8日(日)メインはオープン馬による重賞・シアンモア記念トライアル「第19回栗駒賞」(水沢1600m)、12頭立て。
この栗駒賞はかつてアラブ特別で実施され、2000年以降はサラブレッド短距離重賞(水沢1400m)へ昇格。セカンドゲス、バンチャンプ、トーヨーリンカーン、ハタノアドニス、タイキシェンロン、マンボツイスト、そして昨年オリエントボスと名うての名マイラー、スプリンターがずらり名を連ねており、G?・クラスターカップの地方競馬最終予選的な性格を持っていた。
しかし今年度、レース体系が見直され、栗駒賞は新たにシアンモア記念トライアルへと様変わり。よって1、2着馬にはシアンモア記念の優先出走権が与えられることになった。
本来なら12月31日、桐花賞を3歳で制し、年度代表馬にも選出されたオウシュウクラウンを主軸視するべきだろうが、川崎遠征の疲れ、乗り込み量を考えると今回に限り、対抗格に落ち着く。
主軸にニューベリーを指名する。中央時代、芝ダートを問わず通算9勝(うちダート6勝)をマークし、06年、G?・金杯(京都)ではビッグプラネットの2着に入るなど1400〜1600mのグレードレース常連として鳴らした。
今年すでに9歳。常識的にはピークを過ぎたと見るのが妥当だろうが、無理しないで使われていたので、とても9歳とは思えないほどの馬体の張りを誇っている。
事実、転入初戦の前走(3月25日)は初めて地方競馬の重い馬場に戸惑いながら、直線追い出してから実にシャープな伸びを披露。結果はヤマニンエグザルトの逃げ切りに終わったが、ゴール前ではクビ差まで肉薄。さすがオープン馬と大向こうを唸らせた。
この一戦を叩かれてさらに気配アップは明白だし、前回のように先行ペースになるとはまず考えられない。幸い大外11枠を引き当て、揉まれないで前をにらめる絶好のポジションをキープから直線抜け出しのシーンが濃厚となった。
オウシュウクラウンは川崎記念(1月31日)に予定どおり駒を進め、乗り込みも順調そのものだったが、このブログでも報告したとおり、返し馬で抑えが利かず馬場を3周半も暴走。レース以前に体力を消耗し尽くし、なんと18秒差の大差しんがり負けを喫した。
これは予期せぬアクシデントだったので仕方なし。ただ、その時の反動を考えてじっくり調整。攻め馬再開も意識的に遅らせているので、ここは試走的な部分が大きいと判断して間違いない。もちろん底力上位は衆目が認めるところで、やはり対抗以下には落とせないだろう。
ヤマニンエグザルトは昨年終盤の好調サイクルを今季も持続。前走も鮮やかな逃げ切りを決めた。昨シーズンはオープンの壁に突き当たった時期もあったが、終盤にそれを見事に克服。特別・駒ケ岳賞に続いて待望の重賞・早池峰賞を制するまでに到った。今回の水沢マイルは当然だが、守備範囲。アッサリ連勝しても何ら不思議はない。
テンショウボスも順調に乗り込まれている。昨年はオウシュウクラウン、サイレントエクセルの陰に隠れ、第三の男に甘んじていたが、年明けのトウケイニセイ記念を優勝して重賞ウィナーの仲間入り。川崎記念はさすがにメンバーがきつく11着に沈んだが、地元同士なら大勢逆転のシーンまである。
他では前回、最後方から豪快なマクリを決めたブラーボウッズ、相手が大幅強化だが自力アップ確かジュリアを押さえたい。
◎ ?ニューベリー
○ ?オウシュウクラウン
▲ ?ヤマニンエグザルト
△ ?テンショウボス
△ ?ブラーボウッズ
△ ?ジュリア
3連単は11を1着固定に4、5、8が本線。あとは1、7を3着押さえ
馬複は4−11、5―11、8−11、1−11、4−5
<お奨めの1頭>
11レース サーストンラウンド
浦和遠征は5、9着に終わったが、地元水沢は3戦3勝。C3から一気に昇級だが、まだまだ通用する器だ
3月24日(土)から27日(火)まで4日間連続の特別開催(水沢)があり、いよいよ岩手にも競馬シーズンが到来と言えないのがもどかしいが、今週4月7日が正真正銘、2007年度の開幕初日。この日を無事に迎えることができたのを素直に喜びたい。3月15日時点(県議会否決で廃止が決定)では3月27日を最後に、岩手競馬の幕が下りていたかもしれないのだ。
荒波は重々承知の上、岩手競馬の継承、発展のために改めて気を引き締めている次第。みなさん、今年度も岩手競馬をよろしくお願いいたします。
