10日メインはG?・マイルチャンピオンシップ南部杯への最終決戦「第14回青藍賞」(水沢1600m)。1、2着馬には栄えある南部杯の切符を獲得できることになる。
今回の青藍賞には現時点における岩手のオールスターがずらり顔をそろえ、非常に興味深いレースとなった。青藍賞のトライアルを制したのはミサキノハンターだった。同馬はA2級からの格下挑戦だったが、強引にハナを奪って、道中で手応えが怪しくなりながらそのまま押し切って快勝。フレッシュジョッキー・高松亮騎手にうれしい初のオープンタイトルをプレゼントし、水沢適性を存分に発揮した一戦だった。
(写真はすずらん賞ゴール 1着ミサキノハンター)
常識的にはここでもミサキノハンターを有力視すべきだろうが、前回はA1級馬が57キロのハンデに対し、同馬55キロ。加えて高松騎手が減量1キロのアドバンテージがあり、54キロの軽ハンデ出走できた。これもすずらん賞快勝の後押しをした一因となった。しかし今回は重賞の定量戦のため全馬が同斤量57キロで出走。そうなるとミサキノハンターは苦しいレースを強いられることになりそうだ。
では主軸にふさわしいのはどの馬になるのか。やはりウツミジョーダンの総合力を中心に置くのが妥当ではないだろうか。
前走8月13日、A1級戦は再々転入初戦で1月25日、G?・川崎記念(6着)の実戦だったが、前走比マイナス8キロで出走。見た目にも馬体の張りもひと息で仕上がり途上の印象を受けたが、キッチリ2着を確保。改めて底力を実感させた。その後も順調に乗り込まれ、すずらん賞にも登録があったが、万全を期してすずらん賞を自重し、ここに照準を合わせてピッチを上げてきた。
報知オールスターカップ快勝、G?・川崎記念3着などここでは断然の実績を誇るウツミジョーダン。久々を叩かれて気配アップとなれば、決して得意とはいえないマイルでも期待に応えてくれるに違いない。
ベルモントシーザー、エアウィードはアッサリ逆転も十分に可能だ。まず前者ベルモントシーザーは今年4月、南関東A2から転入し、ポンポンと2連勝を飾り、距離が懸念されたみちのく大賞典(2000m)でも僅差3着にまとめ、G?・マーキュリーカップでも地方最先着の4着に健闘した。
前回、クラスターカップでは距離が2000mから1200mへ一気に短縮され、さすがにペースにも戸惑って後方のまま8着に敗れたが、約1ヶ月の休養で気分もリフレッシュされたはずだし、折り合いを気にしなくていいマイルは旧地・南関東時代からベストの条件。来たる南部杯に向けて好発進を決めたいところだ。
評価に困るのがエアウィードだ。マーキュリーカップ10着後、満を持して臨んだと思ったすずらん賞で当然の1番人気に支持されたが、3コーナーで早々と手応えが怪しくなって5着凡走。レース後、鞍上の村上騎手も「何で走らないか分からない。今回は気がなかった」と首をかしげていたが、メンタル面までは掴めないのも競馬の難しさ。1着、もしくは凡走の可能性もある意味での▲となった。実力的には昨年の青藍賞覇者であり、今季もシアンモア記念優勝などで証明済みだ。
ローランボスコも首位候補の一角を占める。栗駒賞7着後、一連の疲れを取るために2ヶ月近く休養し、予定どおりすずらん賞で戦列復帰を果たした。レースは逃げたミサキノハンターの外を掛かり気味に追走し、道中は抜群の手応えだったが、直線は伸びを欠いて2着に敗れた。これは久々の分、最後の踏ん張りが効かなかったもので内容的には申し分なし。この青藍賞へ向けて上々の再スタートを切った。過去、水沢マイルは2勝2着2回と連対パーフェクトを誇り、この条件では鬼的な存在。この上位4頭はほぼ一線で並んでいる。
以下は今シーズンの充実ぶりが目につくニッショウウララ、すずらん賞4着マンジュデンツルギも押さえが必要だろう。
◎ ?ウツミジョーダン
○ ?ベルモントシーザー
