24日(土)メインはオープン馬による盛岡芝1000m「きんもくせい賞」、12頭立て。きんもくせい賞は3年前、芝2400m重賞で実施されボスアミーゴ、カネショウエリートが優勝。
しかし今年、芝2400m重賞は7月の「せきれい賞」へ集約され、きんもくせい賞は芝1000m特別へ様変わりした。
実は芝1000mを舞台にしたオープン戦は今回が初めて。条件クラスでは今年もFM岩手杯(7月11日 B1)、「姫神賞」(7月25日 B2)、ハーベストカップ(10月4日 B1)と3レース実施されたが、ついにオープンでも芝1000m戦が行われる。
ハッキリ言おう。これが特別なんてもったいない。何で重賞から特別に格下げされてしまったのか。
盛岡芝の特性を最大限に生かし、しかも有力各馬が別路線を歩んで臨んできて「きんもくせい賞」で最強芝スプリンターを決定できるなんて、これこそ岩手競馬の理想型だ。
賞金がどんどん下がり、馬資源の確保がさらに厳しくなっている昨今だが、「きんもくせい賞」にベストメンバーがすべて顔をそろえた。
芝の王道を歩み、OROカップではコスモバルクの2着ボスアミーゴ。中央芝ダート1200mで通算7勝をマークし、岩手転入初戦を2着にまとめたあと積極的に遠征を敢行したトーセンザオー。そして先に記した芝1000mを総なめにしたウメノレイメイもB1から果敢に挑戦。
この3頭はどの馬が勝っても納得。逆の言い方をすれば3頭どこからでも馬券が買え、興味二倍、三倍のレースとなった。
迷った末の結論はトーセンザオー。中央芝ダート1200mで通算7勝マークした短距離のスペシャリストで鳴らし、重賞でも入着の実績を誇っていた。
岩手へトレードされたのは中央在籍では除外の憂き目にあい、それならば地方から挑戦した方が確実に出走できると判断したから。それで岩手初戦2着後、JRA新潟・朱鷺ステークス、東京盃へ連続チャレンジした。
残念ながら2戦とも13着に終わったが、朱鷺Sでは0・9秒差に善戦。9歳馬ながら通用する可能性あることを証明した。
今回は盛岡芝巧者がそろったとは言え、過去実績が抜けているし、得意とする短距離戦。意外にも1000m戦は初経験だが、もちろん守備範囲。総合力で首位をがっちりキープする。
逆転筆頭はウメノレイメイ。まさに盛岡1000m戦の申し子的な存在で同条件のB1以下特別をすべて制圧した。しかもオープン馬57キロの負担重量に対し、55キロのハンデも恵まれた。
ただウメノレイメイは中央時代、ダート1200mで1勝した500万下の条件馬。一方のトーセンザオーは高齢馬とは言え、堂々の中央オープン馬。同じ舞台で走ること自体が無理があるとも解釈できる。
しかし、やってみないと分からないのが競馬。ウメノレイメイの最大強みは芝1000mを3度も経験し、58秒5の持ちタイムもあること。トーセンザオーが1000m特有のハイペースに戸惑えば逆転の可能性は十分あるだろう。
ボスアミーゴは▲評価になってしまった。盛岡ターフ王に対してこの評価は失礼だが、「年を重ねるごとにズブくなっている」(菅原勲騎手)のコメント。確かにかつては鞍上がゴーサインの支持を出すと矢のように反応していたが、確かに最近は勝負どころでもたつくシーンが見受けられる。
ウメノレイメイは前走、ハーベストCで上がり35秒0をマーク。仮にボスアミーゴはいつもと同じようなポジションにいた場合、33秒台の上がりを披露しなければならず、それを考えると1000m戦は割引材料になる。
とは言え盛岡芝はボスアミーゴの庭。抜群の芝適性を発揮し、前記2頭をまとめて負かすシーンまで。
