11月3日、JBCデーのトリを務めたのは「第22回JBCクラシック」(盛岡ダート2000m)。今年は1着賞金が1億円。2010年以来、久々に大台へ復活したが、それにふさわしい戦いだった。
先手を主張したクラウンプライドがマイペースの逃げに持ち込み、1番人気テーオーケインズは6番手外を追走。3コーナー手前から徐々に進出し、4コーナーではクラウンプライドを3馬身差の圏内に入れ、残り100mで交わして2馬身半差でゴール。昨年、JRA最優秀ダートホースに選ばれた貫禄を見せてくれた。
松山弘平騎手「スタートをしっかり出て折り合いもついたので、行く気に任せてリズムを大切にした。前半はスローペースだったが、手応えが素晴らしく、これなら最後までいい脚を使うなと思った。向こう正面から自分で動き、強い競馬をしてくれた。左回り中京でチャンピオンズカップを勝っているし、右回りの帝王賞も勝っているので左回りも右回りも問題ない。今回のコース広い盛岡も合っている。前走4着だったが、リフレッシュしていい状態に戻った。昨年、金沢のJBC1番人気で負けたので、雪辱を果たせました」
高柳大輔調教師「前走のことがあったので正直、ホッとしている。今回プラス6キロだったが、勝っているときとあまり変わっていない。予定どおりの仕上がりだったので安心して送り出せた。道中は外、外を回されて見ている方はハラハラだったが、調教の動きどおり最後までしっかり伸びてくれた。次はチャンピオンズカップを使いたい。今回、久々を叩かれたのでさらに良くなってくれると思う」
次走・チャンピオンズカップを制すれば2年連続でJRA最優秀ダートホースの可能性大。フェブラリーS2連覇、南部杯を制したカフェファラオとの選考が楽しみになった。
14日メインはB2級「ノベンバーカップ」(盛岡ダート1400m)。成長続ける3歳馬が4頭、B1から降格馬5頭が入り混じり、実力伯仲。馬券的にもおもしろい一戦となった。
トーセンマッシモは南関東4勝・B3から転入。当初は伸びを欠いていたが、2ヵ月半休養から復帰後2、3、1着。リフレッシュに成功し、前回待望の岩手初勝利を飾った。今度は1400mに距離短縮されたが、浦和で1勝なら問題なし。2連勝に王手をかけた。
ナンデフェスティヴは思い切って狙ってみたい。前走9着に沈んだが、距離も長かった。前々走でマイルを勝っていたが、マイペースに持ち込めたから。盛岡1400m持ちタイムがすばらしく、巻き返しに転じて不思議はない。
セイシークエンスは転入後、馬券対象から外れたのはJRA交流2戦。それ以外は連対パーフェクト。前走も鮮やかなまくりを決めて快勝した。首位を奪回して弾みもついた。
チスジは今季3着最高だったが、前回快勝。見事な直線一気を決めた。B1戦を勝って今回B2降格は恵まれた格付け。復活なれば2連勝も十分。
ロジフェーヴルも前回快勝。足踏みが続いたが、久々の勝利で吹っ切れた。こちらもB1から降格し、メンバーも緩和された。
エイジは差し脚を身につけて来たのが収穫。前走も2着ながらチスジとは0秒2差。当然、勝ち負けに持ち込める。
◎⑦トーセンマッシモ
〇⑨ナンデフェスティヴ
▲⑤セイシークエンス
△⑩チスジ
△⑧ロジフェーヴル
△③エイジ
<お奨めの1頭>
4R シャイニーデューク
出走取り消しの影響もなく前走2着確保。タイムも抜けており、順当に首位を奪回する
13日メインは"GRANDAME-JAPAN2022"2歳シーズン「第38回プリンセスカップ」(盛岡ダート1400m)。同レースがグランダムジャパンに組み込まれたのは2012年。過去、北海道5勝、岩手3勝、浦和1勝。全国の2歳戦と同様、北海道勢が優位に立っている。
ただ、岩手の勝ち馬3頭は一昨年ゴールデンヒーラー、サプライズハッピー、ブリリアントロビン。共通するのは牡馬相手にも互角以上の勝負を演じた強豪牝馬。遠征馬のレベル(質)もさることながら、岩手の世代レベル次第。プリンセスCは将来性も含めて重要な一戦となる。
