6月30日、この日から始まった夏の盛岡開催初日にあわせて今季最初の芝重賞『サファイア賞』が行われました。あいにくの強い雨の影響で稍重の馬場で行われたレースは5番人気パラダイスリズムが優勝。自身の2勝目を重賞制覇で飾りました。
ほとんどの馬にとって初めての2400mというだけでなく、先の盛岡開催に芝戦が組まれていなかったこともあって盛岡の芝が初めてという馬も少なくなく、戦前から予想以前に有力馬の絞り込みにも悩むレース。加えて雨の影響で末脚も封じられるような状況になってさらに難解になりましたが、終わってみればパラダイスリズムが2400mを逃げ切り勝ち。「こういう馬場になったことで差し馬の末脚が鈍るだろう。思い切って逃げて勝負と指示しました」とは同馬を管理する橘友和調教師。その読みが見事にはまった勝利でもありました。
7月2日のメインレースは12Rの3歳・地方競馬全国交流重賞『ハヤテスプリント』。遠征馬6頭・地元勢6頭が1200mの舞台で戦います。
夏の盛岡開催初日は先にも触れたように雨から始まりましたが2日目の7月1日は好天に転じて馬場の回復も急。その回復具合の刻々の変化によって馬場傾向が大きく変わる難解な1日にもなりました。7月2日も朝から好天が続く予報。傾向や展開は7月1日の終盤ともまた変わってくると思われますのでご注意を。
さてハヤテスプリント。本命は(5)マッシャーブルムです。
JRA時代にダート1800mの新馬勝ち、南関に移籍しての初戦でも大井2000mの準重賞を制し一躍クラシック候補の一角に挙げられる存在になった同馬。京浜盃、羽田盃でも上位に入ってきましたが東京ダービーには向かわず、かわって矛先を向けたのが1200m路線でした。前走の優駿スプリントトライアルはしかし、大幅距離短縮にもかかわらず、そして短距離路線の実績馬を相手にして2着を確保。敗れはしましたがスピード性能の高さを示す結果だったといえるでしょう。
そのまま優駿スプリントに向かっても上位争いできたでしょうが、ここに向かってきたということは勝ちを狙ってきたものと判断すべき。もちろんそれだけの力量があると見ての本命視です。
対抗は(12)オスカーブレイン。昨年の南部駒賞では初マイルを懸念されながらも快速を活かし切って2着確保。これで輸送やコース対応にもメドが立った様子でした。門別での今季二戦はもうひとつの結果でしたが今回はいわゆる叩き三戦目。門別とは違う軽い盛岡の砂を狙っての遠征なのも不気味。
三番手は(11)ワールドエンパイアを。2着が目立つ戦績ですが相手は重賞勝ち負けレベルの強敵がほとんど。むしろこの馬の能力の高さを示している結果といえます。前走は、水が浮くようなオーストラリア砂は巧拙が極端に現れるので度外視可。あとは初輸送がカギですがそれをクリアできたなら勝ち負けまで。
(4)ツキシロは南関でも早い時期にデビューしていた馬で、重賞級のタイトルこそないですが地力の高さは早くから評価されていた馬。距離短縮も恐らく好材料。もう一頭は(6)スピニングガール。昨秋までの実績ならこのメンバー中でも最上位レベルでした。大井の砂が苦手という可能性があり一変に注意を。(横川典視)
●12Rの買い目
馬単(5)=(12)、(5)=(11)、(5)=(4)、(5)=(6)
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7月1日(月)メインは岩手県調騎会騎手部会協賛「夢・希望 未来へ前進」(B1級一組 盛岡ダート1600m)。この日は夕方の降水確率が90%だが、予想最高気温が30度超え。真夏日の可能性が高く、サラブレッドにも少なからず影響するのは確実。いつも以上にパドックの気配、体重の増減が重要なファクターになるに違いない。
主軸はマナホク。昨年11月、門別から再転入。絆カップ4着、トウケイニセイ記念で5着を確保した。今季はA級からB2へ降格して初戦を快勝。3歳時に岩手クラシック三冠目・不来方賞(当時は地元重賞)を快勝した実力を誇示した。
