら軽視できない。
◎⑪グレートアラカー
〇⑧パンプキンズ
▲⑤バイクミリオン
△⑥トーセンロブロイ
△③ナムラボーナス
△⑨メイクミーラフ
<お奨めの1頭>
8R シャーク
元々が叩き良化型だが、初戦で3着に粘って格上ぶりをアピール。ひと叩きされて上昇確実で首位奪取のチャンス
先週3日間の連対脚質を調べてみた。
23日(土)
逃げ=3勝、2着4回 先行=6勝、2着4回
差し=1勝、2着3回 追込=1勝、2着0回
24日(日)
逃げ=4勝、2着5回 先行=4勝、2着2回
差し=2勝、2着4回 追込=1勝、2着0回
25日(月)
逃げ=2勝、2着2回 先行=6勝、2着4回
差し=3勝、2着4回 追込=0勝、2着1回
目に付くのは初日23日の逃げ脚質。その日は逃げ、先行タイプが決して多かった訳ではない。ジョッキーのメンタル面が大きかった。やはりジョッキーも手探り状態。馬場の傾向も乗ってみないと分からなかったため、逃げ残りが多かった。
24日はさらに顕著だった。4勝2着5回と全11R(連対は全22回)に対し、この数字は驚異的。"先に行ったが勝ち"だった。
しかし、25日になると逃げが2勝2着2回と大幅に減少。楽に逃がしてはならないとジョッキーが早めに捕えにかかった。25日になると差しの連対数が増えたことにも現れている。
それでも先行有利の傾向は動かない。前半3日間全33R(連対は66R)で逃げ、先行脚質の連対が46回。おそらく今週も先行有利は変わらないと判断していいだろう。
31日メインは「スプリント特別」(オープン 水沢1400m)。ミスティカルを主軸に推す。
中央500万下(浦和1勝)から昨年8月に転入し、移籍2戦目・3歳A級戦を逃げ切り勝ち。これで軌道に乗るかと思ったが、3着止まりを繰り返した。
それを打破したのが水沢1400mへ替わってから。前々走でオープン馬を一蹴し、3歳準重賞・奥州師走スプリントも快勝した。
今回はA級一線級が相手。正念場を迎えたが、元々が出世を期待された逸材。仮にここも突破できれば重賞路線で台風の目にもなれる。
メイショウオセアンはマイル路線から短距離へ路線変更したのがズバリ。重賞・岩鷲賞(盛岡ダート1200m)を制し、重賞ウイナーの仲間入りをした。
冬休み前の水沢1400m戦はミスティカルに完敗だったが、調子が落ちていたのも事実。昨年、初戦で水沢850mを快勝したようにテッポーもきくタイプ。逆転首位まで。
フォルスは冬場に南関東へ再移籍。4着最高だったが、2月末まで実戦を使われて仕上がり上位は明らか。岩鷲賞でメイショウオセアンの2着を確保して実力は証明済み。ほかはすべて今季初出走のハンデを考えればアッサリも十分あり得る。
スペクトルは2度の長期休養から見事復活を遂げた。昨年8月の復帰当初は大敗を続けたが、1200m戦、850m戦を連勝。2、3歳時、ロールボヌールのNo2がダテではなかったことをアピールした。好枠3番枠を引き当て、気分良く逃げれば3連勝まで。
シャドウパーティーは芝1000m交流・OROターフスプリントで直線一気を決めて優勝。続く850m戦でもスペクトルの2着に突っ込んだ。今年10歳だが、衰えは見られない。
スカイロックゲートは北海優駿でベンテンコゾウの2着。道営記念11着から岩手入りして白嶺賞で3着に善戦。出遅れを喫したにもかかわらず上がり37秒6を披露した。マーク欠かせない。
◎⑥ミスティカル
〇⑤メイショウオセアン
▲⑨フォルス
△③スペクトル
△⑦シャドウパーティー
△①スカイロックゲート
<お奨めの1頭>
4R スティルプリンス
再開初日第1Rで貫禄の逃げ切り勝ち。オープンでも通用したスピードを見せつけた。同じ850mが舞台なら連勝疑いなし
再開"岩手競馬前半3日間が終了した。終わってみて思ったことは『ホッとした』だった。
個人的には久々のレースだったので正直、とまどった。長年、岩手競馬にかかわってきたが、いつも冬休み明けは雲を掴むような状態。クラス変動の乱高下が激しく、力比較が難解。基本は降格馬を重視するのがセオリーだったが、仕上がりも大きく左右する。