今年はフジラプンツェルがそれに該当する。デビューから無敗5連勝を飾り、走るたびに2着馬との着差を広げていった。そして迎えた南部駒賞。6頭立てだったが、北海道、南関東から参戦。楽な競馬しか経験していなかったが、フジラプンツェルなら突破できると本命にした。
若鮎賞、ビギナーズカップでは出遅れたが、今度はスタート互角。1番枠に入ったため、外に持ち出して3番手まで押し上げた。あとは教科書どおり、3コーナーからスパートをかけて逃げたエイシンケプラーに接近したが、直線では突き放される一方。0秒9差4着に完敗した。
前半は超スロー。結果的にエイシンケプラーと同じ上がりを使ったが、勝ちに行って直線一杯となった。これをどう評価するかだが、地区レベルを十二分に分かった上、勝ち負けになると思っている。
敗戦が次につながる糧という言葉がある。フジラプンツェルは交流の厳しさを経験し、一皮むけるに違いない。ジョッキーも南部駒賞のような競馬には持ち込まないはず。
とはいえ、激戦区・北海道勢は厳しいレースの連続。ライトニングブルーを主軸視するのが妥当だろう。デビュー戦を勝ち上がり、3戦目に全国に先駆けて行われる2歳重賞・栄冠賞へ挑戦。逃げたポリゴンウェイヴを徹底マークする戦法に出てアタマ差交わしたが、コルドゥアンの大外強襲に遭ってハナ差2着。悔しい敗戦となった。
気になるのはリリーカップ9着、エーデルワイス賞12着に沈んだことだが、相手が強く自分の競馬をさせてもらえなかったのが敗因。今回のメンバーなら地力上位と判断するべきだろう。
レモンアイカーはサトノクラウン産駒の勝ち馬第1号。以降は3着最高だが、JRA・すずらん賞、フルールカップ、エーデルワイス賞などビッグレースへ果敢に挑戦。エーデルワイス賞ではスタートでつまづいたのが痛かったが、ライトニングブルーには先着。当然だが、上位の一角を形成する。
エイシンエイトはデビュー2連勝。前々走は園田プリンセスCへ挑戦して、2歳馬戦とは思えない激しい先行競馬をしのいで3着。負けて強しの一戦だった。遠征2度目であっさりまで。
キューティロメラは2歳新馬・門別1000m戦を2歳コースレコードに0秒5まで迫るハイタイムで圧勝。2戦目2着から2ヵ月休養。エーデルワイス賞へ駒を進め、13着に終わったが、先手を主張した。絶好枠を引き当て、マイペースに持ち込む。
キタカラキタオペラは北海道1勝2着2回3着2回。ほかも4着3回とすべて入着を果たして岩手入り。3戦とも着外だったが、すべて芝が舞台。ダートに替われば巻き返しに転じて不思議はない。
◎③ライトニングブルー
○⑤フジラプンツェル
▲⑧レモンアイカー
△⑩エイシンエイト
△①キューティロメラ
△⑪キタカラキタオペラ
<お奨めの1頭>
3R ムーンシュトラール
前走は3ヵ月ぶりの実戦だったが、0秒2差2着に惜敗。ひと叩きされて元B1の地力で首位を奪取する
11月3日に行われたJBC。盛岡でのJBC開催は8年ぶりになりましたが、前回の2014年にも勝るとも劣らぬ盛況でしたね。お天気がもうひとつだったのが残念でしたけども、最終レースまで盛り上がりました。当日の発売金額も1日売り上げとしては岩手競馬史上最高となる69億円あまりとなりました。全国のファンの皆様、ありがとうございました。
11月8日のメインレースは12Rのオープン級ダート1200mの特別戦『スプリント特別』。ここでは(5)ツクバクロオーを狙います。
岩手に転入後はまだ勝ち星がない同馬なのですが、昨年12月のトウケイニセイ記念ではヒガシウィルウィンから3馬身弱の差の3着があり、重賞級の力量を持つ馬だという評価に大きなかわりはありません。注目すべきは前走で、自身としては久しぶりの短距離戦出走だったものの最後まで脚を伸ばし続けて2着にわずかに届かずの3着に食い込みました。
最近は重賞路線のメインストリームを意識してマイルを主戦場とし、高知時代には2400mでも好走していた同馬ですが、その前のJRA時代も含め短距離での戦績は悪くないどころかむしろ堅実。前走でそれが再確認できたともいえそうです。
ここは芝の短距離路線から来た馬もいて力関係の比較が難しいですが、前走の内容・時計で戦える力があるのならここでも好勝負は可能と見て本命に推します。