以降は2着3回3着1回と足踏みを続けているが、近2走はヒロシクンが相手では仕方なし。ご存じのとおり、ヒロシクンはB1級3連勝から岩手古馬の最高峰・一條記念みちのく大賞典へ挑戦。鮮やかな逃げ切りを決めた。レース回顧でも触れたが、ヒロシクンの祖母はファビラスラフイン。岩手で秘めた素質を開花させた。今回は強豪メンバーが抜けて絶好の勝機。いい脚を長く使えるタイプで直線長い盛岡向き。首位を奪回し、今後に弾みをつける。
エスクマは2歳時に盛岡で2勝マーク。3歳時は順調さを欠いて2度の休養を経て秋に復帰。いきなり2連勝を飾り、地力の高さを誇示した。しかし典型的なサウスポーで水沢に替わって凡走の連続。これまで2着1回が最高と小回りで苦戦するが、盛岡に替わると反応が一変。競馬再開の水沢戦は3戦とも着外に沈んだが、盛岡で2着に反撃すると前々回快勝した。
それゆえ前走・水沢850m8着も陣営の想定内。その一戦を叩いて盛岡戦に照準をピタリと合わせた。盛岡マイルも3戦2勝2着1回と得意とする条件。好調メンバーがそろったが、適性を前面に逆転首位まで十分。
ネオネオモッズは2歳時に2勝をあげたが、3歳時は1勝のみ。昨年は開幕から好走を続けたが、脚部不安が発生して8ヵ月休養。今季も2戦着外だったが、3戦目を快勝。続く一戦は8着だったが、以降は2勝2着1回3着1回。ようやく上昇ムードに乗った。前回も快勝し、絶好調を誇っている。
ローグネイションは昨年A級から今年は最下級C2へ降格。あっさり5連勝をマークした。3走前10着に敗れて連勝はストップしたが、しっかり軌道修正して1、3着。相手は骨っぽくなったが、マーク欠かせない。
マルケイアローは今季3着2回と伸びを欠いているが、元々が器用なタイプではなくコース広い盛岡で本領を発揮。マイルも4勝2着1回と距離も合う。
エスペルトは昨年7月、南関東B3から転入して3勝2着1回。その後は休養を余儀なくされ、復帰後は入着止まりだが、徐々に復調気配。
◎(2)マナホク
〇(3)エスクマ
▲(8)ネオネオモッズ
△(9)ローグネイション
△(1)マルケイアロー
△(10)エスペルト
<お奨めの1頭>
3R ミラクルレインボー
休養明けの初戦1000m戦を完勝。前走は4着に沈んだが、今回はマイペースの逃げ必至。条件も合い、首位を奪回する
今週から戦いの舞台は盛岡競馬場へ替わり、いよいよ芝レースもスタートする。今年は芝のダメージを考えて実施時期を遅らせて終了も10月。短期集中型で芝競走を行う。今季のこけら落としは第7R・B1級特別「朝顔賞」。その試走を受け、メインは3歳重賞「第17回サファイア賞」(盛岡芝2400m)。盛岡芝の基本距離は1600m、1700mだが、いきなり盛岡芝の最長距離を舞台に行われ、未知の部分が多数。波乱の要素もたっぷりと含んでいる。
セイバイラックは昨年、デビュー4戦まで芝路線を歩んで重賞・若鮎賞2着、芝交流・ジュニアグランプリ4着。5戦目も芝1600m戦にエントリーしたが、走路悪化のためダート変更。それも功を奏して初勝利をあげ、以降はダート路線へシフト。一連の重賞で入着を確保。着外に沈んだのは前々走・イーハトーブマイル8着のみ。抜群の安定感を誇り、東北優駿でも3着に健闘した。
ただ芝ダートを問わず勝ち切れないのも事実。最後の爆発力が足りないのがネックだが、それならば2400m延長は歓迎のはず。ジリ脚タイプには打ってつけの条件と言え、重賞挑戦10度目で悲願の重賞タイトルを手にする。
ホッコーアドミラルは中央3戦0勝、佐賀2勝から今年4月に転入。初戦3着から2戦目を快勝し、以降4、2着。前走は格下から東北優駿へ挑戦して5着に健闘した。今度は芝に替わるが、父シュヴァルグランはジャパンカップを優勝。母父もヨハネスブルグなら血統的にはOK。何よりもどんな流れにも対応できるのが強味。アッサリまで十分。
プリズムスペクトルは2歳時に3戦を消化。陣営は芝も予定していたが、脚部不安のため9月から戦列離脱。今年3月に復帰し、2勝2着1回。本来の実力を発揮してきた。なぜ芝を使いたかったかというと血統背景。父レインボーラインは春の天皇賞を制し、阪神大賞典1着。長丁場で活躍し、母父がスピニングワールド。大化けする可能性を十分に秘めている。
