25日(土)メインはB1級「第8回ハーベストカップ」(盛岡芝1600m)。約2ヶ月にわたる盛岡開催で芝は荒れているが、それでも極端ではなくコース取りはあまり影響ない模様。ただ、大外を回ってきた馬の伸びは芝が荒れていない分、いい感じで伸びてくる。このあたりは馬券検討の際、頭に入れてほしい。
主軸はプリンセストロイ。今年4月、岩手転入後5勝をマーク。うち芝で4勝を荒稼ぎし、B1級では実績断然。3走前、オープン芝1600m戦・桂樹杯でも7着ながら0・4秒差にまとめ、すでにオープン通用を証明した。
続いて自己の条件・B1級に戻って芝1600mを好タイムで快勝。前回は中央との条件交流・カシオペア賞(中央500万下vs岩手B1以下)では終始、好位インでレースを進め、直線でも最内に突っ込み、鮮やかに抜け出して中央勢を完封した。
この一戦は菅原勲騎手の頭脳プレーがキラリ。小回り1400m・盛岡芝の特性を十二分に生かして勝利をモノにした。冒頭に記したようにコース内側の芝はかなり傷んでいるが、そこに進路を取ってもまったく問題なかった。
今年度のB1級・芝レースはこのハーベストカップでひとまず終了。ここは盛岡芝の鬼を改めてアピールする絶好のチャンスとなった。
タイキランデヴーを管理する小林義明調教師は思い切った選択をした。今季、B2級へ昇級後、水沢3戦とも着外に沈み、明らかにクラスの壁をうかがわせていた。
それならば…と小林調教師は芝1本でローテーションを組むことを決断。それがズバリ吉と出て5月から盛岡芝で圧巻の3連勝をマーク。一度、水沢開催に戻り、どうするかと思ったところ1ヵ月半(4開催)すべて自重。
もちろん脚元不安などまったくなく、攻め馬を順調にこなしながら盛岡芝の開催までじっくり待機。満を持して格下から強気の挑戦、桂樹杯に駒を進めた。さすがに相手が一気に強化され、好位を追走したものの8着。それでもタイム差を0・6秒差にまとめ、オープンでもソコソコやれることを証明した。
前回は自分のペースで逃げたが、プリンセストロイにゴール前で交わされて2着。この結果が対抗評価となった訳だが、2頭の実力は僅差。アッサリ逆転あってなんら不思議はない。
マイネルティーダはコース、距離の長短、芝ダートなどの条件を一切、問わないオールラウンドホース。岩手転入後、一度も着外に沈んだことがない超堅実派。時に取りこぼしがあるのは単騎先頭に立つとソラを使うためだが、馬体を併せるとどこまで行ってもばてないタイプ。それで勝っても微差のケースが多かったが、前回ラ・フランス賞では2着に2馬身差で完勝。絶好調で臨んできたのが心強い。
オンワードリリカは昇級初戦となるが、芝4戦3勝2着1回。目下、芝1000mのセプテンバーC、芝1700mのM&Kジョッキーズシリーズを連勝中だ。しかも前回マークした1分45秒9はB2ではちょっと考えられない出色のタイムで、ここも勝ち負け必至だろう。
あとは今季未勝利だが、一連の安定度からサクラアリエル、芝3戦2勝ハウプトローレを連下押さえ
◎ ?プリンセストロイ
○ ?タイキランデヴー
▲ ?マイネルティーダ
△ ?オンワードリリカ
△ ?サクラアリエル
△ ?ハウプトローレ
3連単は7、2、3のボックス本線か7を1着固定に2、3、5流し。11、10は絞った際には切り捨てることも一考
<お奨めの1頭>
11レース ダンストンリアル
Jpn?・南部杯で岩手最先着6着。この実績を持ってすれば今回のメンバーは楽すぎる
大盛況の南部杯が終わった翌日、私は機上の人となり、奈良へと向かっていました。いまは時間もお金も無い時期なのですが(金が無いのはいつもだな…)、親族の用事があってどうしても外せず、仕方なく早期予約割引の航空券を手配したのでした。私は国内旅行で飛行機を使うことがこれまであまり無かったのですが、早期割引って安いんですね。いかに安く行こうかと色々な交通機関やルートを検討していて、新幹線よりずっとお得だと知りました。さらに安価な夜行バスと迷いましたが、体力的負担と時間の有効利用を考えると、やはり空路をとるのが正解でしょう。なるほど、全国の競馬場を飛び回っているカメラマンやライターさんたちはこういうのを利用しているんですね。まぁ私の財布にはお得と言ってもかなりの負担でしたので、そうそう使うことは無いでしょうが…