以下、桂樹杯(盛岡芝1600m)で2着エアムートン、過去にダートだが1200mで2勝、1000mで2着1回3着1回と短距離適性を誇るトロンハイム、早池峰賞を優勝フリーモアを連下押さえ。
◎(10)トーセンザオー
○(8)ウメノレイメイ
▲(11)ボスアミーゴ
△(7)エアムートン
△(6)トロンハイム
△(1)フリーモア
3連単は10、8、11の3頭ボックスが本線。あとは10、8の1、2着折り返しから7、6、1を3着押さえ
馬複は 8-10、10-11、8-11、7-10
<お奨めの1頭>
6レース エーシンエッティン
前走3着はスタートで後手を踏んだのが痛かったし、相手も強すぎた。今回のメンバーなら首位を譲れない
10月19日 第29回若駒賞(2歳オープン 盛岡ダート1600m)
1着 ロックハンドスター
大外からパールレディがハナに立ったが、セイントビーナスがアッサリ交わして先頭。2番手インにダークライ、ロックハンドスターはその外、絶好の3番手をキープ。
前半はスローの流れで進み、完全に上がり勝負。3コーナーから各馬がスパートをかけ、ダークライが3コーナー過ぎに先頭に立ったが、ロックハンドスターは楽々と追走。
直線を向いてダークライは必死に粘っていたが、ラスト300mでロックハンドスターが捕らえると、あとは独走状態。2着に4馬身差をつけ、テシオ杯ジュニアグランプリの雪辱を晴らすとともに待望の初重賞タイトルを手に入れた。
「(菅原)勲さんにクセのない馬だと聞いていたし、実際攻め馬でも騎乗したが、素直で非常に乗りやすい馬だった。
人気を背負っていたので不利のないようにレースを進めたが、折り合いを欠くこともなく、追ってからの反応も抜群。瞬発力がすばらしかった。これからさらに強くなりそう」とピンチヒッターを勤めた阿部英俊騎手。
次走予定は南部駒賞(11月15日)。当面は地元を中心に使っていくそうだが、結果次第では遠征があるかも―と瀬戸幸一調教師。
2着 リュウノボーイ
ロックハンドスターを見る形で6番手中を追走し、スパートもほぼ同時。4コーナーでやや水を開けられ、直線では外に持ち出してロックハンドスターとの差を詰めにかかったが、逆に離されてしまった。
3着 リュウノムサシ
スタートで後手を踏んで後方4番手からの競馬。3、4コーナーでちょっとモタモタしたところがあったが、直線ではなかなかいい感じで伸びて内で粘るダークライをゴール前で交わした。
4着 ダークライ
パールレディに出鼻を叩かれたが、うまく3番手外につけ、3コーナー過ぎにセイントビーナスを交わして先頭。直線で早めにロックハンドスターに交わされて苦しくなったが、ひとまず4着に粘った。
『各地の2歳主要競走7レースを約3週間で短期集中施行するシリーズ』(NAR・未来優駿サイトより引用)という未来優駿。この若駒賞から11月4日に行われる大井・ハイセイコー記念まで、全国の7つの2歳戦を一気に楽しみ、かつ全日本2歳優駿を目指す馬を探していこうというシリーズです。
若駒賞は岩手の2歳重賞戦線の中ではまだ序盤戦という印象がありますが、例年、この後に控える南部駒賞や金杯といった2歳(金杯は明け3歳)重賞レースを引っ張っていく馬がはっきりする戦いとなっており、ここでの戦いからは目が離せません。
昨年のこのレースではワタリシンセイキが勝って"2歳NO.1"の評価を確かなものにしました。今年はどの馬が勝ち上がり、この後に控える南部駒賞や金杯といった重賞レースでの主役となっていくのか?昨年は果たせなかった全日本2歳優駿への出走を目指してくれるのか?