シンプロレタリアトは東京芝2000m・新馬戦で3番人気5着。その後3戦は二けた着順に終わり、門別へトレード。初戦を快勝し、2戦目8着から転入。いきなり芝重賞へ挑戦はデビュー戦の内容を考えれば納得できる。
サンタルチアは東京芝1800m・新馬戦7着。今回は3月以来の実戦だが、転入前の中京芝2000m戦で2番手をキープした先行力が魅力。マイペースに持ち込んで粘りを発揮。
ユウユウププリエはデビュー戦の水沢850m5頭立て4着。他のダート戦では入着が一度もなく、ほとんどが大差負け。しかし5戦目の芝重賞・若鮎賞で動きが一変して快勝。典型的ターフホースと見ていい。今回は待ちに待った一戦。
◎⑧セイバイラック
〇⑦ホッコーアドミラル
▲④プリズムスペクトル
△②シンプロレタリアト
△③サンタルチア
△⑩ユウユウププリエ
<お奨めの1頭>
2R ポマイカイ
デビュー戦の盛岡ダート1000m戦を1秒8差で圧勝。早池峰SSを完勝ダイセンメイトの弟らしくスピードを発揮した。1400m延長でも追いかける手
6月23日(日)「第52回一條記念みちのく大賞典」(オープン 水沢2000m)
内2番枠を引き当てたグランコージーの逃げを誰もが疑わなかったが、外枠からヒロシクンが手綱をしごいて先手を主張。意表を突かれたが、レース後のコメントで分かったことだが、陣営が戦前から考えていた作戦。1周目3コーナーで主導権を握った。グランコージーは2番手に控え、3番手インにヴァケーション、4番手外マイネルアストリア、5番手インにグローリーグローリ、6番手にスズカゴウケツ。ゴールドギアは馬群が切れた後方3番手を追走した。
残り800m(2コーナー過ぎ)からヒロシクンが一気にペースアップ。グランコージーも遅れじと接近を測ったが、セーフティリードを保ったまま。グランコージーは4コーナー手前で脚いろが怪しくなり、直線で内から外に出したグローリーグローリが差を詰めにかかる。さらに大外からゴールドギアが伸びてきたが、ヒロシクンが2着グローリーグローリに0秒2差をつけて鮮やかな逃げ切りを決めた。
1着・ヒロシクン=高松亮騎手
「返し馬の感触が良かったので、迷いなく逃げの手に出た。ペースを落としてつつかれるのが嫌だったので、ある程度は流して逃げた。ヒロシクンはおちゃめな部分があるので常に気合いをつけて走らせたが、最後まで頑張ってくれた。みちのく大賞典はずっと勝ちたかったレース。馬運車に名前が載ることも含めてうれしい」
佐藤雅彦調教師
「実はオーナーが事故で入院中。うちのきゅう舎に入った時から使うレースはまかせる―と言われましたから、元気になってほしいという気持ちもあって挑戦を決めた。中央1勝馬でB1級3連勝はなかなかできないこと。それに中央ダート1800mを勝っていたので、2000mも持つだろうと思っていた。今回は挑戦者の立場。2,3番手だと外を回らければならない。なのでジョッキーには"守りはない。思い切った競馬をしてくれ"と伝えた。転入後は連闘だったので、まずは疲れを取ることに専念。今後については白紙だが、ユッコ(シアンモア記念優勝)、キョウヘイ(準重賞・桂樹杯)、そしてヒロシクンといい、オーナーは何かを持っていますね」
ヒロシクンは中央1勝から転入後、B1級であっさり3連勝。祖母はファビラスラフイン(秋華賞1着、ジャパンカップ2着)。自身は550キロ前後の大型芦毛馬で今回も持ち前のパワーで押し切った。自分の競馬ができれば今後も重賞で活躍できるに違いない。
2着・グローリーグローリ
道中は一貫して4,5番手の経済コースを進み、直線でもヒロシクンにジワジワと接近して0秒2差まで肉薄。昨年秋、復帰後は長く低迷が続いたが、今季3戦目を快勝。そして今回2着で完全復調した。
3着・ゴールドギア
前半は後方3番手に待機してロングスパートをかけて3着。ダートでも長距離なら通用を証明したが、元々がターフホース。次回は芝2400m交流・せきれい賞となる。