ところが、パドックを周回する馬たちがなかなか目になじまない。毛ヅヤは一目で分かるが、仕上がりと決してイコールではない。ようやく月曜日、再開3日目で少しなじんできた。ホッとしたのはそれが大きかった。
おそらく騎手、馬も久々にとまどったに違いない。思った以上の配当が連発した。こちらは情報を提供する側だから困る面があるが、みなさんには高配当をゲットするチャンス。我々は印を付す基準がまだできていないからだ。
30日メインの「桃花特別」(A級一組 水沢1600m)も同様のケース。◎はエンパイアペガサスで不動だが、以下が混戦。各馬が一長一短で格下にもチャンス十分ありそうだ。
エンパイアペガサスは南関東2戦後、水沢へ帰郷。3月から早々と始動する。昨年はみちのく大賞典2連覇、さらに青藍賞、北上川大賞典と重賞3勝。1600mから2500mまで距離を問わず地力の高さを見せつけた。
始動が早かったのは次走に重賞・赤松杯があり、続いてシアンモア記念があるから。岩手古馬の根幹重賞はそのシアンモア記念、みちのく大賞典、桐花賞。まだ手にしていないシアンモア記念が春の最大目標となったに違いない。
しかもエンパイアペガサスは2月まで実戦を使ってきた強みもあり、ほぼ死角なし。実績でも群を抜き、好発進を決める格好の舞台となった。
相手筆頭はキングジャガーとした。3歳時に岩手ダービー・ダイヤモンドカップ、不来方賞を優勝。一つ先輩のエンパイアペガサスに続いた。
それ以降は勝てなかったが、7月のジョッキーズカップ(A級)を快勝。弾みついたかと思ったが、脚部不安が発生。8ヵ月の休養を余儀なくされた。
今回が復帰初戦でレース感覚を取り戻しているかが最大ネックだが、意外にも仕上がりに手間取らないタイプ。ひとまず相手筆頭と見るのが妥当だろう。
レッドダニエルは一昨年12月、園田A1から転入。初戦5着にまとめ、年度が替わってC2へ大降格。6勝2着9回3着2回と好成績を残した。
2走前からA級へ復帰したが、そこでも3、5着。格負けしないことを証明し、シーズン当初から意欲的な乗り込みを消化。堅実さでキングジャガーに先着する可能性も十分。
エルノヴィオは岩手ダービー・ダイヤモンドカップで2着を確保。3歳クラシック路線を歩んできた。まだ古馬Aとの対戦はないが、成長する4歳馬。若さで突破するか。
ビッグバンドジャズは昨最終戦9着に沈んだが、久々の実戦がこたえた印象。それ以前は持ち前の堅実さを発揮した。水沢1600mは3勝2着2回と最も得意とする条件。大型馬だが休み明けでも動けるタイプでマーク欠かせない。
マーブルフラッシュは展開に注文つくが、マイペースで逃げると強じんな粘りを披露する。同型いても強気に攻めて粘り込みを図る。
◎①エンパイアペガサス
〇⑥キングジャガー
▲⑤レッドダニエル
△⑫エルノヴィオ
△②ビッグバンドジャズ
△⑩マーブルフラッシュ
<お奨めの1頭>
7R ノアナイト
シーズン初戦は惜しくも0秒1差2着。ここではマークしたタイムが抜けており、今度こそ首位を奪取する
春競馬が始まったとはいうものの寒い土日となった水沢競馬場。この25日も天気予報上の気温は上がりそうですが風が強めで肌寒い一日になりそう。
開催2日を終えた時点でのコース傾向は、各レースの走破タイムこそ昨年同時期より若干速めの決着になっていますが、砂の傾向自体は昨年終盤同様、パワーを要する状態が続いている模様です。どちらかといえば先行有利・・・というか差し届きづらい馬場だと言えるでしょう。
25日のメインレースはA級二組の『春分特別』。本命は(7)センティグレードです。
前走、12月1日のA級一組戦は重賞勝ち馬たちを相手に快勝。現級通用を証明してみせています。結果的にその時以来となってしまったことで本来の力量はまだ全ては見えていませんが、前走の相手の中でのあれだけの戦いができるのであれば十分でしょうし、その流れで今回の相手を見れば主力視して当然とも言えるでしょう。
仕上がりそのものはまだ前走ほどでは・・・という事のようですが、それでもここはすんなり突破したいところです。
★センティグレード(18年12月1日・師走特別)
対抗は(1)ヒドゥンブレイド。A級特別を中心に回った昨年ですが、盛岡はともかく水沢では距離を問わない走りをみせていました。好枠も引き、あとは少しでも軽めのコース状態になればチャンスもより拡大。
