16日メインは岩手二冠目「第32回東北優駿」(水沢2000m)。当初、無敗7連勝フジユージーンがJpnI・東京ダービーへ挑戦予定だったが、寝違えのアクシデントが発生したため自重。矛先を東北優駿へ変えたため1強ムードとなった。
フジユージーンは昨年6月4日、シーズン第一弾の2歳新馬・水沢850m戦を2秒2差で逃げ切り勝ち。以降も圧倒的な強さを誇示し、現在まで7戦7勝。重賞も目下5連勝中。今季もスプリングカップを2秒4差で圧勝し、東日本交流・ダイヤモンドカップを0秒7差で完勝。東京ダービー出走を表明したが、無念の遠征断念。幸い大事には至らず、たっぷり1ヵ月半の休養を取り東北優駿へ駒を進めた。今回は地元同士の戦いに戻り、能力の違いは歴然。順当に二冠を制す。
サクラトップキッドはデビュー2連勝を飾り、以降は重賞路線へ名乗り。南部駒賞5着から着順を一つ一つアップ。今季初戦のスプリングカップで2着を確保した。続くダイヤモンドカップ6着、イーハトーブマイル4着と伸びを欠いたが、流れが落ち着く2000m延長は大歓迎。追走も楽になれば持てる能力をフルに発揮できるはず。
レッドオパールは昨年11月、門別4戦1勝2着1回から転入。あっさり3連勝を飾り、重賞・寒菊賞、準重賞・奥州弥生賞を制した。あやめ賞は3着、留守杯日高賞3着と伸びを欠いたが、初の盛岡遠征・イーハトーブマイルを完勝。再び勢いを取り戻した。課題は2000m克服だが、折り合いさえつけばこなせるはず。走り慣れた地元水沢戦も強調材料となる。
バウンスライトは中央3戦0勝から転入。クラスにも恵まれてあっさり2連勝。勢いを駆って重賞・イーハトーブマイルへ挑戦して3着。重賞でも通用することを証明した。この結果からウイナーカップで1番人気に支持されたが、先行有利の流れに持ち込まれたのが致命傷。メンバー最速の上がりを披露したが、先行有利の競馬に泣いて3着に終わった。脚質から忙しい1400m戦より2000m向きは明らか。
ホッコーアドミラルは中央3戦0勝、佐賀2勝から今年4月に転入。相手なりに駆ける堅実さを武器に1勝2着1回3着1回4着1回。すべて入着を確保し、重賞へ初挑戦。メンバーは大幅に強化されたが、父はジャパンカップを制し、母は芝1200m~1400m5勝。秘めた素質を開花させるか注目が集まる。
コンバットスプーンは2歳時に2勝をマークして重賞・ネクストスター盛岡2着。冬場は南関東へ移籍して4戦着外に終わって帰郷。初戦のダイヤモンドカップは7着だったが、イーハトーブマイル2着、ウイナーカップ2着。2000mは明らかに長いが、超スローなら残り目一考。
◎⑨フジユージーン
〇⑥サクラトップキッド
▲⑧レッドオパール
△②バウンスライト
△⑤ホッコーアドミラル
△④コンバットスプーン
<お奨めの1頭>
2R ラポジート
水沢850mを51秒8で圧勝。良馬場で実戦以上の破格タイムをマークした。本番も同じ水沢850m戦。まずはレースパフォーマンスに注目
6月9日(日) 「第9回早池峰スーパースプリント」(オープン 水沢850m)
外枠の動きを確認しながら、好枠も利してダイセンメイトが先手を取る。2番手アヴェントゥリスト、3番手インにトンデコパ。前々走・水沢850m戦でダイセンメイトの出鼻を叩いたビクトリールーラーは4番手外に控える。その直後にミニアチュールがつける。
余裕を残して4コーナーを回ったダイセンメイトは直線でさらに加速。2着に2馬身半差をつけて水沢850m11戦11勝。圧倒的1番人気に応えて初の重賞タイトルを獲得した。2着には外から伸びてきたビクトリールーラーがゴール寸前でアヴェントゥリストを交わして確保した。