4着・グランコージー
赤松杯、シアンモア記念を連勝し、1番人気に支持されたが、出鼻を叩かれたのが致命傷。加えて2000mも長かった。マイルなら反撃必至。
7着・ヴァケーション
3番手外追走は想定どおりだが、勝負どころから脚いろが怪しくなって直線一杯7着。昨年の迫力を取り戻せない印象は否めない。
今週の岩手競馬
6月30日(日) メイン11R 「サファイア賞」(3歳 盛岡芝2400m)
7月1日(月) メイン12R 「夢・希望 未来へ前進」(B1一組 盛岡ダート1600m)
7月2日(火) メイン12R 「ハヤテスプリント」(3歳・地方競馬全国交流 盛岡ダート1200m)
6月23日に行われたシーズン前半の古馬路線総決算『一條記念みちのく大賞典』はヒロシクンが優勝。自身の初めての重賞挑戦で見事タイトルを獲得しました。
戦前の想定では今回もグランコージーが逃げる、それを追う馬がどこで仕掛けるのか・グランコージーがどこまで粘れるのか?が焦点になると思われた今年のみちのく大賞典でしたがゲートが開いてすぐ波乱の気配が漂い始めました。一線のスタートから予想通り前に出て行ったグランコージー。しかしその外からハナを奪ったのはヒロシクン。一周目のスタンド前は先頭ヒロシクン、グランコージーは二番手で、有力どころはそれをマークするかの隊形で通過していきます。
"後続がいつ動くか"に焦点が移ったもののヒロシクンの手応えは衰えず、ゴール寸前でこそ脚色が鈍ったものの差し馬勢の追撃を振り切ってゴール。自身初めての重賞挑戦が岩手伝統のビッグタイトルという金星となりました。
2着はグローリーグローリ、3着はゴールドギア。1番人気グランコージーは最後も伸びを欠き4着、2番人気ヴァケーションは終盤後退して7着に終わっており、馬番3連単は14万6280円の波乱の結末ともなりました。
6月25日のメインレースは12RですOP級ダート1300mの『スプリント特別』。
6月に入ってスタートした初夏の水沢開催もこの25日が最終日。「初夏」と言いましたが真夏のような暑さの日もあってちっとも初夏っぽくなかったですね。梅雨も、23日になってようやく東北地方の梅雨入りが発表されたほどの遅い梅雨に。このまま本格的な夏になってから梅雨で終わるのか、はたまたグズグズした日がしばらく続くのか・・・ですが、なんとなく今年の夏は(今年の夏も?)いつもとは違う"夏"になりそうな予感です。
このレースの本命は(7)アメージングランを狙います。
高知から3月に転入、その初戦の水沢1400m戦を勝ったアメージングランでしたがその後は掲示板圏内にも食い込めない結果が続いています。その近走からは強気になれないのは確かですがこの間の気配は決して悪く感じませんでしたし、直近二戦のマイルもこの馬には長かったと言えるはずです。今回の相手は白嶺賞や栗駒賞の重賞並み、決して軽くはないですが、1300mに距離短縮されたことで変化を期待してみましょう。
対抗は(11)キモンリッキーを。こちらも再転入初戦で勝ってからは白星無く来ていますが昨年の在籍時はB1級、今はむしろOP級でも通用する力を付けていると評価できる内容です。近走で敗れている相手はゴールデンヒーラー。ここなら大手を振って戦えるはず。
(10)ドルズプライスレスも同様。今季の三戦はすべてゴールデンヒーラーに阻まれてきましたが自身の力量は安定して発揮してきています。当然この馬も優勝候補の一角。
(1)ミニアチュールは今回は△一番手の印にしましたが、前走の850mは短すぎたことは明白ですし、二走前の再現があってもおかしくないという評価。もう一頭は(6)サイタブラウンを。マイルで勝っていますがそれは少し長い。ベストはこの辺の距離でしょう。(横川典視)
●12Rの買い目
馬単(7)=(11)、(7)=(10)、(11)=(10)、(7)→(1)、(7)→(6)
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