▲ ?エアウィード
△ ?ローランボスコ
△ ?ニッショウウララ
△ ?マンジュデンツルギ
3連単は5、6、3、10のボックスと言いたいが、それでは買い目が多いので5、6の1、2着を厚めに勝負したい
馬複は
5−6、3−5、5−10、3−6、6−10
<お奨めの1頭>
3レース アンダーボナンザ
前回は自らハイペースを形成しながら、2着に1秒差の圧勝劇。もう一丁いける
9月18日、オーロパークで行われる3歳G?「第21回ダービーグランプリ」(盛岡ダート2000m)の各地区出走予定馬がこのほど発表された。
▼JRA代表・ソングオブウインド、ナイキアースワーク、バンブーエール、フサイチリシャール、ヤマタケゴールデン
▼他地区地方代表・モエレジーニアス(北海道)、キャプテンシーオー(船橋)、サンダーオブハード(船橋)、オグリホット(笠松)、ジョイーレ(兵庫)。
▼岩手・オウシュウクラウン、テンショウボス、ブラックショコラ、サイレントエクセル(フルゲート14頭 各地区補欠馬は省略)。
ナイキアースワーク、バンブーエールのジャパンダートダービー出走組に加え、昨年のJRA最優秀2歳馬フサイチリシャールがエントリーしてきた。これまでダート経験は一度もないが、父がクロフネならダート適性は自身、そして産駒フラムドパシオンなどの強さで証明済み。仮に出走すれば第11回の覇者イシノサンデー級か、それ以上の衝撃となるに違いない。
またダービーグランプリは第11回以降、JRAにも門戸を開放したが、ずっと地方競馬所属による優勝はなく、岩手代表・オウシュウクラウンには悲願の地元優勝の期待がかかっている。ジャパンダートダービー3着、不来方賞圧勝後も順調に乗り込まれ、このレースに照準をピタリと合わせている。さらにはメイセイオペラ産駒ジョイーレ、牝馬ながら破壊力けた違いサイレントエクセルなど興味尽きない一戦となりそうだ。
さて本題。9日メインは牝馬オープン馬による特別「第7回フェアリーカップ」(水沢1900m)。このレースは先に行われたエレガンスカップ(7月16日、盛岡ダート1600m)と並ぶ地方競馬全国交流・第32回ビューチフル・ドリーマーカップ(10月8日、盛岡ダート1800m)のトライアル戦で1、2着馬には優先出走権が与えられる。
主役はタカエイチフジで動かないだろう。トライアル・エレガンスカップを貫禄で優勝し、前々走・けやき賞6着以外は常に牡馬とも互角の勝負を演じてきた。前回も水沢1800mの大外9着に入りながら、中団からジワジワ伸びて2着を確保。相手なりに駆ける堅実さがなによりも魅力で、仮に負けたとしてもキッチリ連対を果たしてくれるに違いない。
逆転筆頭格はグローリサンディ。今シーズンは平場戦で2着1回のみと昨年の勢いが衰えてきたのは否定できないが、それでも前回・桂樹杯は8着ながらタイム差は0・6秒。昨年、同レースの覇者であり、そのレースを含めて水沢1900mは2戦2勝と勝率100%。すんなりハナにさえ立てれば、アッサリ逃げ切りのシーンまで十分にある。
ミススズランも上位扱いが必要だろう。今季はなかなか勝ち切れず10戦0勝。前回も道中、絶好の手応えから追い出しも文句なしだったが、詰めの甘さを露呈して3着。またもや勝利の女神に見放されてしまった格好だが、大崩れしないのはさすがだ。今回は人気2頭と2キロ差のアドバンテージがあるし、牝馬同士の戦い。3番手以下の評価は考えられない。
勢いに乗っているといえばカプリコルノだ。前々走、B1級からの強気の挑戦・エレガンスカップでは牝馬オープン相手にタイム差なしの3着。ゴール前であわやのシーンを作った。それがフロックでないことは前回、A2級戦で1番人気に応えて堂々の快勝。今が一番の充実期だと見ていいだろう。
以下、6ヵ月半ぶりのレース・エレガンスカップでいきなり2着に入ったファーストルーチェ、マイペースに持ち込めればプリンセスワールドの残り目があるかも。