1着・ダイセンメイト=岩本怜騎手
「外の馬が思ったほど速くなかったので、うまく行ければなと逃げの手に出た。一息入れてコーナーを回ることができましたので、これならば直線で伸びるなと思った。勝利を確信したのはビジョンを見て後ろとの差を確認できたから。ファンのみなさんへガッツポーズもできました。これからもダイセンメイトともに成長できるよう頑張りたいと思います」
菅原勲調教師
「この馬のいいところは、ずっと好状態を維持できること。今回も変わりなくレースへ臨めた。前回は1000m戦で4着に負けたが、850mは負け知らず。この距離になると本当に強い。転入時はC2最下級スタートだったが、重賞を獲るまで強くなってくれて驚いている。今日の早池峰スーパースプリントが最大目標だったので、今後は考えていない。まずは勝ったことを褒めたいと思います」
ダイセンメイトは昨年3月、金沢2勝、名古屋1戦を経て転入。当初2戦は着外に終わったが、試しに850m戦を使ったところ秘めた才能が開花。菅原勲調教師のコメントにもあるとおり最下級C2からオープンまで出世。ついには重賞タイトルも手に入れた。今後は850m重賞はないため、芝1000mOROターフスプリントあたりが目標になるか。これほど徹底したスーパースプリンターも珍しい。
2着・ビクトリールーラー
門別1200m1勝、大井1200m1勝から転入。1400m以下を使われて2勝2着6回。今後も同条件下で活躍できるに違いない。
3着・アヴェントゥリスト
今季は準重賞・奥州弥生スプリントの4着が最高だったが、うまく流れに乗って今回3着。これで水沢850m6勝2着6回3着1回。距離に注文はつくが、1000m以下なら十分勝ち負けに持ち込める。
4着・ミニアチュール
昨年11月、ロジータ記念(川崎)遠征後、精彩を欠いていたが、前々走・盛岡1000m戦を快勝。短距離に活路を拓いた。今回は初の850mにとまどって4着止まりだったが、経験を積めば対応できるようになる。
今週の岩手競馬
6月16日(日) 「第32回東北優駿」(3歳 水沢2000m)
6月17日(月) 「夢・希望 未来へ前進」(B1級一組 水沢1600m)
6月18日(火) 「ジューンカップ」(B2級 水沢1900m)
6月9日に行われたダート850mのスプリント重賞『早池峰スーパースプリント』は断然の1番人気に支持されたダイセンメイトが快勝。自身は初の重賞制覇、そして水沢ダート850mでの成績を11戦11勝とする勝利を挙げました。
ゲートが開いた瞬間こそ他の馬に先行を許したダイセンメイトでしたがそこからの加速で巻き返していくと3角で先頭、そして3~4コーナーでは手綱を押しつつ食い下がるライバルたちに対して自身は息を入れるくらいの余裕を見せながら直線へ。激しい2番手争いが繰り広げられていましたがダイセンメイトはその2馬身半も前で悠々ゴール。「ビジョンで後ろの様子を見たら大きく離れていたので」と鞍上岩本怜騎手のガッツポーズも飛び出しました。
着差2馬身半は51秒弱のレースの中でのそれだけの差だと思えば相当強いと評価できるもの。"水沢ダート850mのスペシャリスト"の呼び名通り、それにふさわしいレースだったと言えるでしょう。
6月11日のメインレースは12Rの『撫子特別』、A級三組ダート1600mの9頭立ての一戦です。本命は(4)エイシンスコッティを採りました。
