17日(日)メインは芝1700mを舞台に行われるB1級「第8回八幡平特別」、12頭立て。4コーナーを回った直後がスタート地点で、ゲートが開いて1コーナーに入るまで約500mの直線があり、ペースはミドルか、もしくはスローになる可能性が高い。それゆえ芝1600mに比べるとポジション争いは激しくならず、先行馬にやや有利が過去のデータ。これを頭に入れて推理してみたい。
主軸にキタノソナタを指名する。中央5戦未勝利から昨年12月に岩手へ転入。移籍2戦目の5着以降、7戦連続で連対を果たし、抜群の安定感を誇っていた。
その連対が途切れたのは4回水沢・三陸リアス特別(B2牝馬)10着だったが、これは砂を被ってレースに全くならなかったため。しかし、ずっとコンビを組んできた木村暁騎手はそれをしっかり把握。その後は積極策に心がけ、南昌山特別(B2牝馬 盛岡ダート1800m)1着、御所湖特別(B2 盛岡芝1600m)2着、B1級一組(水沢1600m)1着と好成績を収めている。
今回は9番枠とやや外めに入ったが、これも逃げる馬を見ながら外につけられる絶好枠とも言え、好位追走から抜け出しを決めると見る。
逆転筆頭格はロストプロパティー。中央時代、一貫して芝を使って8戦0勝3着2回。昨年11月から岩手に新天地を求めてきたが、4戦連続で着外。B1では荷が重いかと思ったところ、これは重いダートが合わなかったためだった。
それで3回盛岡・石桜杯(盛岡芝1700m)から芝へと路線変更したが、動きがガラリ一変した。その石桜杯で3着にまとめると、以降、ジュライカップ(B1 盛岡芝1600m)2着、A2級下(芝1700m)3着、パストラスガーデンカップ(B1 芝1700m)2着と常に勝ち負けを演じている。
この適性を見た陣営は水沢開催をすべてスキップし、この八幡平特別に照準をピタリと合わせて乗り込んできた。
ただネックはある。芝では抜群の安定度を誇っている半面、デビューから16戦を消化していまだ未勝利。最後の詰めに課題を残しており、それをどう解消するか。もし吹っ切れれば、芝ならオープンでも通用する可能性を十分に秘めている。
レディラックも芝なら軽視できない存在だ。岩手3戦を消化して12着、3着、10着。この2度の二ケタ着順はダート戦だったが、芝1700m・パストラルガーデンカップで逃げてタイム差なし3着。一転して好走には周囲もビックリした。このレースを見れば一目瞭然、しかも内4番枠を引き当てたならマイペース逃げ切りまで考えられる。
エメラルスターも芝を狙って臨んできたのは明白だ。今シーズンは順調さを欠いて5月、メイカップから始動したが、10着に大敗して再び3ヵ月半の休養。8月に戦列復帰を果たし10、7着と凡走したが、これは陣営の想定内。実戦を2度使って芝・八幡平特別は当初の予定どおりだった。芝は過去<3.3.1.7>とメンバー中一番の実績があり、3歳時には重賞・オパールカップで2着にも入っている。
以下は詰め不足は気になるが、格上ユウワンテイオー、前回快勝ヤマトスピリットあたりにもマークが必要だろう。
◎ ?キタノソナタ
○ ?ロストプロパティー
▲ ?レディラック
△ ?エメラルスター
△ ?ユウワンテイオー
△ ?ヤマトスピリット
3連単は1着固定で9から2、3着7、4を厚めに5、3、11を押さえ
馬複は 7−9、4−9、5−9、3−9、4−7
<お奨めの1頭>
9レース タイアルディー
苦手水沢を克服して目下3連勝と本格化を疑わず。メンバーは骨っぽくなったが、追いかける手だ
今週から戦いの舞台は盛岡競馬場へと替わり、いよいよG?シリーズに突入する。その盛岡初日16日(土)メインはB2級馬による芝1600m戦「第7回区界(くざかい)特別」、12頭立て。8月19日から9月11日まで水沢開催だったが、その間に芝を全面的に補修し、痛んでいた芝が鮮やかな緑一色に戻った。