また、今年の3歳二冠馬マヨノエンゼルは昨年のこのレースで3着になってから頭角を現してきたのですが、実はその時のマヨノエンゼルは11頭立て10番人気、全くの人気薄だったのです。
昨年の若駒賞ではワタリシンセイキ→ダンストンジール→マヨノエンゼルで決まって3連複も3連単も万馬券。今から思うと信じられない配当ですよね。
そんな第2の"マヨノエンゼル"が現れてくるかもしれない・・・というのも2歳戦の楽しみのひとつ。勝ち馬だけでなく上位争いをした馬すべてから目が離せませんね。
本命は素直に(8)ロックハンドスターとしました。前走の重賞・ジュニアグランプリでは1番人気に推された同馬でしたが、北海道・ボヘミアンの差し脚に屈して2着に敗退。しかし勝ち馬とは同タイム、また3着以下にははっきりとした差をつけており、再度岩手勢同士の戦いということなら優位なのは確かです。
また、ロックハンドスターはここまで芝で2勝を挙げているとはいえバリバリの芝馬という印象はなく、むしろダートの方が良さそうなタイプ。今後の戦いも当面はダート。となるとここはきっちり勝って、主導権を掴んでしまいたいレースです。
対抗は(5)ベルデンアインでどうでしょうか。前回のジュニアグランプリでも強く狙ってみましたが6着。ただそれは芝が合わなかった(芝そのもの・芝レースの流れ)のでしょう。ビギナーズカップで馬群を捌いて抜け出した戦いぶりは未だ高く評価できるもの。前走は距離経験になったという事にして再度狙い直し。
三番手は(9)リュウノボーイを。前走はダート1400m戦で完勝、前々走のジュニアグランプリでは人気薄ながら3着。確かにいろいろと条件が揃った感はあってこれらの結果を単純に鵜呑みにできませんが、こうも上昇ムードを見せられては狙わない訳にいきません。
(3)サンデーゴールドの評価は、ここでは軽めに留めました。ここまで5戦、掲示板は外していないし重特戦の内容も良し。ただまだまだ成長途上のようで脆いところも目につきます。あっさり勝っておかしくない力を持つとは思いますが、ここは連のヒモの一角までに。
あとはどっこいどっこいの面々。とはいえ認定を勝った後伸び悩んでいる馬よりはキャリア浅くとも未知の魅力のある馬を選んでみよう。という事で(12)パールレディ。父クロフネならダートで前進するタイプ。一気の距離延長は確かに不安点も、それは他も似たようなもの。
★買い目
馬単(8)=(5)、(8)=(9)、(5)=(9)、(8)=(3)、(8)→(12)
★お奨めこの一頭
4R:マイネルモント
ここまでは戦った相手が悪すぎた。ここは一気に相手軽くなって勝機到来。
17日(土)メインはB2級ハンデ戦「オクトーバーカップ」(盛岡芝1700m)、12頭立て。
さすが芝レースらしく前走で盛岡芝を使った馬が12頭中8頭。各陣営とも適性をにらんでエントリーしてきた。ただ賞金ハンデ戦のため、B2で2勝マークのドーリーゴンザレスなどは57キロを背負い、対するタガノマルゲリータ、クロシェレースは53キロ。このハンデ差も微妙に影響しそうだ。そこに波乱の目も十分にある。
主軸にドーリーゴンザレスを指名する。今シーズン、着外に沈んだのは5月の盛岡ダ1600m7着の一度のみ。他は芝ダートを問わず抜群の安定感を誇り、3勝2着5回。自慢のまくり脚が冴え渡っている。
芝も3度使われて2勝2着1回と連対パーフェクト。今回は照準をピタリと合わせて臨んできた。
ただ、気になるのは冒頭にも記したとおり57キロのトップハンデ。デビュー時代から改めて成績を見直してみたが、最大斤量は56キロまで。57キロは生涯初の負担重量で切れが鈍らないかどうか。唯一の気がかりはそれだが、好枠も引き当てたし、板垣騎手は盛岡の芝を知り尽くしているジョッキーの一人だ。
逆転筆頭はタガノマルゲリータ。中央2戦0勝から園田へ移籍して3勝2着5回。B2昇級後は頭打ちのレースを繰り返し、岩手へ新天地を求めてきた。
初戦の盛岡ダ1600m戦は0・5秒差5着と可もなし不可もなしだったが、前走が初の芝で0・1秒差3着に善戦。ドーリーゴンザレスとはクビ差の僅差にまとめ、秘めた芝適性が発揮された一戦とも言え、しかも当のドーリーゴンザレスとは4キロものアドバンテージ。逆転の可能性もさらに高くなった。
クロシェレースは昨年12月以降、白星から遠ざかっているが、今季2着5回。うち芝で2着3回。勝ち星こそないが、常に上位争いを演じている。タガノマルゲリータと同じ53キロも魅力だ。