毎年、岩手に春を告げる第一弾の特別は3歳戦だったが、今年度は後半(4月14、15日)に番組が組まれたため、本日7日メインはA2級馬による2000m戦「第25回岩手日報杯」、10頭立て。
岩手日報杯はかつて馬とジョッキーをカップリングで投票し、票数の多い順に選ばれる名物レースのひとつだった。“この逃げ馬にはあのジョッキーを乗せてみたい”、“ズブい馬だが、このジョッキーの豪腕なら動いてくれるかも知れない”など、いろいろファンが考えた未知のカップリングが呼び物だった。
ところが結果として普段騎乗するジョッキーがそのまま選ばれるケースが多く、ここ数年は見送られている。しかし現在、若手もどんどん台頭してきているので是非、この企画を復活させて欲しい。先日(黒船賞と同日3月21日)、高知競馬場で行われた全日本新人王争覇戦で岩手代表・山本聡哉騎手が見事優勝しただけではなく、フレッシュジョッキーの活躍が目立ってきているのは事実なのだから。
岩手日報はいわゆる県紙で県内シェア80%以上とも言われているが、ここ数年はずっと競馬に対して徹底批判を展開。今回の融資案否決でも大きな影響を与えてきたし、また一貫して競馬廃止を誘導してきた中心的存在(自己規制して書きました)。その冠レースを開幕に持ってきたのは非常に興味深い。どのようなレースになるか、注目してほしい。
さて本題。カギを握るのは2000mの距離に尽きるだろう。
今年度、岩手県競馬組合は固定化してしまった番組に変化を持たせるため、各条件で様々な距離を実施すると発表した。最短1000mから最長3000mまで。これはある意味で大胆な試行となるが、馬資源が少ない地方競馬。このようなバリエーションを持たせた取り組みには素直に拍手を送りたい。仮に評判が良くなかったら、また新たな試みをすればいい。批判が出てこそ、競馬は発展するし、この柔軟性こそ今の岩手競馬に求められている。
確たる軸馬が不在で正直迷ってしまった。やはり2000mの距離がどう影響するか予測がつかない―が本音だが、ここは思い切ってコアレスブームを指名してみたい。
父エブロスは元来、スピード血統。常識的には距離に限界ありと見るのが妥当だが、実は高崎時代、1900m戦で1勝2着2着と連対パーフェクトの実績。しかも前走を快勝し、引き続き好調サイクルにあるのも心強い。
相手筆頭はアクトジロー。一昨年、中央3戦0勝から移籍し、C3級4戦2勝2着1回3着1回で再び中央入りしたが、2戦二ケタ着順に沈み昨年9月、岩手へ戻ってきた。そこで7戦4勝をマークし、前回は浦和と岩手の条件交流戦・岩手山特別でもハナ差2着に惜敗している。
昨年最終格付けがB2級、そして今回がA2といきなりメンバーが強化されたのは明白だが、戦ってきたメンバーを考えればここでも十分勝ち負けに持ち込めるのではないか。
マルカクールは前回11着と凡走。レース内容にまったく冴がなかったが、これは久々で実戦での勘を取り戻していなかったと解釈。冬期休養前のA2・六華賞(同じ水沢2000m)では現A1級マイニングプレスの0・2秒差3着。ひと叩きされた変わり身を期待したい。
人気を集めるであろうトーホウライデンの扱いが微妙だ。転入当初の5連勝を含めて通算9勝。昨シーズンは途中で調子を崩したが、7月以降思い切って休養させたのが正解で復帰後あっさり3連勝をマークした。
前回も2番人気に支持されたが、休み明けだったにもかかわらずマイナス18?と大幅な体重減。その影響もあったのだろう、直線で伸びてきたが5着に止まった。しかしこの一戦を使われて気配アップ。本来の動きを取り戻せば巻き返しに転じて何ら不思議はない。
以下、元々が堅実さには定評があるグラスホープ、久々でもテッポーが利くヘライカントリーが続く。
◎ ?コアレスブーム
○ ?アクトジロー
▲ ?マルカクール
△ ?トーホウライデン
△ ?グラスホープ
△ ?ヘライカントリー
3連単は6、3を折り返しに2、7を厚め。あとは10、1を押さえ
馬複は3−6、2−6、6−7、1−6、6−10
<お奨めの1頭>
11レース リボハーン
A2でも勝ち星マークはダテではなく、B3降級の前回を2着にまとめた。ここはメンバー的にもチャンス到来と見るべき