主軸はラブラブサンヒコで断然だろう。デビューから一貫して岩手で走り続けて通算6勝をマークしているが、その内4勝が盛岡芝であげたもの。ダートでは決め手の甘さが常に付きまとっているが、芝になると動きが一変。今シーズンの2勝も芝と典型的な芝巧者で知られている。
しかも前回、水沢ダート1800mで行われたB2特別・ムーンライトカップで好位追走から0・7秒差4着と善戦。これが目下の好調度を裏付けるものであり、その一戦を叩かれて今回の区界特別は予定どおりのステップ。また盛岡芝1600mの持ちタイム1分38秒1も抜けたおり、ここはキッチリ勝っておきたい。
軸の選定はアッサリ決まったが、相手捜しが非常に難解だ。各馬に死角ありのメンバーで迷いに迷ったが、ドリームカーニバルを相手に抜擢してみよう。デビューが3歳9月と遅かったが、下級条件から堅実に白星を積み重ね、着外に沈んだのは今年7月、盛岡戦の1度のみ。しかし敗因は距離1800mが長かったためで、それ以外は堅実に入着を果たしており、前回も後方待機策から鮮やかなまくりを披露して8勝目をマークした。
不安点は唯一、生涯初の芝。父がアサティスで産駒の活躍馬はウイングアロー、スマートボーイなどダート向きが多く、血統的に芝は疑問符が残るのは否定できない。それでもいい脚を長く使えるのが最大のセールスポイントであるドリームカーニバル。未知の芝でもロングスパートが決まるのでは…と踏んだ。
フォージドソヴリンは水沢開催をスキップして、満を持しての登場となった。その前走(8月7日)は同条件、B2芝1600m特別・御所湖特別だったが、後方9番手に待機し、上がり35秒7の鋭い脚を駆使して0・4秒差3着にまとめている。暑かった夏を休養にあて、気分もリフレッシュしたはずで緑の芝をスパッと切りたい。
おそらく人気を集めるのはタイキミスティだろう。盛岡芝は過去、<2.1.0.4>とラブラブサンヒコに次ぐ好実績を誇っているからだ。ただ、今シーズンはB2の壁に突き当たっているのか4着1回が最高とちょっと精彩を欠いているのは事実。それでも芝適性は上位の存在だけに、アッサリあって不思議はない。
他では中央在籍時、3着2回が芝2000m、4走前のA2以下の芝1700m戦でドラグーンの0・3秒差4着ゲイリーザスカイ、コマンダーインチーフ産駒リキサンセレブにも注目が必要だろう。
◎ ?ラブラブサンヒコ
○ ?ドリームカーニバル
▲ ?フォージドソヴリン
△ ?タイキミスティ
△ ?ゲイリーザスカイ
△ ?リキサンセレブ
3連単は6を1着固定に2、3着は10、4、7、2と手広く
馬複は6−10、4−6、6−7、2−6、5−6
<お奨めの1頭>
9レース トミケンソリッド
前回は岩手転入後、初めて3着に敗れたが、これはダービーグランプリにも出走予定のテンショウボスが相手で分が悪かった。今回は手頃なメンバーとなって巻き返しに自信
今度の週末からは再びの盛岡開催。そしていよいよダービーグランプリがやってきます。いやぁ〜、今年はなんとも言えぬ期待と緊張感。なんといっても統一GIとなって初めて地元馬優勝が現実のものとなる可能性が出ていますからね。
その馬の名は皆さんもうご存じでしょう。そう、オウシュウクラウン! 本番を目前に控えた今、陣営も小林俊彦騎手も、そして馬自身も岩手の期待を一身に背負って巨大なプレッシャーと戦っていることでしょう。だからあまり勝て勝て言ったり書いたりしたくないのですが……、あ゛ーっっ、でもやっぱり勝って欲しい!と言っちゃいます。岩手はメイセイオペラ、トーホウエンペラー以来のヒーロー出現を待ちわびています。トニージェントが届かなかったグレードタイトルの夢を、ほんの少し時代が早すぎたトウケイニセイの分まで、オウシュウクラウンが叶えてくれることを信じましょう!