ディーエスファジーも芝で息を吹き返した1頭。中央0勝から南関東を経て転入。ダート2戦は8、5着だったが、芝に替わって果敢に逃げて3、4着。それぞれ0・1秒、0・2秒差と粘り強さが目についた。
芝は3歳時に3度とも凡走だったが、今季躍進ぶりが目につくモエレアンドロメダ。前走も2着に1・1秒差もつけて圧勝しており、今の勢いをもってすれば芝でも好走の可能性が大きい。
あとは芝で前回快勝タカノグラディウス、印は回らなかったが、芝が活躍の舞台キザキノフラッグの反撃も怖く、激戦必至だ。
◎ 2 ドーリーゴンザレス
○ 5 タガノマルゲリータ
▲ 1 クロシェレース
△ 11 ディーエスファジー
△ 6 モエレアンドロメダ
△ 10 タカノグラディウス
3連単は2、5、1、11のボックスが本線。そうなると買い目が多くなるが、11はやはり外せない
馬複は 2-5、1-2、2-11、1-5、5-11
<お奨めの1頭>
6レース アドマイヤミライ
転入戦2着の雪辱を前回で晴らして弾みついた。1400mでも実力の違い見せつける
10月12日 第22回マイルチャンピオンシップ南部杯(JpnI 盛岡ダート1600m)
1着 エスポワールシチー
確たる逃げ馬が不在だったため、レース展開も戦前はなかなか読み切れなかった。それを裏付けるように各馬が様子を見ながらけん制し合い、結局エスポワールシチーが逃げることになる。それをピッタリとマークする形でサクセスブロッケンが直後外につけ、スタート400mで早くも展開の有利不利なしの力と力の勝負に持ち込まれた。
2頭のマッチレース模様で直線を向いたが、4コーナー手前でサクセスブロッケン鞍上の内田騎手の手が必死に動く。それとはまったく逆に、エスポワールシチーは持ったまま。「3コーナー過ぎに勝利を確信した」の佐藤哲三騎手のコメントどおり、ラスト200mでサクセスブロッケンを完全に振り切り、あとは独走状態。
後続に4馬身差もつけ、フェブラリーSの雪辱を晴らすとともに、GⅠ2つ目のタイトルをサクセスブロッケンとの直接対決で果たした。
「逃げるか後ろから行ったほうがいいか迷ったが、誰も行きそうになかったのでハナに立った。2、3番手でも良かったが、それ以上うしろだと気性的にまだ危険が多い。今回は太め感もあったが、さらにパワーアップしたということ。まだ遊び遊びで走っているので、これからの活躍も楽しみ」と佐藤哲三騎手。
注目のローテーションについては「馬の状態を見て名古屋のJBCを使うかもしれないが、今年の最大目標はじゃっパンカップ・ダートなので直行の可能性もある」と安達調教師。
2着 サクセスブロッケン
逃げたエスポワールシチーの直後につけ、ピッタリとマークする形でレースを進める。あとから確認して驚いたが、2頭は馬なりで様子を見ながらだったにもかかわらず前半3ハロン35秒0。上がり3ハロンはちょっとかかって36秒9だったが、いかにレースレベルが高かったかを証明。
これでは他の馬が追走するのに大変だったかが明白。3コーナーから内田騎手は徐々に差を詰めるイメージで乗っていたと思うが、4コーナー手前で一杯に手を動かしても差を詰めることができない。
直線を向いても脚色の差はどうしようもなく、サクセスブロッケンはメイショウバトラーに交わされないのがやっとだった。
「レース途中で前へまったく進まなくなった。4コーナーで並んで直線に入っていきたかったが、離される一方。全然、掛かる感じがなく久々の影響が大きかったかも」と内田騎手。
3着 メイショウバトラー
終始3番手外をキープし、勝負どころの3コーナーで前2頭に離されていったが、直線でサクセスブロッケンの脚が上がり、徐々に差を詰める。ただ交わすまでに至らなかったのが先着2頭との実力差だろう。
「盛岡コースとの相性がいいんでしょう。これだけ走ったのだから頑張った。改めて左回りのマイルがベストだと思った」と武豊騎手。
4着 トーセンブライト
5番手インの経済コースを進み、2頭がスパートと同時に仕掛ける。しかしペースアップしたのについていけず、4着が精一杯だった。
5着 ブルーコンコルド
トーセンブライトの外6番手を追走し、3コーナーから仕掛けたときの反応は悪くなかったが、直線では伸びを欠く。「この結果では年齢的なものを認めざるを得ない。時計が速すぎたこともこの馬には厳しかった」
6着 マヨノエンゼル
マズマズのスタートを切り、3コーナーでは前を行くJRA6頭の後ろにつけ、一瞬いい感じであがっていく。地元の期待に応えて地方最先着を果たして面目を保ったが、5着ブルーコンコルドとは9馬身差。
自身の持ちタイムを大幅に更新し、1分38秒9をマークしたが、やはり今回は相手が強すぎた。