いわて花巻空港から関空へ。そしてJBCを目前に盛り上がる園田競馬場を横目に、連絡バスでまっすぐ奈良県へと入りました。
ほどなく気が付いたのですが、住宅地の雰囲気が見慣れた東北の街とは違います。それは東北では少ない瓦屋根のせいなのですが、県境を越えて奈良に入ると、それまでの大阪ともまたずいぶん違って見えるんですよ。奈良の街の景色はどことなく重厚感を感じます。私が奈良に古都のイメージを持っていることや、向かったのが県庁所在地の奈良市ではなく南部の方だったせいもあるかもしれませんが、しかし少し観察してみると、それは折り重なる黒い屋根瓦と、漆喰で白や黒に塗られた壁から来ているようです。それが歴史的建物や古い民家だけでなく、普通の家でそういうデザインになっている家屋が圧倒的に多いんですね。新興住宅地らしき地区を除けば、新築の家でも周囲の雰囲気を守って建てているようです。
これは相当大変なことですよ。新しく家を建てるなら、今風の洒落た家にしたいと思う人が多いと思います。実際、近年の流行に影響され、田んぼのそばに南仏プロバンス風の集落が出現なんていう場所も日本中で多く見られるのではないでしょうか。しかし奈良の住人は街の調和を優先し、昔ながらの外観を建築家にオーダーしているんですよね。
同じことは、武家屋敷で有名な秋田県の角館でも感じたことがあります。こういう街の住民の方々は、自分たちの街を相当大切に思っているに違いありません。一方で、盛岡も含めた全国の多くの街では、高層マンションやショッピングセンター、再開発や道路拡幅などで、急速に「その街らしさ」が失われていっています。街並みや景色の価値を改めて考えさせられた、今回の旅でした。
次に私が奈良を訪れるのはずっと先のことになると思います。しかし素晴らしい古都の景色が、いつまでも守られることを願っています。
(文/写真・佐藤到)
10月19日 第28回若駒賞(2歳オープン重賞・盛岡ダート1600m)
1着 ワタリシンセイキ
スタート直後にジェリーキングが内に切れ込み、その影響をモロに受けて接触。そのとき落鉄のアクシデントも重なり「一瞬、行く気がなくなってヒヤッとした」(関本淳騎手)が、鞍上が気合いをつけて挽回を図ると強い精神力で回復。
道中ずっと追い通しだったが、徐々に前に接近し3コーナーからエンジンが全開。4コーナーではマーチボーイが失速し替わってクラサッキーが先頭に立ったところダンストンジール、ワタリシンセイキが交わして直線は2頭のマッチレース。しかしダンストンジールの粘りもラスト200mまで。ワタリシンセイキがゴール100mで先頭に立つと、あとは独壇場。アッという間に後続を突き放し、2着ダンストンジールに4馬身差。けた違いの破壊力でダート4連勝を飾った。
「スタート直後の不利をモロに受けた上、ここのところ砂を被っていなかったので反応が一息だったが、エンジンがかかってからは楽。(ダンストンジールに)並んだとき手応えが良かったので、これで大丈夫だと思った。ダート戦は3戦3勝なので自信はあったが、盛岡ダートが初めて。それだけが気がかりだったが、まったく問題ない。ダートは本当に強い。このレースができれば遠征しても恥ずかしくない競馬ができるのでは」と関本淳騎手。
「不利が重なって正直厳しいかなと思ったが、改めてダートの強さにびっくり。次走は南部駒賞(11月16日 水沢1600m)を使う予定だが、その内容が良ければ全日本2歳優駿(Jpn?・川崎)に挑戦してみたい」と三野宮調教師。
2着 ダンストンジール
マーチボーイが逃げ、2番手クラサッキー、内アイビーが先陣を形成し、その直後外を追走。12秒台のラップを刻むペースだったが、マーチボーイが意外にも早く失速。クラサッキーが替わって先頭に立ったのもつかの間、外からワタリシンセイキが進出してきたのを見てスパート。直線でも内で渋太く粘ったが、それもラスト200mまで。ワタリシンセイキとの力差ははっきりだったが、2着確保なら納得。