話は変わりますが、このダービーGPというレース、2000年の第5回まで11月に行われていたことを覚えていらっしゃいますでしょうか。11月の盛岡といえば冬は目の前。天気の変動が激しい時期ですから、気圧配置によっては思いっきりな寒波に襲われることも珍しくありません。実際、98年のダービーGPが予定されていた日には、なんと朝から雪が降り続き(!)昼ごろには2〜30cmの積雪が。ついに主催者は5レースで開催打ち切り、ダービーGPの延期を決定せざるを得ず、わざわざ高知からやってきたカイヨウジパングも出直しとなったのでした。このときダート三冠に王手がかかっていたウイングアローは、小回りの水沢に変わった翌月のレースで、身追い込み届かず3/4馬身差の惜敗。マイケル・ロバーツ騎手騎乗のナリタホマレが戴冠となったのでした。
今年のダービーGPには、そのウイングアローの産駒、サイレントエクセルも出走します。この馬も、さすがにオウシュウクラウンとの直接対決ではかなわないものの、3歳牝馬としてはズバ抜けた能力を見せており、このメンバーでどこまでやれるのか、大変楽しみな存在です。
というわけで岩手の競馬ファンにとってはいやがおうにも盛り上がる今年のダービーGP。フサイチリシャールの参戦もあって岩手だけでなく全国の競馬ファン注目の的となりそうですが、9月とはいえ天気によってはかなり寒くなることもあります。さすがに98年のように降雪ということはないと思いますが、関東以南から本場にお越しの方は、念のため寒さ対策を万全に。
1998年ダービー・グランプリ/優勝・ナリタホマレ
(文・写真/佐藤到)
<次走へのメモ>
9月9日 第7回フェアリーカップ(水沢1900m)
1着 グローリサンディ
大外からケイアイフォーユーが大逃げを打ち、2番手をがっちりキープ。3コーナーでケイアイフォーユーが一杯となって脱落し、替わってグローリサンディが先頭。外からタカエイチフジが襲い掛かり、直線を向いて一度交わされたが、今回のグローリサンディはそこから差し返す芸当をやってのけ、最後は2着に2馬身半差をつける完勝となった。
「以前に比べてスタートも一息だし、行きっぷりも今一つだったが、調子の良さでカバーしてくれた。ここでは実績が違うので、ちゃんと力を出せれば強い」と菅原勲騎手が語ったように、最大の勝因は好調度で臨めたこと。この状態を保って次走・ビューチフル・ドリーマーカップ(10月8日)に駒を進めて欲しい。
2着 タカエイチフジ
1枠に入り、外から被せられたが、うまく外に持ち出して3番手をキープ。道中は淡々としたペースで進み、マークをグローリサンディ1頭に絞り、直線で一旦先頭に立ったが、内から差し返されて最後は力尽きる。「位置取りが中途半端だったかも。早めに馬体を併せれば違った結果だったのでは」と阿部英俊騎手。
9月10日 第14回青藍賞(水沢1600m)
1着 ウツミジョーダン
ルーキーナカヤマが後続を離して逃げ、前半35秒台のハイラップを刻む。ウツミジョーダンはいつもどおり中団より後ろ6番手外をキープし、3コーナー手前から徐々に馬なりで先陣に接近。4コーナーで先頭に立ったローランボスコを直線半ばで早めに交わしたため、とぼける仕草を見せる。それでエアウィードが猛追し一瞬、ヒヤッとさせたが「後ろから来たのは分かっていたが、まだ余裕があった」と小林騎手。確かに着差はクビだったが、ゴールがもう少し先でも着順は変わらなかっただろう。
「いつもはもっさり出る馬だが、今回はスタートから行く気があった。今回の勝利は実績の違い。まだトモ(後肢)が寂しくて本物ではないので、次はもっと良くなってくれるのでは」(小林騎手)
G?・川崎記念(1月25日)後、6ヵ月半の休養をはさんで再度、岩手入り。転入初戦(8月13日)を2着にまとめ、続くすずらん賞は大事を取ってスキップしてここへ臨む。小林騎手のコメントどおり、まだ毛ヅヤも本物ではなく、上昇余力は十分にありそう。
次走は南部杯(10月9日)へ直行しますと村上佐重喜調教師。
2着 エアウィード