<お奨め1頭>
11レース ブラックオーメン
差しタイプだけに展開に泣くときも時にあるが、前回は強いレースで快勝。その内容ならもう一丁いける
既にご存じの方も多いと思いますが、メイセイオペラが韓国済州島での種牡馬生活を始めることになりました。これについて、ややもすると馬産地日高からの“都落ち”のように感じる人もいることでしょうが、私はそうは思いません。日本で生産する競走馬の配合を考えるとき、最大最高の目標は日本ダービーをはじめとする中央GIと誰もが考えるでしょう。日本の競馬は良くも悪くもJRAが中心。一方、ダートで行われている韓国競馬では、既に日本から輸入されたメイセイオペラ産駒が好成績をあげており、種牡馬としての評価が高まっているそうです。それに、盛岡競馬場でオーナーの小野寺さんとレンタル先のキム氏が対面した際、私もカメラマンとして同席させていただいたのですが、キム氏は、メイセイオペラが岩手の、そして地方競馬のヒーローであることをとても良く理解しようとしていると感じました。
望まれて赴くなら、それは種牡馬としての花道。これは嬉しいニュースです。
さてもうひとつ、岩手にとって嬉しいニュース。もう一頭の“岩手の雄”トーホウエンペラーが、地方競馬のファーストシーズンサイヤーでリーディング1位になりました!(8月29日現在・日本軽種牡馬協会調べ)これは同じく今年、初年度産駒がデビューしたナリタトップロードらを抑え、種牡馬全体でも14位に入る立派なもの。エンペラー自身が血統に裏打ちされたブライアンズタイム産駒ですから、走る仔が出るぞとは引退時から言われていましたが、期待以上の好成績です。
岩手ではこれまで4頭のトーホウエンペラー産駒がデビューを果たしており、残念ながら未だ勝ち星は上げていませんが、今後の活躍に期待して良いでしょう。この4頭、間もなく発売される「テシオ」でも取り上げていますが、こちらでも彼らの写真をご覧に入れたいと思います。応援の意味を込めて、いつもよりちょっと大きめのサイズでどうぞ!
時のたつのは早いもので、もう9月になってしまいました。岩手はすっかり秋の空、日差しはまだ少し強いですけどね。
涼しくなってきたおかげか、先日までの暑さにへばっていた馬たちも徐々に元気さを取り戻してきた気がします。パドックを見ていても明らかにぐったりした馬が(曳いている厩務員さんも)減ってきた感じ。土・日と荒れ模様だったのは、ここ最近暑さで力を出せなかった馬が復活してきたせいなのかもしれません。
水沢開催は次週9〜11日の3日でいったん終了、舞台を盛岡に移して早速GI・ダービーグランプリが行われます。その頃には、夜なんか寒くなっているような気がしますねえ・・・。
月曜のメインレースはC2級のダート中距離線・猿ヶ石川特別です。メンバーをざっと見て感じるのは力比較の難解さ。ダート1800mという条件で実績がある馬がほとんどおらず、むしろ走った事すらないという馬の方がよほど多いのですから、基準をどこに置くか非常に悩まされます。勢いか距離適性か実績か。ということで今回は、比較的それらが並立しそうなレッドチェイサーを本命に推す事にしました。
レッドチェイサーは昨年9月に岩手に転入し、C3級の短距離で勝ち負けを演じていました。昇級して迎えた今シーズンは当初クラスの壁に戸惑ったかの感がありましたが、ここに来て2連勝といよいよ勢いに乗ってきました。正直この距離に関してはあまり強気になれませんが、その点では他のメンバーも似たり寄ったり。であれば2連勝の勢いを買いましょう。
対抗はちょっとひねってドーリーゴンザレスでいかが?差し脚質で最内枠というのがちょっと不安、1800mも初めてですが、距離が長いのは苦にしないタイプ。能力も見劣らないはずです。