ダンストンジールはデビュー戦をハイタイムで圧勝後、ダート2戦・ビギナーズC、りんどう賞で5着凡走。これで評価を落としたが、芝に替わった若鮎賞を完勝。再び株を上げたが、同じ芝・黄菊賞で8着。ちぐはぐなレースを繰り返し、気性面の課題が多かったが、今回は最後まで集中力が途切れなかった。
血統も父ウイングアロー、母父カコイーシーズと明らかにダート向き。その血統背景が今まで出てこなかったが、ようやくダートでも結果を出せた。470キロ台の恵まれた馬格を誇り、今後の成長も楽しみ。
3着 マヨノエンゼル
前半は最後方に待機し、自分の競馬に徹するかのようにずっと我慢。3コーナーから鞍上・山本政聡騎手がゴーサインを出すと、鋭く反応。直線で外からグングン蹴散らすかのように交わし3着入線。最後方だっただけに、着差は開いていたが、この結果は収穫が大きい。
マヨノエンゼルはデビュー戦芝1000mを快勝し、2ヶ月ほど休養後の水沢1400mを勝って2連勝マーク。続く特別・りんどう賞では3番人気に支持されたが、後方のまま11頭立て9着。その後もジュニアグランプリ9着、黄菊賞6着と凡走していたためブービーの10番人気まで評価を落としていた。
しかし今回は思い切った待機策が功を奏して3着。展開にも恵まれたが、この脚が使えるようなら今後のメドも立った。
今回は競馬に関わるというか関わらないというか、そんなネタから。今年の盛岡競馬場は「紅葉が来ない」というお話し。
例年だと10月も半ばになれば向こう正面のさらに向こうの山が赤くなってくるのですが、今年はかなり微妙な色合い。場内の木々も、一部はさっさと赤くなったり黄色くなったりして葉が落ち始めているのですが、ほとんどは赤味が足りないままに終わりそうです。
競馬場の方々に聞いたところ原因は「寒さが足りないから」。10月に入ってからは暖かい日が続き、朝晩の冷え込みも厳しくならないからとのこと。
確かに、9月下旬頃は急に冷え込んで、岩手山にも史上2番目の早さの冠雪があったりしたのに、その後はむしろ暑いくらいの日々。そのせいで紅葉も赤味が増してこないのだそうです。
盛岡開催もあと1週間。夕日に映える真っ赤な紅葉を見てから水沢に移りたいのですが・・・。
今回の本命は(4)センリオーでどうでしょうか。昨年のこのレースの覇者、また6月の同条件・ジュライカップでも2着に入っている「ORO3000mマイスター」。前走こそ崩れましたが最近は基本的に好調サイクルに乗っており、このレース連覇のチャンスは大きいとみます。
対抗は(6)モエレタキシード。つい先日までは盛岡未連対、水沢の巧者ぶりの一方でそれでしたから盛岡は自他共に認める苦手コースもいいところでした。それが、夏頃からの調子上昇の波に乗って盛岡初勝利。この勢いは非常に気になります。もともと長い距離は得意な馬。3000mで才能が開花するかも。
(11)ケイジーウィザードにとって前走はさすがに短すぎた感。スパッと切れるタイプではなくジリジリと伸びる馬ですし、これくらいのメンバーで戦う長距離は手頃でしょう。
(2)タイキサファリの地力はここでも上として、しかし距離が長くて良いという印象はあまりない。3000mとなるとどうか?最近ズブさを見せているのが逆に好都合かもしれませんがそれでもここは押さえまでか。
面白そうなのが(5)カリズマウィッシュ。差し・追い込みという印象の割にはズブイところがあり、距離もうそうですが展開がこの馬に合う可能性はあるでしょう。
●買い目
馬単(4)=(6)、(4)=(11)、(6)=(11)、(4)→(2)、(4)→(5)
◆お奨めこの一頭
7R:ジュールヴィアン
さすがはフジキセキ産駒・社台ファームの生産馬、というところか。ここで止まるような素材ではない。
19日(日)メインは、オッズパーク プレゼンツ<未来優駿シリーズ2008>第1戦「第28回若駒賞」(2歳オープン重賞 盛岡ダート1600m)、11頭立て。