対抗は(10)タイセイエクセルを。父ヘニーヒューズという血統印象通りJRA時代からその後の南関時代も含め主戦場は短距離。岩手でも転入初戦のダート1000m戦を快勝するなど短距離ほど強い走りを見せています。こちらも力関係比較では◎同様まだ定かではない部分はあるものの、前走ヴィーナススプリントくらい戦えるならの計算ができるのも◎同様でしょう。
三番手は(6)アップテンペストでどうでしょうか。この馬も3歳重賞路線を意識して長めの距離に比重を置いてきた今季ですが昨年は短距離で力を付けてきた馬でした。前走は強力な同型に阻まれた形。自身で流れを作れたなら前走以上の結果を狙えて良いはず。
連下はまず(8)フミタツティンクル。転入後の成績からすると前走は驚く強さでしたが、岩手に来る前はほとんどが1400mまでだったわけで1800mやマイルは長かったのでしょうし、実際前走のタイムも優秀。9番人気からの勝利だったとはいえフロックと見なすのは避けるべき。(11)ロックスピリットも4月の栗駒賞はじめ前半戦の短距離戦線で活躍していた馬。ひと叩きされての変身に警戒が必要でしょう。
●12Rの買い目
馬単(5)=(10)、(5)=(6)、(5)=(8)、(5)=(11)
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11月3日、10Rは「第12回JBCレディスクラシック」。終始2番手外をキープしたヴァレーデラルナがテリオスベルのプレッシャーをはねのけ、4連勝。重賞初挑戦でJpnIを制した。
岩田望来騎手「終始ヒヤヒヤするレースだったが、勝つことができてホッした。ゲートだけを気をつけたが、いい雰囲気でスタートが切れて2番手をキープ。テリオスがまくるのは分かっていたが、無理に競らないように心がけた。3コーナーで流れが速くなったが、馬を信じて最後まで追い続けた。この馬は一戦一戦、強くなっているし、精神的にも強くなっているので、さらに上を目指せる素質を持っています」
11Rは「第22回JBCスプリント」。1番人気レッドルゼルはつまづいて最後方からの競馬。好スタートを決めたダンシングプリンスが絶妙のペースに持ち込み、リュウノユキナの追撃を完封。クラスターC4着のリベンジを果たした。
三浦皇成騎手「前走は出負けしていたので、しっかり出すことに気をつけた。あとはこの馬の走りを邪魔しないように乗った。カペラSを勝った時も能力があるなと思ったが、精神的にもしっかりして力強さもあった。
宮田敬介調教師「サウジアラビアから帰国後、疲れが出て100%にはならなかったが、少しずつ調子を上げてきた。前回はかなりの雨。繊細な馬なので出遅てしまって悔しい結果になったが、11月にリベンジしようとみんなで話をした。また来年もサウジかドバイを使えたらうれしい」。JBCクラシックは次週、報告します。
7日メインはA級一組「晩秋特別」(盛岡ダート1600m)。盛岡競馬もいよいよ終盤を迎え、北上川大賞典、トウケイニセイ記念、さらに桐花賞をにらんだメンバー構成となった。
グランコージーは南関東A2級から里帰り。シアンモア記念で逃げてヴァケーションの2着に惜敗。続くみちのく大賞典は2000mも長く4着に沈み、その後は休養。いしがきマイラーズへ臨んだが、デビュー以来、久々の芝。それでも8着ながら0秒5差に粘った。この一戦を叩かれて上昇必至。ベストのダート1600m戦で首位を奪取する。
ファルキートは驚異の上がり馬。休み明け初戦は7着だったが、以降はすべて3着以上。A級昇格後は2戦2着だったが、前回鮮やかな逃げ切りを決めた。今が最も充実期の4歳秋。仮にここでも好勝負ならトウケイニセイ記念の有力馬に浮上する。
マイネルアストリアは前走10着に沈み、評価が微妙になったのは否定できない。しかし赤松杯、あすなろ賞と重賞2勝。青藍賞はゴールデンヒーラーの2着確保と実力一目。今回、巻き返しに成功すれば北上川大賞典へ好ムードで臨める。
ノーチカルチャートは中央3勝クラスから転入。芝でせきれい賞2着、芝からダート替わりの前々走3着、芝・桂樹杯2着と好走。OROカップは無念の抽選モレとなったが、そのうっ憤を晴らす格好の舞台。狙いは北上川大賞典。