そしてエイシンウルフオー。最近は安定度上昇、距離が伸びての対応力も増してきた印象。やや勝ち味に遅いですが、つねに上位争いには参加してくるので警戒を怠れません。
次に上がってくるのはラックオンデマンドでしょう。短い距離ではどうもズブく差し届かない馬ですから、距離が長くなるのは好都合。ハマッた時の伸び脚は魅力度大です。
ユウワンプレストンなんかも挙げておきたいんですけど、どうも近走がピリッとせず一変までは期待薄。だったら距離には目をつぶって逃げられるページェントルイはどうでしょう。右回りの方がいいタイプで開催替わりを前に狙っておきたいし、鞍上も今週は騎乗ぶりがキレている印象です。
買い目は8枠10番レッドチェイサーを含むBOXで1、3、6、9、10。展開ひとつでガラッと変わりそうなだけに裏表までしっかり。
なお、当日の水沢競馬は全12Rで行われますので、猿ヶ石川特別は15:50分発走といつもよりやや早めのスタートとなっております。お間違えなきよう。
3日メインはB1級「第22回セプテンバーカップ」。距離は前日、ムーンライトカップ(B2級)と同じ1800mで枠順が微妙に影響するし、しかも今回は各馬が一長一短。非常に難解な一戦となった。
カギはオーガストカップ出走組と平場戦で好成績を残している組との力量比較。常識的には特別組を上位に採るのが妥当だろうが、ここはカヌマビートを主軸に抜擢してみたい。
3回水沢(6月11日)B1級戦で逃げ切り圧勝を決めたが、続くレースでは脚部不安のために出走を取り消し。前走8月20日、B1級戦は約2ヵ月半ぶりの実戦となったが、逃げて2着を死守した。その時、勝ったインターサウンドは間違いなくA級でも勝ち負けの実力馬。それを考えれば0・4秒差だったとは言え、2着入線を素直に評価したい。
ただ、気になるのは水沢1800m戦の9番枠。先行して持ち味を発揮するタイプだけに、この外枠はちょっと微妙なところ。競り合いに持ち込まれ、ハイペース模様になった場合は大敗の可能性もある。
逆転筆頭格はエイシンアザレアか。元々は盛岡で好成績を収めているが、前回・オーガストカップでは大器ハセノコンドルの2着。しかも道中ずっと後方に待機し、直線一気に突っ込んできた。エイシンアザレアが見せた上がり3ハロンが38秒9、水沢の馬場でこの末脚は見事という他はなかった。しかし決して差し一辺倒ではなく先に生ける脚もあり、今回は絶好の1枠。勝ち負け必至と見るべきだろう。
セキトシャンハイは前回、味なレースを披露した。これまで父シャンハイ譲りのスピードで押し切るのが勝ちパターンだったが、中団に控える競馬。しかも馬群に入って砂を被る楽な展開ではなかったが、それをしのいで0・3秒差4着。この芸当ができれば前回より1ハロン延びた1800mでもおそらく問題なし。うまく脚質転換に成功すれば、B級も軽く突破できる器だ。
元A1級馬ゲンパチコジーンはアッサリの可能性十分。中央3勝から昨年、岩手に転入してオープンでも入着。冬期間に佐賀で2度使って再度、岩手へ帰郷し、格付けがB2と恵まれた。その割に2勝はやや物足りないが、芝レース以外は堅実に走っている。これまで水沢では3着が最高だったが、中央時の2勝はダート1800m。ベストの条件でまとめての局面を迎えた。
以下、前回快勝で波に乗っているヒメツバキ、スタートさえ互角なら能力ヒケ取らないタケアジュリーもマークが必要だろう。
◎ ?カヌマビート
○ ?エイシンアザレア
▲ ?セキトシャンハイ
△ ?ゲンパチコジーン
△ ?ヒメツバキ
△ ?タケアジュリー
3連単は9、1を1、2着折り返しに3、6を厚めに。2、8を押さえ少々
馬複は1−9、3−9、6−9、2−9
<お奨めの1頭>
9レース テンショウボス
回りは盛岡の方が合うが、不来方賞2着馬。総合力で水沢コースもこなす。ここはトミケンソリッドとの一騎打ち濃厚