この若駒賞(盛岡)を皮切りに、20日(月)九州ジュニアグランプリ(荒尾)、23日(木)兵庫若駒賞(園田)、24日(金)ゴールドウイング賞(名古屋)、間に22日(水)平和賞(船橋)と全国の2歳重賞がシリーズで楽しめることになった。
未来優駿とは、グッドネーミング。明日の地方競馬、そして日本の競馬を将来担うスターホースの出現を期待したい。
(ワタリシンセイキ 写真・佐藤到)
まず第1戦「若駒賞」の主役はワタリシンセイキ。ビワシンセイキの初年度産駒であり、日本では唯一の世代産駒で全国に先駆け、ワタリシンセイキが勝ち名乗りをあげた。
デビュー2戦は芝1000mが合わなかったのか4、10着に敗れ陣営は少なからずショックを隠せなかった。しかし地元水沢に戻って動きが一変。ビギナーズカップ、りんどう賞と特別2勝を含めて圧巻の3連勝を飾り、一躍首位戦線へと躍り出た。
レースぶりも2歳馬離れしたもので前半は後方でじっくり待機し、向正面からロングスパート。この芸当が見事に決まり、ほぼワンサイドで水沢3連勝をマークし、芝重賞・テシオ杯ジュニアグランプリへと駒を進めた。
「デビュー2戦は芝が合わなかったのではなく、距離が短すぎただけ」と三野宮調教師。前半は最後方追走から3コーナースパートをかけ、直線で一旦、先行集団に接近したが、最後の伸びひと息で5着。
続いてもう一度、芝1700m戦「黄菊賞」へチャレンジし、このレースでは4コーナーまでほぼ最後方。直線勝負に賭け、大外から鋭く伸びてきたものの0・6秒差4着という結果となった。
「黄菊賞ではいい脚を使って決して芝が合わない訳ではないが、安定性に欠ける。それと左回りだとモタれる癖を出すので、今度の若駒賞が真価を問われることになるだろう」と三野宮調教師は語る。
父ビワシンセイキの血を強く受け継いだのだろう、ダート戦での強さはお墨付き。ただ盛岡ダートは今回が初めてで、まさに真価を問われる一戦となった。
しかし盛岡ダート1600mは2コーナー最奥ポケットが発走地点。コーナーがわずか2つなら回りもおそらく苦にしないはず。やはり主軸は動かし難い。
次位候補の一番手はマーチボーイ。一つ上にエイプリルボーイという競走馬がいるが、兄弟ではない。同じ馬主の所有馬でエイプリルボーイは4月生まれ、マーチボーイは3月(13日)生まれでこの名がつけられた。
両馬の共通点は豊かなスピード。ただエイプリルボーイはガンガン先に行くタイプだが、マーチボーイは同じ逃げ馬でも貯めの競馬ができるのが最大の強み。デビュー3戦とも先手を取っているが、これはスピードが違うだけ。スーッと先行して手綱をがっちり抑えるとその指示に従い、ゴーサインにもすばやく反応。
りんどう賞2着、ジュニアグランプリ3着と直線で一杯となっているが、強じんな粘りを発揮。おそらくこのダート1600mの距離も難なく克服してくれるに違いない。
評価に迷うのがダンストンジールだ。デビュー戦の芝1000mを今季一番時計で快勝し、しかも父がウイングアロー。ダートでさらに期待できだろうとビギナーズカップ(水沢1400m)で1番人気に支持されたが、中団のまま5着。続くりんどう賞でも5着に終わってしまった。
480キロ前後の牡馬で馬体は申し分なしなのだが、気性面に問題あり。レース途中で集中力を欠いて凡走してしまうのだそうだが、若鮎賞(盛岡芝1600m)でスケール大きく完勝。期待以上の成果を出したが、再び黄菊賞で8着。まだまだ成長途上をうかがわせ、現時点では未完。それだけに評価が難しいが、レースに集中できればアッサリの可能性も十分にある。
以下はダートに替わって本領発揮するかスキャターザゴールド産駒センリグランピー、牝馬限定ながらプリンセスカップで2着フェニックスクインもダートなら巻き返しに転じ、軽視はできないところだ。
◎ ?ワタリシンセイキ
○ ?マーチボーイ
▲ ?ダンストンジール
△ ?センリグランピー
△ ?フェニックスクイン
3連単は3を1着固定に8、5折り返しが本線。あとは9、10も押さえたい
馬複は3−8、3−5、3−9、3−10
<お奨めの1頭>
9レース アルディ
近走は勝ち切れないレースが続いているが、6走前の芝1700m戦を快勝。その再現十分