この4月から、某国の国営放送連続テレビ小説で、盛岡を舞台とするお話が始まりましたね。みなさまはご覧になっていますでしょうか?見ていない方も多いと思いますのであらすじを書きますと、横浜でパティシエを目指す主人公は、婚約者の実家がある岩手・盛岡を訪れます。その実家は驚くほど大きな由緒正しき老舗旅館。婚約者の祖母でもある旅館の大女将が病に倒れ、主人公は急転直下、老舗旅館を継ぐために女将修行に励むことに…と、こんな感じです。
物語はまだ始まったばかりですが、初回スタート早々に主人公と婚約者が新幹線に乗り、盛岡駅を降りて駅前の北上川に架かる「開運橋」を歩くというシーンがオンエアされました。見慣れた風景も全国放送の電波に乗っている思うとまた違って見えますね。なんというか、自分の子供が発表会の舞台に立ったような(わたしはまだ子供いませんけど ^^;)そんな感じでしょうか。テレビに向かって「おいおい、なんで駅前のタクシー乗り場からじゃなくてわざわざ橋渡ってからタクシー乗ってんだよ!」とか、「岩手銀行中の橋支店の前を南に向かったのに、次のシーンで八幡宮を背にしてるなんてありえね〜、一体どこに向かってるんだ?」などと地元民ならではのツッコミを入れながらも、なにかワクワクするものがあるんですよね。
物語のほとんどを占め出演者が多く登場する旅館のシーンは、残念ながらほとんどがこのドラマシリーズ特有のスタジオセット、オープンセットでの撮影となるのでしょう。しかし盛岡市観光協会が発行している「ロケ地マップ」を見ますと、このあとも盛岡市役所対岸の土塀の通りや、宮沢賢治像のある材木町イーハトーブアベニューなどが登場するようです。それにしてもあの韓流スターまで山岸の中津川原に来ていたとは…一体いつの間に…
4月2日に放送された第1回は、初回視聴率としてはなんと歴代最低を記録してしまったとか。まぁ、大晦日の歌番組と同じで“国民みんなが見ています”という時代ではないですからね。仕方がないと思います。ともかく、これで岩手や盛岡への関心が少しでも高まってくれればいいのではないでしょうか。なにせ都会の人には「岩手の県庁所在地って岩手市?」とか「岩手と秋田はどっちがどっちかわからない」などと言う人までいるほど北東北は影が薄いらしいですから。ま、ここを読んで頂いている地方競馬ファンの皆様には、そんなひとはいないと思いますが。
※注 ドラマにも登場するこの場所は小岩井農牧株式会社の管理地であり、家畜伝染病予防の観点から立ち入り禁止になっています。ドラマのように牧草地に立ち入ることはしないで下さいね。
(文/写真・佐藤 到)
この原稿を書いている時点で土・日の2日間の開催が終わりました。22レースを消化して逃げ・先行馬が圧倒的有利、勝てないまでも連対した逃げ・先行馬まで含めてみるとほぼ9割がこれらの戦法をとった馬で占められています。
冬季休催明けのコース状態は例年一癖あるものなのですが、今年はしかしいつも以上に極端ですね。月曜日に晴れてコース状態がどこまで変わってくるか。でも、火曜日はまた雨模様になりそうで、結局同じような傾向になるのではと思います。
そんな事を考えつつ、火曜メイン『水沢商工会議所杯』はダンディキング本命で行こうと思います。
昨年は一時不振に陥っていましたが、早池峰賞・トウケイニセイ記念と2レース続けて3着に踏ん張った走りを見るかぎり完全復活したと考えていいと思います。なかでも早池峰賞。この馬にとっては忙しい距離の1400m戦、それでハナを奪えない競馬となりながらも最後まで粘りを失わなかった所に成長を感じました。
今回はトウケイニセイ記念と同じく最内1枠という条件。ハナに立ってしまいたいこの馬には願ってもない枠順となりました。外枠の同型の出方はやや気になるものの、ハナを奪ってしまいさえすれば、そう簡単に潰される事はないでしょう。念願の重賞獲りに向けて、ここはスピードを見せつけておきたいところ。
対抗はかなり悩まされますが、「先行+先行」よりは「先行+差し」で狙ってみたいという色気もあって、チュードサンデーを推してみましょう。
古馬になってからは重賞勝ちこそ無いものの、先の桐花賞で3着に食い込んだ事でも分かるとおりA級〜オープン級でも通用する力のある馬。水沢マイルは大きく崩れない得意な条件ですし、なんとなれば差しにこだわらず先行策が取れる自在性も魅力です。鞍上も今一番勢いに乗った若手。
そして単穴扱いでオリエントボス。マイル戦は今のこの馬にはやや長いと見たのと、ややムラッ気な点から3番手の評価としましたが、1800mでもそこそこに走るだけのスタミナはあります。この馬のレースができれば首位まであっておかしくないでしょう。