3番手は(10)プラトンイミシャンを狙ってみます。A級に再昇級という形ですがB1級上位で好成績を残せるのならここで大幅に足りないと言うことは無いはず。好位に付ける競馬ができれば上位争いに。
ヒモはまず(4)ウインルーカス。現状はまだ経験を積んでいる段階なのでしょうが、水沢のマイルは守備範囲でしょうし、先行力がある点も魅力的。転入初戦の様にすんなり前に行ければそのままというシーンも。(11)コアレスフェーブルは昨年終盤を着順以上に良い雰囲気で終えているはずです。水沢マイルでもこのメンバー中であれば上位のタイムを持っていますし、流れひとつで、と考えておきたいですね。
●11Rの買い目
馬単(7)=(1)、(7)=(10)、(7)→(4)、(7)→(11)
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24日メインはB1一組「奥州商工会議所賞」(水沢1800m)。
前日に続き、冬休み明け週の対策について紹介してみたい。23日は3歳A級戦だったが、今回は古馬。ご存知の方もいると思うが、岩手競馬は3月の開催から大幅に格付け変動する。
具体的には今年3月22日からさかのぼって格付けが決定する。転入馬は22日からさかのぼって前20走の獲得賞金。在籍馬は前12走の獲得賞金で入るクラスが決まる。ただし、賞金格差を考慮してJRAからの転入馬は獲得賞金の80%、南関東は70%が控除される。
岩手競馬で前年までA級に在籍していた馬が、いきなり最下級C2へ降格するのは以上の理由から。必然的にメンバーが一気に緩和され、人気を集めることになる。
逆のケースも多い。C2で連勝した馬がいきなりB1に上がるのは相対格付けだから。上級A級から所定の頭数を集めて区切り、以下、B1、B2、C1、C2を賞金順に区分けする。特に昨年はC2賞金が10万円から20万円に倍増。それ以前より昇級速度が早くなった。
よって岩手競馬の春は"格上馬、降格馬を買え"がセオリーとなる。
今回のB1一組戦転入馬が10頭中5頭。2月まで実戦を使ってきたのはエイシンニトロ、メイショウパーシーの2頭。昇級はパッショノン、降格はヴェリイブライト。なかなか難しい一戦となった。
本命はパッショノンにした。昨年、南関東から岩手C1へ編入。南関東ではB2に在籍し、メンバーも甘くアッサリ4連勝。しかもすべてワンサイドで逃げ切った。
今回はメンバーが骨っぽくなったが、2歳時に2勝をマークし、羽田盃にも出走。また大井B3でも1勝と元々は格上馬。B1昇級も問題ないと判断していい。
ヴェリイブライトは3歳時に不来方賞2着、5歳時にはオープン特別・すずらん賞を優勝するなど実績一番。全国を転籍し、昨年12月、名古屋A級から再転入。1番人気4着に敗れたが、A級一組戦。メンバーも強かった。
年齢的に往時の迫力は薄れた感もあったが、3ヵ月の休養でリフレッシュできたはず。ここは格に頼る手も十分ある。
一方、転入馬ではエイシンニトロが南関東B3に在籍。中央ダート1800m1勝、園田1870m、1700mで1勝。そして船橋B3で1勝。近走は精彩を欠いているが、1800mは最も得意とする条件。実戦を使ってきたアドバンテージ、距離適性からアッサリまで。
メイショウパーシーは高知B級から転入。通算25勝という素晴らしい実績を誇るが、すでに10歳。加えて勝利は1600mまでと1800mが微妙だが、仕上がり万全。レース運びのうまさで連対を果たすか。
ヤマニンボアソルチは昨年最終戦で逃げ切りを決めて快勝。水沢1800mも1勝2着2回と連対パーフェクトを誇り、スンナリの流れになれば残り目がある。
アイアムヒラケゴマは大型馬で叩き良化のタイプと思って評価を下げたが、岩手では馬券対象からはずれたのはわずか1度のみ。相手なりに駆ける堅実さは軽視できない。
◎⑦パッショノン
〇⑨ヴェリイブライト
▲①エイシンニトロ
△⑥メイショウパーシー
△④ヤマニンボアソルチ
△②アイアムヒラケゴマ
<お奨めの1頭>
10R スカイサーベル
昨年、A級戦を快勝してシーズンを終了し、今季はB2へ降格。メンバー有利は誰の目にも明らか