すずらん賞が意外な凡走(5着)に終わり、今回は4番人気まで評価を下げていた。位置取りはウツミジョーダンより少し前のインの経済コースを進み3、4コーナーでもたつく。これは前回、すずらん賞と同様だったが、直線を向いてから馬群を割って伸びてくる。「中間、ちょっとセーブした攻め馬が良かったのかも。でもピークに比べると物足りない」と村上忍騎手。それでも南部杯に向けて一応の結果を出せたのが心強い。
3着 ミサキノハンター
今回は重賞のため高松騎手のアドバンテージはなく、全馬57キロの定量。加えて外枠(9枠)に入り、ハイペースについていけず中団5番手からの競馬。これで持ち味(先行して押し切る)が生きないかと思ったが、直線大外からジワジワ進出して3着に食い込んだのには正直、驚いた。今後も水沢戦なら目が離せない存在となった。
4着 ローランボスコ
ルーキーナカヤマの離れた2番手を追走し、直線を向いて手ごたえ抜群で先頭。そのまま粘るかにも見えたが、最後で力尽きて4着に敗れた。一息入れた前走・すずらん賞を叩いて状態アップは明白だったが、前半のハイペースについていったのが敗因か。今回、水沢マイル戦で初めて連対を外してしまった。
5着 ベルモントシーザー
終始4番手インを進み、勝負どころで前が詰まる不利。それが最後まで響いて6着に敗れたが、これを叩かれて次は変わってくるはず。
夏の水沢開催も今日で一区切り。来週からは4開催連続、ほぼ2ヶ月間にわたって盛岡競馬場での開催となります。
そして、その開幕週にいきなりあるのがG1・ダービーグランプリ。なかなか地元の馬が勝てない、縁遠いレースなんですけど、今年は岩手にも期待できる馬が揃っていて、レースの時が楽しみで楽しみで仕方ありません。JRAからもフサイチリシャールをはじめとする強豪が来るそうなのですが、今年はもう徹底的に岩手の馬を応援します。
当日は私は地元局のテレビ中継がありまして、番組内で勝利騎手インタビューをする予定になっています。その相手が岩手の騎手だったらいいなあ、と今から期待しております。
月曜のメインレースはサラ系A1級のエクセレント競走。出走馬の力が接近しているせいかしばしば荒れるエクセレント競走、今回も微妙な力関係ですが、今回はこの馬にしっかり決めてもらいましょう。大外8枠12番、ウエストジーニアスです。
2〜3歳時はオープン級の常連として活躍し、重賞・不来方賞も勝った経験を持つウエストジーニアス。その後は故障もあって休み休みのレースになっていましたが、3度目の長期休養から復帰したこの夏以降、3戦して徐々に調子を上げてきました。もともとレースセンスの高さでは定評のあった馬で、それが“体ができてすぐ好走”という結果につながっているのではと思います。
前走などはルーキーナカヤマの捨て身の逃げにしてやられてしまった、という印象で、この馬の走り自体は悪いものではありませんでしたし、距離短縮のここはちょうど走り頃ではないでしょうか。マイルの外枠に先行馬という点が気がかりかもしれませんが、ハナにこだわるタイプではないのでさほど気にしなくて良いと思います。
対抗はオリエントボス。7月には重賞・栗駒賞も勝った期待の4歳馬。クラスターカップはさすがに一気の相手強化にとまどったかの結果でしたが、重賞勝ちが示すとおり能力はオープン級の水準。まだ時折不安定なレースをする事があり、その点で2番手評価としましたが、力的には勝っておかしくない馬だと思います。
もう一頭はドントコイタカトモを狙ってみましょう。前走はオープン馬が相手で自分のレースができませんでした。今回はメンバーも楽になり、前々走までのような終いの瞬発力を生かしたレースが期待できそうです。
その他におさえておくとすれば、まずカシマハヤト。かつての強豪も長期休養を挟みつつのレースでなかなか以前のような走りができないものの、レースを使いつつ良くなっているのも確か。順調にレースに出てくる間は警戒が必要です。
穴っぽいところではキレアジサイコウ。前走は左肩ハコウで出走取り消し、前々走は芝で大敗と見送りたくなる結果が並んでいますが、それ以前はA1級エクセレント競走でもそこそこのレースをしていました。水沢の方が安定しているタイプでもあり、開催替わりを前に狙っておきたいところです。
買い目は8枠12番ウエストジーニアスからまず8、9へ。加えて2と10。上位3頭は3連単BOX、2頭を加える時はフォーメーションにしてしっかり!