前走が岩手転入初戦だった同馬は単勝7番人気の評価でしたが終わってみれば2着以下を4馬身引き離す圧勝とも言える勝利。初めての左回り、初めての直線の坂で、そのうえ昨年8月以来の実戦。最後はやや苦しそうにも見えましたがそれだけの"初物尽くし"で勝ち切っただけでも高く評価していい内容だったのでは。
その前走はA級二組のレースでしたが実質的には今回の三組四組くらいのメンバー。勝ったとはいえそれだけではまだ過信は禁物ですが、休み明けをひと叩きされた上積みに加えて今回は戦い慣れていると言える右回り平坦のマイル戦。前走同様の強さを見せても不思議はないでしょう。
対抗は(3)ドゥーベ。JRA時代には芝のマイル・ダートの1400mで勝ち星あり。直近の南関東ではちょっとつかみ所が無いというか評価しづらい結果が続いていますが、ダート・マイルという条件には対応できそうな戦績ですし、今回のメンバーでなら流れにも乗りやすいでしょう。
(6)タイセイメガロスはこれまでの好走の多くが1800m以上で距離はマイル以上の方が良いタイプ。ただ重賞だった前走は別としてその前の2戦は好内容でした。調子の良さに期待しての三番手。
ヒモとしてはまず(8)アマルインジャズ。かなり手薄になった相手関係で安定感ある水沢なら結果も変わってきていいはず。(9)ダブルラッキーも同様ですね。ここなら2着だった二走前のような結果も期待していいでしょう。(横川典視)
●12Rの買い目
馬単(4)=(3)、(4)=(6)、(3)=(6)、(4)→(8)、(4)→(9)
岩手競馬の全レース予想を公開中!「岩手競馬・勝ちそーチャンネル」へ
10日メインはA級一組「初夏特別」(水沢1600m)。次開催に一條記念みちのく大賞典が控え、このメンバーからも名乗りを上げる可能性大。その意味でも目が離せない一戦となった。
ゲンパチプライドは中山ダート1200m1勝、東京ダート1400m1勝。2勝クラスでも入着実績があり、今年3月に転入。水沢1400m重賞・白嶺賞、栗駒賞で連続2着。ゴールデンヒーラーにはかなわなかったが、オープン通用を証明した。
前走はマイル延長、初の盛岡など不確定要素がそろったが、0秒2差で完勝。ワンターンの盛岡でさらに本領を発揮。ハイタイムもマークした。これで選択肢が増えたのが何よりも収穫。今回は水沢1600mが舞台だが、重賞2戦の内容を見れば問題なし。2連勝に王手をかけた。
グローリーグローリは昨夏以降は精彩を欠いて今季2戦も着外に終わったが、3戦目の水沢1800m戦を完勝。復活の手ごたえをつかんで重賞・あすなろ賞2連覇を狙ったが、伸びをひと息で4着。まだ本来の動きを取り戻せずにいるが、徐々に体が絞れてきているのは好材料。今回は一線級が不在でメンバー有利。首位奪回に燃えている。
ステイオンザトップは中央芝3勝から2022年に転入。初戦を快勝し、岩手伝統の一條記念みちのく大賞典へエントリー。鮮やかな直線抜け出しを決めて重賞初制覇。続く一戦も快勝したが、脚部不安が発生。1年の長期休養を余儀なくされた。昨年8月に復帰して4着だったが、再びリタイア。前走は8ヵ月ぶりの実戦で6着だったが、幸い反動なし。みちのく大賞典出走のためにも好レースを見せたいところ。
タイセイアベニールは中央芝1200m5勝・オープンから転入。栗駒賞5着、前走・スプリント特別(盛岡1200m)4着。スタートで後手を踏むが、終いの脚シャープ。マイル延長がネックだが、3歳時に端午ステークス(京都ダート1400m)2着ならこなせる距離。ペース次第で突き抜けるシーンまで。
ゼットセントラルはいい脚を長く使えるのが武器。入着止まりに終わっているが、ここ3戦はスローに落とされたのも敗因。多少でもペースが流れれば連対も可能。