鞍上がノッている、と言う事ではマツリダブロッコ騎乗の南郷家全騎手も目が離せません。馬の方は今期22戦目、さすがに上がり目なく勝ち負けまでは期待できないでしょうが、連下・3連複の一角としてなら十分。鞍上の勢いも加われば。
エイシンガッサンは下級条件から徐々にのし上がってついにA1級に到達。相手関係的にはかなりの強化になりますが、最近見せている安定度と成長ぶりなら、ここでもそう見劣りするものではないはずです。
買い目は1枠1番ダンディキングからまず8番オリエントボスと10番チュードサンデーへ馬複で。4番マツリダブロッコと11番エイシンガッサンを加えるときは2番手以下をボックスで狙うか、出来れば5頭のボックスにして手広く。展開ひとつで変わりそうな、それほど力差のないメンバー構成です。
◇その他のお奨めレース
9R:8枠10番マンノダイヤモンド 牝馬ながら成長株の一頭。これまで走ってきた相手が強かっただけに、今回はむしろ相手弱化感すらある。外枠でも押し切り可能。
この一週間〜10日間ほどは、本当に長い日々でした。あと1年とか2年とかという先ではなくて、“あと2週間”というところで突然その先の展望がなくなってしまう不安感。 競馬場の廃止、という出来事はこれまでも何度も見てきた事で、すっかり慣れっこになってしまったと思っていたのですが、自分の身に降りかかったそれは想像以上にインパクトが大きかったです。
いろいろあって非常にドラマチックな経緯の末に来年度の競馬継続が決まったわけですが、今日も特別開催で久々に地元のレースを見て、つくづく思いました。
「競馬ができるのって、いいなあ!」
さあ、予想に行きましょう。26日月曜日のメインレースは『奥州競馬振興懇話会会長杯』と銘打たれた3歳A級・ダート1600m戦です。実質オープン級ながらも重賞でも特別でもない平場戦、しかし3歳トップクラスがほぼ顔を揃える、非常に見どころの多いレースになりました。
このレースの主役はやはりこの馬、2歳女王に輝いたパラダイスフラワーでしょう。全日本2歳優駿G1ではらしくない内容で9着、続く金杯では逃げ馬を捕らえきれずの2着と終盤戦ではややピリッとしないレースが続きましたが、それまでの走りを見れば、地元勢相手ならやはり一枚上手の力を持つ事がはっきりしています。
連戦の疲れを見せていた彼女にとっては冬季休催はちょうどいい休養になったはずですし、昨年、早い時期にデビューしてすぐ活躍を始めたように、仕上がりも早く休み明けを苦にしないタイプ。ここは2歳女王の力をきっちりと見せて、前回敗れたセイントセーリングに借りを返す舞台です。
対抗はカネショウエリートでどうでしょうか。前走のJRA遠征は、芝の1200mではさすがに力を出し切れなかった印象。地元に帰ってダートのマイル戦なら手頃な条件、寒菊賞優勝時のような逃げを打てるなら、今のコース状態なら残ってしまう可能性十分です。
そしてダンストンリアル。2歳時の重特実績ではやや物足りないのですが、走ってきた相手関係でみればこの馬もなかなかの力の持ち主である事が分かります。外枠の先行馬が多い中、内枠で粘ってかつ差しに回れたなら、展開も味方してくれそう。
単穴的存在としてまずマツリダワルツ。小柄な牝馬ということもあってやや展開に注文が付きますが、はまったときの末脚の破壊力は現3歳の中でも最右翼。先行馬がパラダイスフラワーとやりあった末に潰されたら・・・と想像したら、この馬にも出番があっておかしくない。
もう一頭はセイントセーリング。マイルの大外枠、57kgと不利な材料が揃ってしまいましたが、ここまで重賞・特別各1勝の力は伊達ではないはず。
買い目は2枠2番パラダイスフラワーを頭にして1・5・9・11へ。馬単なら1着ながし、3連単なら1着固定の2着以下ボックス。パラダイスフラワーを信頼して裏目は考えない事にしましょう。
◇その他のお奨めレース
8R:7枠の2頭、コアレスコンドルとウエスタンフォルスに注目。どちらも昇級戦・一気の距離延長ですが、いずれB級程度なら突破する力がある馬のはず。不利な材料は気にせず強気に狙ってみたいところ。
9R:8連続連対中のマイネルヘルシャーから。A級からの降級馬もいるがさほどの相手強化感なく、距離も手頃。