スパイスマジックは園田A2から転入後、1勝2着2回。前走も2着と好調サイクルをアピールした。
ウインメテオーラは中央時に盛岡ダート2勝。高知A級から3ヵ月の休養を経て転入。休み明けは割り引きだが、十分通用する。
◎⑥グランコージー
〇⑧ファルキート
▲③マイネルアストリア
△②ノーチカルチャート
△⑩スパイスマジック
△④ウインメテオーラ
<お奨めの1頭>
3R トミケンエンデレア
短距離戦で3勝。現在、ハイタイムをマークして1000m2連勝と他の追随を許さない。迷わず追いかける手
11月3日(木)、JBCデーは重賞5連発。8Rは2歳交流「第24回ジュニアグランプリ」(盛岡芝1600m)。勝ったのは4番人気ラビュリントス。前走・知床賞はダートだったが、シャープな切れを発揮した。
岩橋勇二騎手「調教師と相談して2列目で前に馬がいる形でレースを進めようと考えていた。1コーナーで行きたがってハミを噛んでいたが、2コーナーを回ってジワリと抜けて折り合いがついた。動いたのが早すぎたかと思ったが、この脚なら大丈夫だろうと思った。この馬はまじめすぎて力みすぎるのが課題。もっと力を抜いて走ってくれば、もっと走ると思います」
9Rはオープン交流「第24回OROカップ」(芝1700m)。優勝はアトミックフォース。前年、ロードクエストに続いてせきれい賞、OROカップ同一年の連勝を果たした。
山下貴之調教師「心配だったのはせきれい賞の方。暑い夏だったし、距離も長いと思っていた。なので今回は普通に回ってくればいいレースをしてくれると思って臨み、期待どおりの結果を出してくれた。ロードクエストにまくられた時、ヒヤッとしたが、ジョッキーが落ち着いて対処してくれた。今後はダートしか番組はないが、チャンスがあればまた挑戦してみたい
6日メインはオープン馬による短距離戦「ハヤテ特別」(盛岡ダート1200m)。直結するのは10月25日に行われたスプリント特別とハヤテ特別。走破タイムも重要なファクターとなる。
カミノコは中央ダート1200m~1400mで3勝。その後、南関東A2級を経て岩手入りし、クラスターカップ5着。1200m1分11秒5の好タイムをマークした。続く地元同士の戦いで岩手初勝利を飾り、絆カップでキラットダイヤの2着に支持されたが、馬込みに包まれて4着。
今度は南部杯へ挑戦して11着ながら1分36秒8で走り抜け、前走は1番人気に応えて完勝。重賞はともかく、短距離路線で地力を発揮し続けている。今回も馬群に揉まれる心配がない外10番枠。これなら自分の競馬ができ、2連勝に王手をかけた。
ゲンキチハヤブサは中央芝1200m3勝。こちらは門別を経て昨年転入。当初は盛岡芝がメインだったが、ここ3戦はダートで好走。3走前の1200m戦を快勝し、前走は重賞・絆カップで2着確保。
年齢を重ねると芝馬がダートで好走するケースは少なくない。一昨年のOROカップを制したブラックバゴも今年はダートで活躍中。ゲンキチハヤブサにも同じことがいえ、一息入れて気分もリフレッシュ。カミノコが気難しい面を出したら逆転の目もある。
シングンポラリスは大井1200m2勝から転入。初戦は久々の実戦がこたえて9着に終わったが、2戦目から4連勝をマーク。一戦置いて首位を奪回したが、以降3戦は凡走。夏負けの印象もあったが、前々走・絆カップ3着、前走4着で復調ムード。
ビクトリールーラーは門別&大井1200mでそれぞれ1勝。転入戦は3ヶ月ぶりの実戦で5着だったが、一度実戦を使って良化確実。絶好の1番枠を味方にする。
メジャーハリケーンは安定度一目。毎回のように上位を確保し、ここでも連下押さえが必要。
セイペイシェンスは逃げのイメージが強く、同型ビクトリールーラーとの兼ね合いがカギ。うまく折り合えば流れ込みの可能性がある。
◎⑩カミノコ
〇④ゲンキチハヤブサ
▲③シングンポラリス
△①ビクトリールーラー
△⑦メジャーハリケーン
△⑥セイペイシェンス
<お奨めの1頭>
3R ステラレギア
JRA条件交流5着から、そのまま岩手入り。走破タイム1分13秒2ならC2はフリーパス