マイネルアストリアは好、凡走の落差が激しいのは逃げタイプだから。気分良く4コーナーまで逃げることができれば残り目あり。
◎③ゲンパチプライド
〇④グローリーグローリ
▲②ステイオンザトップ
△⑩タイセイアベニール
△①ゼットセントラル
△⑨マイネルアストリア
<お奨めの1頭>
1R ミラクルレインボー
前走は半年ぶりの実戦だったが、まったく問題にせず完勝。叩かれて気配アップは確実で2連勝に王手をかけた
9日メインはオープン重賞「第9回早池峰スーパースプリント」(水沢850m)。第1回から第5回まで盛岡ダート1000mが舞台だったが、2021年から水沢850mへ移行。キラットダイヤが3連覇の偉業を達成し、3年連続で最優秀短距離馬に選出された。現在、早池峰スーパースプリントが岩手競馬の最短距離で実施される重賞である。
ダイセンメイトは昨年3月、金沢2勝、名古屋1戦を経て岩手入り。水沢1400mで2戦着外に沈み、短距離路線へシフト。それがズバリとはまり、いきなり4連勝をマーク。秘めた才能を開花させた。以降も1200m戦では凡走、1000m戦では勝ったり負けたりを繰り返しているが、水沢850mでは10戦10勝のパーフェクト成績。今季2連勝も同条件でマーク、スペシャリストで名を馳せている。
前走は4着に終わったが、舞台が盛岡1000m。後ろを追走した3頭には交わされたが、逃げたケイアイサクソニー、ビクトリールーラーには先着を果たした。今度は絶対の自信を持つ850m戦。ポスト・キラットダイヤの座を確定させる。
トンデコパは2歳時に門別2勝からプリンセスカップ(水沢)に参戦してゴールデンヒーラーの4着。その後、門別1200m戦で1勝をあげて3歳12月に転入。いきなり水沢850mのレコードを更新して完勝。直後に大井へ転籍し、2戦着外から再転入。4戦未勝利に終わり、再び南関東へ移籍。2勝をあげて今年3月に3度目の岩手入り。
初戦の1400m3着から準重賞・奥州弥生賞で1番人気5着。その後は千葉の牧場で休養に入り、この一戦で復帰する。今回は2ヵ月ぶりの実戦だが、何と言っても水沢850mレコードホルダー。適性であっさりのシーンまで十分。
ミニアチュールは昨年、ダイヤモンドカップ、東北優駿と当時の二冠を制し、さらにはひまわり賞(オークス)、OROオータムティアラと牡牝馬クラシック4冠を獲得した世代ナンバー1。ロジータ記念10着後は精彩を欠いたが、前走・盛岡1000m戦を完勝。短距離に活路を求め、見事成功した。850mは未経験だが、切れる末脚で2連勝を狙う。
グットフォーチュンは東京ダート1400m1勝、札幌ダート1000m1勝から転入。いずれもメンバー最速の上がりを披露して2、3着。小回り水沢、初の850m戦など不安要素は少なくないが、シャープな末脚が脅威の的。
カタナは中央ダート4勝、大井1戦、名古屋A級を経て転入。ノド鳴りのため距離延長では苦戦を強いられているが、岩手3勝を水沢850mでマーク。今季も同条件2,3着で健在を誇示している。
ビクトリールーラーは門別1勝、大井1勝・C1から転入後、2勝2着5回。前々走が初の850m戦だったが、ダイセンメイトに0秒1差2着。条件2度目が心強い。
◎③ダイセンメイト
〇⑦トンデコパ
▲④ミニアチュール
△⑧グットフォーチュン
△①カタナ
△⑨ビクトリールーラー
<お奨めの1頭>
6R サンスイシサン
転入戦の盛岡1200m戦を1秒4差で圧勝。能力の違いを見せつけた。水沢に替わっても追いかける手